日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

DUB(ドクトル梅津バンド)(20170818)

ドクトル梅津バンドを見るのは、2011年5月(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/60521667.html)、2016年4月(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63660071.html)以来の3回め。
毎回、きっちり見れてるわけではありませんが、高頻度で見てるとは思います。

この4人が揃うのは年1〜2回とのことで、今年はたしか梅津さんが新宿Pit Innでやってるプチ大仕事でも
1回やっていたと記憶しているが..。

ドクトル梅津バンドは1981年結成なので今年で結成36周年、1987に解散しているので解散29周年。
現在の活動で新曲が出てくることもないので、活動中というよりは再開セッションという位置づけになるよう。
それでも、このメンツでの演奏を聴けるのはかなり貴重な機会だと思います。
40人限定の事前予約制で、予約でいっぱいになってたので、この演奏を聴きたい面々はかなりいるということです。

メンツは以下の通り。
ドクトル梅津バンド=DUB=梅津和時(As)、片山広明(Ts)、早川岳晴(B)、菊地隆(Ds)

19:20頃お店に赴いたところ、7〜8人がお店の前に並んでまして、風が通らない場所で蒸し暑いなと思ってたら、開場が5分早まりました。
ちょうど、入り口横の最前列が空いてたんで、そこに着席。この席でライブを見るのは初めてかも。

1stセットは定刻のほぼ10分遅れ。2ndセットは21:20頃から。
向かって左手前が片山さん、奥が菊地さん、中央奥に早川さん、右手前が梅津さんという立ち位置。
梅津さんは、山高帽に赤フレームのメガネ(レンズなし)、菊地さんは黒い布頭巻き、早川さんは赤い布頭巻きといういで立ち。

過去に2回見ているだけあって、おおよその展開は見知っていた(当然、忘却してるんで、「あぁ、こんなんあった!!」と思い出し続ける)わけではあるが..。
アレンジとか、余興とか、寸劇調だったりと、大枠は変わりのないもの、その場の勢いと気分でいろんなことがはじまるんで、聴き入り、笑ってと、見ていて飽きない。
当時のノリがそのままななんじゃないかと邪推したが、実際のところどうなんでしょう。

菊地さんの叩き出す強烈なビートにのっかって、早川さんのうねるベースが、迫力のロックなリズムを背景に2サックスの掛け合いが繰り広げられるというのは、なんだかんだ圧巻のサウンドでありました。
梅津さんは、アルト、ソプラノ、クラリネットの3本を従え、ときに2本くわえての大熱演。
片山さんだけが、早いフレーズについていけない。ブローが続かないとか、年齢を感じさせていたか。
最近聴いた中では相当頑張っていたとは思いますが..。
そういう意味では、梅津さんが驚異的な体力、肺活量の持ち主であるってことなんだとは思います。
片山66、梅津67、早川63、菊地?? ・・・ しかし、皆さんお若い!!

アンコールにも応えてくれて、1stセット1時間弱、2ndセット1時間強くらいの濃密な演奏を至近でたっぷりと味合わせてもらいました。

中央線ジャズを勝手な解釈で、ロックビートのうえで演歌フレーバー過多なフリージャズを演るジャズと思ってるんですが、ドクトル梅津バンドはまさにこの直球ど真ん中のバンドの1つであること間違いないです。

さすがに客層は高め。見た目の偏見から、たぶん忌野清志郎関連からのファンの人が多いんだと思います。

来年もライブを演る宣言をしてくれたので、それを楽しみに待ちたいと思います。

Brilliant Monkies "Brilliant Monkies"

日本の若手ミュージシャンによる「モンク生誕100周年記念プロジェクト」での特別ユニット。
とはいえ、普段よく一緒に演ってる面々が顔を揃えているだけのような気もするが..。

かく言うメンツは、須川、石若は言わずもがなの引く手数多のベースとドラム。
西口はMegapterasのアルバム "Full Throttle"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64089086.html)で。
Aaron Choulaiは、吉本章紘のリーダー作 "Moving Color"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63339524.html)で、聴いている。特にAaron Choulaiは上記アルバムでしっかり名前を覚えたくらいのインパクトがあった。
広瀬、吉峯は初聴きのよう。

西口明宏(Ts,Ss)、広瀬未来(Tp)、石若駿(Ds)、Aaron Choulai(P)、須川崇志(B)、吉峯勇二郎(B)

演奏曲は、プロジェクトのとおり、Thelonius Monkの曲だけ。
01 Little Rootie Tootie
02 Round Midnight
03 Friday 13th
04 Eronel
05 Brilliant Corners
06 In Walked Bud
07 Theophilos
08 Panonica
09 Straight No Chaser

Thelonius Monkの有名曲を、日本の若手ミュージシャンがどれだけ新鮮に聴かせるか。
お馴染みの曲にどれだけ新しい魅力を盛り込めるかが、聴きどころでしょう。

ほぼ違和感のないテンポで、おおむねきっちりと4ビートを刻む、オーソドクスなスタイル。
という意味では、ストレートアヘッドでまっとうなジャズと言えそうだが、その演奏自体はけっこうブッ飛んでて、フレーズを変なふうにアウトさせ、フリー調な即興演奏を交えながら、それでいて元曲の雰囲気を壊していないところが素晴らしい。
Thelonius Monkの曲の雰囲気を強調したような作風に仕上げているとも言えそう。

須川、吉峯のツインベースが付かず離れずの間合いでウォーキングを決めて、リズムの厚みを出す場面。これが強力なグルーブを生み出しているのが格好良い。

Aaron Choulaiの繰り出すフレーズが、ちょっと独特な節回しでありながら、それでいて格好良い、面白いと思わせるもので、これが個人的には楽しくて..。
リーダー作は、近々リリースされる(https://www.amazon.co.jp/dp/B073XKDNKF/)ようだが、実は
生でも見れてない。

西口、広瀬の2管がフロントでありながら、あまり派手な立ち回りをしていない印象で、凡庸な演奏で物足りないと言いたくなるが。
実は元曲を冷静かつ忠実に再現しているのはこの両者の抑制を利かせた演奏があるが故で、個性の強い他の面々の良さを引き出すべく、理性をなくさずきっちりと演奏しているのが、このユニットの成功要因ではないかと勘ぐる。

ベストは1曲めでしょう。

Brilliant Monkies "Brilliant Monkies" (https://www.amazon.co.jp/dp/B072J1MPJ3/)

けもの "めたもるシティ"

「けもの」というユニットは「青羊(あめ)」さん1人でのユニット名で、過去に1枚アルバムが出ています。
 "LE KEMONO INTOXIQUE"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63238654.html)

前作も菊地成孔がプロデュースをし、ジャズ系ミュージシャンが演奏をするというスタイルは不変です。
で、そのミュージシャンがそうそうたるもので、以下の布陣。
坪口、石若と並ぶだけで、個人的には...^^

青羊(Vo)、坪口昌恭(P)、塚本功(G)、トオイダイスケ(B)、石若駿(Ds)
菊地成孔(Vo:2,7,10 Sax:3,10)、Niran Daisuke(Tp:1,3,4,10)
Strings - NHK交響楽団団員数名含(8,9)

演奏曲は以下の通り。8曲が青羊作詞作曲、7曲めが詩菊地曲トオイ、10曲めがIsobel Beadshawという布陣。

01 オレンジのライト、夜のドライブ
02 第六感コンピューター
03 PEACH
04 C.S.C.
05 フィッシュ京子ちゃんのテーマB (めたもVer.)
06 めたもるセブン
07 tO→Kio (トーキオ)
08 伊勢丹中心世界
09 River
10 Someone That Loves You
11 第六感コンピューター (カラオケVer.)

2曲めと、早々に菊地氏がボーカルで絡むこともあって、どことなく Spank Happy を彷彿とさせる印象を持つ。

陽性な曲調、オンタイムなドラムに跳ねるようなエレベ、とちょっと古臭さを感じるようないかにもな音作りに、イヴ・サンローラン、チョコレート、ブランド服、伊勢丹、フランス語、ちょっと変な言い回し、と菊地固有の独特な歌詞が乗る。

1曲め、4曲めの世界観は、濃度濃いめにユーミンですな。
と気づき、そんなことを気にしつつ聴いていると、他にも濃度の程度はあるがそこはかとなくユーミンを漂わせている曲はいくつかありそう。

8曲めの伊勢丹の大正時代感のあるベタな曲も菊地らしい。
前述の音作りのイメージとを鑑みると、ユーミン全盛の頃のサウンドを目指したんじゃないかという勘繰りが湧いてくる。
正直なところ、青羊さんの声って個人的にはあまり好きな声音ではないんですが、(ユーミン刷り込みが強いのか)自分が心地良く聴けるテンションの曲、曲調が多めなので、気持ち良くけっこうな頻度で聴かせてもらってます。

5曲めは、前作の5曲めと同じ曲のバージョン違いでした。


ベストは、1曲めで

けもの "めたもるシティ"(https://www.amazon.co.jp/dp/B06XL17SPV/)

"世界はここにしかないって上手に言って" ものんくる

ものんくるは菊地成孔プロデュースってんで買ったのがなれそめで、演奏(というかアレンジ)を面白がって聴いてたんですが、2013年12月の国立パワージャズ(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62322629.html)で生ものんくるを経験してから、ボーカルの吉田沙良さんが妙に印象深くて1つ前のマイナー盤を買ってます。
さらにもう1つ前に自主製作盤があるんですがそちらは入手していません。買っときゃよかったかなぁ...

 "SARA"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62448433.html)
 "飛ぶものたち、這うものたち、歌うものたち"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62039921.html)
 "南へ"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62945770.html)

メンツは、前作までは大所帯のバンドだったんですが、本作から、吉田沙良、角田隆太の2人のユニットになったとのこと

前作までのメンツが以下の通り。
吉田沙良(Vo)、角田隆太(B)、瀬田創太(P)、西村匠平(Ds)
小林豊美(Fl)、石川広行(Tp)、平山順子(As)、小西遼(As,Ss)、上杉優(Tb)

本作は、2人のメンバーにサポートメンバーが入る内訳で、全部ではないですが主要なところでは以下のような布陣。
最近の若手ジャズミュージシャンの良いところを集めてきている感じで、演奏だけでも満足できそう。
吉田沙良(Vo)、角田隆太(B)
石若駿(Ds:1,4,7)、宮川純(P:1-6,10,11)、井上銘(G:2,3,9)、大儀見元(Per:2)、伊吹文裕(Ds:2,3,6,9,11)
、乾修一郎(G:4,6,10)、
黒田卓也(Tp:4,5)、桑原あい(P:7)、菊地成孔(Ts:1)

演奏曲は、すべてオリジナルでしょう。
1. Driving Out Of Town
2. 空想飛行
3. SUNNYSIDE
4. 花火
5. Birthday Alone
6. ここにしかないって言って
7. 時止まる街
8. 二人
9. 透明なセイウチ
10. 最終列車 君を乗せて
11. the dawn will come

アルバムタイトルもそうだが、オンリーワンと解釈できる歌詞が多めな印象。
サウンドとしては、ストリングスを多用して、前作までと比べて全体にゴージャスな雰囲気になったか。
クレジットに書いた通り、若手注目株なミュージシャンが多用されているが、さすがにそれぞれ良い仕事してます。
うねるような複雑なビートの曲は石若、きっちりしたビートでノリの良さを叩き出すのは伊吹という使い分け。

1曲めの角田のうねるようなペースに、石若のビートが絡む格好良さ。
2曲め中程のさらっとこなしながら、ハッとさせられる井上のギターソロ。
はじけるビートのノリを崩さないようにしながら速いフレーズを弾ききる4曲め最後の宮川のソロの格好良さ。
7曲めの石若のエモーショナルなドラム、堂々とした桑原のピアノソロ。

角田のペースが、全ての基本になっているのは核メンバーなんで理解できるが、負けないくらい宮川のピアノが裏でのバッキングに表でのソロ、リフと良い仕事してて、侮れない。

曲調、歌詞ともにメローな雰囲気を漂わせるものもあるが、それらを含めて、吉田の歌唱がどことなくハッピーな雰囲気を漂わせていて、重さ、暗さを軽減しているように感じるのは新婚の強さかw

ベストは4曲めにしましょう。

"世界はここにしかないって上手に言って" ものんくる (https://www.amazon.co.jp/dp/B071CX8Q4T/)

CRCK/LCKS "Lighter"

CRCK/LCKSの2作めのアルバム。
前作は、約1年前にリリースされた↓
 "CRCK/LCKS"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63750539.html)

Saxの小西がリーダーの若手の敏腕ジャズミュージシャンが集まって結成したポップスのバンド。
若手とはいえ引く手数多と思われる面々が揃っているんで、これっきりで活動停滞かと思ってた割には、ちょこちょこライブも演っていたようだし、1年を経て2枚目のアルバムをリリースするに至ってちょっと驚いていたりもします。
正確には、前作も今作もミニアルバムかEPかという扱いになってまして、いずれも6曲入りでのリリースです。

メンツは、前作からベーシストがものんくるの角田隆太から越智 俊介に変わってます。
小田朋美(Vo,P)、石若駿(Ds)、越智俊介(B)、井上銘(G)、小西遼(Sax)

演奏曲は、小田が多めのようだが、メンバーのオリジナルだけということで良さそう。
1. Get Lighter
2. パパパ!
3. Non-Brake
4. すきなひと
5. エメラルド
6. 傀儡

1曲め、中盤のサビ部分での石若の高速ドラムとそれに続く井上のギターと格好良い。
2曲め、曲調がころころ変わる感じが楽しく、それに追従した石若の変幻自在なドラミングが素晴らしい。
3曲め、井上のギターのキレの良い演奏が全編にわたって裏に表に良い演奏を聴かせる。
6曲め、ミディアムスローテンポのラップのようなラブソング。中ほどの小西のEWIのような音でのソロがまた格好良い。


演奏としては、全体に新加入の越智のベースを中心にした音つくりというイメージで、それに小田のキーボードが絡み、井上のギターが彩をつけていくという感じか。
小田が高めの声を多用したボーカルを乗せることで、一気にポップな作品に仕上がってる感じ。

本作の聴きどころは、これは外せない石若のドラム。相変わらず、ノリの良さ、表現の多彩さ、変幻自在なドラミングと耳をどうしても持ってかれる。
それに、要所で印象的なフレーズを繰り出す井上のギターにも耳を惹きつけられる。
この2人ということになるんでしょう。

先日紹介の小田のアルバム(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64174949.html)が重い印象だったので、
本作の方が軽い感じで、心地良く聴けるか


ベストは、PV作られてる2曲めですかねぇ。

CRCK/LCKS "Lighter"(https://www.amazon.co.jp/dp/B071912341/)

"from 1959" ショローCLUB

地底レコードの新作は、初老倶楽部というバンド名で、1959年生まれの偉人3人が組んだバンドと言うことのようです。
その偉人が、芳垣、大友、不破で、邦人ジャズを聴いているものとしては相当なインパクトを感じる面々が組んだバンドということになります。
こういう組み合わせができるんだ!! てなもんです。
2016年に関西で数回だけライブを行ったようで、これは、名古屋でのライブ収録。
ここでは、Rovoの山本精一がゲストに入って4曲で客演(うち2曲は歌も)している。

メンツは以下の通り。
芳垣安洋(Ds)、大友良英(G)、不破大輔(B)
Guest 山本精一(Vo,G)

演奏曲は、有名曲3つに、不破オリジナル、大友オリジナルに、即興が1曲という構成。
1. Lonely Woman
2. ラジオのように
3. session -2016- 
4. First Song
5. ひこうき 
6. SORA


芳垣安洋の低音感強め重厚な太鼓、きらびやかに散りばめられたシンバル。
不破大輔の延々と鳴り続ける地響きのようなベースとが織り成す、強力無比な、怒涛の、という形容がぴったりのリズム。
このリズムだけ聴けても満足度が充分に高い。
それなのに、この凄さに輪をかけて凄いサウンドを繰り出す御仁が参加していると言う…。

大友良英のギターが、いかにも大友サウンドと言いたい特徴的なノイジーで破壊的なサウンドをこれでもかと繰り出す。
もの凄い作品が出たもんだと、驚くことしきり。

ゲストの山本精一 のギターは、すべての曲で入るわけではないが右側に配され、大友が旋律を弾くと即興に、即興になるとバッキングにと、良い塩梅で演奏の骨格形成に貢献している。
ゲストだけどゲスト扱いされていないような演奏。
もっとも、後半2曲で歌を披露することで、前面には出てくるが。

そして、選曲の良さも、特筆できるところで、特に前半の即興を挟んでのアバンギャルドの代表曲と言いたいような3曲。

これを、大御所3人の演奏で聴ける多幸感。
その中でも前面で暴れまわる大友のギターに萌える。
間に入る即興も、強烈なリズムを背景にした2ギターによるロックなフリージャズバトル然としてて、ものすごく格好良い。
んー、どうしてもボーカルの入る最後の2曲に、聴き劣りを感じてしまうのは、個人的嗜好として仕方のないところなんでしょう。

ベストは、即興の3曲めでしょう。


"from 1959" ショローCLUB(https://www.amazon.co.jp/dp/B071NW82NX/)

明田川、片山 デュオ (20170715)

明田川さんのライブは、毎年演っているはずですが、これまではタイミングが合わずに見れずじまい。
ようやく、赴くことができました。
19:30ちょっと前に来店、1番目でした。明田川さんは入口そばに座って静かにしてて、片山さんはカウンターで焼酎?

ステージは、最近多かったピアノを左まで引き出すセッティングではなく、定位置から少し前に出す程度。

定刻10分程度遅れて開演。開演時で5〜6人の聴衆?
冒頭、体調を崩していて、指が動かないかもしれないとおっしゃってから演奏を開始。
のっけからどうなっちゃうんだと心配してしまつたが。
蓋を開けてみれば完全にマイペースに、明田川さんのピアノが勝手にずんずん突き進んでっちゃって片山さん置いてけぼり状態w。

体調からか打鍵の力感はあまりないが、強く打ちたい場面は高頻度に立ち上がって弾き、座ってる間はダンパーペダルを多用して音の厚みを出すようにと細やかな技を使いながら。
さらに、手のひら、肘、尻と多様な部位を駆使し、演奏の途中で鍵盤を超えて右側に飛び出し叫ぶと荒技まで繰り出しての大熱演。
多分、思ったほど体調の悪化が見られず、指が多少なりとも動くことに喜んでのご乱心だったんじゃないかと推察。
逆に片山さんは体調万全、一時期の不調が嘘のようなほど健康そうに見えたが、演奏は完全に主導権を奪われて.。

基本はジャズのスタンダード、有名曲を元にしているが気の向くまま風の吹くままに、あっちに寄り道、こっちで道草、あそこで休憩、向こうで暴れて、といった感じに演奏が進んでいく。

1stセットでは明田川さんの気ままな演奏に半分呆れながら、伴奏的にモチーフを入れ込む片山さんという構図で、途中オカリナ演奏も披露。
曲が終わりそうになってもそのまま同じ曲に固執したり、おもむろに次の曲を始めたりと、明田川さんのペース。
たしか、My Foolish Heart に、心のこり(細川たかし)を混ぜたところから壊れ始めたんじゃないかとw

2ndセットは、明田川さんのソロからスタート。
2曲めから片山さんが入るが、明田川さん爆裂の壊れた演奏になる場面しばし、聴衆爆笑、片山さん唖然としてたり、呆れてたりと、まぁ、いろんな意味で凄い演奏を楽しませてもらいました。

両セットとも、客に拍手をさせるいとまを与えないほど、(良い意味で)だらだらと演奏が続いて、1stセット ほぼきっちり1時間、2ndセットは50分程度。アンコールはなしだったが、いろんな意味で充実したライブてありました。

"グッバイブルー" 小田朋美

小田朋美さんの2枚めのリーダー作。1枚めは、
 "シャーマン狩り" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63273496.html)
という菊地成孔共同プロデュースの作品でした。
デビュー作で、音楽の内容で攻める人にしては過激なジャケではありますねw

このあと、
 dcprgの “フランツ・カフカのサウスアメリカ" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63222765.html)
 CRCK/LCKSの “CRCK/LCKS” (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63750539.html) 
 石若駿の”Songbook” (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64021298.html)
 NHORHM "NEW HERITAGE OF REAL HEAVY METAL" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63504218.html)の1曲
等々と、ボーカリスト、キーボーディストとそれぞれの分野で完全に音楽家としての活動が軌道に乗っているようでなによりです。
で、CRCK/LCKSと、石若駿の次作を待っているのが現状という認識です。

メンツは、本人のピアノの弾き語りを基本に、チェロが数曲、コーラスが数曲というゲストが入ります。
角銅さんは、石若駿の”Songbook”でも歌ってます。
小田朋美(P,Vo)、関口将史(Cello)、角銅真実(Chorus他)

演奏曲は、3曲めが 三角みづ紀 の"隣人のいない部屋"って詩を基にした曲で、5曲めが宮沢賢治の作詞作曲。他は自身の作品という内訳。
1. Prelude
2. あおい風
3. 北へ
4. No.6
5. 星めぐりの歌
6. No.7
7. マリーアントワネットのうた
8. blue blue blue

1曲め、ピアノを伴奏に2声の詩でなく意味のないボイスによる小品。
2曲めもピアノだけの伴奏だが、こちらはちょっと矢野晶子な雰囲気を感じる曲ではあるが、聴き続けていると「ものんくる」にもありそうな気がしてくるポップで牧歌的な曲。
3曲めは、スガダイローが"雨ニモマケズ"("GOLDEN FISH"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63017476.html) )につけたメロディを彷彿とさせる美曲。
ただ、詩の内容が重くて、あまり好きではない。
迫真感ある歌い方もあって、結構ツラいめにあったんじゃないかと気になるくらい。

4曲め、6曲めが、ピアノとチェロのデュオによるアンサンブルな小品で、この2曲は歌は無し。
7曲めは、歌詞の主人公のOLをマリーアントワネットに重ねて、その不幸を嘆くような歌詞で、マリーアントワネットという名を出すのが菊地っぽいなと思ったが、全体に重い。

そもそもが、全体に重めの曲調に重めな歌詞のものが多く、ピアノの弾き語りという体裁が醸すもの哀しさみたいなものが漂っている上に、そのピアノが少しオフ気味の音で録られているために、より孤独感とか、寂しさを感じさせる作風。

それが3曲めで全体をさらに重く暗い雰囲気に引きずり込んでいるようで、聴いてるあいだ中ずっと結構ツラいめにあってたんじゃないかと気になってるような感じ。
歌と曲の良さは充分実感しているつもりだが、内容に共感できる(したい)ものでは残念ながら無いのでありました。
重いのは、あまり好きではないので...。

と、ここであらためて作詞作曲を確認すると、詩があるのが4曲でそのうちの2曲が本人以外が詩を書いているもので、思ったほど思い詰めている感じてもないのかもしれないと、おせっかいに安堵していたりw

この中では2曲めが好きです。

"グッバイブルー" 小田朋美 (http://tower.jp/item/4492033/)



ところで、こういろいろ聴いていると、日本の歌謡(歌唱)において、現在のジャズ業界が担う重用性と言うのをあらためて感じてまして..。
昨今の流行歌・・ニューミュージックの発展形とか歌謡曲の若向け進化形とか・・が、欧米の音楽からの影響を多大に受けていることを思われ、いわゆる伝統音楽(和楽とか雅楽)が流行歌に影響力を持っているとは言い難い状況であることを前提にすると..。
今作で、宮沢賢治作詞作曲の音楽が入り、スガダイローが"雨ニモマケズ"だったり"寿限無"を演ってたり、板橋文夫、中島さち子の選曲や、纐纈雅代の即興フレーズとかから感受される「和のテイスト」ってのが、今後重要になっていくんじゃないかと思っているんですが..。

竹村一哲ds×井上銘g×織原良次eb (20170609)

この3人のユニットは、No Trunksでだけ演奏していてこれが2回めのライブ。
前回も聴きたかったがタイミングあわず残念ながら見送ったので、今回はけっこう前から楽しみにしていたので2週連続のライブで翌日イベントがあるが参戦。

竹村一哲は、板橋トリオのレギュラードラマーで、ライブでもCDでも聴取頻度はかなり高い。
最近聴いたのは、板橋Gの"Alligator Dance 2016" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/63979738.html)
織原良次は、橋爪トリオ、NHORHM、Tokyo Zawinul Bach等で、こちらもライブでもCDでも聴取頻度は高い。
近作は、橋爪Gの "Incomplete Voices" (https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/64159819.html)
井上銘が、リーダー作は全部聴いてるし参加作もいくつかは聴いていますが、ライブは初。
自分でもちょっと驚いている。
そういえば、板橋トリオのベーシストが先週、ドラマーが今週ということですね。

舞台は、左奥にドラム、その手前にギター、ベースは右だが扉を邪魔しない程度に内側に立つ。

定刻から10分程度遅れて開演、1stセットが1時間弱、2ndセットが45分+アンコールくらいだったか、聴衆は最終的に25人にはなっていたと思う。

演奏曲は、スタンダード、ジャズメンオリジナルを中心にしたもので、Ron Carter、Bud Powell、Thelonious Monkに、Pat Methenyといったラインナップに、織原さんのオリジナルが数曲入ってました。
3人が持ち寄った曲から選んだんだそうだが、織原だけ自分のオリジナルばかり持ってきたということらしいw

ギターは足元の機材多めで、そう派手では無いがコンテンポラリ系からロックでも通用しそうな音色。
演奏中も、こまめに足でスイッチを操作し(激変はさせないが)音色、エフェクトの変化を加えていく。
ベースは、過去に聴いてた織原サウンドよりは明快なフレーズと聴いたが、これは井上のサウンドスタイルに合わせている感じか。
ドラムも、ダイナミックでありながら、全体の雰囲気に合わせるように繊細かつ微妙に調整したドラミングを聴かせ、巧さを見せる。

このメンツだと、8ビート中心のロック調の演奏を予想していたが、実際は前述の通り、4ビート基調のビバップ、ハードバップな曲が中心で、フレーズを含めて音の肌触りはコンテンポラリと言えるもの頻出だが、これらの曲との融合具合が想像以上に良くて、若いギタートリオが古いジャズの曲を演るときの好適なスタイルと言えるんじゃないかと思うくらい。
非常に満足度の高い至福のときを過ごさせてもらいました。
アンコールは、井上がこれ演りたいと言ってたと思うが、Mistyで終演。

翌朝、ツイッター眺めてたら、井上が、「今日のノートランクス楽しかった〜!オリさん一哲くんとまた早くやりたい!」なんて書いてて、多忙な3者だが、またこの3人でのライブは楽しめそう。

橋爪亮督 "Incomplete Voices"

橋爪さんのレギュラーグループでのアルバムはこれが4枚めですが、間にライブ盤が2枚入るのでスタジオ作としては2枚めです。
ライブ盤が2枚続いたのは、最初のアルバムが好評だったため、同じ公演の残りのテイクもアルバムにしてリリースしたから。
ただし、その2枚めのライブ盤("Side Two")は限定ルート(通販とライブ会場のみ)での販売でした。
 "Acoustic Fluid" (http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/61341299.html)
 "VISIBLE/INVISIBLE"(http://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62341930.html)
 "Side Two"(https://blogs.yahoo.co.jp/pabljxan/62988540.html)

最初のアルバムでは、ピアノの佐藤浩一が3曲参加のゲスト的扱いでしたが、ライブ盤も本作でも完全にレギュラーとして全面参加になってます。個人的には良いニュースです。
というメンツは以下の通り。
橋爪亮督(Ts,Ss)、市野元彦(G)、佐藤浩一(P)、織原良次(B)、橋本学(Ds)


演奏曲はすべて、橋爪亮督オリジナルの全部で8曲。
01. Still
02. One Time Dream
03. Synesthesia
04. Song Unknown
05. Line
06. 初月
07. 4-18
08. July

ピアノによるパルス音のようなフレーズを根底に置き、ピアノ、ベース、ドラムによるドラマチックに伴奏的なリズム。
そこにおもむろにサックスが絡み、ワンフレーズ後からさらにギターが印象的なフレーズを入れてくる展開の1曲め。
後半のいかにも佐藤というソロがまた素晴らしい。

橋爪らしいしっかりと抑制を効かせクールでありながらメラメラと青い炎を感じさせるサウンドはそのままに、印象としてはこれまでの作品より温度感高め、抽象画的な雰囲気希薄でビートも分かりやすい、とっつきの良い作風。
後述とおり中盤では、そういう意味では抽象画的な展開に変化していく。

3曲めの市野のソロとかとっても素晴らしいが、この盤での白眉は佐藤のピアノで、多くの曲で曲の核的な役回りを担い、バッキングでの印象的な節回しもさることながら、其処此処で披露されるソロの素晴らしさ。
登場するたび聴き惚れてるような感じ。

このバンドの美しさの妙は、なんといっても橋爪、市野、佐藤のフロント3者による重合的アンサンブルにあるのは自明で、2者、3者の音の重なり合いがなんとも美しい風景を描き出す。
そういう意味では、このアルバムでは3〜5曲めのサウンドテクスチャがバンドの真骨頂とも言えるのだが、曲調としてちょっと重めなので好みはわかれるでしょう。

ということで、ベストは8曲めの強烈美しい曲にします。

橋爪亮督 "Incomplete Voices" (https://www.amazon.co.jp/dp/B06WWD4256/)
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