税務署では、過去の確定申告書(特に譲渡所得)や大口のお金の流れ等を入念に事前調査した後に、納税者のもとに実地調査にやってきます。税務調査の対象となりやすいケースは以下のようなものです。
・申告書に誤りがある、資料等に不備があるとき。
・生前所得から推定して相続財産が少ないとき。
・家族名義の財産の申告がされていないとき。
・相続人の財産が推定所得に比べて多いとき。
・課税価格が3億円超のとき。
税務署のチェック項目には次のようなものがあります
【不動産】
・先代名義の不動産の申告漏れはないか。
・共有不動産の申告漏れはないか。
・借地に建物を建てている場合の借地権の申告漏れはないか。
【有価証券】
・無記名債券の申告漏れはないか(調査で明らかになったときは重加算税の対象となり、配偶者の税額軽減の対象とはなりません)。
・家族名義の有価証券の申告漏れはないか。
・非上場株式や出資金の申告漏れはないか(親戚・知人が経営する法人の株式・出資金)
【預貯金・現金】
・家族名義の預金の申告漏れはないか(被相続人および相続人の過去5年分の預金通帳から家族名義の通帳に被相続人の預金が混ざっていないか調べます。専業主婦である妻名義の預貯金が数千万円ある際などは取得経緯を尋ねられます。孫に贈与した預金でも、通帳・印鑑とも被相続人が管理して孫が預金を使った形跡がないときなどは、名義預金と認定されます)。
・相続開始直前の引出額の申告漏れはないか。
【保険】
・契約者が相続人であるにもかかわらず、実際には被相続人が保険料を負担していた保険契約の申告漏れはないか。
【その他】
・相続開始前3年以内の相続人への贈与の申告漏れはないか。
・同族法人への貸付金・未収入金等の申告漏れはないか。
修正申告書を提出する際の税金については、すでに提出した申告書の税額と修正申告税額との差額について納税手続きをおこない、このとき以下のような附帯税が課されます。
・過少申告加算税10% (期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える増差税額については15%)
・重加算税35% (無申告の場合40%で、仮装隠ぺいに当てはまる財産については上記過少申告加算税に代えて重加算税が適用される)
・延滞税年4.3% (平成23年4月現在)、前年11月末日の公定歩合+4%

 生命保険金は、指定した受取人の固有の財産となります。したがって、遺産分割を行うことなく、
あげたい人に確実に財産を分けることができますので、遺産分割が行いやすくなります。

1.相続対策として生命保険金を活用
 相続対策を考える上で、生命保険を活用することが有効です。生命保険の活用の効果に着目すると、
「遺産分割対策」・「納税資金対策」・「相続税の軽減対策」の3つに大別できます。

 (1)遺産分割対策(あげたい人にお金が届く)
  死亡保険金は、保険契約上で指定した受取人の固有財産となります。遺産分割を行うことなく、
確実に受取人として指定した相続人のものとなるのです。なお、相続放棄をした場合にも、生命保険金を受け取れます。
  相続財産としての預金1億円を長男・長女・次男の3人で相続するとします。遺産分割協議によってどのように分けるかを決定する必要があり、各人の主張がぶつかり合ったらスムーズに分割を決めることはできません。しかし、同じ1億円でも生命保険金なら、長男(4,000万円)・長女(3,000万円)・次男(3,000万円)と予め受取人を指定しておくことができ、受取人固有の財産として、遺産分割協議をすることなく穏便に財産を分けることができます。
  また、もし相続財産が長男の自宅の土地1億円のみであれば、次男にも平等に財産を分けようとしてもその財産がありません。自宅を売却して資金に換えることも可能ですが、自宅は長男が生活しているため納得できないでしょう。このように遺産分割がうまくいかない事態を避けるため、生命保険を活用する方法があります。すなわち、長男が自宅の土地を相続しても、次男には生命保険金1億円が支払われ、2人が1億円ずつの相続財産を相続することになり、スムーズに遺産分割を進めることができるのです。さらに、事業を承継する長男に自社株や事業用不動産を相続させたい場合に、他の相続人に対して生命保険を活用するのも有効です。
  そのほか、相続人の一人が遺産を取得した代償として他の相続人に金銭その他の財産を与える分割方法である代償分割に、生命保険を活用すること等により、スムーズな遺産分割が実現できます。

 (2)納税資金対策
  相続税は、原則として亡くなった日から10ヶ月以内に現金で納付しなければなりません。相続財産の中に相続税を払えるだけの現金や預貯金がない場合には、相続税を支払うための準備をすることが必要です。現金や預貯金を相続税が支払える額まで貯めるのに時間がかかるなら、その不足分を補うために生命保険を活用することにより、相続税の納税資金を確保することが可能です。
  生命保険への加入は、相続発生後では遅いので、生前に相続人がいくら相続税を支払うのかを認識し、そのうちいくら現金で納付できるのか、生命保険金でいくら納付するのかということについて、不動産の売却や延納、物納も視野に入れ、予めシミュレーションしておきましょう。

 (3)相続税の軽減対策
  生命保険については、保険金の全てに相続税が課税されるのではありません。被相続人の死亡によって相続人が取得した生命保険金のうち、「法定相続人一人当たり500万円」は、非課税となります。もし生命保険に加入していないならば、最低限この非課税相当額について預貯金を生命保険に置き換えておくだけで、相続税の軽減対策として有効です。なお、相続を放棄した場合にも生命保険金は受け取れますが、この場合、非課税の適用を受けることはできません。
  また、贈与税の110万円の基礎控除を利用し、子供や孫に生命保険相当額を贈与するという生命保険の活用方法があります。具体的には、子供や孫は、贈与を受けた保険料相当額で、被保険者を親や祖父母とする生命保険に加入します。すると、親や祖父母に相続が起きたときに支払われる保険金は、相続財産ではなく、子供や孫の一時所得となりますので、少ない税負担で納税資金を確保することが可能です。なお、この保険金に係る税額は、次の通りです。
 {(保険金額-保険料総額-50万円)×1/2}×所得税・住民税率
  なお、保険料相当額の贈与を行うに当たっては、次のことに留意しましょう。
 ・子供や孫が贈与を受けた金額が、110万円を超えるならば、贈与税の申告及び納税が必要です。
 ・連年で一定金額を贈与すると、その実質により初年度において一括贈与をしたとみなされ、課税される可能性もあります。
 ・保険料相当額の贈与は、適切な贈与の手続きを行う必要があります。具体的には、贈与契約書を作成して確定日付を取ること、生命保険料は子供や孫が支払って生命保険料控除の申告をすること、贈与を受ける口座の通帳・印鑑の管理は子供や孫が行うこと等が重要です。
 ・子供や孫の所得が多かったり、相続財産が少額だったりすると、相続税額より所得税額の方が高くなり、多額の税金を納めることもありますので、事前にシミュレーションが必要です。

2.まとまったお金の支払いに生命保険金を活用
 被相続人が現預金として財産を持っている場合、上記の通り、相続人の間での遺産分割協議を行わ
なければなりません。なおかつ、預貯金のときは遺産分割協議が成立して名義変更が行われるまでは
凍結してしまいますから、葬儀費用・病院の入院費用の支払い等のためにまとまったお金を自由に引
き出すことはできません。
 しかし、生命保険の場合には、遺産分割をすることなく、保険会社に書類を提出してから数日間で
まとまった資金を現金で準備できますので、葬儀費用や病院への支払い等に有効です。

相続税の延納制度によって、相続税を分割して納付することができます。

1.相続税の延納制度の概要
 相続税は、金銭で一時に納付するのが原則です。しかし、相続税は財産に課税されるものですので、
一定の場合には年賦で納付することができます。これを延納といい、この延納期間中には利子税の納
付が必要です。延納の許可を受けるためには、次の全ての要件を満たすことが必要です。
・相続税が10万円を超えること。
・金銭で納付することを困難とする事由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としている
こと。
・延納税額及び利子税の額に相当する担保を提供すること。ただし、延納税額が50万円未満で、か
つ、延納期間が3年以下である場合には、担保を提供する必要はありません。
・延納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納申請書に担保提供
関係書類を添付して税務署長に提出すること。

2.延納許可限度額の算定
 延納許可限度額とは、延納することができる金額のことです。延納許可限度額は、納付すべき相続
税額から、金銭で一時に納付することができる金額を差し引いて算出します。実際には、延納申請書
の別紙の「金銭納付を困難とする理由書」を用いて、延納許可限度額の算出を行うことになります。
 金銭で一時に納付することができる金額には、納税者が相続により取得した預貯金等のほか、納税
時に相続人固有の預貯金等があればその預貯金等も含めます。そして、一定の生活費や事業経費の金
額は控除します。

3.延納の利子税
 相続財産に占める不動産等の割合によって、延納期間及びその期間に応じた税率が規定されていま
す。また、低金利対応のため、平成12年1月1日以降の期間については基準割引率に連動する税率
の引き下げの特例が設けられています。基準割引率に連動した利子税は、次のように算出します。
原則の利子税割合×(分納期間の開始する日の属する月の2ヶ月前の月の末日を経過するときの基準
割合率+4.0%)÷7.3%
基準割引率を0.3%とすると、基準割引率に連動した利子税の特例割合は、次の通りです。
(1)不動産等の割合が75%以上の場合
・不動産等に対応する税額は、延納期間20年、原則の利子税割合3.6%、特例割合2.1%。
・動産等に対応する税額は、延納期間10年、原則の利子税割合5.4%、特例割合3.1%。
(2)不動産等の割合が50%以上75%未満の場合
・不動産等に対応する税額は、延納期間15年、原則の利子税割合3.6%、特例割合2.1%。
・動産等に対応する税額は、延納期間10年、原則の利子税割合5.4%、特例割合3.1%。
(3)不動産等の割合が50%未満の場合
延納期間5年、原則の利子税割合6.0%、特例割合3.5%。
上記の不動産等の割合とは、課税相続財産の価額のうち不動産等の価額の占める割合をいい、不動産等には、事業用の原価償却資産・特定の同族会社の株式等も含まれます。
 また、上記の延納期間は、最高期間です。実際に延納できる期間は、延納税額を10万円で除した
数に相当する年数が各区分で定められた期間に満たない場合、満たない期間となります。例えば、不
動産の割合が75%でも延納税額が150万円ならば、最高期間は20年でも延納期間は15年となりま
す。
 なお、相続した不動産等のうち、計画伐採立木、立木、特別緑地保全地区等内の土地については、
延納期間と税率が別途定められています。

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