極・甘党3
「おめざ」という言葉をごぞんじだろうか。
朝、目が覚めたとき、
起き抜けに頂くお菓子の類をいうそうである。
そんな慣習がある
いとやんごとなき幼年期を過ごした訳ではないので
もちろん聞いた話である
確か吉行和子さんの特集で
彼女の幼少期のお話に出てきていた。
乳母日傘とセットで
自分の“知らない言葉フォルダー”に入ったのを覚えている
こちらも血気盛んな年頃であり
起き抜けに甘いもんなんぞ喰うてられるかい!と全く理解できなかったが
今や全くそれなしではいられない体になってしまった
パーキンソン病の症状として頻尿というのがあるのだが
睡眠時にも容赦なく起こる現象で
夜二時間おきぐらいにトイレに行く。
地獄である。
ようやくレム睡眠が達せられたと思う間もなく起床である
夢遊病者のようにトイレに行き
そして
夢遊病者のふりをして冷蔵庫に向かう
前者では無意識下の要素が強く
後者ではあきらかに意識下の行為である
甘党1,2でもお話しした通り
従来の甘いもの好きに加えて
パーキンソン病が脳の疾病のせいか
体がというよりも脳みそ自体が糖を欲しがる
以前はピーナッツチョコ
次は冷凍たい焼きをチンするかプチあんぱん
健康を考え冬場はリンゴでしのぐようになったが
近頃はピーナツクリームである
パンに塗るタイプのカップ入りのクリームを
パンになど塗ることなしに
水あめのごとくスプーンですくって嘗めているのである
妖怪か。
行燈の油でなく極甘のピーナツクリームをである
寝ぼけていて、
体の欲するままに
その行動を行っているときはそうでもないのだが
やはり活字にすると異様である
それがまた訪問看護師の先生にばれてしまった
たいがいの事では怒らない彼もさすがにあきれて苦言を呈された
「え?そのままですか??」
ええ、そのまま。
嘗めてますよぉピーナツクリーム。
安物だからピーナッツでなくてピーナツですけど
まあ、溶けたキャラメルですがな。
パン無しの分だけ、
炭水化物摂取・減でいいじゃないですか、などとうそぶき
「おめざ」なんて響きははるかに遠く
紙の空パックを手に途方に暮れている。
次はチョコクリームかな?
そう、自分の行いにではなく
甘いモノ切れの在庫状況に暮れている
で次は
決してマーマレードやフォションのジャムではないはずだ。
不味くはないが
品が邪魔して夢遊病状態の脳みそには効かない
だが
姉様かぶりしたタオルから
突き破る体で汗を飛ばされている
新しくいらしたお相撲さんヘルパーの一言がよぎる
「糖尿なんすよねぇ~」
ナンナンなん病。
それだけはまずい…
では
実際はどうしていたかというと
バゲット用に買った塗るタイプのクリームチーズに
本当はプーさんのように舐めるためだけに買ったハチミツを掛け
ドラえもんの声で
「疑似レアチーズケーキ」などと興じていたのであった
あまりかわらんな
少しトレビアーンになった分
脂質が増えてしまったかも
ノン、ノン、「トレヴィアーン」か?
(アホです)
極め甘党。
より原始的で、
より短絡的な甘みを求めて。
ドクターが怖い…
矢尾板拓也
パーキンソン病 ヤールⅢ 要介護2
パーキンソン病との葛藤をまとめたホームページ
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