“いまさら”シリーズ第2弾です(笑)。
昼の部が終わって、そのまま劇場内に残らせて頂く事も考えた
のですが、外は雨が上がっているようだし、一日中建物の中
っていうのも・・と思ったので、一旦外に。夜の部は2等席です。

襲名披露公演中村勘太郎改め6代目中村勘九郎襲名披露
「二月大歌舞伎」夜の部 2階
2月23日 16:30開演、20:55終演

一、御存 鈴ヶ森
二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上
三、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子
四、ぢいさんばあさん





せっかく外に出たので、写真なんか撮ったり、弁当を買ったり。
演舞場1





演舞場2










朝の雨はどこに行ったんだ?というぐらいのスッキリ感。
しかし昼の部と夜の部の時間が短っ!


一、御存 鈴ヶ森(すずがもり)
     幡随院長兵衛       吉右衛門
       東海の勘蔵       彌十郎
       北海の熊六       錦之助
        飛脚早助       家 橘
        白井権八       勘三郎

歌舞伎に詳しくない私でも、吉衛門丈が勘三郎丈と共演されていない
と言う事は聞き及んでおりました。確か幸四郎丈とも長く共演して
いらっしゃらず、最近共演されるようになったと思うのですが・・・。
そういう意味でも非常に貴重な公演だったのかもしれません。
これは4世鶴屋南北の書いた「浮世塚比翼稲妻」の二幕目だそう。
何となく「法界坊」を思い出させる作品だなと思いました。
権八を勘三郎丈が演じていらっしゃるから、尚更そう感じたのかな。
立ちまわりも似てますよね。(いかにも素人な感想でスミマセン・・)

長いお話の中の一部を切り取ったこの舞台。
ストーリー云々ではなく、とにかく“魅せる”事に集中した演目ですね。
勘三郎さんが提灯の灯りで刀の状態を見るときの真剣な雰囲気は
2階席の離れた所からでも伝わってきます。
そして吉衛門さんのきっぷのよさ、器の大きさには「江戸っ子とは
こういう人のことを言うんだろうな」と思わずにはいられない。
この2人が大した言葉も交わさず、緊迫感を保つ中にも、
その緊迫感が信頼感に変わっていくのが分かるようでした。
この2人の共演をもっと観たいなあ、と思わずにはいられない1本。



二、六代目中村勘九郎襲名披露 口上(こうじょう)

暖かい気持ちになりますよね、襲名披露の口上というのは。
周りの人たちが六代目勘九郎を小さな頃から知っていて、その成長
を見守ってきた・・というのが伝わってきます。
でも隣の座る同時に初舞台を踏んだ七之助さんの事にもきちんと触れ
心配りをされているんだな、というのも分かりました。
七之助さんの口上を聞いて思いましたが、本当にこの2人はいつも
隣同士で過ごしてきたんですよね。
「いつも同じでは・・」とお母様が別々の学校に入学させた、という話を
聞いた事がありますが。
これからも隣同士に並んだ舞台上の2人を観続けていきたいですね。


三、新歌舞伎十八番の内 春興鏡獅子(しゅんきょうかがみじし)
    小姓弥生後に獅子の精  勘太郎改め勘九郎
        胡蝶の精       玉太郎
            同       宜 生
    用人関口十太夫       亀 蔵
  家老渋井五左衛門       家 橘

この公演の目玉の一つの演目ですね。
少し前に現勘三郎さんがこの演目を演じた時の映像が再放送されて
いましたので、少し拝見していました。
その際に作成した手獅子を今回六代目勘九郎が使われたそうです。
この演目には小三山さんもお出になっていまして、出るだけで拍手!

私は舞踊のことは詳しくは分かりませんが、すごく“きちん”とされている
と言う印象でした。最近は立役で拝見する事が多かったので、少し
珍しい感があったというのもありますけれども。
今回2階席の横の席だったので1階席の客席がよく見えたのですが
外国人のお客様が中ほどにいらっしゃいまして、蝶を追いかけた
手獅子に引かれて花道に引っ込む場面でなぜか大ウケしていらしゃり
それがとても印象に残っております(笑)。
何がそんなにおもしろかったんだろう^_^;。

後半はも迫力があって・・・。
今回は七之助さんが後見を買って出られたそうですが、演じる兄を
後見として真剣にサポートしている七之助さんが観られたのも
少し嬉しい気持ちになったのでした。


四、ぢいさんばあさん
      美濃部伊織      三津五郎
      宮重久右衛門      扇 雀
         宮重久弥      巳之助
          妻きく      新 悟
         戸谷主税      桂 三
       石井民之進      男女蔵
        山田恵助      亀 蔵
        柳原小兵衛      秀 調
      下嶋甚右衛門      橋之助
       伊織妻るん      福 助

前にどこかで上演されていたのを見送った記憶があるんですが・・
御園座かと思ったんだけど、歌舞伎座のようでしたね。
タイトルから「どんな話だよ・・」と思っていたのですが(失礼!)
原作は森鴎外なんですね。
ある意味すごい純愛ストーリーな訳ですが、設定さえ変えれば
今でもドラマや映画になりそうな話ですね。
まあ、この伊織ってのが一見よく出来た人格者のように見せておいて
実は器のちっせー男だったりするんですが(爆)。
奥さんが甚右衛門の事を悪く言うと「悪い奴じゃない、しつこいだけだ」
とか言っていいカッコするくせに、結局は悪く言われた事に我慢が
ならず切り殺しちゃうんだから。だったらそんな人からお金なんか
借りなきゃいいのにねえ・・・。
逆にその甚右衛門はイヤな奴度150%ですごく良かったですよ
ネチネチと執念深くて、友達なんか居ないだろうなあ・・という(笑)。

でもまあ、伊織とるん、老いてからの2人がキュートでたまりません。
ほのぼのとしていて、子供のように純粋で、そして温かい。
こんなにもジーンとする作品だとは思っていませんでした。
帰りの電車の関係で、最後の2分か3分を残して席を立ったのが
とても残念でした。

あ、書き忘れましたが、若い2人も初々しくて良かったですね〜。
坂東信吾さんは前にコクーン歌舞伎で拝見した時も「色っぽくなった」
と書いた記憶がありますが、いっそう色っぽくなって良かったです。


帰りの新幹線が21:20だったので、演舞場前のタクシーに乗って
東京駅までブーン♪。東京駅に着いたのは21時過ぎぐらいかな。
本当に朝早くから夜遅くまで一日かけての観劇遠征でございました。
ああ本当に贅沢な一日だった〜。
襲名披露公演は3月も観るし、御園座でも観たいけど、やはり2月に
観たかったので、嬉しかった♪

改めて、六代目中村勘九郎丈、襲名おめでとうございます。