狂言・歌舞伎

2011年07月24日23:07七月大歌舞伎 夜の部 @ 新橋演舞場
すっかり載せるのを忘れていました。

ええ、復活成田屋ですよ。
大向うさんの声にも勢いと張りがあって活気もありました。
夜の部は見たい演目があったので取りましたが、時間に余裕ができたら昼の部も取ろうかなと暢気に構えていたら即売切れ。なんだったんでしょう。
それともみんな「義経」贔屓なのかしら?
断然「鏡獅子」「江戸の夕映」でしょう。
壱太郎さんのお登勢が可憐すぎる!

ちょうど畠中恵さんの「若様組まいる」を読んでいて、徳川の家来だった旗本の行く末に痛感してしまいました。この本の若様方は千石、二千石、三千石だけれど、松平掃部は五千石の直参旗本だとキツイ暮らしぶりが胸にきますね。

一、吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)
  鶴ヶ岡石段の場、  大磯曲輪外の場
工藤祐経  梅 玉
曽我五郎  松 江
曽我十郎  笑 也
朝比奈三郎  男女蔵
秦野四郎  弘太郎
喜瀬川亀鶴  梅 丸
化粧坂少将  春 猿
大磯の虎  笑三郎
八幡三郎  猿 弥
近江小藤太  右 近

二、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
小姓弥生後に獅子の精  海老蔵
家老渋井五左衛門  市 蔵
用人関口十太夫  亀 鶴
胡蝶の精  玉太郎
  同     吉太朗
局吉野  右之助
老女飛鳥井  家 橘

三、江戸の夕映(えどのゆうばえ)
堂前大吉  團十郎
おりき  福 助
本田小六  海老蔵
お登勢  壱太郎
徳松  男女蔵
黒岩伝内  亀 鶴
網徳娘お蝶  宗之助
吉田逸平太  市 蔵
松平妻おむら  家 橘
おきん  萬次郎
松平掃部  左團次


2011年06月22日20:41盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ) @ シアターコクーン
コクーン歌舞伎は2007年の「三人吉三」以来2回目。
1階の桟敷に座ったらさぞかし楽しかろと思ったが、予算に負けてまたも3階席。

演舞場で上演中の「色彩間苅豆」(いろもようちょっとかりまめ)といい、この「盟三五大切」といい、四代目鶴屋南北ってすごいわあ。
人間関係のパズルがね、複雑で楽しませてくれます。
コクーン歌舞伎は勢いがあっていいですよね。

作 四世 鶴屋南北
演出・美術 串田和美
出演
薩摩源五兵衛 実は不破数右衛門  中村橋之助
芸者妲妃の小万 実は神谷召使お六  尾上菊之助
船頭笹野屋三五郎 実は徳右衛門倅千太郎  中村勘太郎
若党 六七八右衛門  中村国生
徳右衛門同心了心ほか 笹野高史
船頭お先の伊之助ほか 片岡亀蔵
芸者 菊野 坂東新悟
家主くり廻しの弥助 実は神谷下郎土手平ほか 坂東彌十郎
大星由良助義金 あの人

みんな誰かのためを思ってやっていることなのに、
巡り巡って金は返ってきても一度欠けてしまった心はもう戻らない。
女の手練手管に負けてしまった源五兵衛が悪いとはいえ、
出世や男を立てるためならどんな悪でも許される忠臣蔵外伝。

行っちゃうんだ、高野屋敷へ仇討に。
はぁとため息をつくと由良助が迎えに・・・
お帰り、勘三郎さん!

国生くんが八右衛門役。若党というよりはまだまだ小姓といった感じ。
声がまだまだ子供です。
でも気持ちの伝わるいい演技でした。

すっかり中村組の一員となった井之上隆志さんもまたまた出演。
笹野さんに次ぐ現代劇の役者を発掘したいんでしょうね。

由良助の声は勘三郎さんだなとは思っていたけれど、この日に電撃復帰だったんですね。
知りませんでした。

書くのがすっかり遅くなりましたが、明日(27日)が千秋楽です。

渋谷・コクーン歌舞伎 第十二弾『盟三五大切』製作発表記者会見


演出の串田和美さん、NHK朝ドラに出演されていますよね。
テレビドラマの串田さんを見るのは初めてで、役どころとはいえやわらかぁいイメージに毎朝なごみます。

2011年06月18日23:00六月大歌舞伎 夜の部 @ 新橋演舞場
染ちゃんがものすごくよかった件。
夏らしい芝居。
うひ〜、楽しかったよ。

「かさね」も是非見たかったし、「吹雪峠」が気になっていたので夜の部を選択。
やはりこちらにしてよかった。

一、吹雪峠(ふぶきとうげ)
 直吉  染五郎
 助蔵  愛之助
おえん  孝太郎

二、夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)
  住吉鳥居前
  難波三婦内
  長町裏

団七九郎兵衛  吉右衛門
   女房お梶  芝 雀
      お辰  福 助
 玉島磯之丞  錦之助
  傾城琴浦  孝太郎
大鳥佐賀右衛門  由次郎
   釣船三婦  歌 六
三河屋義平次  段四郎
 一寸徳兵衛  仁左衛門

三、色彩間苅豆(いろもようちょっとかりまめ) 〜かさね〜
 かさね  時 蔵
与右衛門  染五郎


・吹雪峠
身延詣の帰り道、猛吹雪の山小屋に病弱の色男とワケアリの女の夫婦がたどり着く。三年前、兄貴分の妻を寝取って駆け落ちした二人はお天道様を見れない生き方を送っている。そこへ、何の因果か兄貴分と鉢合わせする。
元夫への負い目を逆手に取って我が愛へと向かせる力技の女が怖い。三人の配役がはまりすぎ。去っていく兄貴分の哀愁が見事!

ダイジェストみどころに書かれた箇所を見逃さずに!とっても夏らしい芝居。盛り込みすぎにならないところもいい。
「住吉」
主人公団七が牢から出てむさ苦しい姿から爽やかな姿で登場するところ。
「三婦内」
お辰が自ら鉄弓で頬を傷つける侠気あふれるところ。
「長町裏」団七の舅殺し。見得と彫り物がすごい。殺しの後の祭りが迫るあの時間が見物でした。
吹雪峠も浪花鑑も任侠もの。浪花鑑は1階の前の方で見たいメモ。きっと忘れるけど。

・色彩間苅豆 かさね
「いろどりちょっとかりまめ」
間をちょっとなんて読ませておしゃれ〜
なんて浮かれていると実は怪談。だって「かさね」ですもの〜
好きになったいい男は昔、おっかさんと密通しておっとさんを惨殺した経験ありって!ねえ。
怪談めいてくる話なのに清元!そして踊り!
わざと明るくしている舞台だから余計に怖い。
時蔵さんが少女に見えるのがコワイ、いやすごい。
浪花鑑もかさねも因縁もの。

染五郎・吉右衛門・染五郎のサンドイッチ!
季節は冬・夏・秋
形容詞なら寒い・暑い・怖い

「色彩間苅豆」の苅豆(かりまめ)って何だろうと思っていました。
実話を元にしているこの噺(累ヶ淵)、実際殺した場所が大豆畑だったからだそうな。

かなりリンクしている「累ヶ淵」の史実はwikipediaへ。

2011年06月09日22:42たぶん風邪をひいたのはこの日
茂山千五郎会 @ 能楽堂

演目は、正邦さんとこの双子ちゃんらがおじいちゃん(千五郎さん)と出演した「いろは」と「しびり」。
すっぱ(詐欺)物の「茶壷」と休憩をはさんで円朝作落語の「死神」。偽医者を千五郎さん主演で。

う〜ん、面白かったのですが、能楽堂が寒く首筋がすっかり冷たくなったよ。
というわけでパソコン放置中でした。

読書もはかどらず。
まっすぐ家に帰る日々です。(6/16)


2011年05月04日17:39五月大歌舞伎 夜の部 @ 新橋演舞場
吉右衛門さんだからと奮発。
しかし、1等席を買う勇気はない。
隣席のおばあさんが前々列の女性の頭が邪魔だとずーーーっと諦めずに言い続けていることを除けば花道がすぐでとてもいい席。

籠釣瓶はぜひ吉右衛門さんで見たかったから、今まで我慢をしていたよ。
吉原が艶やかで1階席にしてよかったと実感。

一、籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)
  発端 戸田川原お清殺しの場より
  大詰 立花屋大屋根捕物の場まで

佐野次郎左衛門  吉右衛門
八ツ橋  福助
立花屋おきつ  魁 春
九重  芝 雀
下男治六  歌 昇
盲の文次  錦之助
七越  高麗蔵
腹太弥七  松 江
禿山の松蔵  種太郎
初菊/娘お千代  壱太郎
赤目の卯左吉  種之助
土竜の石松  米 吉
絹商人丈助  桂 三
絹商人丹兵衛  由次郎
釣鐘権八  彌十郎
都築武助  歌 六
佐野次郎兵衛  段四郎
立花屋長兵衛  東 蔵
高松安之進妻おとし  秀太郎
繁山栄之丞  梅 玉
立花屋お駒  芝 翫

二、あやめ浴衣(あやめゆかた)
若い女  芝 雀
若い男  錦之助
若い男  歌 昇

二芝居続けて芝雀さんがとてもよかった。
さて、6月はどうしようか。
月曜日にはもう発売じゃない。
そろそろ潔く来年のゴールド会員を諦めるか、頑張って昼夜取るか悩みどころ。


2011年04月01日22:29歌舞伎 権三と助十
四月大歌舞伎 夜の部 @ 新橋演舞場

仕事帰りに辧松でお弁当を調達してから一幕「絵本太功記」の終了15分前に到着。休憩まで劇場内に入らなくてもいいかと思ったが、團菊祭なのに團菊を見ずしてどうする?と思ったので3階席後方から立って見ていました。初日って大向うさん勢揃いなんですね。ちょっと感動(笑)

一、絵本太功記(えほんたいこうき) ほぼ見れず
  尼ヶ崎閑居の場
武智光秀  團十郎
操      魁春
武智十次郎  時蔵
初菊    菊之助
佐藤正清 三津五郎
皐月    秀太郎
真柴久吉 菊五郎

二、男女道成寺(めおとどうじょうじ)
白拍子桜子実は狂言師左近  松 緑
白拍子花子  菊之助

三、権三と助十(ごんざとすけじゅう)
権三  三津五郎
助十  松 緑
助八  亀三郎
願人坊主雲哲  亀寿
小間物屋彦三郎  梅枝
願人坊主願哲  巳之助
左官屋勘太郎  市蔵
石子伴作  権十郎
猿廻し与助  秀調
権三女房おかん  時蔵
家主六郎兵衛  左團次


2011年02月24日20:36千五郎狂言会 第10回記念 @ 国立能楽堂
秋葉原アトレで時間を調整してから千駄ヶ谷へ。開場を待って入場し、次回5月公演の先行予約をして、食堂でかた焼きそばを食べる。定番としたい能楽堂の楽しみだ。
前から2列目、なかなかこれは!

昆布売
 大名 千五郎
 昆布売 七五三
千鳥
 太郎冠者 正邦
 酒屋 千三郎
千切木
 太郎 千五郎
 女房 東次郎
 当屋 あきら
 太郎冠者 童司
 立衆 

3本ともお初。
こんなに通っていてもまだまだお初ばかりに出会います。

迷惑な太郎も妻には敵わない。まくしたて、夫に敵討に行けと命じる東次郎さんの妻役が滑稽で笑いを誘う。
東京大蔵流の舞台も見に行きたいな。
七五三と東次郎さん出演されるし、国立能楽堂四月狂言の会に行こうかな。

2011年02月20日18:12二月花形歌舞伎 第一部 「於染久松色読販」 @ ル・テアトル銀座
日曜日の1本目

於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)

お染の七役
お染/久松/竹川/小糸/土手のお六/貞昌/お光  市川 亀治郎
鬼門の喜兵衛  市川 染五郎
髪結亀吉  坂東 亀三郎
船頭長吉  中村 亀鶴
油屋多三郎  澤村 宗之助
女猿廻しお作  市川 笑也
庵崎久作  市川 門之助
油屋太郎七  坂東 秀調
山家屋清兵衛  大谷 友右衛門

七役もこなした亀治郎さん、やりて婆ぁな土手のお六が一番似合っていたと思うのは私だけだろうか(笑)
染五郎&亀治郎の芝居が毎年楽しみになりつつある今日この頃。
ル・テアトル銀座はストレートプレイは前の方じゃないと物足りないのに、歌舞伎だと歌舞伎座や演舞場の3階席と比べると後方席でも豆粒が大きめなので見やすかったです。最後列でも問題なしかも!
折紙の行方があちこちに移る有様は滑稽でいて芝居に色恋が混ざってとても楽しかった。なのに最後の段でウトウトしてしまい、お染と久松がどうなったのかわからないのがとっても残念(苦笑)

折紙の行方が変わるのを見ながら、これって最近読んだあの小説に似ているわと思う。古典ではよくある話を現代の小説に置き換えるだけで面白くなるんだなあ。「マリアビートル」伊坂幸太郎(感想を書くのは当分先)

2011年01月03日22:51壽 初春大歌舞伎 夜の部 @ 新橋演舞場
忙しさと無職ゆえ、ぐぐっと我慢していた歌舞伎に半年ぶりに行ってきました。ル・テアトルはお流れとなってしまったので、今月はこれ一本です。あの事件があって、逆に歌舞伎人気が高まったのか、チケットが取りにくくなっているような気がします。それでも3階席最前列です。松の内に行けて気分も高まるよね。少し早めに家を出て銀座三越を練り歩いてから新橋演舞場へ。

一、寿式三番叟(ことぶきしきさんばそう)
  翁  梅玉
附千歳  鷹之資
 千歳  魁春
三番叟  三津五郎
(富十郎丈休演)

二、源平布引滝
  実盛物語(さねもりものがたり)
斎藤実盛  團十郎
 葵御前  福助
 小よし  右之助
  郎党  種太郎
  郎党  巳之助
  郎党  種之助
  郎党  宗之助
 九郎助  市蔵
瀬尾十郎  段四郎
  小万  魁春

三、浮世柄比翼稲妻(うきよづかひよくのいなづま)
  浅草鳥越山三浪宅の場
  吉原仲之町の場

 名古屋山三  三津五郎
不破伴左衛門  橋之助
 遣り手お爪  右之助
家主杢郎兵衛  市蔵
  浮世又平  彌十郎
葛城太夫/お国/茶屋女房お梅  福助

鷹之資君がことのほかよいな〜と思った「寿式三番叟」でしたが、いやはやまさか休演の富十郎丈が3日に逝去されたとは。びっくりだよ〜 去年は拝見しなかったので、2009年の仮名手本忠臣蔵・高師直が最後ということになる。あ〜合掌。

二段目の「義賢最期」がよくわかっていないから「実盛物語」の人間関係がまっことわからない。えーと、小万は誰なのかな?と思ったら前段で義賢が逃した奴の折平(実は源氏の末裔・行綱)の妻なんだね。だから葵御前は小万の実家に匿われているんだ。平家の実盛に結果として殺されてしまったことになる小万の実の父親は平家方だなんて余計に人間関係をこじらせる。最終的に瀬尾十郎が小万の実の父親だなんて客席おいてけぼり状態で話が進んでいく狂言物なんですね〜

本日のメイン(と私が思っている)「浮世柄比翼稲妻」佐々木家お家騒動もの。落ちぶれても侍気分の抜けない山三にイライラします。だからこそお国がぽーっとなっちゃうのでしょうが、お国と葛城太夫の二役をやる福助さん。よくしゃべるお国のような乙女役の方が似合うし私好みですよ。それにしても悶絶の中、甲斐甲斐しく山三に尽くすお国。のほほん浪人に腹が立つ。こういう役がはまっちゃうんだよね、三津五郎さん。それにしても「旦那様命」たあすごいよ、すごい。

「鈴ヶ森」の白井権八×幡随院長兵衛が「浮世柄比翼稲妻」からの抜きだったとは知らなかったよ。

演芸始めは歌舞伎からスタートとなりました。

2010年11月17日21:25東京茂山狂言会第16回 <正乕(まさとら)生誕200年祭>
仕事を休んで「インシテミル」を見て、百貨店にお歳暮をたのみに行き、買いもをして夜は狂言会。そして飲んで帰るという・・・実は風邪ひきでして、ちっともゆっくりしなかった久しぶりの平日休暇。休暇が明けた平日二日間は辛かったけれど、狂言はとても楽しかった。

伝説の名人・九世茂山正乕さんの記念祭。
幕末に大老井伊直弼に可愛がられ、井伊家お抱えの狂言師なのだそうです。
演目も今まで見たことも聞いたこともないものでした。
茂山家で大事にしているものなんですねえ。

舎弟 (しゃてい)
茂山千三郎(弟)
茂山あきら(兄)
茂山千作(物知り)

狸腹鼓 (たぬきのはらつづみ)
茂山正邦(狸)
茂山宗彦(猟師)

枕物狂(まくらものぐるい)
茂山千五郎(祖父)
茂山童司(孫)
茂山逸平(孫)

「枕物狂」の百歳の祖父をやるはずだった千之丞さんが休み。なんだかとても心配。千之丞さんより年上の千作さんはとってもお元気に「舎弟」の物知りをやられていました。軽快で短く幕開けにとてもいい狂言ですね。
「狸腹鼓」は井伊直弼作。茂山家で大事にしているのですね。動物が登場する演目は開演の前に厄除けの火打ち石の音が鳴り響きます。「釣狐」と似たような話ですが、狸というだけあって笑い要素が強いようです。次期当主の披きなので当分見れないんでしょうなあ。宗彦くんの猟師もよかったな。
「枕物狂」は千五郎さんの代演となったけれど、百歳の役というのはまだまだ無理が出ますよね。いや、上手いんですよ。本当に上手いんですが、リアリティを求めると千作さんや千之丞さんがやられた方がいい演目ですよね。そして本当の孫たち世代を登場させるわけですし。それにしても童司くんはどんどん良くなってくるわ

12月に公開の「武士の家計簿」に千五郎さんが出演されるようです。舞台挨拶付の初日に見に行きたいところですが、久しぶりの京都旅行と重なるのよね。残念。

2010年08月29日20:32伝統の現在’8 ぷろぽおず 〜チェーホフ「結婚申込」より〜 @ 東池袋あうるすぽっと
毎年通っている茂山狂言若手三人による狂言様式による新作の会。
ここのところ、あうるすぽっとでの公演が多いですね。
と思ったら、チェーホフ生誕150周年ということで、劇場が力を入れているらしい。劇場ありきの今回のチョイスだったんですね。
原作を読んだことはありませんが、狂言にすると実にシュールです。

ぷろぽおず
原作 アントン・チェーホフ
脚色 森崎一博
演出 茂山正邦
 捨半忠介(大地主)     茂山正邦
  おナタ(その娘・25才)  茂山逸平
 鷲尾岩吉(隣の地主・35才) 茂山宗彦

  休憩

鎌腹(かまばら)
 男   茂山正邦
 女房  茂山宗彦
 仲裁人 茂山逸平


申し妻へ向かう聟狂言という種別になるのでしょうか。
娘を早く嫁に出してしまいたい地主と大女ということさえ我慢すれば大して悪いことなどないはずだと申し妻をする隣人と両家の土地を巡って言い争ってしまったが、求婚に来たと後から聞いてすべてあなたの言うとおりと宥める娘との会話が滑稽で面白かった。
ここに来るお客さんは能楽堂へ茂山狂言を見に来る人たちとはまたちょっと違うので、是非能楽堂でかけてほしい作品ですね。

鎌腹は男がどうやって死のうか考えるくだりが面白い半面長くて、少々私の気合いが続きませんでした。


あうるすぽっと地下のピーコックが8月いっぱいで閉店。
ちょっと残念だわ。

2010年08月26日22:34国立能楽堂8月企画公演 狂言と落語・講談
夏スペシャルということで茂山狂言×志の輔さんの公演は久しぶりだったので席を取りました。

座・狂言  素袍落(すおうおとし) 茂山千之丞

講談    肉付きの面(にくづきのめん) 一龍斎貞山

落語    三方一両損 立川志の輔

新作狂言  死神(しにがみ) 帆足正規作 
     男 茂山千五郎
     死神 茂山あきら

千之丞さんの座狂言。聞いてはいたがそういうことか。落語風でありながらそこで繰り広げられる世界は狂言の世界以外のなにものでもない。
千之丞さんは座って上下を切っているだけだが、客のイメージの中で膨らませて能舞台に立っているのだ。

能舞台で話す講談の「肉付きの面」ってなんかとってもいいーーー!

普段の落語会ではあまりお目にかかれない志の輔さんを見たかもしれない。あまりマクラの中で小噺をやらないけれど、客層が見えないからか落語の笑いの試験を受けているような心持ちになりました(笑)まさか新作はやらないだろうし、どんな古典を聴けるのかと思っていたら「三方一両損」。啖呵が素敵というより楽しい。財布を届けた方側の大家さんが好きーー一番の江戸っ子はこの人だと思う。三方一両損の意味を三度も説明する大岡越前がとてもかわいそうになる結末でした。

まだまだ新作ですの狂言「死神」。優勝は死神役のあきらさん。病人役というのはおらず、着物を舞台に広げるだけで表現するその狂言の形が美しい。落語のシュールさのまま笑いの中に死がある「死神」を狂言とした素晴らしい作品で、未来の名作になるものだと思います。

2010年07月22日23:34国立能楽堂 企画公演 素の魅力
6月にチケットを取ってあったのだが、茂山狂言へ行けなかった反動で、いつもは行かない国立能楽堂主催の公演に行ってきました。
2月の千作・千之丞の会のときに千之丞さんが具合が悪そうだったので、元気になられたかしらと気がかりだったので、張りのあるお二人の声が聞けて嬉しかったです。

仕舞 花筐(はながたみ)クセ 
 大槻文藏(観世流)

素狂言 無布施経(ふせないきょう)
 シテ/出家 茂山千作(大蔵流) 
 アド/施主 茂山千之丞(大蔵流)

袴能  藤戸(ふじと)
 前シテ/漁師の母、後シテ/漁師の霊 近藤乾之助(宝生流)
 ワキ/佐々木盛綱 福王茂十郎(福王流)
 ワキツレ/従者  福王知登
 ワキツレ/従者  喜多雅人
 アイ/従者    茂山七五三(大蔵流)

人生2回目のお能。お能なのに面をつけない。多分、そのおかげもあって世界観に入り込めた。というよりも「藤戸」すごっ、ながっ!

2010年07月18日22:50赤坂大歌舞伎「文七元結」 @ 赤坂ACTシアター
夏の文七元結

三遊亭円朝 口演  
榎戸賢治  作
山田洋次  補綴
落語三遊派宗家 監修
一、人情噺文七元結(にんじょうばなしぶんしちもっとい)
左官長兵衛   中村 勘三郎
女房お兼    中村 扇 雀
手代文七    中村 勘太郎
お久      中村 芝のぶ
角海老娘分お光 中村 鶴 松
鳶頭伊兵衛   片岡 亀 蔵
和泉屋清兵衛  坂東 彌十郎
角海老女房お駒 片岡 秀太郎
大家      井之上隆志

二、鷺娘(さぎむすめ)
鷺の精  中村 七之助

ポイント稼ぎのために取ったとはいえ、このお値段はちと辛い。
お久役が芝のぶさんだからチケットを取りました。
芝居は遜色なく中村組の方たちの息のあったお芝居が楽しく心地よい。
さらに、びっくりするじゃないですか。前回の赤坂歌舞伎に引き続き、井之上さんが出演されていました。
コクーン歌舞伎に笹野高史さんが常連のように、赤坂歌舞伎には井之上隆志さんっていうことになっていくと嬉しいのですが、赤坂歌舞伎が必ずあるとは限らないですものね。
キュートで可憐な芝のぶさんはとってもうれしいのですが、七之助さんのお久っていう絵柄も見たかったなあと。そりゃあ鷺の精だって素敵ですよ。

この芝居の一番良かったというところは、夏に「文七元結」を持ってきて、さらに夏に「鷺娘」を見れるっていうところですかね。

2010年07月02日22:10七月大歌舞伎 夜の部 @ 新橋演舞場
いろんな意味で始動です。
初日の芝居に3階席最前列ほぼ中央で観劇。
見やすくて、芝居も素晴らしかった。

そうそう、そうそう、その大和屋さんを見たかったのよ〜
晴れやかな心もちで帰宅できてよかったな。

「女暫」を見たので「暫」がとっても見たかったのでした。
成田屋さん、カッコよかったなあ。

一、歌舞伎十八番の内
  暫(しばらく)
  鎌倉権五郎  團十郎
 鹿島入道震斎  三津五郎
   加茂次郎  友右衛門
   成田五郎  権十郎
    桂の前  門之助
  足柄左衛門  亀 寿
   加茂三郎  松 也
    小金丸  巳之助
   大江正広  新 悟
   埴生五郎  桂 三
   荏原八郎  由次郎
   東金太郎  市 蔵
   局常盤木  右之助
 家老宝木蔵人  家 橘
那須九郎妹照葉  福 助
   清原武衡  段四郎

二、傾城反魂香(けいせいはんごんこう)
  土佐将監閑居の場
  浮世又平  吉右衛門
 女房おとく  芝 雀
土佐修理之助  種太郎
 将監北の方  吉之丞
狩野雅楽之助  歌 昇
  土佐将監  歌 六

三、馬盗人(うまぬすびと)
 ならず者悪太  三津五郎
ならず者すね三  巳之助
  百姓六兵衛  歌 昇

2010年05月21日22:30五月花形歌舞伎 夜の部 @ 新橋演舞場
ゴールデンウィークに3階席ど真ん中をキープしていたのに、うっかり落語のチケットを取ってしまい、歌舞伎をリリース。お高い席しか残っていなかったが、悩んだ末、高評価な海老さま助六がどうしても見たくて2等席を取って行ってきました。平日なので1幕目の「熊谷陣屋」は捨て。ええ、目的は海老蔵ですから!

二、うかれ坊主(うかれぼうず)

願人坊主  松緑

三、歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
  三浦屋格子先より水入りまで

   花川戸助六  海老蔵
   三浦屋揚巻  福 助
  白酒売新兵衛  染五郎
くわんぺら門兵衛  松 緑
   三浦屋白玉  七之助
   福山かつぎ  亀三郎
    朝顔仙平  亀 寿
  番頭新造白菊  歌 江
    通人里暁  猿 弥
   国侍利金太  市 蔵
    遣手お辰  右之助
  三浦屋女房  友右衛門
    髭の意休  歌 六
    曽我満江  秀太郎
      口上  左團次

口上に左團次さんというのがいいよね♪
歌舞伎座4月公演を見ているとより楽しめる。
というか、松竹に踊らされている感ありあり。
でも楽しいんだからいいんだもん。
水のしたたりすぎるいい男でございました。
いろんな意味で御馳走さま。
猿弥さんも通人素敵すぎ!

行ってよかった。疲れが一気に吹き飛びました。

2010年04月18日23:52歌舞伎座さよなら公演 御名残四月大歌舞伎 第三部
引き続き第三部を鑑賞。
1階席1等席と1等席の境、私の前は通路で、左側も通路。その通路を挟んで花道。好位置です。まさにジャスト、あるいはビンゴ!狙ったような席が取れて大満足。はふぅ〜、ため息がたくさん出た素敵な一日となりました。

一、実録先代萩(じつろくせんだいはぎ)
 乳人浅岡  芝 翫
松前鉄之助  橋之助
  局錦木  萬次郎
  局松島  孝太郎
 腰元梅香  児太郎
  亀千代  千之助
  千代松  宜 生
  局呉竹  扇 雀
  局沢田  芝 雀
片倉小十郎  幸四郎

  歌舞伎十八番の内
二、助六由縁江戸桜(すけろくゆかりのえどざくら)
   花川戸助六  團十郎
   三浦屋揚巻  玉三郎
    通人里暁  勘三郎
 福山かつぎ寿吉  三津五郎
   三浦屋白玉  福 助
男伊達 山谷弥吉  権十郎
同   田甫富松  松 江
同   竹門虎蔵  男女蔵
同  砂利場石造  亀三郎
同   石浜浪七  亀 寿
   傾城八重衣  松 也
   同  浮橋  梅 枝
   同  胡蝶  巳之助
   同  愛染  新 悟
     金棒引  種太郎
       同  萬太郎
       同  廣太郎
       同  廣 松
    禿たより  玉太郎
白玉付番新梅ヶ香  歌 江
    奴奈良平  亀 蔵
   国侍利金太  市 蔵
    遣手お辰  右之助
  番頭新造白菊  家 橘
    朝顔仙平  歌 六
    曽我満江  東 蔵
 三浦屋女房お松  秀太郎
    髭の意休  左團次
くわんぺら門兵衛  仁左衛門
  白酒売新兵衛  菊五郎

      口上  海老蔵

毎日こんなに激しい芝居をやっていたらみんな倒れちゃうんじゃないかっていうくらい高年齢層が大活躍。「実録先代萩」はなかなか興味深かったし、この日のピカイチってくらい芝翫さんは素晴らしかった。
そんでもっとすけろくぅ〜
カッコよくて素敵だったなあ。あまり成田屋さんのお芝居を追いかけてこなかったことが悔やまれるよ。笑担当部分でもしっかり笑わせてくれて、主役を張っている方が退場に力を抜いた気の入った芝居を楽しく見れて、歌舞伎座最後を味わえてよかった。

これで私の歌舞伎座はおしまい。
夢の残り香に耽る間もなく翌日にカードの支払いが届いたのでした。


2010年04月18日21:48歌舞伎座さよなら公演 御名残四月大歌舞伎 第二部
私的歌舞伎座ラスト
残13日が最後の日となりました。
チケット購入画面に繋がったときにはすでに最終日は売り切れでしたが、週末でかなりいい席が取れたと思います。
3月に観にいったときに三部構成だと座っている時間が短いので、これは続けていられるなと確信し、第一部のみ断念し、第二部と第三部を居続けしました。
まずは第二部から。
座席は3階前から3列目少し下手寄り。

菅原伝授手習鑑
一、寺子屋(てらこや)
   松王丸  幸四郎
    千代  玉三郎
    戸浪  勘三郎
涎くり与太郎  高麗蔵
   菅秀才  金太郎
  百姓吾作  錦 吾
  園生の前  時 蔵
  春藤玄蕃  彦三郎
  武部源蔵  仁左衛門

二、三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
  大川端庚申塚の場

 お嬢吉三  菊五郎
 和尚吉三  團十郎
夜鷹おとせ  梅 枝
 お坊吉三  吉右衛門

三、藤娘(ふじむすめ)
藤の精  藤十郎

音羽屋さんのお嬢を見れたら、死んでもいいって思えるかもって期待に胸を膨らませていましたが、藤娘の可憐さにおののき、みんないいお歳なのにすげーぜ!と思ってクラクラしました。
いやはや、藤十郎さんは化けものだわ。あんなにかわいいんだもの。

三越本店で用事を済ませ、B1の青柳で鯛茶漬け贅沢ランチを食べてから参戦したものの、無性に腹が減ってたまらない。お上品すぎたのね。休憩の度に何かをつまみつまみ過す。二部と三部の間に歌舞伎座ラストの食事はオリエンタルカレーで。あのお店は歌舞伎座の食堂部が出しているそうですね。新しい歌舞伎座に出店するかわからないけれど、またどこかで出会いたいわ。

2010年03月14日22:40御名残三月大歌舞伎 第一部
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発売日の日にたまたま1等席を眺めていたら最前列が空いているではないか!
しかも花道も近い。
これはちょっと行かねば。
いや、一度はチャレンジしてみなくてはと勇気を持って(財布もね)行ってきましたよ。
3階席で見るのとは大違い。
先週の第2部も前の方で見たいという欲望はありましたが、こっちをチョイスしておいて大正解。
か、か、か、かっこい〜
播磨屋さんステキすぎる!

菅原伝授手習鑑
一、加茂堤(かもづつみ)
  桜丸 梅 玉
  八重 時 蔵
斎世親王 友右衛門
 苅屋姫 孝太郎
三善清行 秀調

二、楼門五三桐(さんもんごさんのきり)
石川五右衛門  吉右衛門
  真柴久吉  菊五郎
  家臣右忠太 歌六
  左忠太   歌昇

三、女暫(おんなしばらく)
  巴御前  玉三郎
蒲冠者範頼  我 當
 轟坊震斎  松 緑
 女鯰若菜  菊之助
 成田五郎  左團次
舞台番辰次  吉右衛門

加茂堤
これが原因で道真公が大宰府に流罪になるのね。
とてもわかりやすい芝居。
孝太郎さんの姫の照れ具合ったら!
かぁーいい〜
他の方々は若干役柄より年令高めなのが前の席だと丸わかりだけれど、歌舞伎って気にならないのよね。
いっちゃん前で時蔵さんの女形姿を見れるなんて幸せ。

楼門五三桐
これを見たくて最前列なわけですよ。
五右衛門がシュッと投げた小柄が真柴久吉が掲げた柄杓にプシュッと刺さる瞬間ってどんなの!ってマジマジと見ていたけれど、わからなかったよ。
吉右衛門の五右衛門×菊五郎の真柴久吉という姿が絵になるよ。

女暫
そもそも「暫」を見たことないよ。(たぶんね)
若手役者総動員で目を奪われちゃうよ。
菊之助をこんな近くで見れるのもうれしいよ。
梅枝さんの紅梅姫もかわいいなあ。
何より、巴御前がかっちょいい〜
そしてそして、播磨屋さんステキすぎる。
隈取を外したお顔をこんなに間近で〜

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やっとデジカメを持参しまして、あちこちでパチパチ撮ってきました。お弁当も予約をしまして、初めて地下の花道でいただきました。
先週大行列だった鯛焼きも最初の幕間で駆けこんで食べられて至極満足。
来月で最後の歌舞伎座ですが、来月分は中々サイトに繋がらず、最終日の3部は売り切れている状態でした。1等席も前方の列がだいぶなかったな。そういうことも踏まえて今月にいい席を取っておいてよかったわ。
4月は2部と3部を続けて週末に観にいきます。

・・・今チケット松竹を見にいったら真っ赤だよ〜
第3部と週末は売り切れだよ。

2010年03月08日19:00花形歌舞伎 通し狂言 染模様恩愛御書 @ 日生劇場
2階席後方でも比較的見やすいし、席も広々としているので(これが普通だよね)、日生劇場での歌舞伎は大歓迎です。

染模様恩愛御書(そめもようちゅうぎのごしゅいん)
細川の血達磨

大川友右衛門  市川 染五郎
  印南数馬  片岡 愛之助
  横山図書  市川 猿 弥
 腰元あざみ  市川 春 猿
細川奥方照葉  上村 吉 弥
 細川越中守  市川 門之助

前日にHPを覗いたら、イヤホンガイドの休憩時間の放送に染五郎&愛之助のインタビューありとあったので、二十年ぶりくらいに借りてみました。イヤホンをつけて聞くということに慣れないけれど内容は面白かった。
衆道って男色とは違うんだってガイドでものすごく何度も繰り返し言うのだけれど、言うほどに男色だろ、ボーイズラブだろって逆に聞こえてくる不思議。
そういうことがあったというのは歌舞伎では「ありました」という過去形で済ますことが多いけれど、演出がちょっぴり生々しい。いや歓迎します。まだ前髪が残る少年に恋しちゃった三十男の友右衛門。愛を超えた関係ってすごい。二人だけでなく細川家に仕える者としての忠義が半端ない武士の世界。とても身に沁みました。

それでも今日一番嬉しかったのは、芝のぶさんをたくさんみれたことかな。
芝のぶラブです。