ヨガスペース PaPas-パパス- ヨガ×リハ広報室

ヨガ×リハ広報室は神戸・須磨にあるヨガスペースPaPasのコラムブログ。 ヨガとリハビリ。2つの視点から人の身体を考えます。

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パリプールナ・ナヴァーサナのバランス

V字バランス


V字バランスで知られるパリプールナ・ナヴァーサナについて考えてみましょう。 
このポーズでバランスが上手くとれない方は少なくないのではないでしょうか?
かく言う私も、このポーズは得意とはいいかねます。
さて、では早速このポーズの難しさについて考えてみます。

言うまでもなく、ポーズ完成形の際に、どうしても後ろにゴロンと倒れてしまう。それがこのポーズの難しさです。
でも倒れない人もいる。一体この両者はどう違うのでしょうか?
倒れない人は上の図Aの人です。そしてBが倒れた人です。

これは最大の要因として“骨盤の角度”がポイントになります。
Aの人の骨盤(▽)は頂点が下を向いてますね。下に凸の状態になっています。
Bの人の骨盤は辺が下に来て、三角が倒れた状態になってます。
これがAとBの成功と失敗の分かれ目なんです。
この三角の下向きの頂点は、人体で言うところの“坐骨”を表しています。坐骨に関してはヨガをやってる人でもご存知と思います。
この坐骨が床面を向いていれば、そこを支点としてこのV字バランスのポーズは成功します。

坐骨を床面に向けるためには、骨盤を寝かせるのではなく、起こしておかなくてはなりません。
つまりBではなくAのようにすることです。
では骨盤はどうすれば起きてくるのでしょうか?

このポーズの難易度は両方の脚の膝を伸ばすか、曲げるかによって調整されますよね。
無論、曲げたほうが難易度は低くなります。
これは膝を曲げることで太ももの裏の筋肉“ハムストリングス”が緩み、骨盤を自由に動かせるようになるのがまず1つ。これにより骨盤を起こしやすくなり、坐骨を下に向けて支点を確保しやすくなるのです。
次に、太ももと上半身を近づけられるので、支点である坐骨に上半身・下半身の重心が接近し、比較的に小さな筋力で姿勢を保てるというのが2つめです。多裂筋など背筋により腰椎の前弯を維持しやすい。

そう、このポーズは骨盤を起こせれば腹筋はほとんど必要ないポーズなんです。
むしろ腰椎の前弯を維持するため、腰部の脊柱起立筋や多裂筋(どちらも背筋)が重要になります。

しかしBのように骨盤が寝てしまった場合、こちらはメチャクチャ腹筋を使います。
なぜ骨盤が寝てしまうのか、理由は簡単に2つほど挙げられます。
太もも裏の筋肉ハムストリングスの柔軟性が足りず、両脚を伸ばした時点で骨盤が引っ張られ、骨盤が半強制的に寝かされてしまう場合です。身体が固い人に多いのはこのパターンですね。
もう1つ、腰椎の可動性が低い人、腰部・腹部の筋力が弱い場合です。前者は腰椎の動きが悪いせいで骨盤を起こせない、後者は筋力のせいで骨盤が起こしていられないというケースです。

ちなみに骨盤が寝ると、なぜ突如としてバランスが保てずに後ろにゴロンと倒れてしまうのか?
その理由は仙骨の形状にあります。
Bの隣、一番右の図を見ていただきたいのですが、黄色の矢印の部分が仙骨です。
こうして横から見ると半円状の弧を描いてますよね。
Bの人の場合などは、ちょうどあの半円状の上でバランスをとろうとしている状態なのです。
結局、上後腸骨棘という部分まで後ろに転がってようやくバランスがとれるようになるのですが、その姿勢を維持するのに激しく腹筋を使うことになります。

このポーズはバランスポーズです。筋力トレーニングではありません。
パリプールナ・ナヴァーサナを練習するならば、膝を曲げても良いので、腰椎の前弯をつくり、骨盤を起して、坐骨で支点をつくるよう練習するのが良いでしょう。 

ヨガんちゅ解剖学 ~コブラのポーズ~

アドムカ

久しぶりの投稿になります。今回はコブラのポーズについて見ていきます。
コブラと言えば、腹ばいになって、両手で上半身をプッシュアップしながら背中を反らせるポーズです。
太陽礼拝でもお馴染みのポーズで、ヨガでは頻出のポーズですね。 

ところでこのポーズを実践する際、やはり気になるのはポーズの外見(反り具合)だと思います。
しかし実は『いかに上体を起こせるか』に重きを置くべきではありません。
大切なのは、股関節~腰椎~胸椎~頚椎のトータルで反り姿勢を起こせているかどうか。
そして腹部の筋力を呼吸と並行しながら維持できているかどうか。です。

俗に“背骨”と言われている部分は、正確には“脊柱”と言って、24個の背骨の連なりです。
脊柱はトータルでおおよそ35°~40°反ることができます。
そのうち腰椎では20°~25°、胸椎では10°~15°です。
腰椎はもともと反った形をしていますが、胸椎は逆に曲がった形をしている為、反る角度は少なくなります。
この腰椎と胸椎の境目──胸腰椎移行部”と言いますが──異なる性質を持つ境界線となるこの部分に、反る際の応力は集中しやすくなります。
背筋のみで背中を反らせる場合には筋走行の性質上、この胸腰椎移行部に応力が集中することはありません。あくまで背中の反らせる範囲内でしか反ることはできません。
しかし手でマットをプッシュアップすると、背中の反りは手から伝わる外力によって決定されます。
つまり背中の反りの許容範囲を超えてしまう可能性があるということです。
そうなると、特に胸椎部分の反りが少ない人が多い中、胸椎が反りきれなかった力を腰椎や胸腰椎移行部が請け負うことになります。 
すると背骨間の関節やそこにある軟骨、周囲の靭帯にダメージを与えてしまうことになります。

またこの際に“腹部の筋力を呼吸と並行しながら維持する”ことも重要です。
コブラは吸気に合わせて行う事がありますが、吸気では腹横筋や内腹斜筋の収縮を弱めがちになります。
しかしこの際に腹部筋力を抜いてしまうと、特に腰椎において反りが過剰となってしまう可能性があります。
腰椎の反りの抑止力は腹筋です。
この筋力に支えられている間は腰椎は“反り過ぎ”には至りませんが、脱してしまうと靭帯などの軟部組織のみの支えとなり、腰の安全領域のコントロールが行えず、結果として腰椎周辺のオーバーワークを抑制することが難しくなります。
そのため、腰を反る場合には必ず下腹部の腹筋収縮を同時に行い、腰椎だけが過剰に反らないように注意する必要があります。
 

ヨガんちゅ解剖学 プランクポーズ

無題

今回はプランクポーズについて解説します。
プランクはヨガでお馴染みのポーズですね。ダウンドッグ並に頻出のポーズと言ってもいいでしょうか。
しかしながら、このプランク。正しく行おうとすると、実はとても難しい事をご存知でしたでしょうか。
いざ行うと、多くの方が上のイラストにおける「出っ尻タイプ」か「弛みタイプ」に分類されてしまうのです。

では正しいプランクとは?

ヨガにおいて“正しさ”というのが存在するのか、あるいは重要視されるのかは一旦置いておきましょう。
正しいプランクとは、肩峰-大転子-外果が一直線上に並び、骨盤が中間角度にある状態を言います。
中間角度とは、骨盤の上前腸骨棘(ASIS)と恥骨結合(PS)が、肩峰-大転子-外果と平行に並ぶ位置に角度のことです。
経験的にまず多いのが「出っ尻タイプ」でしょうか。これは「弛みタイプ」の回避型とも言えます。
出っ尻タイプになる原因は複数あります。中でも腹部周囲の筋力低下や筋疲労に大きく関連があります。
最も重要なのは腹横筋・内腹斜筋です。

腹横筋や内腹斜筋はコアユニットの構成筋としても知られる筋で、主に「弛みタイプ」に対し、下から上へと腰椎・骨盤の弛みを防ぐ力を生み出します。 これが弱いと、腰が重力に負けて弛んでしまい、弛みタイプのような姿勢になってしまいます。
そのコアを高めた状態で、更に外層から身体を真っ直ぐにするのが腹直筋です。
「出っ尻タイプ」の方はこの部分が弱く(あるいは疲れ)、正しい形を目指すと「弛みタイプ」になってしまいそうな事を自覚しているため、回避してこのようになってしまう事が多くあります。
 この出っ尻、弛みの共通部分はそこですが、1つ大きく異なる点があります。
それは前鋸筋です。
出っ尻は、臀部を天井に突き出す一方、そのために手で床を力強くプッシュします。このプッシュが前鋸筋の作用です。出っ尻タイプの場合は少なくとも、この前鋸筋の機能は比較的良好と言えます。
肘を伸ばす(上腕三頭筋を使う)という意味ではないことに注意が必要です。このプッシュするというのは肩で腕全体を押してリーチ距離を伸ばすことを意味してます。

もしそれが出来ない場合、肩がすくみ、更に腹部も弱いため弛みタイプとなるのです。


 

背中を真っ直ぐに意識してるけど、どうしても曲がる。

骨盤を前に

パスチモッターナーサナを始め、「背中が丸くならないように」という指示を受けることはヨガにも多くあります。
アジャストメントで背中を下から上に摩って、伸びるように意識を向けながら行うこともしばしばです。
それでもやっぱり伸びない・・・という方は多いと思います。
でも伸びてる人は伸びている。なぜ自分の背中は丸くなってしまうのだろう。そう思った事もあるのではないでしようか。

上記イラストの上の人を見てください。
結論から言うと、ハムストリングス(太ももの裏)または下腿三頭筋(ふくらはぎ)が伸びていないからです。
これが伸びないと骨盤が後ろに傾きます。
骨盤が後ろに傾くと、腰椎が後弯(腰が丸くなること)します。
この時点で、あらゆる意識を集結させても、背中が真っ直ぐになることはありません。

パスチモッターナーサナは、つま先を天井に向けて起こすように指示されます。
すると下腿三頭筋(ふくらはぎ)が伸長されます。この下腿三頭筋が固いと、この伸長に対して痛みが生じます。
痛みの箇所はおおよそ膝裏の部分。下腿三頭筋の付け根です。
下腿三頭筋の付け根とハムストリングス(太ももの裏)の末端は、非常に近く、筋膜のつながりも考えられます。
その為、下腿三頭筋の付け根に伸長痛が生じると、ハムストリングスの伸長まで阻害します。
それ以外でも、単純にハムストリングス自体が固くても同じです。
結局、これらが伸びてくれないと骨盤は後ろ向きに傾いてしまうのです。

言い換えれば、下腿三頭筋とハムストリングスの両方がよく伸ばされていれば、骨盤は前に傾くことができ、大して意識しなくても背中をまっすぐのままアーサナを取ることができます。(イラストの下の人)

ちなみに、ダンダーサナで背中が既に伸ばしにくい、この体勢はしんどい・・・という方もいると思います。
これも原因は同じで、脚を伸ばして座った時点で、骨盤の傾きが決まっています。
上記2つの筋肉が固い人は、ダンダーサナの時点で既に骨盤が後ろに傾いており、脱力すると後ろに倒れそうになるはずです。
一方、十分に柔らかい人は、ダンダーサナをやっても大して力を必要とせず、普通に座れていると思います。

また男女差も多少あると思います。
筋肉にはスティフネスという「硬さ」があります。筋肉の発達によりスティフネスは高まります。
ストレッチは関節可動域を広げますが、この硬さ=スティフネスは変化がない。という研究報告もあります。
つまり同じだけ筋肉を伸ばすにしても、スティフネスの高い低いによって、必要な力が異なるということです。

男性はアームバランスなど筋力を要するアーサナはとりやすい、と巷では言われていますが、筋肉のスティフネスが高いために、パタングシュターサナのようなオープン・キネティックで行うストレッチポーズは辛いと言えますね。
 

ヨガんちゅ解剖学 腹背部【入門編】

腹部背部
左)外腹斜筋               右)多裂筋

さて、少し久しぶりになりましたが、解剖学を再開して行きたいと思います。今回は腹部・背部です。
胸郭と脊柱が登場するので、今回も簡単イラストではなくCGを使うことにしました。骨格だけですが。
イラスト右は背後から見たものであり、多裂筋を示しています。
イラスト左は前方から見たものであり、4種類ある腹筋のうち外腹斜筋を示しています。
まず多裂筋ですが、どうなっているのか?って言うか、そもそも多裂筋てナニ?

俗に「背筋」と呼ばれる筋肉にも複数ありまして、一番メジャーなのが広背筋と呼ばれるものですよね。スポーツ歴があれば聞いたことくらいはあるハズです。
その次は脊柱起立筋でしょうか。家庭の医学系テレビとかで時々出てくる名前です。
どちらも「背筋」です。広背筋はかなり大まかに背骨を動かしますが、その代わりにパワーは発揮しやすいですね。
脊柱起立筋も数種類の筋がグループをつくって背骨を動かします。こちらはいわゆるレギュラータイプですね。それなりに精密でそれなりにパワーが出せます。
では多裂筋は?これは背骨を2~4つくらいの単位で連結している、背骨による背骨のための筋肉です。
多裂筋1つの発揮できるパワーは小さいですが、背骨1つも小さいので十分です。あとはこれが直列つなぎで並ぶだけで、脊柱という大きな軸に精密な動きを起こすことができます。

この多裂筋(ほかの脊柱起立筋なども同様ですが)は背中を反らせるだけが働きではありません。
位置づけとして、腹筋と対をなす場所にある事が需要です。
例えばイラスト左の外腹斜筋を見ていただきたいのですが、この外腹斜筋は、収縮すると身体を斜め前に捻る力を生み出します。無論、その働きをもつのは外腹斜筋だけではありません。前回の「ヴァシシュターサナ」で説明した通り、複数の筋が体を捻るために同時収縮しますが、この外腹斜l筋はそのうちの1つです。
外腹斜筋は腹筋であり、背骨より前方に位置していますので、これが働くと確かに体は捻られる方向に動くのですが、同時に身体を前へ曲げる方向にも力が加わります。
身体を捻る度に、一緒に前かがみになってしまったら、やりにくくで仕方ありません。
そこで、多裂筋などを始め背筋の皆さんが同時に収縮して、外腹斜筋の「捻る」「曲げる」という作用のうち「捻る」方だけを残し、「曲げる」方に対しては「伸ばす」働きをもって相殺しているのです。
それゆえにヒトは身体を曲げずに捻ることができています。そしてその際に活躍する背筋の中で、インナーマッスルとして活躍しているのが多裂筋なのです。