日本のジャズを聴け     (和ジャズBlog)

最近の日本のジャズは、もの凄く面白い!! もっともっともっと聴いて欲しいので、たくさん紹介します。

"Moonlit" 加藤真亜沙

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加藤真亜沙の3枚めのリーダー作。
過去作は以下のとおり。
 ”Tales from The Trees” (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63894287.html )
 "Soluna" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/494913298.html )
これまでは、米国の面々を多数起用した、(おそらく)現地で制作したアルバムだったが、本作は六本木Alfieでのライブを収録したもので、Live at Alfieレーベルからのリリース。
Live at Alfieレーベルは、大林武司さんの"Foresight" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501265293.html )もそうでした。
ここのところ精力的にアルバムリリースしているんでしょう。

本作のメンツは以下のとおり、中林さんは、リーダー作を聴いてます。
 "Graffiti" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a55302703.html )
小田桐さんは、自blogを漁ると参加作が2つでてきました。
加藤真亜沙(P,Vo)、中林薫平(B)、小田桐和寛(Ds)
Guest: KAN(Per)

演奏曲は、"Tales from The Trees"から3曲(武満曲含む)、"Soluna"から3曲と、たぶん新曲が1曲(2)で全部で7曲。
1. Departure
2. Uragami
3. Ishonsho Abe
4. Sol
5. Kinmok-Sailor
6. After the Rain
7. Small Sky 小さな空(武満徹)

クレジット上、加藤にボーカルがつくが、これは大半の曲では歌詞はなくボイスで、ちょうどピアノトリオの4つめの楽器のような役割を担う。
具体的には、ピアノトリオをバックにテーマを歌ったり、ピアノがテーマ的な演奏のときに、それに対抗するフレーズを歌うような感じ。
第4の楽器ではあるがソロは一切取ってはいない。
加藤のピアノはやさしく添えるような左手にきらびやかな右手、紡ぎ出されるフレーズは、最近のピアニストらしい技を効かせた華のある表情を見せ、そこにエレガントな雰囲気を合わせ持ったような印象。
テーマではボイスを被せて表現の幅を拡げるというスタイルで、個性のある表現方法としているのは理解できるし、新しいピアノトリオのあり方の一つという気もする。
聴衆も高反応だが、個人的にはいまいちピンと来ていない気が..。
最後の曲はたぶんアンコールだったと思う(拍手は入ってないので推測)が、曲の後半でここだけはしっかり歌っている。

ベストは3曲めにしましょう

"Moonlit" 加藤真亜沙 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CK7RYZKS/ )

"Scenes" WYP TRIO

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南さんの新作は、映画のエンディング曲を収録したもの。
その映画は、「白鍵と黒鍵の間に 」(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a53793479.html )で、2008年に出版された南さんの著作。
映画は、ここに書かれている話(バブル期のたぶんほぼ実話)を元にして、コミカルに仕上げられていました。
ちなみに書籍もこのあと続編が4冊くらいでていたはずでず。最後の「パリス」(https://www.amazon.co.jp/dp/4905447941/ )はたぶん多大にフィクションが入っていると思います。

本作のメンツは以下のとおり、服部さん参加作は久しぶり、座小田さんは紺野智之さんのアルバム(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/482603240.html )に入ってました。
南博(P)、座小田諒一(B)、服部正嗣(Ds)

演奏曲は、Nino Rota, 富樫雅彦, 名曲, Ornette Coleman, オリジナルという構成。
1.Gelsomina
2.Valencia
3.My Way
4.Turnaround
5.Bird in Berlin
6.Nonchalant(映画「白鍵と黒鍵の間に」エンディング曲)

何度か立て続けにつらつらと聴いてたんですが、総じて服部君のドラムの自由度がかなり高いので、良い意味で捉えどころが掴みにくい場面があるのが、良い雰囲気に繋がっているような印象。
テーマは大半の曲で南さんのピアノが担うが、3曲めのマイウェイではベースの座小田氏がテーマの冒頭ワンフレーズを担っている。
その座小田氏のベースは、他の曲ではバッキングに徹している曲が多めで曲調に乗っかっていながら派手にならない良い塩梅で低音を響かせている
南さんのピアノは、音数を絞って凝縮させた美旋律のストイックな響きと、固有の溜めの利かせ方、さらに要所で繰り出す南節と言いたい個性的なリフと南ワールドをたっぷりと堪能できる。
最後が、映画のエンディング曲であるが、このお世辞にもうまいと言えない口笛が、映画の中では良い具合にはまっていたが、これだけ聴くとなんじゃこりゃな感じなんだろうなとは思う。
個人的には、映画を見ているので、あのエンディングを思い出しながら聴いているが..。

ベストは5曲め

"Scenes" WYP TRIO (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CLN9WPKY/ )

"Old Folks" 渋谷毅 / 武田和命

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渋谷毅と武田和命が共演した記録で、1985年12月に西荻窪のアケタの店で行われたライブの音源とのことで、正式録音ではないようです。
後述のとおり演奏の途中で話し声が入ってたりするのですが、記録が残っていたことが凄いことだと思います。
武田の演奏は、過去に渋谷毅オーケストラを除くと下記2作を紹介していますが、この頃の日本人ジャズ自体を広く聴きこんでいるわけではないので、そう熱心な聴き手とは言い難いところではあります。
 "Gentle November" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501036990.html )
 "イン・ヨーロッパ-1983-" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63142544.html )

メンツは、先の両名に川端民生, 藤井信雄を加えたカルテット。
武田和命(Ts)、渋谷毅(P)、川端民生(B)、藤井信雄(Ds)

演奏曲は、スタンダードと言える下記4曲。
01 Now's The Time
02 Old Folks
03 Let's Cool One
04 Round Midnight

1曲めはCharlie Parkerの有名曲。
藤井がシンバルをバシャバシャ鳴らしまくり、武田が粗野な雰囲気を醸したサックスを吹き鳴らす。
ゴリッとした音で淡々とウォーキングをかき鳴らす川端のベース。
そんな勢いに負けないようくらいついてくる渋谷のピアノ。いつになく激しいピアノを弾いている。
2曲めはバラードでテンポこそゆったりとしたものになるが、武田のハードな演奏はテンションそのままで強い音を聴かせている。
曲調としては曲ごとに緩急が交互に現れるが、演奏のテンションは高いところでほとんどブレのない演奏を聴かせていて、凄いことになっている。
途中、横からの話し声が入っていたり正式な録音ではなさそうだが、これが貴重な音源であることは間違いない。

ベストは1曲めになるんでしょう

"Old Folks" 渋谷毅 / 武田和命 (https://www.amazon.co.jp/dp/B000N4RBUK/ )

"波紋" 菊地雅晃

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菊地プーさんの甥にあたる菊地雅晃のアルバム。
wikiには、菊地成孔のQuintet Live Dubに参加していたとありますが、このユニットではアルバムは出てないので、自blogで菊地雅晃を検索してもなにも引っかかりませんでした。
Dub Sextetでは3枚もアルバム出ているんですが..。
菊地雅章Slash Trioにも参加してたようですが、こちらも残念ながら聴いてないです。
正式リリースは11/8ですが、たぶん先行で出た分が中古に出たのを安く入手出来ています。

メンツですが、個人的には坪口の参加が気になったところではあります。
他の面々も自blogを漁ってもなにも出てきませんでした..。
菊地雅晃(G)、松村拓海(Fl)、坪口昌恭(Key,Syn)、堀田秀顕(B:1,2,4,5)、金子充伯(Ds)

演奏曲は以下のとおり。5曲めを除いて菊地のオリジナル。
1.軽く溺れる
2.Rainbow bridge
3.Night view of ...
4.ロータリーファズ
5.時間よ止まれ

1曲めが菊地雅章の"ススト"に入っているCircle/Lineを彷彿とさせる反復リズム
2曲めがアーバンでメローな甘いサウンド
3曲めが8ビートのうねうねしたリズムがだらだらと延々と続くようないかにも往時のフュージョンと言ったサウンド
4曲めも似た傾向て、さらにそこにバイクの排気音をフィーチャーしている
最後は、元曲よりゆったりなテンポで、エフェクトをかけた声で歌われる時間よ止まれ
演奏としては、ちょっと古さを感じさせるエフェクターをかけ、カッティングを主体とした演奏が目立つ菊地のギターに、坪口も、こちらも最近の音つくりじゃないよなと思わせるしかもさまざまなシンセサウンドを聴かせており、これまた楽しい。
さらに4曲めの終わりでは、ボコーダーでなんだかおもしろがってしゃべっている。
宣伝文に「サイケデリックAORシティポップフュージョンジャズロッククロスオーバープログレアシッドダブ」なんて語が書かれているが、まさにこの言葉通りだと思う。
逆に、この言葉を読んでもこの音は想起できないとも思うが..
最後12分くらいでいったん曲は終わるが、1分も経過したところからリフレインが始まり、Stop The Warを繰り返しながらそっと終演。

ベストは1曲めにします。

"波紋" 菊地雅晃 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CLQ85KFL/ )

Temp(20231223)

20231223ss

Tempのメンツは以下の通り
伊地知大輔(B)、魚返明未(P)、加藤一平(G)

昨年リリースされたCDは、2022年のベスト3に選ばせてもらいました。
 "Temptation" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/490644583.html )
昨年12月と本年4月7月にライブがありまして、7月はゲストが入った構成で、いずれもしっかり堪能しています。
 "(20221209)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/494660101.html )
 "(20230408)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/498937590.html )
 "+1(20230728)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500184654.html )

舞台は、左端手前に、加藤のギター、その後ろに定位置から引っ張り出されたピアノ。
ピアノの定位置ちょっと手前にベースという配置で前々回と同様の配置。

定刻を10分程度過ぎたくらいにMCからスタート。
最初の曲が、You Must Believe In Springで、その後は"Temptation" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/490644583.html )からの曲、伊地知のオリジナルが多めという構成。
Tempのおもしろさは、ピアノとベースの美麗なサウンドに過激なギターサウンドが絡むことによる化学反応にあると思うのだが、今回は3者のテンションが一段上がってきたような印象で変幻自在ぶりにも磨きがかかってきたと感じられた。
過去数回のライブでも"Temptation"からの曲を多く演奏しているが、聴くたびに演奏が変化してきているのはわかるが、今回はもの凄さが俄然増してきている感じ。
とくに、加藤のギターソロが、前半音色を変えずにガッツリとした即興を聴かせ、この即興の鬼気迫る凄さもさることながら、後半になるにしたがって徐々に音色に変化をつけてくるような展開が多く、これが見事に格好良い。
そんな加藤のソロが唐突に終わると、そこからピアノでの美麗なテーマの一気に切り替わる展開が、これまた格好良くももの凄い。
バッキングでも延々ギターを弾き続けていたが、これまではボリュームを絞り切ってる場面が多かったが、今回は少しボリュームをあげていた。
加藤の天才性、奇才性、センスの見事さをあらためて認識し、魚返の美しさと過激さを併せ持ちながら急な展開に持ち込んでいく変幻自在なピアノに感嘆し、それをすべてしっかりまとめ上げる伊地知のベースの包容力というtempの凄さをあらためて見せつけられた。
これは聴かないとわからないんだろうなと思う。

1stセットが1時間くらい、2ndセットは本編だけで1時間近く、さらにアンコールに応えてくれてと、たっぷりの演奏を楽しませてもらいました。

次回は3月の予定だそうです。

"SYMBIOSIS" 竹内直, 市川秀男

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竹内直は、自blogを漁るとスガダイローのアルバムに参加しているものがいくつか出てくる。
ライブは2011年に2回見ています。
 "20110304" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60335620.html )
 "20111113" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60945896.html )
しっかり名前を憶えているミュージシャンではありますが、思った以上に聴いていないなというのが正直な感想。
もう少しいろいろ聴いていると思ったのですが..。
市川秀男は、自blogでも全然ひっかからないし、リーダー作一覧を眺めてもほとんど見覚えがなく、見たことあるのは"明日への旅立ち" (https://www.amazon.co.jp/dp/B08PDK47G1/ )くらいか。(聴いたことはない)
そんな自分とは縁の少ない両名のデュオ作ですが、お店で聴いて良いなぁと思ったんでお借りしてきて聴かせてもらいました。

ということでメンツは
竹内直(Ts)、市川秀男(P)

演奏曲は、市川3曲、竹内が1曲ののオリジナル。Fred Hersch, John Coltrane, Michel Petruccianiにスタンダードで全部で9曲。
1.Symbiosis
2.Canzona
3.A Ripple
4.I'm glad there is you
5.7.08
6.Dear Lord
7.Perhelion
8.I wrote you a song
9.My one and only love / Guy B.Wood

市川の装飾感のあるエレガントとか煌びやかとかそんなイメージが湧いてくるような華麗なピアノ。
それに対する竹内のサブトーンもちょっと繰り出しつつ、色気を感じるくらい雰囲気をたっぷりと込めたサックス。
この両者が絡むことで、甘さはあれど粘度低めな独特のサウンドが醸し出され、須玉の美曲、美演奏を雰囲気たっぷりと楽しませてくれる。
後半は少しノリの良い演奏になりフリーフレーバーが入ってくるのは、ライブ収録に変わるからか。
7曲めがスピリチュアル系のバラード、8曲めがこのアルバムの中ではアップテンポの曲、9曲めのスタンダードとこのあたりが実に心地良い。
竹内の演奏もこっちのほうが快調な感じもするし、個人的にもこの後半の演奏のほうが好き。

ベストは8曲め

"SYMBIOSIS" 竹内直, 市川秀男 (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CB146LCD/ )

森田修史トリオ+1(20231209)

20231209s

2日続けてのライブ参戦です。
それだけ見逃せないライブが続いたということです。
そんな2日めは、若手注目のドラマー 中村海斗 が初登場ということです。
今年、リーダー作が出てまして、下記で紹介しています。
 "BLAQUE DAWN" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499021152.html )

今回のメンツは、森田トリオ+1となってまして、森田,落合,中村がそのメンツ。
そこにピアノの大口さんが入ってのカルテット構成。大口さんは今回初めて聞きます。
森田修史(Ts)、落合康介(B)、中村海斗(Ds)、大口純一郎(P)
ステージは、左奥にドラム、その手前にベース。
ピアノは前日と同じで、定位置から80°くらい回転させ、大口さんは背中を向ける体制。
扉の前に森田さんが立ってサックスを吹きます。

定刻を5分も過ぎたところから演奏開始。
冒頭、何も考えずに演奏できる曲なんてMCが後からあったが、John ColtraneのImpressionsから。
2曲め以降は、森田さんの曲を中心とした選曲
さすがに、演奏開始当初は、フロントでリーダーの森田のサックスの凄さに耳が持ってかれるが、曲が進み多少なりとも全体が見渡せるようになってくると、
4者のテンションの高さと良い意味での出しゃばり具合いも似たような塩梅で、
とくに誰かが突出することなく見事にバランスがとれており、この人選の凄さに感動を覚えるくらい。
森田さんは、いつもの野太いサウンドでゴリゴリなサウンドを吹き鳴らし。
大口さんのピアノは、ファンキーだなぁと感じられる演奏で格好良い。
落合のベースも、強いタッチでしっかり暴れ回っていてこちらも見事。
それにつけても中村海斗のドラム。
しなやかだけど迫力のある、音数は多めだが全然五月蠅さを感じさせない。
そんなドラムの凄さに感嘆しきり。
冒頭、クラッシュシンバルの場所が決まらず?、かなり低い位置にセットされちょっと無理をするような感じだったが、2ndセットではしっかり安定下セッティングになってました。

今回、中村さんの演奏の凄さが際立っていて、たぶんどっかから森田さんが選ぶ曲が中村フィーチャーな曲にシフトしていってたと思われ、後半はアグレッシブな曲が増え、曲の後半で中村ソロがガツンと入ってくる。
いずれの曲も、ドラムの凄さに聴いてる側はやられっぱなし
最後、アンコールもしっかりたっぷり中村のドラムを楽しませてくれる曲を選んでくれたのは、非常に 痺れた。
森田さん曰く、「中村のドラムに遊んでもらうバンド」なんて言っていたが、
攻めれば倍返しで攻められるようなヒリヒリした展開、とても遊んじゃいられない事態になっている。
1stセットが45分くらい、2ndセットも同時くらいの時間に、ガッツリのアンコールに応えてくれました。

今回も、1人居残っていろいろ雑談させてもらってました。
このバンドで今夏に録音をしているそうで、2024年にはアルバムが出るかもしれません。

ライブって、聴衆1人の享受する演奏のパワーがその時のお客さんに均等に割り振られ、お客さんが少ないほど濃くなっていくと思ってまして、今回はちょっと少なめの聴衆でありながら演奏のパワーもとんでもなく、それをたっぷりと享受堪能できたのは無上の喜びでありました。あぁお腹いっぱい。

謝明諺4(20231208)

20231208m

先日紹介した台湾のサックス奏者である、謝明諺(シェ・ミンイェン)がいつものお店でライブを行うということで期待感いっぱいに赴きました。
紹介したアルバムは下記
 "Our Waning Love" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/500418126.html )

金曜ということで、仕事帰りの開演30分くらい前にお店に着いて7人めくらいだったか。
今回のメンツは以下のとおり。
謝明諺(Ts,Ss)、栗林すみれ(P)、市野元彦(G)、飯田雅春(B)
市野さんはすべての人と共演歴があるそうだが、ほかは初顔合わせの人もいるとのことでした。
ステージは、左奥にベース、その前がギター。
ピアノは定位置から100°くらい回転させて、栗林さんは聴衆に背を向けるような配置。
そして、ステージ中央に謝さんが立つような配置。

定刻を5分も過ぎたところで開演。
演奏した曲は、すべてメンバーのオリジナルで、自分の曲が演奏される前の曲紹介は自分でするというパターン。
選曲は、おそらくドラムレスで映える曲を採用していると思われる。
というか、最後の最後、アンコールで栗林さんの不採用曲という表明とともに演奏した曲でさえ、上述の縛りの範囲内に充分含まれる曲調だったので、相当厳選した選曲だったんだと予想できる。
曲の構成は、イントロを市野さんか栗林さんが奏で、テーマになると謝さんが演奏を始めるパターンが多かったか。
そしてそれを追って、ピアノかギターが音を重ね、合いの手を入れていく。
印象的だったのが、4人が4人とも音色がとてもきれいで、それぞれがとても丁寧に音を重ねていっているなということ。
ドラムレスなので、たっぷりと空いた空間を優しい音で埋めていくような音作り
すべてミディアムスローくらいのテンポでゆったりとした雰囲気に包まれ、それがとても心地良い。
そして、演奏が破綻しないよう、滞らないよう、市野さんのギターが細心の注意を払ってフォローしていくようなフレーズを挟んでいく。そんな旨さ巧さ上手さをみせる。
そういえば最近市野さんのリーダー作が出てないなと終演後に聞いたら、もしかしたら来年出せるかもしれないとのこと。
期待を持って待ちたい
1st set が1時間くらい。2ndセットが45分くらいにアンコールに応えてくれ

終演後もだらだらと余韻を楽しんでいたら、最後に皆さんで写真も撮っていただいて嬉々として家路につきました。

"Locura de Amor" 天辰直彦, 永武幹子

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永武幹子がデュオでのアルバムを出すのはこれが3枚め。
 加納奈実との"Jabuticaba"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/481276617.html )、
 吉田哲治との"Live at なってるハウス"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/484681577.html )
サックス、トランペットときて、今作はフルートとのデュオなので、なんともバランスが良い。
天辰直彦のフルートは過去に1回だけ聴いていて、しかも永武のソロでのライブにアンコールで客演したもの。
 20200810 (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/476779456.html )
たぶん、この両名のデュオはこの頃から始まっていて、約3年経ったところでアルバムが作られたんだと思います。
ただし、まだ一般発売はされておらず本人達からの購入に限られると思います。

ということでメンツは
天辰直彦(Fl)、永武幹子(P)

天辰4曲、永武1曲のオリジナルに、Vincent Youmans, Wayne Shorter, John Coltraneで全部で8曲。
1. Aguaceroad
2. Locura de Amor
3. Blue Island
4. Two Kingfishers
5. Tea for Two
6. Speak No Evil
7. I Hoped to be with You
8. Lazy Bird

冒頭のタンゴ調、ラテン調から、ジャズでお馴染みの曲を多めに、曲調としては美麗系の曲、可愛らしさのあるものを選んでいる印象
たぶんだが、永武との共演を意識した上での選曲なんだろうなと感じさせる。
もっともここでも聴かれる永武のピアノは、3,4曲めのような美麗曲でも、しっかりとした意志を感じさせるような、(いつも通りに)ハードな気配の演奏を主体とした永武らしい演奏を楽しませてくれる。
とくに 2曲めの、Michel Camiloばりのフレーズの早弾きはかなりおっと思わせるものがある。
天辰のフルートは、前述の通り(1回1曲だけだが)過去に生で聴いている。
さすがに男性らしく優しい音色でありながら底力感のある音が清々しい。
ライブ告知とかをみていると、長らく共演を続けているようなので、両者のコンビネーションも良い塩梅で、ピアノフルートのデュオとしてバランスの取れた演奏をたっぷりと楽しませてもらいました。

ベストは5曲めにしましょう

"Locura de Amor" 天辰直彦, 永武幹子

永武幹子ソロ 独壇場 (20231127)

20231127n

2週間前に魚返君のピアノソロを聴いていますが、今回もピアノソロです。
 "魚返明未 ソロ(20231118)" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/501494788.html )
永武幹子ソロは前回は本年5月に聴いています。
 "20230522" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/499445927.html )
今回は、Jaki Byardの曲だけを演奏するという事前告知があったので気合を入れて、18:40頃にお店に赴いたら一番のり。
さすがに、20時開演だと出足は遅いです。

ピアノの位置はいつも同様左側に引っ張り出してあって上蓋も少し開けてある。
定刻をほんのちょっと過ぎたあたりで演奏開始。

演奏曲は、Jaki Byardの愛奏曲ではなく、作曲したものを選んでおり、アルバムとしてはBlues for smoke(https://www.amazon.co.jp/dp/B000006KNM/ ) からと、Family Man(https://www.amazon.co.jp/dp/B000044U31/ )からの曲とが中心の選曲(本人談)
セットリストを公開されていたので転記させていただきます。
 Pete & Thomas -Tribute to Ticklers
 Chardra
 Aluminum Baby
 Family Suite -Gaeta, Garr, John Arthur
 Twelve
 Just Rollin' Along
 European Episode
 enc.) One Two Five

実は、元曲、元の演奏をほとんど知らないので、元がそうなのかそうアレンジして演奏しているのかも判別てきないのだが(汗)、今回聴いていて全体にブギウギ調の演奏が多い印象を持った。
永武の演奏は、
そもそも個人的に特筆すべきところとして、打鍵強め、速弾きが持ち味になっていると思っているところがある(もちろん、エモーショナルなところから、表現の多彩さから、他にもたくさん魅力はある)が、今回の演奏ではそれがより助長しているような、そんな印象をもったが、そんな打鍵の強さにピアノも良く応え、良く鳴っていたと思う。
速いフレーズがこれでもかと繰り出されると、細く長い指が鍵盤を忙(せわ)しなく動くさまが、まるで蜘蛛の足のように怪しくて、そんなのを眺めているのも実はオツだったりする。
半分くらいの曲では譜面を用意して、半分くらいの曲は譜面なしで演奏
楽譜を使う曲の時だけ譜面をピアノの譜面台に置いていたが、その楽譜が演奏の途中で落ちてきて演奏が…なんて場面も。
演奏の激しさに、楽譜が落ちるくらいピアノも揺れているんだろうなと感じさせる。
おおよそ 2〜3曲演奏してMCという流れで進行。
30分も過ぎたところでは、ちょっと息が切れていたのが印象的。
あれだけの音数と打鍵の強さはさすがに体力消耗も激しいんだろうなと感じさせる。
たぶん今回のために演奏する曲を選ぶところから、譜面起こし(見せてもらえば良かった..)なんかもやって、
さらに相応には練習なんかもしていたんでしょうから、準備には相当な時間を割いていたんだろうなと推測。

おおよそ50分強の本編に、アンコールにも応えてくれ、その全部がジャキの曲というレアなライブ。
たっぷりと堪能させていただきました。
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