宮崎県で感染が拡大する家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)。18日、牛、豚などの殺処分対象数が11万頭を超える異常事態になった。被害が最も集中している川南町の農家では、政府の対応の遅れに対する不満や怒りの声が上がっている。一方、連日増え続ける感染疑いの牛・豚の殺処分に追われる関係者にも疲労と焦燥が蓄積している。【三木陽介、澤本麻里子、川上珠実】

 「自分の身を切られる思いです」。川南町川南で50年近く養豚業を営んできた小山俊一さん(75)の妻勝代さん(66)は電話口で涙ながらに語った。12日に飼育していた全407頭が殺処分された。

 養豚場に「異変」が出たのは5日。朝8時、いつものようにエサをやりにいったら2日前に生まれたばかりの子豚12頭が死んでいた。母豚の口の周りがただれ、乳頭に水泡ができていた。翌6日の夜11時に県の家畜保健衛生所から電話で「陽性」の結果を聞かされた。「小山家の歴史が終わった」。目の前が真っ暗になった。

 俊一さんとともに養豚一筋半世紀。3人の子どもを「学校にやろう」と夫婦2人だけで365日休まずに豚を育ててきた。夫婦で新婚旅行以外行ったことがない。それだけに種豚の改良に貢献してきたという自負がある。4年に1度開かれる全国種豚登録協会主催の品評会で「日本一」に輝いたこともあった。

 突然の終止符。勝代さんは「年も年なのでもうこれでやめようと思っています」とと声を詰まらせた。「今の状況では、また自分の豚をこういう目に遭わせてしまうのでは、と怖い」。行政側の対応に不信感を募らせる。

 異変が出た5日、保健衛生所に連絡して獣医が来た。その検査の真っ最中に保健衛生所と県庁の担当職員からかかってきた電話に耳を疑った。「今日の豚は元気ですか?」と聞かれた。「どうして? 情報を共有してないと?」と、思わず怒りが口をついて出た。

 さらに陽性反応が出た6日、保健衛生所職員に「うちの名前を公表してもいいから周囲を通行止めにして」とお願いした。しかし返答は「個人情報保護法で公表できません」。町の防災無線ではさかんに「被害農場に近づかないように」と流していたが、「名前や地区が分からないとどうしようもないじゃないですか」と歯がゆい思いをあらわにした。

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