
V字バランスで知られるパリプールナ・ナヴァーサナについて考えてみましょう。
このポーズでバランスが上手くとれない方は少なくないのではないでしょうか?
かく言う私も、このポーズは得意とはいいかねます。
さて、では早速このポーズの難しさについて考えてみます。
言うまでもなく、ポーズ完成形の際に、どうしても後ろにゴロンと倒れてしまう。それがこのポーズの難しさです。
でも倒れない人もいる。一体この両者はどう違うのでしょうか?
倒れない人は上の図Aの人です。そしてBが倒れた人です。
これは最大の要因として“骨盤の角度”がポイントになります。
Aの人の骨盤(▽)は頂点が下を向いてますね。下に凸の状態になっています。
Bの人の骨盤は辺が下に来て、三角が倒れた状態になってます。
これがAとBの成功と失敗の分かれ目なんです。
この三角の下向きの頂点は、人体で言うところの“坐骨”を表しています。坐骨に関してはヨガをやってる人でもご存知と思います。
この坐骨が床面を向いていれば、そこを支点としてこのV字バランスのポーズは成功します。
坐骨を床面に向けるためには、骨盤を寝かせるのではなく、起こしておかなくてはなりません。
つまりBではなくAのようにすることです。
では骨盤はどうすれば起きてくるのでしょうか?
このポーズの難易度は両方の脚の膝を伸ばすか、曲げるかによって調整されますよね。
無論、曲げたほうが難易度は低くなります。
これは膝を曲げることで太ももの裏の筋肉“ハムストリングス”が緩み、骨盤を自由に動かせるようになるのがまず1つ。これにより骨盤を起こしやすくなり、坐骨を下に向けて支点を確保しやすくなるのです。
次に、太ももと上半身を近づけられるので、支点である坐骨に上半身・下半身の重心が接近し、比較的に小さな筋力で姿勢を保てるというのが2つめです。多裂筋など背筋により腰椎の前弯を維持しやすい。
そう、このポーズは骨盤を起こせれば腹筋はほとんど必要ないポーズなんです。
むしろ腰椎の前弯を維持するため、腰部の脊柱起立筋や多裂筋(どちらも背筋)が重要になります。
しかしBのように骨盤が寝てしまった場合、こちらはメチャクチャ腹筋を使います。
なぜ骨盤が寝てしまうのか、理由は簡単に2つほど挙げられます。
太もも裏の筋肉ハムストリングスの柔軟性が足りず、両脚を伸ばした時点で骨盤が引っ張られ、骨盤が半強制的に寝かされてしまう場合です。身体が固い人に多いのはこのパターンですね。
もう1つ、腰椎の可動性が低い人、腰部・腹部の筋力が弱い場合です。前者は腰椎の動きが悪いせいで骨盤を起こせない、後者は筋力のせいで骨盤が起こしていられないというケースです。
ちなみに骨盤が寝ると、なぜ突如としてバランスが保てずに後ろにゴロンと倒れてしまうのか?
その理由は仙骨の形状にあります。
Bの隣、一番右の図を見ていただきたいのですが、黄色の矢印の部分が仙骨です。
こうして横から見ると半円状の弧を描いてますよね。
Bの人の場合などは、ちょうどあの半円状の上でバランスをとろうとしている状態なのです。
結局、上後腸骨棘という部分まで後ろに転がってようやくバランスがとれるようになるのですが、その姿勢を維持するのに激しく腹筋を使うことになります。
このポーズはバランスポーズです。筋力トレーニングではありません。
パリプールナ・ナヴァーサナを練習するならば、膝を曲げても良いので、腰椎の前弯をつくり、骨盤を起して、坐骨で支点をつくるよう練習するのが良いでしょう。



