「ひとつの大阪」というそうだ。大阪府と大阪市の再編を目指す橋下徹知事の構想で、大阪府も東京都のように市を無くして特別区制度にするプランらしい。

 どこかで聞いたことがある話だと思っていたら、前任の太田房江知事がお得意にしていた「大阪都構想」だった。橋下知事は以前、道州制を見すえて「府庁を解体する」と述べていたので、最初に聞いたときは少し意外だった。

 太田府政のときは、当時の磯村隆文大阪市長が唱えた「スーパー政令市構想」と対立し、府市でいざこざになり、首長間の感情論に終始した印象がある。府市は昔から仲が悪い。

 大阪府庁と大阪市役所の双方を担当記者として取材した経験があるが、大阪市の役人のなかには「府なんかなくても市だけでやっていける」とプライドを思っている人が多い。一方、大阪府庁のなかには「政令市を除いて考える」として大阪市のことを眼中に入れないという人も。

 大阪市と堺市は政令市として、都道府県並みの権限を持っていることから独自施策も多い。このため、大阪府は両市を除いた地域を施策対象地域にするということも少なくないのだ。

 大阪府と大阪市の再編は府庁と市役所の組織の存亡をかけたテーマでもある。議論の背景には、府と市の役人同士の主導権争いが潜んでいると思うことにしている。

 もちろん、橋下知事は「府も市も無くしてしまう」とも話しており、大阪市だけを無くそうと言っているわけではない。だが、底流に太田前知事の構想があるとなれば、大阪市は簡単には受け入れないだろう。

 一方の、大阪市の平松邦夫市長は先日、「大都市圏州」という新たな都市ビジョンを明らかにした。道州制への移行をみすえたうえで、大阪市は道州の傘下には入らず、独立しようという構想のようだ。

 橋下知事の提唱をきっかけに大阪府と大阪市の間で起きている論争は、大都市行政はどうあるべきかという大切な議論でもある。にもかかわらず、橋下知事や平松市長以外に、この話題を取り上げる人は極めて少ない。

 もっと、住民団体や研究者、経済界などから次々と私案が出た方が建設的になるのに、と思っているが、議論はまだまだ低調だ。

 弁護士でタレント経験も豊富な橋下知事と民放アナウンサー出身の平松邦夫大阪市長は、ともにしゃべることを生業にしてきた人たち。2人の応酬は見ている分には面白い。ただ、2人の提案する二者択一だけで将来を選ぶ気もしないからだ。    (河居貴司)

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