2020年02月13日

テリー・ギリアムのドン・キホーテ 【B+】

donquixote題名:テリー・ギリアムのドン・キホーテ
評価:B+
原題:The man who killed don quixote
国:スペイン,ベルギー,フランス,イギリス,ポルトガル
制作年:2018年
監督:テリー・ギリアム
制作:Alacran Pictures他
場所:スペイン
時代:現代
新作
 天才とおだてられ,スペインの田舎でドン・キホーテをテーマにしたコマーシャルを撮影中の監督トビー(アダム・ドライヴァー)は,思い通りにいかない一方,プロデューサーからは強い圧力を受けていた。ところが,自分が10年前,学生だった頃,卒業制作としてこのあたりの村で撮った映画『ドン・キホーテを殺した男』のDVDが売られているのを知った。そこで,その村に一人で出かけ,10年前に,ドン・キホーテを演じてもらった靴職人の老人ハビエル(ジョナサン・プライス)を見付けた。しかし,ハビエルは,自分がドン・キホーテだと信じ込んでしまっていて,見世物小屋に住んでいた。また,映画に出演してもらったアンジェリカ(ジョアナ・ヒベイロ)は,女優になろうとして村を出てしまっていた。ハビエルは,トビーをサンチョ・パンサと思い込んで,いつの間にかドン・キホーテの旅が始まってしまう。

 テリー・ギリアムの映画は,それほどはっきりした筋書きがあるわけではなく,その場の思いつきのようなナンセンスが中心である。それでいいのではあるが付いていけないところも多い。次々と予想していなかった出来事が起きていく。視覚面でも異様で,グロテスクな映像が多い。ただ,後半の主要イベントである仮想舞踏会は,平板であった。テリー・ギリアムのこれまでの作品の集大成となっているのではあるが,エネルギーはあまり感じない。風車を巨人と思いこんで立ち向かうドン・キホーテをハビエル,さらにトビーに演じさせるが,テリー・ギリアム自身は,自分は違うと思っているのだろう。ポルトガルの女優ジョアナ・リベイロが気にいったのだろう,オルガ・キュリレンコよりも出演時間がずっと長く,まるでドゥルシネーアのような扱いになっていた。


p-5762508 at 23:17映画  
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