日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"from 1959" ショローCLUB

地底レコードの新作は、初老倶楽部というバンド名で、1959年生まれの偉人3人が組んだバンドと言うことのようです。
その偉人が、芳垣、大友、不破で、邦人ジャズを聴いているものとしては相当なインパクトを感じる面々が組んだバンドということになります。
こういう組み合わせができるんだ!! てなもんです。
2016年に関西で数回だけライブを行ったようで、これは、名古屋でのライブ収録。
ここでは、Rovoの山本精一がゲストに入って4曲で客演(うち2曲は歌も)している。

メンツは以下の通り。
芳垣安洋(Ds)、大友良英(G)、不破大輔(B)
Guest 山本精一(Vo,G)

演奏曲は、有名曲3つに、不破オリジナル、大友オリジナルに、即興が1曲という構成。
1. Lonely Woman
2. ラジオのように
3. session -2016- 
4. First Song
5. ひこうき 
6. SORA


芳垣安洋の低音感強め重厚な太鼓、きらびやかに散りばめられたシンバル。
不破大輔の延々と鳴り続ける地響きのようなベースとが織り成す、強力無比な、怒涛の、という形容がぴったりのリズム。
このリズムだけ聴けても満足度が充分に高い。
それなのに、この凄さに輪をかけて凄いサウンドを繰り出す御仁が参加していると言う…。

大友良英のギターが、いかにも大友サウンドと言いたい特徴的なノイジーで破壊的なサウンドをこれでもかと繰り出す。
もの凄い作品が出たもんだと、驚くことしきり。

ゲストの山本精一 のギターは、すべての曲で入るわけではないが右側に配され、大友が旋律を弾くと即興に、即興になるとバッキングにと、良い塩梅で演奏の骨格形成に貢献している。
ゲストだけどゲスト扱いされていないような演奏。
もっとも、後半2曲で歌を披露することで、前面には出てくるが。

そして、選曲の良さも、特筆できるところで、特に前半の即興を挟んでのアバンギャルドの代表曲と言いたいような3曲。

これを、大御所3人の演奏で聴ける多幸感。
その中でも前面で暴れまわる大友のギターに萌える。
間に入る即興も、強烈なリズムを背景にした2ギターによるロックなフリージャズバトル然としてて、ものすごく格好良い。
んー、どうしてもボーカルの入る最後の2曲に、聴き劣りを感じてしまうのは、個人的嗜好として仕方のないところなんでしょう。

ベストは、即興の3曲めでしょう。


"from 1959" ショローCLUB(https://www.amazon.co.jp/dp/B071NW82NX/)

明田川、片山 デュオ (20170715)

明田川さんのライブは、毎年演っているはずですが、これまではタイミングが合わずに見れずじまい。
ようやく、赴くことができました。
19:30ちょっと前に来店、1番目でした。明田川さんは入口そばに座って静かにしてて、片山さんはカウンターで焼酎?

ステージは、最近多かったピアノを左まで引き出すセッティングではなく、定位置から少し前に出す程度。

定刻10分程度遅れて開演。開演時で5〜6人の聴衆?
冒頭、体調を崩していて、指が動かないかもしれないとおっしゃってから演奏を開始。
のっけからどうなっちゃうんだと心配してしまつたが。
蓋を開けてみれば完全にマイペースに、明田川さんのピアノが勝手にずんずん突き進んでっちゃって片山さん置いてけぼり状態w。

体調からか打鍵の力感はあまりないが、強く打ちたい場面は高頻度に立ち上がって弾き、座ってる間はダンパーペダルを多用して音の厚みを出すようにと細やかな技を使いながら。
さらに、手のひら、肘、尻と多様な部位を駆使し、演奏の途中で鍵盤を超えて右側に飛び出し叫ぶと荒技まで繰り出しての大熱演。
多分、思ったほど体調の悪化が見られず、指が多少なりとも動くことに喜んでのご乱心だったんじゃないかと推察。
逆に片山さんは体調万全、一時期の不調が嘘のようなほど健康そうに見えたが、演奏は完全に主導権を奪われて.。

基本はジャズのスタンダード、有名曲を元にしているが気の向くまま風の吹くままに、あっちに寄り道、こっちで道草、あそこで休憩、向こうで暴れて、といった感じに演奏が進んでいく。

1stセットでは明田川さんの気ままな演奏に半分呆れながら、伴奏的にモチーフを入れ込む片山さんという構図で、途中オカリナ演奏も披露。
曲が終わりそうになってもそのまま同じ曲に固執したり、おもむろに次の曲を始めたりと、明田川さんのペース。
たしか、My Foolish Heart に、心のこり(細川たかし)を混ぜたところから壊れ始めたんじゃないかとw

2ndセットは、明田川さんのソロからスタート。
2曲めから片山さんが入るが、明田川さん爆裂の壊れた演奏になる場面しばし、聴衆爆笑、片山さん唖然としてたり、呆れてたりと、まぁ、いろんな意味で凄い演奏を楽しませてもらいました。

両セットとも、客に拍手をさせるいとまを与えないほど、(良い意味で)だらだらと演奏が続いて、1stセット ほぼきっちり1時間、2ndセットは50分程度。アンコールはなしだったが、いろんな意味で充実したライブてありました。

"グッバイブルー" 小田朋美

小田朋美さんの2枚めのリーダー作。1枚めは、
 "シャーマン狩り" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63273496.html)
という菊地成孔共同プロデュースの作品でした。
デビュー作で、音楽の内容で攻める人にしては過激なジャケではありますねw

このあと、
 dcprgの “フランツ・カフカのサウスアメリカ" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63222765.html)
 CRCK/LCKSの “CRCK/LCKS” (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63750539.html) 
 石若駿の”Songbook” (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64021298.html)
 NHORHM "NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63504218.html)の1曲
等々と、ボーカリスト、キーボーディストとそれぞれの分野で完全に音楽家としての活動が軌道に乗っているようでなによりです。
で、CRCK/LCKSと、石若駿の次作を待っているのが現状という認識です。

メンツは、本人のピアノの弾き語りを基本に、チェロが数曲、コーラスが数曲というゲストが入ります。
角銅さんは、石若駿の”Songbook”でも歌ってます。
小田朋美(P,Vo)、関口将史(Cello)、角銅真実(Chorus他)

演奏曲は、3曲めが 三角みづ紀 の"隣人のいない部屋"って詩を基にした曲で、5曲めが宮沢賢治の作詞作曲。他は自身の作品という内訳。
1. Prelude
2. あおい風
3. 北へ
4. No.6
5. 星めぐりの歌
6. No.7
7. マリーアントワネットのうた
8. blue blue blue

1曲め、ピアノを伴奏に2声の詩でなく意味のないボイスによる小品。
2曲めもピアノだけの伴奏だが、こちらはちょっと矢野晶子な雰囲気を感じる曲ではあるが、聴き続けていると「ものんくる」にもありそうな気がしてくるポップで牧歌的な曲。
3曲めは、スガダイローが"雨ニモマケズ"("GOLDEN FISH"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63017476.html) )につけたメロディを彷彿とさせる美曲。
ただ、詩の内容が重くて、あまり好きではない。
迫真感ある歌い方もあって、結構ツラいめにあったんじゃないかと気になるくらい。

4曲め、6曲めが、ピアノとチェロのデュオによるアンサンブルな小品で、この2曲は歌は無し。
7曲めは、歌詞の主人公のOLをマリーアントワネットに重ねて、その不幸を嘆くような歌詞で、マリーアントワネットという名を出すのが菊地っぽいなと思ったが、全体に重い。

そもそもが、全体に重めの曲調に重めな歌詞のものが多く、ピアノの弾き語りという体裁が醸すもの哀しさみたいなものが漂っている上に、そのピアノが少しオフ気味の音で録られているために、より孤独感とか、寂しさを感じさせる作風。

それが3曲めで全体をさらに重く暗い雰囲気に引きずり込んでいるようで、聴いてるあいだ中ずっと結構ツラいめにあってたんじゃないかと気になってるような感じ。
歌と曲の良さは充分実感しているつもりだが、内容に共感できる(したい)ものでは残念ながら無いのでありました。
重いのは、あまり好きではないので...。

と、ここであらためて作詞作曲を確認すると、詩があるのが4曲でそのうちの2曲が本人以外が詩を書いているもので、思ったほど思い詰めている感じてもないのかもしれないと、おせっかいに安堵していたりw

この中では2曲めが好きです。

"グッバイブルー" 小田朋美 (http://tower.jp/item/4492033/)



ところで、こういろいろ聴いていると、日本の歌謡(歌唱)において、現在のジャズ業界が担う重用性と言うのをあらためて感じてまして..。
昨今の流行歌・・ニューミュージックの発展形とか歌謡曲の若向け進化形とか・・が、欧米の音楽からの影響を多大に受けていることを思われ、いわゆる伝統音楽(和楽とか雅楽)が流行歌に影響力を持っているとは言い難い状況であることを前提にすると..。
今作で、宮沢賢治作詞作曲の音楽が入り、スガダイローが"雨ニモマケズ"だったり"寿限無"を演ってたり、板橋文夫、中島さち子の選曲や、纐纈雅代の即興フレーズとかから感受される「和のテイスト」ってのが、今後重要になっていくんじゃないかと思っているんですが..。

竹村一哲ds×井上銘g×織原良次eb (20170609)

この3人のユニットは、No Trunksでだけ演奏していてこれが2回めのライブ。
前回も聴きたかったがタイミングあわず残念ながら見送ったので、今回はけっこう前から楽しみにしていたので2週連続のライブで翌日イベントがあるが参戦。

竹村一哲は、板橋トリオのレギュラードラマーで、ライブでもCDでも聴取頻度はかなり高い。
最近聴いたのは、板橋Gの"Alligator Dance 2016" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63979738.html)
織原良次は、橋爪トリオ、NHORHM、Tokyo Zawinul Bach等で、こちらもライブでもCDでも聴取頻度は高い。
近作は、橋爪Gの "Incomplete Voices" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64159819.html)
井上銘が、リーダー作は全部聴いてるし参加作もいくつかは聴いていますが、ライブは初。
自分でもちょっと驚いている。
そういえば、板橋トリオのベーシストが先週、ドラマーが今週ということですね。

舞台は、左奥にドラム、その手前にギター、ベースは右だが扉を邪魔しない程度に内側に立つ。

定刻から10分程度遅れて開演、1stセットが1時間弱、2ndセットが45分+アンコールくらいだったか、聴衆は最終的に25人にはなっていたと思う。

演奏曲は、スタンダード、ジャズメンオリジナルを中心にしたもので、Ron Carter、Bud Powell、Thelonious Monkに、Pat Methenyといったラインナップに、織原さんのオリジナルが数曲入ってました。
3人が持ち寄った曲から選んだんだそうだが、織原だけ自分のオリジナルばかり持ってきたということらしいw

ギターは足元の機材多めで、そう派手では無いがコンテンポラリ系からロックでも通用しそうな音色。
演奏中も、こまめに足でスイッチを操作し(激変はさせないが)音色、エフェクトの変化を加えていく。
ベースは、過去に聴いてた織原サウンドよりは明快なフレーズと聴いたが、これは井上のサウンドスタイルに合わせている感じか。
ドラムも、ダイナミックでありながら、全体の雰囲気に合わせるように繊細かつ微妙に調整したドラミングを聴かせ、巧さを見せる。

このメンツだと、8ビート中心のロック調の演奏を予想していたが、実際は前述の通り、4ビート基調のビバップ、ハードバップな曲が中心で、フレーズを含めて音の肌触りはコンテンポラリと言えるもの頻出だが、これらの曲との融合具合が想像以上に良くて、若いギタートリオが古いジャズの曲を演るときの好適なスタイルと言えるんじゃないかと思うくらい。
非常に満足度の高い至福のときを過ごさせてもらいました。
アンコールは、井上がこれ演りたいと言ってたと思うが、Mistyで終演。

翌朝、ツイッター眺めてたら、井上が、「今日のノートランクス楽しかった〜!オリさん一哲くんとまた早くやりたい!」なんて書いてて、多忙な3者だが、またこの3人でのライブは楽しめそう。

橋爪亮督 "Incomplete Voices"

橋爪さんのレギュラーグループでのアルバムはこれが4枚めですが、間にライブ盤が2枚入るのでスタジオ作としては2枚めです。
ライブ盤が2枚続いたのは、最初のアルバムが好評だったため、同じ公演の残りのテイクもアルバムにしてリリースしたから。
ただし、その2枚めのライブ盤("Side Two")は限定ルート(通販とライブ会場のみ)での販売でした。
 "Acoustic Fluid" (http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/61341299.html)
 "VISIBLE/INVISIBLE"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62341930.html)
 "Side Two"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62988540.html)

最初のアルバムでは、ピアノの佐藤浩一が3曲参加のゲスト的扱いでしたが、ライブ盤も本作でも完全にレギュラーとして全面参加になってます。個人的には良いニュースです。
というメンツは以下の通り。
橋爪亮督(Ts,Ss)、市野元彦(G)、佐藤浩一(P)、織原良次(B)、橋本学(Ds)


演奏曲はすべて、橋爪亮督オリジナルの全部で8曲。
01. Still
02. One Time Dream
03. Synesthesia
04. Song Unknown
05. Line
06. 初月
07. 4-18
08. July

ピアノによるパルス音のようなフレーズを根底に置き、ピアノ、ベース、ドラムによるドラマチックに伴奏的なリズム。
そこにおもむろにサックスが絡み、ワンフレーズ後からさらにギターが印象的なフレーズを入れてくる展開の1曲め。
後半のいかにも佐藤というソロがまた素晴らしい。

橋爪らしいしっかりと抑制を効かせクールでありながらメラメラと青い炎を感じさせるサウンドはそのままに、印象としてはこれまでの作品より温度感高め、抽象画的な雰囲気希薄でビートも分かりやすい、とっつきの良い作風。
後述とおり中盤では、そういう意味では抽象画的な展開に変化していく。

3曲めの市野のソロとかとっても素晴らしいが、この盤での白眉は佐藤のピアノで、多くの曲で曲の核的な役回りを担い、バッキングでの印象的な節回しもさることながら、其処此処で披露されるソロの素晴らしさ。
登場するたび聴き惚れてるような感じ。

このバンドの美しさの妙は、なんといっても橋爪、市野、佐藤のフロント3者による重合的アンサンブルにあるのは自明で、2者、3者の音の重なり合いがなんとも美しい風景を描き出す。
そういう意味では、このアルバムでは3〜5曲めのサウンドテクスチャがバンドの真骨頂とも言えるのだが、曲調としてちょっと重めなので好みはわかれるでしょう。

ということで、ベストは8曲めの強烈美しい曲にします。

橋爪亮督 "Incomplete Voices" (https://www.amazon.co.jp/dp/B06WWD4256/)

南博、瀬尾高志 デュオ (20170602)

南さんが、No Trunksに出演するのは、たぶん9年ぶりで、9年前は、BOZOでのもので、2008年7月だったと思います。
 "BOZO (20080712)" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/54056703.html)

これ以来、ふっつりとライブに出演することがなくなっていました。
もっとも、この頃人気は高くCDもコンスタントにリリースされていました。下記は、ピアノトリオ3部作。
 "Body & Soul" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/60753730.html)
 "Girl Next Door" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/59330932.html)
 "Like Someone In Love" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/53426957.html)
ライブも、Pit Innとか、代官山とか下北沢等々、コンスタントに出演していたと思いますが、なかなか見にいけず。

CDの最近作は、THE MODERN TRIO名義での
 "Fox Wedding" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63347042.html)



ほぼ定刻の20時に開演。

ピアノの前の椅子に座った途端にポロンポロンとピアノを弾き始め、そこにベースが絡むとすぐにテーマに移るという小気味良い進行。
演奏曲は、ジャズメンオリジナル、スタンダードを中心にした4ビート主体。

南さんの粒立ちが良くコロコロとよく歌うフレーズに、絶妙にアウトした音を混ぜ込んだ演奏で、ピアノをしっかりと鳴らしきるいかにも南節炸裂といった感じのピアノが、たまらない。
個人的に、このピアノはやっぱり好きだと再認識しました。
ここのところCDでも南さんの演奏聴いてないなと反省。

瀬尾君の、ゴリゴリとした硬質な演奏は、ほとんどスピリチャルな展開には振らず、オーソドックスな演奏の範疇でガッツリとした主張を繰り広げる。


最近定番となっているピアノを左側まで移動したステージセッテイングで、ベースは少しだけ拡声していたとおもうがほぼ生音で聴かせる。

1stセットがちょうど1時間くらい、2ndセットが40分くらい。アンコールにも答えてくれ、大満足なライブでありました。

聴衆が残念ながら少なめでしたが、濃密な時間を過ごせました。

"Pianium" m.s.t.

ここのところ楽しみにしているという感じで、安価なミニアルバムがリリースされると無条件購入をしていまして、おおむねタワー限定リリースのアルバムなんですが、なかなかクオリティの高い演奏を聴かせてくれてて面白い。
本作もその一環で見つけ、無条件に買いを決めたアルバム。

m.s.t.としてはピアノとベースの2人組のユニットのようだが、本作では全曲でドラムが入り、2曲では弦楽器他が入る豪華な布陣。
これがメジャー初リリース、自主制作を入れると3枚めのアルバムのよう。

持山翔子(P)、小山尚希(B)
山内洋一朗(Ds)
佐藤芳明(Acc:4)
銘苅麻野(Vln:3,4)、雨宮麻未子(Vln:3,4)、河村泉(Viola:3,4)、村田順平(Cello:3,4)

演奏曲は、持山のオリジナルが3曲(1,4,5)、小山のオリジナルが1曲に、有名曲で全部で5曲。
1. Alive
2. Waltz For Debby
3. 朝靄
4. 夢
5. Pianium

m.s.t.というユニットとしては、ピアノとベースのデュオではあるが、ここでは前述のクレジットの通り全曲でドラムが入り、2曲はさらに豪華な面容となる。

1曲めは、バスドラムが一定のビートを叩く上での、ピアノの主旋律とベースの合いの手のような低音で演奏される2ビートかと思わせるような曲。
ベースソロはアルコで、ピアノソロはあまり高速(昨今の流行は女性の早弾きだw)にならず表情豊かな演奏を聴かせる。
ドラム先導ではあるがドラムがあまり派手に立ち回らずにリズムキープだけと考えれば、それで脇役とも言えそうだが、最後はドラムソロで終わる。

2曲めが有名曲で、最初のテーマをピアノだけで演奏し左手の伴奏がベースに入れ替わるというアレンジで、Bill Evansの演奏との違いを明確に表す。
ドラムが入って本編という感じになるが、あまりスウィンギーに演奏せず、流暢さを前面に出し抑揚を抑えたような演奏で、Bill Evansの演奏に馴染んでいるとちょっと単調に聴こえるか。
しかし、この有名曲に挑戦する意欲は買わないといけないでしょう。

3曲めで弦楽器を加え音の響きに厚みを持たせ変化をつけ、ベースソロもエレベで変化を見せる。
ここでも明瞭なビートを前面に出した演奏。
4曲めも同様に弦楽器が入る曲で、さらにアコーディオンが入りタンゴ調の曲調になる。

5曲めは流暢美麗でキラキラしたピアノのイントロから、ドラムが入ってくる展開。
ここでも2ビートかと思わせるくらい明瞭なビートを基調にしている。

リズムは明瞭でしっかりしているが、タッチだったり音圧だったりがあまり強く出るサウンドには持っていかない。
ピアノの持山翔子(http://profile.ameba.jp/shoko-mochiyama/)が、作曲家、ライブサポートで、かなり重用されている人材のようで、そういう耳で聴くと、たとえばニュース番組のオープニングに採用されてそうな感じ。

そもそもが2人のユニットであることと5曲だけという凝縮したアルバムなので、ドラムが客演するのは許容するにしても、本来的には弦楽器他ゲストの入った曲を1曲にして、2人だけでの演奏を入れるべきではなかったかとも思うんですが、このユニットの定常活動形態がゲスト多用であるならこれで良いんですがどうなんでしょう。

ベストは5曲めにしましょう。

"Pianium" m.s.t. (http://tower.jp/item/4472984?kid=psg03)

仮BAND "仮音源"

仮BANDは、Baby Metalのバックバンドでありまして、Baby Metal人気とともに注目されてきているようです。
もっとも、バックバンドとしてはスケジュールの都合等でメンバーは入れ替わっているようですが..

本作は、そんなバンドメンバーが作ったインストアルバムという位置づけで、たぶんBaby Metalでの演奏の凄さが話題になっていたからなんでしょう。

Jazz-Fusionのカテゴリにあったので目について、値段がそこそこ手ごろだったのと、クーポンがあったのとで聴いてみるかと思った次第。
ちなみに、仮BANDがBaby Metalのバックバンドであることを知っていたのは、桑原あいが客演しているという情報を知ったことから。

メンツは中心メンバーが3人で、それにゲストが入ってくる。上述の桑原あいも客演してます。
Mikio Fujioka(G)、BOH(B)、Yuya Maeta(Ds)
Yoshihiro Tsujimoto(Sax:1)、Yuya Tanase(Tb:1)、Yosuke Kobayashi(Tp:1)
Tatsuya Nishiwaki)Key:2)
ISAO(G:4)
Ai Kuwabara(P:5)

演奏曲は、仮BAND名義の全部オリジナル。
01. Common time's Logic
02. Chuku
03. 忍者Groove
04. Djentleman
05. Jamrika
06. Snowflakes

キーボードによる大仰なイントロからホーンアンサンブルが入って重厚感を盛り、象徴的なギターの音色が厳かな雰囲気を感じさせる。
かてて加えて、早いリズムにドロドロと言いたいような低音が拍車をかける、いかにもヘヴィメタというサウンド。

6曲入りのミニアルバムではあるが、立て続けにそんなサウンドが出てくる歌のない(歌謡曲じゃなくて)ヘヴィメタといった趣き。

全般的には、ヘヴィメタコーティングがされてて判りにくいが実はかなりの難曲が並んでいるよう。
だが、さすがにスタジオミュージシャンだけあって
きっちりしっかりした演奏を聴かせ、テクニック的に完璧な演奏ではあるが、テクニック偏重ではなく、また夾雑的暴力的なサウンドでもないので、日本のフュージョンが苦手な耳(自分のこと)にもあまり拒絶感なく聴けるサウンドにはなっている。

5曲めでは、ピアノソロギターソロと続くが、ピアノソロをそつなく聴かせ(自分は桑原のピアノがあまり好きではないようです。)、ギターソロはロック色濃厚と、腐れジャズもの(自分のこと)はこの辺でも唸らせる感じではない。

Baby Metal好きのジャズファンってのが、周囲に少なからずいるようなのだが、この演奏から少なからずなんらかの納得する要素を感じている気はしてはいるかな。

ベストは4曲めです。


仮BAND "仮音源" (https://www.amazon.co.jp/dp/B06X9XDRJK/)

永武幹子、吉良創太 独壇場+ (20170415)

年に何回か、月曜日の21時から「独壇場」というタイトルでライブを行っており、おもに若手奏者を主役にソロだったり、デュオだったりとライブを行っています。
月曜なので基本的には行けない(行かない)のですが、見たいライブがあったときは、翌日休みがとれたら赴くという程度で、これまで4回見てるはず。
うち3回は記事にしてます。3〜4年に1回程度ですね(汗) 1回めは誰を見たんだろう..(忘却)
 スガダイロー (http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/58145579.html)
 石田幹雄 (http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/61366288.html)
 纐纈雅代、原田依幸 (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63727748.html)


今回から、纐纈さんにかわって、永武さんが独壇場に登場です。
その1回目は、ドラムの吉良さんとのデュオ。

吉良さんは、notrunks初登場だそう。
永武さんも、ドラムとのデュオは初とのこと。(パーカッションとのデュオは演っているそうだが..)


ピアノを定位置から左に移動して、ピアノの位置にドラムを配するセッテイング。
最近、ノートラでピアノ入りの小編成を聴いていないから知らなかったが、最近はこのピアノの置き方が多いらしい。
実際、ピアノが良く鳴っていたような気がする。


ライブは、永武さんが普段あまりやることのないらしいフリーインプロから。

永武さんのピアノの、左手でガンガン叩ききる低音が圧巻。
特に小指から繰り出す最低音の迫力がもの凄い。 思わず、どんな小指なんだ⁉︎と、触らせてもらおうかと(嘘)
全体にも、強タッチでありながらよく歌うスタイルが素晴らしい。
そんな弾きまくりの演奏から、ストライドとかオールドスタイルの演奏をすると合いそうだなぁとか思いながら聞き惚れてました。

吉良さんのドラムは、ブラシ、マレット、スティックをこまめに持ち替え、曲の展開に合わせ、合わさせ、微妙にサウンドコントロールしていたのが印象的。

演奏曲は、この後、トラディショナル、カーラブレイ、青の洞窟、if I were a bell、エリントンというセットだつたと記憶。
曲調としては緩急織り交ぜた構成だったが、演奏は全体にアグレッシブな展開で、そのアグレッシブな演奏の凄さにやられた感じ。
特にif I were a bellで、ベルの4音の後、しばらく激しいフリーインプロが続き、早めのテンポのテーマになだれ込むというアレンジが、こう来たかー!って感じで面白かった。

最後、アンコールにも答えてくれて、1時間弱のライブ終了。

月曜の夜ってことでお客さんは少なく、4人だったが、とっても濃い良い演奏を堪能させてもらいました。

次回独壇場は、8月に開催予定とのこと。
その8月に、トリオ、ヤムヤムズも予定されていて、高頻度に登場だそうです。

"Night & Day" 松本茜

松本茜さんのリーダー作を聴くのはこれが2作め。
最初は、2015年秋頃リリースの"Memories Of You" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63396546.html)で、メンツは本作と同じく Peter Washington、Gene Jackson というもので、帯上"ニューヨークトリオ"と記載されているが、レギュラートリオなのか!?
日本人でのレギュラートリオってのがあるか不明ですが、さらっと見た感じ、数回演ってる本作のリリースライブは固定の3人ではなさそう。

ライブは2回見ているが、なぜかトリオでは聴いていない。
 DUO (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62249717.html)
 SOLO (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63744017.html)

しかし、これだけのメンツを揃えて2枚のアルバム(録音は別時期、1録音2枚作成ではない)をリリースしているのは、3人の相性が良かったということなんでしょう。
Akane Matsumoto(P)、Peter Washington(B)、Gene Jackson(Ds)

曲は、Cole Porter, Irving Berlin, Oscar Peterson, Billy Strayhorn等々の有名曲6曲に、浜崎航に、本人のオリジナルで全部で8曲。
01. Night & Day
02. They say it's wonderful
03. PlaceStHenri
04. LotusBlossom
05. But beautiful
06. Miss sunshine
07. Beyond the bluebird
08. Quiet rain

ピアノトリオフォーマットの王道とも言える典型的ストレートアヘッドなスタイルで4ビートの演奏をしているなぁというのが第一印象。

前作同様、小気味よくころころと聴かせるピアノから、アグレッシブで早いフレーズまで幅広く聴かせるが、本作ではガツガツと弾き倒すような演奏は控えめに、曲によるタッチの強さの変化をあまり出していない印象。
その分、Peter Washingtonのベースソロをたっぷりと聴かせ、Gene Jacksonのドラミングの妙に焦点をあててと、全体の配分をしっかり考慮した演奏を意識しているのかなと感じられる。
選曲も、アップテンポの曲よりスローなバラード曲より、ミドルテンポでスウィンギーに聴かせる曲が多く、しっかりとかつ流暢に演奏を安心感たっぷりに聴かせていく。

最後がオリジナルで、後半のトリオ演奏のゆったりした雰囲気と余韻たっぷりのエンディングも捨てがたいが、前半のしっとりとしたソロが素晴らしい。

ベストは、その最後の曲にしましょう。

"Night & Day" 松本茜 (https://www.amazon.co.jp/dp/B06WD7X6KN/)
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