2015年11月15日
モノグラム(MONOGRAM) 1/72 P-51B Mustang のMODELING GUIDE

やっと形になりましたので、[MODELING GUIDE] として本体のサイトにupいたしました。
昔から主翼付け根の張り出しや主翼下面から胴体下面付近の平面性、主脚収納庫の形状を正しく表現した数少ないキット・・・ 1/72 B型ではこのキットと レベル[72B-10・11]、最新(2015年発売)の KP[72B-16] 以外のキットは皆、間違えた形状になってしまっています。

主翼は翼端部分やエルロン、フラップが上面パーツと一体で成形されているので、後縁の薄さも問題ありませんし、フラップの下げ状態もちょっとの加工で簡単に再現できます。
パイロンは下面に一体で成形されていて形状的には後期型のようで不満は残りますが、アクセサリーは金属製110ガロン増槽と250lb.爆弾が付属しています。
キャノピーは前部ウインドウシールドから後部ウインドウまでが一体で成形されたバードケージキャノピーと、マルコムフードのスライドキャノピー部分だけのパーツが入っていて、マルコムフードにする場合はバードケージキャノピーの前部ウインドウシールドと後部ウインドウを切り離して使う必要がありますが、その境い目部分が少し薄くなっていて切り離しの目安となる配慮がされています。
パネルラインは筋彫りではなく、発売当時の主流とも言える凸モールドですが、筆で厚塗りすると塗料に埋もれてしまうほど繊細で、現在でも充分に通用する表現だと思いますし、彫り直すほどの腕も持ち合わせてはいないので、大きな間違いが無ければモールドは基本的にそのままでいいような気がします。
飛行状態(主脚収納庫部外側に主車輪ドアと主脚カバーを閉位置に固定するための小さなタブが6箇所に付いていますが、尾輪カバーは胴体パーツに開位置固定なので切り取り加工が必要)を再現した場合用の丸いスタンドパーツが付いていますが、角度が自由になるものではなく、単純に主翼下面の穴に挿して浮かせるだけのスタンドです。

ただし、あまりに価格が高いのと、 P-40N のスナップタイトキットはモノグラム版のを持っていること、そしてなにより、P-51B MUSTANG の初回発売時と最終形態での販売時に大量にモノグラムのキットを購入してしまっているため、アキュレイトミニチュア(ACCURATE MINIATURES)版のキットはまだ買っていませんので、詳細や違いを書けません事をご了承ください。
したがって、どのようにスナップタイトキット化されているのか、モノグラムでの初回発売時と最終形態販売時で違っている右主翼端のバリなどの出方が、アキュレイトミニチュア(ACCURATE MINIATURES)版のキットで修正(調整 ?)されているかどうかも判っていません。

そのためか、ウインドウシールドの幅が少し広くなりすぎていて扁平のようにも見えますが、全体の印象としては悪くないです。
ただし、キャノピーの合いは 1/48[よりも良くなくて、多少のスキマができます。
胴体内には無線機以外にはモールドが無く、照準器は防眩シールド上にモールドされていますが、計器盤やラダーペダルのパーツも無く、操縦桿とシート以外は胴体内側に出ている板に計器盤のデカールを貼るだけ。
床板パーツも無く胴体下側のアール付翼上面状部分に操縦桿を接着するだけ。
主翼上面にあるガンベイ(弾薬ハッチ)のモールドは、リブ一枚分長いD型のようになっていますし、下面の薬莢排出孔も一つにまとめたものではなく、機銃一丁につき一つ開いている D型のようになっています。
プロペラ固定用パーツはそのままでは機首下面空気取り入れ口との境目にギャップができてしまいますので、下部に6mmぐらいの眉状のプラバンを付けて段差を埋める必要があります。
パイロンは主翼下面パーツに一体で成形されていますが、形状的には D型以降に採用された後期型ですので、B/C型で使われていたものに直してやる必要があります。
主脚収納庫の形状は良好ですが、収納庫内はモールドの無いノッペラボーで、左右の庫内の仕切り壁もありません。 また、主車輪のホイールは8本スポークになっているのに、裏側のホイール穴は10個になっています。
D/K型などの後期型のようになっている主車輪ドア裏側のモールドを前期型にしてやれば更に良いのですが、三本ある凹みの向きが B/C型と D/K型とでは違いますので、直すのは主車輪のホイール同様、それほど簡単ではありません。
主翼の付け根の捻り下げ表現はイマイチ不足気味ですが、他の 1/72 の B/C型のキットよりはちゃんと薄く仕上がっていますし、下面付近もちゃんと平面に近く表現されていますので、1/72 としては充分なのかもしれません。
丸味が強い各翼端の形状は、アールの頭頂部を少し平らにするだけで、かなり好い雰囲気になるのですが、主翼端に関してだけは削るだけだと翼長が短くなってしまうので、スケール的に全幅が小さくなってしまいます。
胴体下面のオイルクーラー・フラップやラジエターのエア・アウトレット・フラップは開位置ですが、胴体と一体モールドで開口されておらず、オイルクーラー・フラップは形状が横長の四角過ぎです。
排気管はフェアリング付で胴体パーツと一体でモールドされているので、開口や加工をする場合は主翼を取り付ける前に行なっておかないと、主翼が邪魔になる箇所が出てしまいます。
修正と組み立ては・・・


機首部分と同じような平面状になってしまっているコクピット直前の円断面部分は、胴体だけではなくウインドウシールドの幅の広さも関係してくるので、残念ですが直すのはかなり難しいので、今回はウインドウシールド直前の角張りを丸める程度の修正で我慢しています。
バードケージキャノピーの合いは、後部ウインドウの半丸部分をできるだけピッタリと合わせて、前部ウインドウシールド下にできるスキマを伸ばしランナーで埋めたほうが楽にできます。
キャノピーをマルコムフードにする場合はバードケージキャノピーの少し薄くなっている境い目部分を切り離して、前部ウインドウシールドと後部ウインドウを使いますが、そのほかにマルコムフードのスライドキャノピー部分の胴体を少しザグッてスライドレールの表現を追加、後部ウインドウの下側にもレールのモールドを追加しておく必要があります。


計器盤とラダーペダルは、このスケールであれば一体でかまわないと思いますので、デカールの計器盤部分を切り抜いたものを型紙にして切り出したものにラダーペダルの彫刻を加えておきます。
ラダーペダル部分の加工が終ったら、計器盤のデカールを貼り付ければ、コクピット周りはほぼ完成です。

ついでにオイルクーラー・フラップの横長の四角い形状を台形になるようにカットしてからエッジを薄く整形し、エアの排出口部分を長方形に彫りこんでやると、もっと感じが好くなります。

その際、全面のモールドを削り落として筋彫りに彫りなおすのであれば、フツーに彫るだけでいいのですが、凸モールドのままにするのでしたら、細い筋彫りを入れた後で極細の伸ばしランナーを筋彫りにあてがって流し込みタイプの接着剤をほんの少し垂らしてやれば、それらしい凸モールドが再生できます。
イマイチ不足気味の主翼付け根の捻り下げ表現ですが、他の 1/72 の B/C型のキットよりは薄く仕上がっていて、下面付近もちゃんと平面に近く表現されていますので、1/72 としては充分と言える範囲ですが、そのままで胴体と組み上げると、右翼の上半角が付き過ぎて胴体が微妙に捩れているように見えてしまいますので、注意する必要があります。

全幅を小さくしないで主翼端の丸味を緩和するためには、主翼端の前半分を切り取ってプラ材を接着、充分に固着してから整形してやれば、形も長さも自分のイメージにあわせた加工が可能になります。
主翼前縁に開いた機銃孔には銃身の表現がありませんので、内径 0.2〜0.3mm位の真鍮パイプを埋め込んでおくとともに、右翼下面に三つ並んだ敵味方識別灯や翼端灯はいつものようにHOBBY SPOT U のパーツと素材をセットにした[ハセガワ1/72 P-51B/Cムスタング用「早く直して欲しい」パーツセット] に入っている 赤・緑・アンバー を填め込んで、薄いモールドだけで表現されていた着陸等はクリアパーツのランナーを使って加工しておきました。
下面にある D型のように機銃一丁につき一つ、片翼に二つずつ開いている縦長の薬莢排出孔は、外側のを完全に埋めて平らにし、内側のは後半分を埋めてから前半分を横に倍に拡げて、一つにまとめたものにしてやります。
主翼下面パーツに一体で成形されているパイロンを、B/C型で使われていたものに直してやるには、パイロンの前後にある切り込みの左右に振れ止めのための張り出しを設けてやる必要があります。
実際にはその張り出しの先端からさらに振れ止めのネジみたいなのが出ていて爆弾などの揺れを止めているのですが、1/72 ですからそこまではやらなくてもいいとは思いますが、せめて基本的な違いの部分ぐらいは再現しておきたいところです。


その後、庫内に覗くリブやデティールを追加してやったのが左側上の状態、全体にサーフェイサーを掛けて試しに水平尾翼とプロペラを着けてみると、左側下のようになります。
また、ホイールが8本スポーク、裏側のホイール穴が10個になっている主車輪のパーツは、資料では10本スポークの写真が圧倒的に多いので、気になる方は他のキットからトレードするか、別売りのデティールアップパーツを使用するなどの手を考える必要があるでしょうが、基本的にキットのパーツを最優先で使う僕としては、ここはそのままにしています。





ただ、" Ole-II " OS★I s/n.43-12190 というマーキングに関しては確認がとれておらず、デカールと同じ" Ole-II " や出撃回数が写った機首部分の写真はあっても、キャプションには Maj. William J "Billy" Hovde. 358th Fighter Squadron. P-51B "Ole" YF★I s/n.43-6928 と記されていますし、 s/n.43-12190 の P-51B
で調べてみると 496th Fighter Training Group 555th Fighter training Squadron の所属機で
コードは C7- となり、 OS★I で調べると Maj. William "Billy" Hovde. 357th Fighter Squadron. P-51D s/n.44-73294 OS★I "Ole VIII" となってしまう…など、いずれもデカールどうりのマーキングにはならないのです。
デカールシートにはその時々の発売年やナンバーが入れられていて、左の写真のものには " 1988 ALL RIGHTS RESERVED " と " 5005-0300 " という、MONOGRAM の P-51B としては最終の販売形態の品番が印字されています。
古いものになると、 " 5005 " の部分が " PA143 " や " 6788 " のように変化していますし、" -0300 " の部分が " -0301 " に変更されていたりしますが、実際は細かいステンシルの文字が潰れているぐらいしか違いが判らなかったりします・・・
僕は P-51B MUSTANG の初回発売時と最終形態での販売時に大量にキットを購入してしまいましたので、ベアキャットがセットになったレーサーバージョンのキットや、ACCURATE MINIATURES から高い価格で発売になった P-40N がセットになったスナップタイト・キットのデカールに関しましては、申し訳ありませんがご紹介の材料を持ち合わせておりません。m(__)m


ただ、逆に言えば自分のイメージで細部をデティールアップしていける最高の素材だとも言えるわけで、工作好きの方であれば買っておいても損はしないキットだと僕は思っているのですが・・・

ちなみに、この "ホビー天国" の地下にある トレードボックス [R-1053] には、古い飛行機プラが出品されていることが多く、特に 1/144 ファンには見逃せない イッコー模型やクラウン、レベルの 1/144 キットの初版のセット(日本海軍機の…)なども、僕が見た時には置かれていました。
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