2022年07月

2022年07月06日

わたしは最悪。 【B+】

Verdensverstemenneske題名:わたしは最悪。
評価:B+
原題:Verdens verste menneske
国:ノルウェー/フランス/スウェーデン/デンマーク
制作年:2021年
監督:ヨアキム・トリアー
制作:Oslo Pictures他
場所:オスロ
時代:現代
新作

 ノルウェー語の原題をGoogleで翻訳すると「世界で最悪の人」となるので,邦題はほぼ原題通り。ノルウェーのオスロに住むユリヤ(レナーテ・レインスヴェ)は,医者になるつもりで医学部で勉強していたが,人体に関心がないと気づいて,心を扱う心理学の授業を受けたがぴったりせず,次には写真家となり,今は書店で働いている26歳。グラフィックノベルの作家アクセル(アンデルシュ・ダニエルセン・リー)と意気投合し,アクセルのアパートで同棲し始め,お互いの家族を訪ねあうなどして,満足して暮らしていた。アクセルは,年上で40歳を超えているためか,子供が欲しいと言い始めたが,ユリヤはその気になれない。ある夜,他人の野外パーティに紛れ込み,大量に酒を飲み,そこで若い男と知り合って,惹かれ合うようになる。

 全体が11章構成で,序章と終章があるが,章ごとにまとまっているわけでもないし,長さもまちまちである。ただ,真ん中あたりの「浮気」と名付けられた章が,度をこしているというか,あまり見られないような特別な過激さがある。20歳代半ばになっても何をしたいか決めることをためらい,落ち着くことのできない女性の男性関係を中心としているが,ディスカッション場面も多く,現代のノルウェー,オスロの生活がよくわかる。レナーテ・レインスヴェは,似た女優が何人か思い浮かぶ既視感のある顔立ち。出演場面の三分の二で笑っていて,好感が持てる。突然,時間が止まったオスロの町と人々,ドラッグを飲んで起きる妄想を視覚化したグロテスクさなど実験的で凝った映像がある。ラジオのスタジオでアクセルがフェミニストから罵倒されるのも面白かった。ノルウェーの書店では,店内にない本を取り寄せるのに二週間もかかるらしい。

p-5762508 at 20:55映画 

2022年07月02日

リコリス・ピザ 【B−】

Licorice題名:リコリス・ピザ
評価:B−
原題:Licorice Pizza
国:米国
制作年:2021年
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
制作:MGM,Focus Features,Bron Creative,Ghoulardi Film Company
場所:ロサンジェルス
時代:1973年
新作

 1973年頃のロスアンジェルス。連絡手段は,電話だけである。ユダヤ教徒の家族の中で孤立している20歳代後半アラナ・ケイン(アラナ・ハイム) は,高校で生徒の写真の助手をしていた。撮影のための列に並んでいた15歳のゲイリー・バレンタイン(クーパー・ホフマン)は,彼女に一目惚れとなった。ゲイリーは,元子役として実績があり,彼がテレビ出演のためニューヨークに行くときにも母親に変わって,付き添い人となる。やがてゲイリーは,ウォーターベッドの通信販売を始め,アラナは手伝うことになる。

 最初から最後まで,話の展開に興味を持てなかった。主役のどちらにも全く感情移入できないので辛かった。ポスターを見ればお釈迦様アラナの掌の上のゲイリーということになる。1970年代の文化を再現しており,それには監督のポール・トーマス・アンダーソンの個人的な思い入れがあるのだろうと思ったが,1970年生まれと知ると,どうやらそれも違うようだ。ハリウッド人種のパロディと言われても,馴染みがない。青春映画は,パターンが限られ,新しい趣向は無理なようだ。ウィキペディアに「リコリス菓子」という項目があり,北アメリカや欧州では昔から親しまれているが,日本人の味覚には合わないと書かれていた。

p-5762508 at 18:26映画 
Archives
  • ライブドアブログ