2022年01月12日

ドライブ・マイ・カー 【A−】

drivemycar題名:ドライブ・マイ・カー
評価:A−
国:日本
原作:村上春樹『『ドライブ・マイ・カー』
制作年:2021年
監督:濱口竜介
制作:制作委員会
場所:東京,広島,北海道
時代:現代
新作
 東京に住む舞台俳優,演出家である家福悠介(西島秀俊)は,脚本家の妻を亡くし,二年たっても心の整理ができなかった。広島で開かれる国際映画祭の演出を依頼され,自分の車サーブで広島に向かう,オーデションから公演までの長い間の宿泊所として,広島から一時間かかる瀬戸内海の島のホテルが用意されていた。ただ,主催者側から途中で事故に遭うと困るので,自分で運転しないで運転は専用のドライバーに任せて欲しいと言われる。自分の車を他人に任せるのは嫌だったが,徐々にドライバーの渡利みさき(三浦透子)が無口で車を大事に扱い運転が上手いプロであることがわかり,受け入れる。そして,毎日の往復の中で打ち解け,みさきが数年前に北海道で起きた大規模な地滑りで家と母親を亡くしたことがわかる。そして,チェーホフの『ワーニャ伯父』上演のためのオーデションが始まる。アジア各国から応募してきた俳優たちは,それぞれの国の言葉,中国語,タガログ語などで台詞を言う。その中に韓国の手話でしかコミュニケーションできない女優イ・ユナ(パク・ユリム)がいた。

 上演時間は3時間と長いが,それほど気にならないほど,様々な要素,エピソードが詰め込まれている。高い海外の評価が,どのあたりにあるのかよくわからない。それぞれの受け止め方は違っているのだろう。それほど強いわけではないが喪失感と罪悪感,それに少しの怒りを持つ男が,たまたま出会った若い娘が,同じような感情を隠し持っていることに気付くという点と,舞台の終幕で見せられる手話の効果が特に印象に残った。また,こうした上演形式は,既に行われていることを知らなかったが,各国の出演者は自分の言葉で台詞を言い,これが舞台の上のスクリーンに翻訳が字幕で示される。村上春樹の本は持っていないので,図書館で立ち読みしただけであるが,原作とは,かなりの違いがあるようだった。ロードムービーではないが,長く静かなドライブシーンがあり,これは人生を表しているようで,監督は省きたくなかったのだろう。


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2021年12月11日

ラストナイト・イン・ソーホー 【B】

lastnightsoho題名:ラストナイト・イン・ソーホー
評価:
原題:Last Night in Soho
国:英国
制作年:2021年
監督:エドガー・ライト
制作:Complete Fiction,Film4,Working Title Films
場所:ロンドン
時代:現代,1960年代
新作

 英国のコーンウォールの町に住むエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は,ファッションデザイナー志望だったが,奨学金を得てロンドンの服飾専門学校に入学した。寮に入ったのだが,同級生から苛められ,下宿先を探す。見つけたのは,屋根裏部屋だった。ここに住むうちにエロイーズは,毎夜,憧れていた1960年代のソーホーに入り込むようになった。そこには,歌手志望の同じような年格好のサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)がいた。エロイーズは,学校でサンディのドレスをもとにデザインする。しかし,次第にサンディとの距離が縮まると,現在にまで影響が及ぶようになる。

 評判のよい英国映画。二人の似たような若い女性と1960年代と現代の映像を混ぜ合わせて境目が判らないようにし,観客をできるだけ混乱させ,さらにしつこいのだがこれが現代風なのだろう。フィリパ・ピアス『トムは真夜中の庭で』のホラー版である。重要な告発をしているのだが,登場人物の存在感は薄い。何をしたいのかがぼんやりしている。監督には1960年代への独特な憧れがあるようで,ビートルズではなく,ペトラ・クラーク『恋のダウンタウン』だったが,やたらと煙草を吸えば60年代というわけでもない。気の毒に端役で終わったテレンス・スタンプの話をよく聞いたほうがよかったのではないか。



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2021年10月16日

最後の決闘裁判 【B+】

lastduel題名:最後の決闘裁判
評価:B+
原題:The Last Duel
国:米国
原作:エリック・ジェイガー『決闘裁判 世界を変えた法廷スキャンダル』(早川書房刊)
制作年:2021年
監督:リドリー・スコット
制作:20th Century Studios,Pearl Street Films,Scott Free Productions,TSG Entertainment
場所:フランス
時代:14世紀
新作
 中世のフランスの騎士には,裁判を当事者同士の決闘で決着をはかるという古い風習があった。決闘で神の意思を見ようとするわけである。14世紀末の百年戦争の最中,フランスではシャルル6世のもとイングランドと戦っていた。マルグリット(ジョディ・カマー)は,ノルマンディー地方に領地のある従騎士ジャン・ド・カルージュ(マット・デイモン)と結婚する。ジャン・ド・カルージュは, ピエール伯(ベン・アフレック)の元にいるが,ピエール伯のお気に入りの同僚のジャック・ル・グリ(アダム・ドライバー)とことごとく競っている。ジャック・ル・グリは,ジャン・ド・カルージュからマルグリットの持参金の領地の一部を奪い,また,本来は受け継ぐはずの長官職を奪う。そして,ジャン・ド・カルージュがパリに出かけた時に事件が起きる。

 上演時間が2時間半なので,どうかなと思ったが,退屈することはなかった。ただ,全体の4割近くは,同じ場面の繰り返しである。三人がそれぞれ主役となる三つの章から成っていているものの一つの事実を三人が別々に語り,真実がわからないというわけでもないので,お手本の黒澤明『羅生門』とは異なる。さらに原作エリック・ジェイガー『決闘裁判』は,ミステリーのように仕立ててあるが,脚本のマット・デイモンとベン・アフレックは,この時代に性的暴行を告発した女性としてマルグリットを取り上げたかったらしい。しかし,結局は決闘場面が長い娯楽映画となった。『ROCK YOU!』のように馬上槍試合で決着がつくわけではなく,全身,甲冑を着けた相手を殺すのはなかなか大変である。ジャック・ル・グリとマルグリットが読書で盛り上がる箇所,マルグリットが有能な領主であることを示すエピソードが興味深かった。テレビシリーズ出身のジョディ・カマーは,主役として印象深く,抜擢に応えている。

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2021年09月14日

ブライズ・スピリット〜夫をシェアしたくはありません! 【C】

BlitheSpirit題名:ブライズ・スピリット〜夫をシェアしたくはありません!
評価:
原題:Blithe Spirit
国:英国
原作:ノエル・カワード『陽気な幽霊』
制作年:2020
監督:エドワード・ホール
制作: Fred Films,Powderkeg Pictures,Align
場所:英国
時代:1940年代
新作

 1940年代の英国,40歳を過ぎたルース(アイラ・フィッシャー)は,郊外の豪邸に作家である夫チャールズ(ダン・スティーヴンス)とともに暮らしている。チャールズは,自分の小説の映画台本を書いているが,極度のスランプに陥っていた。ある晩,霊能者マダム・アルカティ(ジュディ・デンチ)を呼び,降霊術を実演してもらった。そうしたら,落馬し骨折して死んだ前妻のエルヴィラ(レスリー・マン)が姿を見せるようになった。しかし,エルヴィラが見えるのはチャールズだけである。ルースは,エルヴィラの幽霊を追い出そうとするが失敗。そのうちに,幽霊はチャールズの執筆を手伝う一方,凶暴化して,ルースに害を加えるようになる。

 ノエル・カワード原作デビッド・リーン監督の1945年の『陽気な幽霊』の再映画化である。同じ二人の『逢びき』は,あれほどの傑作なのに,十年前に観た『陽気な幽霊』は駄作だったのでがっかりした。今回のは,それに輪をかけた出来である。まず,邦題が酷い。「ブライズ・スピリット」がわかる人はいないだろう。副題もばかげている。前半は,歳を感じさせない脳天気なアイラ・フィッシャーに感情移入していることができるが,夫と前妻の行動が次第に不愉快になっていく。本来はコメディであるが,笑わせる要素はほとんどない。ジュディ・デンチで笑わせるのは無理がある。



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2021年07月24日

プロミシング・ヤング・ウーマン 【A−】

題名:プロミシング・ヤング・ウーマン
評価:A−
promisingyoung原題:Promising Young Woman
国:英国,米国
制作年:2020年
監督:エメラルド・フェネル
制作:FilmNation Entertainment,Focus Features,LuckyChap Entertainment
場所:米国
時代:現代
新作
 30歳になろうとするキャシー(キャリー・マリガン)は医科大学を中退し,現在は親の家に住み,コーヒーショップで働いている。両親は腫れ物に触るように彼女を扱い,友達と言えるのは,同僚だけ。夜ごと,一人でバーに行って泥酔し無力で無防備な状態を装って,連れ帰る男どもに仕置きをしている。そこに,かつての医学生の時の同級生のライアン(ボー・バーナム)がコーヒーショップにやってくる。やがて付き合い始める。一方,キャシーは,同級生だったニーナの死の真相を知ろうとしている。

 将来のある若い男達が羽目を外すことに寛容で,また,それを許してしまう同性を狂気と紙一重の状態にある若い女が全く許容しない。キャシーが男たちにしている仕打ちも,ニーナがどのような被害を受けたのかは,重要ではないのだろう,具体的には示されない。女性監督とキャリー・マリガンの突き詰めた怒りと絶望に直面する緊張感に満ちた作品。


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2021年06月20日

ベル・エポックでもう一度 【B】

bellepoque題名:ベル・エポックでもう一度
評価:
原題:La Belle Epoque
国:フランス
制作年:2019
監督:ニコラ・ブドス
制作:La Belle Epoque Production, Belle Epoque Films
場所:パリ
時代:現代
新作

 70歳になるヴィクトル(ダニエル・オートゥイユ)は,新聞の風刺画を描いていたが,オンライン化で仕事を失って後ろ向きになっている。妻のマリアンヌ(ファニー・アルダン)は精神科医として成功していて,愛人もいて,前を向いている。そのため諍いが絶えず,ついに半分追い出される形で,家を出て行く。映画のスタジオと俳優を使って,顧客の好きな時代と場を再現する新しい体験型の娯楽施設があるので,ヴィクトルは高額な料金を払って。1974年のカフェを再現して貰う。そこで,マリアンヌと初めて会ったのだが,若い格好をして行ってみると,確かに記憶にある店と客がいて,若い女性(ドリヤ・ティリエ)が現れる。

 タイムマシンなどで過去に行くわけでなく,あくまで,現在であり,1974年の情景はセットであり,脚本に基づいて俳優が芝居をする。施設の運営側は,あらかじめ顧客から聞き取って脚本を作るのだが,この主人公の場合は,都合がよいことにイラストを描いてくれるので,それに合わせて舞台を作り,脚本家は隠しカメラで観ながら,イヤホンで顧客や俳優に指示を出す。この脚本家が邪魔な感じで,なぜ存在するのかわからない。また,コメディなので,予定調和の結末にならざるを得ないことがわかってしまう。さらには,監督は1980年生まれで,1974年については実感はないらしく,1970年代的なのは,服装と台詞,誰もが煙草を吸っているという風俗くらいである。過去を体験することと,ノスタルジーとがごっちゃになっていて中途半端な出来だった。

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2021年04月10日

アンモナイトの目覚め 【B+】

ammonite題名:アンモナイトの目覚め
評価:B+
原題:Ammonite
国:イギリス,オーストラリア,アメリカ
制作年:2020年
監督:フランシス・リー
制作:See-Saw Films他
場所:ライム・リージス,ロンドン
時代:1840年代
新作
 19世紀英国でヴィクトリア女王が即位したばかりのころ,ドーヴァー海峡に面したロンドンからはかなり離れたライム・リージスにメアリー・アニング(ケイト・ウィンスレット)という40歳過ぎの女性がいた。この町の崖からは化石が見つかり,観光客などに売る化石屋があり,メアリーはその一人だった。しかし,彼女は,13歳の時に絶滅した爬虫類の化石を発見して掘り出し,「フォッシル・ウーマン」として知られるようになった。その後も数々の恐竜の骨を発見した。しかし,女性であったこと,貧しいため化石販売を商売とせざるを得なかったため,独学で考古学を学んで学識があったが,学者として認められなかった。独身のまま病気の母を抱え,先細りになる化石販売に鬱屈した日々を送っていたメアリーの前に裕福なマーチソンという男が現れ,お礼はするので鬱病の若い妻シャーロット(シアーシャ・ローナ)をしばらく預かってほしいと頼まれる。メアリーは,気の乗らぬままシャーロットの世話を始める。

 ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナン出演とはいっても,わかりにくい題名,無名の主人公なので,観客を呼びにくいのではないかと心配。観る前に,ほとんど伝記資料のないメアリー・アニングについて綿密に調べた,吉川惣司,矢島道子『メアリー・アニングの冒険 恐竜学をひらいた女化石屋』(朝日選書,2003)を読んでおいてよかった。時代や場所,業績は間違いないが,実際のシャーロットはメアリーの11歳年上であり,この作品のドラマは,完全なフィクションである。同時代のジェイン・オースティンが主人公の映画『ジェイン・オースティン 秘められた恋』のように実在の人物に架空のエピソードを加えている。地味で才能ある女性と若く美しい女性の恋という点ではフランス映画『燃ゆる女の肖像』に似ている。佳い作品だと思うが,音楽会の場面は,アニングが地元の女性層から無視されていることをわざわざ示しているようで不快,また,投げ出したままの結末も不満だった。


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2021年04月05日

水を抱く女 【B+】

undine題名:水を抱く女
評価:B+
原題:Undine
国:ドイツ,フランス
制作年:2020年
監督:クリスティアン・ペッツォルト
制作:Schramm Film 他
場所:ドイツ,ベルリン
時代:現代
新作
 ウンディーネ・ヴィブー(パウラ・ベーア)は,研究者であるが,ベルリン市住宅都市開発省の博物館で観客にベルリンの模型の前で,市の歴史を説明する仕事をしている。付き合っている男ヨハネス(ヤコブ・マッチェンツ)から別れ話を切り出される。仕事をしたあと,喫茶店に戻ったがヨハネスの姿はなかった。その時,観客だった男から話しかけられる。男を突いたら店内にあった大きな水槽が倒れてきて,二人ともびしょ濡れになる。この男は,クリストフ(フランツ・ロゴフスキ)で,潜水服を着て,水中の施設のメインテナンスが仕事だった。二人は急速に親しくなっていく。ウンディーネは,クリストフが働く湖で,一緒に潜水したりもする。ある晩,ウンディーヌにクリストフからヨハネスとのことを責める電話がかかってきた。

  様々な作家が作品を残している水の精ウンディーヌの現代版物語である。人と人との関係,因果関係で不可解なところがあるが,ファンタジーと思えば気にならない。ウンディーヌにもっと若いイメージを持っていたが,30歳代に見えるパウラ・ベーアはまだ25歳で勢いのあるドイツ女優らしい。本題とは別に三つほど興味深い点があった。一つは,ベルリンの歴史と巨大な模型である。王宮は,町の西の端にあったが,ウンター・デル・リンデン通りが延びていって,やがて王宮がベルリンの中心となっていったという説明は覚えてしまうほどである。第二は,ドイツ鉄道である。必然性はあまりないのに,何度も駅や車内,それに列車が登場する。第三は,音楽で,二曲しかでてこなかったと思うが,一つはビージーズの「ステイン・アライブ」という古いダンス曲,もう一つのバッハの「マルチェッロのアダージョ」と呼ばれることもある「協奏曲(BWV974)第2楽章」が繰り返し流れる。


p-5762508 at 21:35映画 

2021年03月27日

ノマドランド 【B】

nomadland題名:ノマドランド
評価:
原題:Nomadland
国:米国
原作:ジェシカ・ブルーダー『ノマド:漂流する高齢労働者たち』(春秋社)
制作年:2020年
監督:クロエ・ジャオ
制作:Cor Cordium Productions,Hear/Say Productions,Highwayman Films
場所:アリゾナ,ネヴァダ州,カリフォルニア州
時代:現代
新作

 ネバダ州エンパイアという町にあった企業がリーマンショックで破綻し,従業員は職を失った。夫を亡くしたファーン(フランシス・マクドーマンド)は,60歳であるが,この郵便番号も無くなった町に住むのは無理と思い,ノマド生活を始める。小型のキャンピングカーに家財を詰め込み,季節労働者として,アマゾンの配送センター,国立公園の職員などとして働きながら米国西部を放浪する。こうした自分のキャンピングカーで,遊牧民的な生活を送っている高齢者達は,一種のコミューンを作っており,ベテランが初心者に生活の手ほどきをし,様々に助け合って暮らしている。ファーンは,車の修理代を借りるために,疎遠になっている姉の家を訪れる。

 ジェシカ・ブルーダーの『ノマド:漂流する高齢労働者たち』は,以前,読みかけたがそのままになった。自由というよりは,桎梏から離れた生活に慣れるとそこから離れがたくなる。家があって,決まった隣人達と付き合うよりも,移動の自由があり,たまたま出会う,同じように流浪する人々と付き合い,季節毎に特定のところで働き口を得て現金収入を得るほうがよいと考える人々がいる。ただ,高齢者中心の世界であり,あまり感情を露わにすることは少ないし,孤独を厭うこともない。ドキュメンタリー風でドラマもなく,全体に静かで単調だった。こうした生活に感情移入することはないので,何度が眠くなってしまった。

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2021年03月25日

ミナリ 【B】

MINARI題名:ミナリ
評価:
原題:Minari
国:米国
制作年:2020年
監督:リー・アイザック・チョン
制作:Plan B Entertainment
場所:米国
時代:1980年代
新作
 米国の1980年代,レーガン大統領の頃,アーカンソ州の土地にカリフォルニアから韓国からの移民のジェイコブ(スティーヴン・ユァン)とモニカ(ハン・イェリ)の夫婦は娘アンと息子デビッドを連れ,引っ越してきた。しかし,土地は広いが荒れており,家は,大きなトレーラーハウスだった。ジェイコブは,鶏の雛の雌雄鑑別の名人で,夫婦で,養鶏場で働いている。ジェイコブの望みは,自立した農業経営者であり,人を雇い農場を作り始める。しかし,モニカは,トレーラーでの生活が不満で,また,心臓に障害のあるデビッドが心配で,町に移ろうと主張し,夫婦喧嘩が絶えない。モニカは,国から自分の母親を呼び寄せる。しかし,デビッドは,祖母に懐こうとしない。

 確かエンドロールの最初はデビッド役の子役だったが,脚本,監督のスティーヴン・ユァンの幼少期の頃の話らしい。韓国からの移民が,農業で自立しようとするが,様々な困難に出会う。サクセスストーリーではないが,意外な救いがデビッドと父親に訪れる。差別は薄いが,スピリチュアルな背景は濃い。それより,米国で育ったデビッドと韓国文化そのものの祖母の溝の深さは強調される。姉アンの影が薄いのが気の毒。完成度の高い映画であるが,「大草原の小さな家」のような開拓もののように思えた。

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2021年02月06日

わたしの叔父さん 【A】

ONKEL2題名:わたしの叔父さん
評価:
原題:ONKEL
国:デンマーク
制作年:2019年
監督:フラレ・ピーダセン
制作:88 miles
場所:デンマーク
時代:現代
新作

 デンマークで酪農農家に働くクリス(イェデ・スナゴー)は,30歳前後,早くに両親を亡くし,叔父さん(ペーダ・ハンセン・テューセン)の元に引き取られ,叔父が倒れた後は,助けながら牛の世話をしている。朝5時半に起き,叔父の身繕いを手伝い,朝食を用意する。食後は,牛舎に行き,数十頭の牛の搾乳をし,餌を与える。大きなトラクタを動かして牧草を刈る。この間,身体の不自由な叔父も,歩行補助器を使い,クリスの手助けをしたり,修理仕事をしたりしている。三度の食事は決まり切っており,金曜になるとスーパーマーケットに行って,いつも同じ物を買ってくる。クリスと叔父さんの間にほとんど会話はないが,共同作業は遅滞なく進んでいく。ある朝,牛の出産があり,逆子なので,獣医師ヨハネス(オーレ・キャスパセン)に来てもらう。何度か往診してもらううちにクリスは獣医の仕事に関心を持ち始め,ヨハネス医師はクリスを助手あるいは後継者にしたくなり,連れ回って経験を得させようとする。

 冒頭の数十分間,台詞はなく,僅かに食事中に観ているEUや難民やトランプのことを伝えるテレビニュースの音声だけがある。日々の静かに暮らしの中で,働き者の若い女性とその叔父の間に強固な関係が築かれ,お互いに突き放しているようにも深い愛情で結ばれていることを感じさせる。ここに外から誘惑があり,関係が揺れる。音楽は全くない。庭でうろうろしている猫たちを含め,映像,台詞,行為にさりげないユーモアがある。ドキュメンタリーのように見えるが,ドラマとしてよく計算されているし,二つの道のどちらを選ぶかという課題を提示しながらも押しつけがましくはない。日常生活を細かく描写し,抑制的である点で小津安二郎の作品と似たところがあるが,もっとストイックである。叔父さん役のペーダ・ハンセン・テューセンは,俳優ではなく酪農家,主演のイェデ・スナゴーの本当の叔父とのこと。


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2020年12月05日

燃ゆる女の肖像 【A】

Portraitdelaeunefille題名:燃ゆる女の肖像
評価:
原題:Portrait de la jeune fille en feu"
国:フランス
制作年:2019年
監督:セリーヌ・シアマ
制作:Lilies Films他
場所:ノルマンディー
時代:18世紀
新作

 18世紀のフランスのブルターニュ地方の海際にある貴族の館に,肖像画の製作を依頼された女性画家マリアンヌ(ノエミ・メルラン)がたどり着いた。女主人から娘のエロイーズ(アデル・エネル)がミラノで結婚することになっているので,肖像画を描いてほしい,ただ,エロイーズは,結婚を望んでおらず,本人には散歩の相手と伝えるので,昼間は,一緒にいて観察し,描くのは夜にするようにと言われる。マリアンヌは,エロイーズと毎日,海岸を散歩する。あまり,話は弾まないが,エロイーズの姉も結婚を拒んで,どうやら自殺したことや,彼女は,修道院で教育を受けていたことを知る。期限の7日間が過ぎて,絵は完成するが,マリアンヌは,肖像画をエロイーズ本人にまず見せたいと母親に告げる。初めて自分の肖像画を見たエロイーズは,この絵に描かれているのは自分ではないと言うので,アリアンヌは,絵の顔の部を塗りつぶしてしまう。しかし,エロイーズは,自分から,モデルになるので,肖像画を描いて欲しいと言い出す。

 前半は,エロイーズの不安定な様子が気になり,台詞も少なく,絵を描いていることを知られるのではないかという緊張感があり,後半は,どこにたどり着くのかという興味が最後まで続く。脚本,監督,主演の二人,それにその他の登場人物,メイドと母親,祭りの村人も含め全て女性で,男性の台詞は僅かという完全女性中心映画である。マリアンヌとエロイーズ,それにメイドを含めて,身分の上下の意識は薄く,それだけ純粋に二人がどのように愛し合うようになっていくかを細かい仕草,感情,それに言葉を積み重ねて表している。どうやら8Kのほうがフィルムより景色は綺麗なようだ。最後のヴィヴァルディの流れるショットは,2分27秒とのことであるが,随分と長く感じ,アデル・エネルの演技に圧倒された。

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2020年11月14日

シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい! 【A−】

edmond題名:シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!
評価:【A−】
原題:Edmond
国:フランス
制作年:2018年
監督:アレクシス・ミシャリク
制作:パリ
時代:1897年
新作

 1897年12月のパリで,若い劇作家で詩人のエドモンド・ロスタン(トマ・ソリヴェレ)は,妻と2人の子供をかかえ,窮地に立たされていた。サラ・ベルナールなど,才能を認めてくれる人はいたが,2年間,何も書くことができなかった。そこに,大物俳優のコンスタン・コクラン(オリヴィエ・グルメ)から12月中に上演するので,新作を書いてくれと頼まれる。一方,親友の俳優レオ・ヴォルニー(トム・レーブ)力になり衣装係のジャンヌ(リュシー・ブジュナー)あての手紙の代筆をする。脚本が進捗しないうちに,パトロンのごり押し,家庭内のごたごたなど種々の問題が襲いかかるが,徐々に『シラノ・ド・ベルジュラック』に近づいていく。

 フランス映画なので,ハリウッド映画のような背景や人間関係の丁寧な説明はない。主人公のロスタンが,優れた詩人であることはわかるが,新しい芝居の脚本を直ぐに書くことができるような才能はなさそうだった。ところが,身近に起きた出来事から『シラノ・ド・ベルジュラック』の骨格を作っていくのが見所。結末は,長引かせずあっさりとしてほしかった。バルコニーでのロスタンとシラノの即興で気の利いた言葉を紡ぎ出す能力は素晴らしい,それにしても,聡明なロクサーヌもジャンヌも本当に気付かなかったのか。

p-5762508 at 07:05映画 

2020年10月07日

オン・ザ・ロック 【B−】

ontherocks題名:オン・ザ・ロック
評価:B−
原題:On the Rocks
国:米国
制作年:2020年
監督:ソフィア・コッポラ
制作:A24, American Zoetrope他
場所:ニューヨーク,メキシコ
時代:現代
新作
 ニューヨークで暮らす間もなく30歳台後半の二人の女児の母で作家のローラ(ラシダ・ジョーンズ)は,最近の夫の言動が不自然であることが気になり,書くこともできなkなっていた。優雅な暮らしをしている父(ビル・マーレイ)に告げると,夫の行動を監視しようと言い出す。父親の言うがままに振り回されるようになってしまう。

 ソフィア・コッポラ脚本監督,ビル・マーレイ主演というので,『ロスト・イン・トランスレーション』のような味わいを期待していたが,途中で出たくなるような退屈な作品だった。娘役がスカーレット・ヨハンソンだったらと思ったりもするが,スカーレット・ヨハンソンはこの役は断るだろう。40歳近い二児の母である娘の心配事を何とかしてやろうと奮闘する70歳の父親というわけである。そこに寛容な気持ちでほほえましい感じを抱けばよいのだろうが,終盤でラシダ・ジョーンズが言うように,この父親は,本質的に自己中心的,我が儘,男性優位主義,目立ちたがりであって過去をいつまでも引きずっている不愉快な人物でしかないが,もしかするとニューヨークの人々にとっては理解しやすい喜劇的,類型的な存在なのかもしれない。子供を中心とした通学や習い事などのさりげない日常生活の場面が多くて,それは興味深い。

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2020年09月03日

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語 【A−】

littlewomen2019題名:ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
評価:A−
原題:Little Women
国:米国
原作:ルイーザ・メイ・オルコット『若草物語』『続若草物語』
制作年:2019年
監督:グレタ・ガーウィグ
制作:Columbia Pictures,Regency Enterprises他
場所:ニューヨーク,パリ
時代:19世紀後半
新作
 牧師のマーチ家は,メグ(エマ・ワトソン),ジョー(シアーシャ・ローナン),ベス(エリザ・スカンレン),エイミー(フローレンス・ピュー)の四人姉妹である。南北戦争の終わった後,小説家を目指すジョーは,ニューヨークで家庭教師をしながら小説を書いて,ようやく新聞に載った。しかし,妹のベスの病が重く,看病のため実家に戻った。姉のメグは結婚して子がいるが貧しい生活を送っている。エイミーは裕福な大叔母に連れられてパリにいて,絵の勉強をしながら結婚相手を探していた。ジョーとエイミーの間には確執があり,今も,ローリー(ティモシー・シャラメ)のめぐる行き違いがある。

 2020年3月末以来上映が続いてきたが,ようやく終了するので,あわてて観に行った。5月にBSで放送されたジューン・アリソンやエリザベス・テイラーの『若草物語』(1949)を観ていたため,同じ原題のこの映画が,後日談になっているのに戸惑った。後で調べると『続若草物語』があった。観客は『若草物語』の内容はある程度知っているという前提で作られていて,正続の原作を解体し,様々なエピソードについて再構成した感じがした。女性の問題も取り込み,家族愛をさほどに強調しないのがよい。ベスが,隣家へ赴き,ピアノを弾くとローレンス氏(クリス・クーパー)が隠れてじっと聞いている場面が一番印象に残った。すでに20代後半のエマ・ワトソンやシアーシャ・ローナンらが,10代前半の子ども時代を演じるのには,強い違和感があった。さらに言えば,四人とも役柄にぴったりとは思えなかった。

p-5762508 at 21:49映画 

2020年08月29日

オフィシャル・シークレット 【A−】

officialsecrets題名:オフィシャル・シークレット
評価:A−
原題:Official Secrets
国:英国
制作年:2018
監督:ギャヴィン・フッド
制作:Screen Yorkshire他
場所:ロンドン
時代:2003年
新作

 2003年に米英を中心とした有志連合は,大量破壊兵器を所有していると主張して,イラクに侵攻した。キャサリン・ガン(キーラ・ナイトレイ9は,台湾,日本などで育ち,現在は,クルドからの移民と結婚しており,英国政府通信部(GCHQ)に勤めている。イラク侵攻の前夜,米国国家安全保証局(NSA)からGCHQに国連安全保障理事会の態度未定の小国に対して圧力をかけるよう提案したメールが送られてきた。そのメールはスタッフ全員が目にした。キャサリンは,このメールを印刷して,反戦活動家に渡した。それは,やがてオブザーバー紙に渡り,スクープ記事となって,世界中で知ることになった。GCHQの中では,リークした部員を見付けるための内部捜査が行われ,キャサリンは名乗り出るが,直ぐに逮捕される。

 事実に基づく極めて真面目な作品である。一人だけ,正しいことをしたらどうなるのか。この「キャサリン・ガン」事件を知らなかったが,丁寧に説明されているので,どのような問題だったのかよくわかった。面倒な法廷闘争は,あまりは詳しくは述べず簡略化してある。キーラ・ナイトレイは終始,厳しい表情をしているが,最後に出てくる実物は,もう少し穏やかな感じだった。それにしてもブレア元首相は,かなり嫌われていることがよくわかった。国のためと言いながら気にくわない人間を苛める役人や検事は,国内でも目に付くが,レイフ・ファインズに「あっちへ行け」と言われても仕方ないだろう。オブザーバー紙の若い校閲係の女性が,スクープ記事のスペリングを直してしまうエピソードは,なかなかだった。

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2020年07月01日

ワイルド・ローズ 【B+】

wildrose題名:ワイルド・ローズ
評価:B+
原題:Wild Rose
国:英国
制作年:2018年
監督:トム・ハーパー
制作:BFI Film Fund, Creative Scotland, Entertainment One
場所:グラスゴー,ロンドン,ナッシュビル
時代:現代
新作
ローズ=リン・ハーランは,スコットランドのグラスゴーに住む23歳だが,7歳の娘と5歳の息子がいるシングルマザーである。麻薬所持のために1年を刑務所で過ごしたが,戻っても母親マリオン(ジュリー・ウォルターズ)に預けた子供達は,少しもなついてくれない。ローズは,カントリー歌手として酒場などで歌っていたが,その場はない。米国のカントリー音楽の発祥地である米国ナッシュビルへ行ってデビューしたいという夢を持っている。しかし,現実は,単純労働で稼いで子供達を育てるしかない。母親マリオンは,自分の都合で子供達との約束を平気で反故にするローズを非難する。しかし,ローズは,掃除婦として働いていた女性実業家スザンナ(ソフィー・オコネドー)に歌手としての才能を認められ,ナッシュビルへのチャンスを得る。

 初めて観るローズ役ジェシー・バックリーは,1989年生まれのアイルランド出身女優であるが,この脚本は,伝記に基づいたりしているのではなく,ジェシー・バックリーを念頭に書かれている。歌もしっかりしている。カントリーの歌手は,米国には,テイラー・スウィフト以下,女性も多いが,やはり,男性が中心である。しかも,スコットランドの都市という環境である。そんなことは考えない上昇志向なのであるが,何事も途中でやめてしまう,子供っぽさから抜け出せず,何とか居場所はあるものの,母親の役割と自分の夢の間で揺れ動く。このあたりの葛藤をジェシー・バックリーは自然に演じてみせる。サクセスストーリーでないのもよい。

p-5762508 at 20:00映画 

2020年02月13日

テリー・ギリアムのドン・キホーテ 【B+】

donquixote題名:テリー・ギリアムのドン・キホーテ
評価:B+
原題:The man who killed don quixote
国:スペイン,ベルギー,フランス,イギリス,ポルトガル
制作年:2018年
監督:テリー・ギリアム
制作:Alacran Pictures他
場所:スペイン
時代:現代
新作
 天才とおだてられ,スペインの田舎でドン・キホーテをテーマにしたコマーシャルを撮影中の監督トビー(アダム・ドライヴァー)は,思い通りにいかない一方,プロデューサーからは強い圧力を受けていた。ところが,自分が10年前,学生だった頃,卒業制作としてこのあたりの村で撮った映画『ドン・キホーテを殺した男』のDVDが売られているのを知った。そこで,その村に一人で出かけ,10年前に,ドン・キホーテを演じてもらった靴職人の老人ハビエル(ジョナサン・プライス)を見付けた。しかし,ハビエルは,自分がドン・キホーテだと信じ込んでしまっていて,見世物小屋に住んでいた。また,映画に出演してもらったアンジェリカ(ジョアナ・ヒベイロ)は,女優になろうとして村を出てしまっていた。ハビエルは,トビーをサンチョ・パンサと思い込んで,いつの間にかドン・キホーテの旅が始まってしまう。

 テリー・ギリアムの映画は,それほどはっきりした筋書きがあるわけではなく,その場の思いつきのようなナンセンスが中心である。それでいいのではあるが付いていけないところも多い。次々と予想していなかった出来事が起きていく。視覚面でも異様で,グロテスクな映像が多い。ただ,後半の主要イベントである仮想舞踏会は,平板であった。テリー・ギリアムのこれまでの作品の集大成となっているのではあるが,エネルギーはあまり感じない。風車を巨人と思いこんで立ち向かうドン・キホーテをハビエル,さらにトビーに演じさせるが,テリー・ギリアム自身は,自分は違うと思っているのだろう。ポルトガルの女優ジョアナ・リベイロが気にいったのだろう,オルガ・キュリレンコよりも出演時間がずっと長く,まるでドゥルシネーアのような扱いになっていた。


p-5762508 at 23:17映画 

2020年02月08日

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 【B+】

Knivesout題名:ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
評価:B+
原題:Knives Out
国:米国
制作年:2019年
監督:ライアン・ジョンソン
制作:Lionsgate,Media Rights Capital,T-Street
場所:米国
時代:現代
新作

 米国の豪邸に住む,ミステリ作家であり,出版社の社主でもあるハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)の85歳の誕生日を祝して家族が集まり,パーティが開かれた。その翌朝,ハーランは,死体となって発見される。喉をナイフで切られているが,自殺か他殺かわからない。そこに,匿名に依頼者に頼まれたという名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)が登場し,警察と共に捜査をはじめる。殺人ならパーティの場にいた長女夫妻,亡き長男の妻,次男,年齢のわからない母,孫たち,そして,晩年のハーランの世話と介護をしていた,ウルグアイからの不法入国者の娘マルタ・カブレラ(アナ・デ・アルマス)が容疑者となる。やがて,ハーランの遺言状が公開されたが意外な内容だった。

 アガサ・クリスティ風のミステリという触れ込みで,複雑なことは複雑であるが,名探偵の推理が冴え渡るというわけではない。実質的な謎解きは,真ん中あたりで行われてしまう。その後は,いかに被疑者を守るかに焦点が移る。ミステリと言うよりコメディであるのは,体質的に嘘を言えないという登場人物がいるからである。アナ・デ・アルマスが,自分に不都合な証拠をさりげなく隠そうとするのがおかしい。ともかく正直で,誰にも優しく,まともな人間に遺産が行くという健全な結末でよかった。

 

p-5762508 at 07:35映画 

2020年02月04日

ジョジョ・ラビット 【B】

jojorabit題名:ジョジョ・ラビット
評価:
原題:Jojo Rabit
国:ドイツ;米国
原作:Christine Leunens. Jojo Rabbit. Overlook Pr. 2019
制作年:2019年
監督:タイカ・ワイティティ
制作:TSG Entertainment,Piki Films,Defender Films,Czech Anglo Productions
場所:ドイツ
時代:1944年〜1945年
新作
 ナチスドイツの敗色は濃くなり,子供たちにも戦闘訓練が施され始めていた。母(スカーレット・ヨハンソン)と暮らす10歳のジョジョ(ローマン・グリフィン・デイビス)は,元気に訓練合宿に参加した。ジョジョは,ヒトラーを崇拝し,ナチスへの忠誠心は高い子だった。何かといえばヒトラーの格好をした空想上の友であるアドルフ(タイカ・ワイティティ)が現れ,ジョジョを鼓舞する。しかし,訓練の途中で,ジョジョは,命令通りウサギを殺すことができずに,教官達からは「ジョジョ・ラビット」とあざ笑われ,手榴弾の扱いを間違えて,顔と足を負傷してしまう。ジョジョは母のいない時に,屋根裏部屋にユダヤ人の娘エルサ(トーマシン・マッケンジー)が匿われているのを知った。

 10歳の子供から観た世界なので,本人の空想が入り混じり,大人は戯画化され,現実離れした内容になっているので,寓話として観るしかなさそう。しゃべっている言葉は英語だが,文字は全てドイツ語である。「ハイル・ヒトラー」を早口で,しかし抜けがないように全員で繰り返すというばかばかしさとともに,公開処刑や焚書などナチの悪行も映像化されている。子供の信じていた環境が崩壊し,こんどは別の感情が生まれてくるが,それもまだ早いということなのだろう。

p-5762508 at 19:27映画 
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