2018年04月21日
ブレンガン(BRENGUN) 1/72 #BRP72025 A-36 APACHE USAF のモデリングMiniガイド

今回は箱のタイトル通りに A-36 と表記しましたが、この機種はノースアメリカンの社内呼称でいうと NA-97 という一種類だけなのですが、資料によって書かれている形式呼称としてはじつに様々で、ざっと見ただけでも A-36 のほかに、A-36-NA、 A-36-1-NA、 A-36A、 A-36A-NA などの表記があります・・・
このブレンガン(BRENGUN) の箱や説明書には何カ所かに CZECH REPUBLIC と記入されていますが、いずれも会社の所在地か何かのようで、Made in ○○ とは書かれていません。

例えば左の主脚収納庫内のパーツは、こうして並べて写真を撮っただけでも似ているのがお判りいただけると思いますが、入れ替えるのが可能なのでは?
と思えるほどサイズもモールドも、そして KP(Kovozavody Prostejov) の Kit Mini GUIDE でお伝えした、間違ったリブの間隔(胴体最中心寄りのリブの間隔が D型のように狭いこと)までもが同じになっているのです。
敢えて違いを探すと、ブレンガンのパーツの裏側には、翼厚の調整用なのか押し出しピンなのか、あるいはヒケ止めなのかは判りませんが、二か所の突起があることぐらいでしょうか・・・



ブレンガンの A-36 の 垂直安定板から後部胴体の背中のラインを合わせて KP のキット側から見てみると、コクピットの位置を2mm程前に少しずらすことで、背中のラインをなだらかに見せるように工夫されている A-36 のコクピットの位置が見えるだけで、ほとんどが隠れてしまっています。
まあ、・・・

とは言っても、実機でのスラストラインの違いがあるためか、背中のラインをピタリと合わせると機首が上がってしまいますので、垂直安定板前縁と機首上面のライン(空気取り入れ口は無いですが…)を合わせて撮ってみると、左下のように胴体下側のエアインテークに繋がるラインは少し薄くなっているので、コクピット後ろの背中部分と胴体下の空気取り入れ口部分が少し狭くなっているのが判りますが、レンズから離れている先端部は、先端が 1mm程短いブレンガンであっても 1mm長い KP の先端を隠してしまっています。


たとえばご覧のようにレジン素材のガルテックスの胴体パーツは素材自体の収縮のために二回りぐらい小さくなっている(1/75ぐらいです)ので、前述のように胴体高は上に並べたハイプレーンのキットよりも数値的には短いのですが全体のバランスとしてはかなり高く感じるようになっているということになります。
ということで、本体サイトのモデリングガイドには、後部胴体上部(背中)やコクピット部分の高さと下部の空気取り入れ口のラインがちゃんとモデライズされていると思われるキットを僕なりに順に書いているのですが、ここではブレンガンに関してだけ書いておきます。
ブレンガンのキットはコクピットの位置を前に少しずらすことで、背中のラインをなだらかに見せるように工夫してはいますが、アリソンエンジン搭載型ムスタングのそれらしさを左右するポイントの一つになっている機首下面の微妙な反り上がり部分の表現が、スピットファイアのような深いアールになっていってしまいます。
ただしこれは胴体だけの話で、B/C型キットと同じように主翼付け根の張り出しが正しい大きさのものになっているかどうかはまた別の話で、D型と同じ様な大きな張り出しをもっているものが多く、1/72キットでちゃんとなっているのは アカデミー と モデルニュース、 ハイプレーン の三種類と、この最新の ブレンガン だけだと言えます。
また、この四種のうち、アカデミー、モデルニュース、ハイプレーンの水平尾翼のエレベーターは羽布張り表現となっていますが、ブレンガンのキットだけが金属外皮表現となっているのが気になります。

そう言うと、D型のものも入っていると仰る方もおいでかと思いますが、左列上のは D型のものではなく、イタレリの P-51 MUSTANG I "RAZORBACK" の主車輪ドアなのです!…とは言っても、
D型のパーツを流用して出されたバリエーションキットなので無理もないのですが・・・
で、アリソンエンジン搭載型や B/C型の実機写真でよく見かけるのが、窪みの角度がもう少し寝た感じになったうえで補強材を貼り付けたような ハイプレーンのP-51A や、KP のB型 の主車輪ドアみたいなのが中列の下、そして、中列上のが ブレンガン A-36 の主車輪ドアですが、D型 の窪みの角度のままで補強材を貼り付けたような感じなので、ホビースポット ユウ の主車輪ドアによく似たものになっています。
とは言っても、実機の主車輪ドアは地上姿勢時でも油圧が効いている時は閉じているので、A-36やP-51のキットとしてはその状態を再現して閉位置にしてしまえば、この主車輪ドアの裏側のモールドはどれであっても関係なくなってしまうわけで、実際に最初から閉位置にモールドされているキットも幾つかあるのですが・・・(;^ω^)
結局のところ、全長:全幅が共に少し(1mm位)寸詰まり気味なのが影響して、72.55: 72.54(135.5mm:155.5mm) となっているので、前述いたしました胴体の高さの影響もあって、残念ながら後部胴体の背中のラインや、機首下面の反り上がりのなだらかさが不足しているように感じられてしまいます。
しかしながら、主翼前縁付け根のラインは捻り下げこそ再現されていないものの、ちゃんと張り出しが小さい 初期型(P-51B/C まで) のものになっていますので、あまり細かい事に拘らずに雰囲気を楽しむつもりであれば充分楽しめるキットだろうと思いますし、価格が納得できるのであれば、イタレリを直すよりは楽だろうと思います。
それでも機首下面の反り上がりぐらいは直したいという場合は、イタレリ 1/72 P-51 ムスタング を参照していただければ多少は参考になるのではないかと思います。
で、購入はしたのですが、眺めたり測ったり較べたりばかりで、まだ作製を開始していないので、申し訳ありませんが組み立てや細部の修正などの考証はできていません。
かといってキットデータのワンポイントだけでは書ききれない部分がありますので、取り敢えず Mini Guide としてup させていただいて、このあと、検証・修正・組立などが進みましたら順次書き足して、そのつど更新していきたいと思います。
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