ナンナンなん病・パーキンソンハネムーンを過ぎて

パーキンソン病になり、歌うたいという新しい人生を歩むことになった男の話。(旧ブログ名「ナンナン難病・パーキンソン病になりまして」) 矢尾板拓也 パーキンソン病ヤールⅢ 要介護2 明るいblogです。 そして重いhp です。http://yaotakuryuzyo.web.fc2.com

要介護2

ウエルカム

ウエルカム


天岩戸よろしく

サシコモリマシキ状態を見かねてか

はたまた営業活動の一環か

デイサービスの利用をよくすすめられる


デイサービスとは

お迎えが来て

半日もしくは一日介護事業施設で過ごし

その事業所それぞれのサービスをうけ

家族の介護負担を減らしたりするシステムだ


パーキンソン病は

介護保険の利用が可能で

障害認定を受けていても

40代後半の矢尾板は

介護保険適応の範疇に入るらしい


介護保険料の天引きが始まって

こんなに早く利用する側にまわるとは

正直思ってもみなかった


皆様申し訳ない。


調査員さんの調査を受け

主治医の先生の意見書等と検討され

介護認定審査会で等級が決められる


おかれている自分の状況を客観視するためと称し

可能な限りというか

実のところは

かなりキレ気味ヤケ気味で


該当するほとんどの
公的支援の利用申請を
試みていた


ゆえに
心の底では依然として
病を
受け入れ難かった矢尾板は

調査員さんの質問に

ほとんど「Yes,I can」と答えていた


そんな

あたりまえに出来た事は、

以前のようにスッとは

あたりまえに出来ませんが、

あたりまえに出来たことですもの、

こんな風に無理をして

なんとかすれば

ある程度ならば出来ると思います、

ええ、出来ます!

出来ますとも!!





出来なくなりつつある現実に対して、

そしてそれが

あまりにもあたりまえな

動作に関する質問であることに対して、

半ば憤然、居直り状態。


遠い近いは別として

過去には出来たのだからという

せつない想い


せつない想いは高じて

思えばなんともアホな着想へ


同じ先祖から分れてぇ

鳥になったやつがいるんだから

俺もぜぇったい空が飛べるはずだぜぇ~


的な、、、



結果は要支援1


ならば飛んでみせろ、と。



要支援は1と2。

そして階層が変わって

要介護1、要介護2、要介護3、4、5と支援介護度が増していく。


しかし

よく激突し、よく転倒する姿に

訪問介護ヘルパーさんが見かねて

「ちょっと要支援状態ではないですね」と

認定区分の変更、または更新のための

再調査をすすめてくれた。


裁判の再審請求ではないが

不服申し立て条項が市長名の通達書には確かにあった



結果は3っ等級昇進の要介護2。

利用可能なサービス範囲は格段に広がった


まさに躍進。

叙位されたばかりなのに、

突然越階し公卿の仲間入りを果たした平安貴族のごとく。

弟子入りしたばかりなのに、

前座、二つ目を飛び越え、いきなり真打ちなった落語家のごとく。


あはは、


晴れて要介護2になった矢尾板は

よろこんだかというと

まったくもって

それは真逆で

「ワシはそんなに悪ィんかい」と

人称までジイ様になって

落胆し、

かつ嘆いたのであった


しかも

介護難度も上がる為か

時間単価も昇級したので

自己負担額も若干上がってしまった


いいんだか

悪いんだか



ともあれ

自立生活を円滑にすることが急務とさとり


その果実を享受すべく


今自分には

その必要があるという

現実を甘受すべく


使えるサービスはないかいなぁ~と

あらたに検討をはじめたのであった



つづく




矢尾板拓也 



パーキンソン病 ヤールⅢ 要介護2

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上へ参ります 2



上へ参ります 2



まさに「据えられた」といった観(?)のある

介護ベッド様は3wayタイプ



頭の部分と

ひざ裏部分と

ベッド全体が上下に稼働する



そもそものオーダー理由は起床時のシンドさにあったが

きっかけは整体の先生の勧めであった



パーキンソン病の特性である

「寝返りが出来なくなる」から来る

肩甲骨、下肢外側の固縮対策としてで

就寝時、その加重負担を軽減する姿勢をとるためでもあった



頭を上げ

ひざを上げ

横から見たら「W」になる体勢である





一通りの仕様説明の後

「乗っても大丈夫ですか?」と
お決まりの可積重量確認をし、
横臥した



横臥とはまた大仰だが

人々に見守られるなかゆっくり横になるのは

どこか滑稽で、
かつ厳かで

まさに「据えられる」感じである



コントローラーで3wayを可動させると

かたつむり級のスピードで
床板がそれぞれせり上がり

横から見た体勢が「W」になった



このゆっくりスピードがたまらない



W」の右跳ね上げ部は私の足先である。

ご案内の通り足先もぴったりサイズなので

足首も内角60度へと圧縮される



ここではやくも気が付いたのだが

この「W」体勢ではますます寝返りが出来なくなる

無理に寝返ると足が山の上で伸び

心電図波形になってしまう

V字びよーんである






病は気から

病は装具からとも



頭部を背もたれのようにめいっぱい上げ

ぼんやりと外の曇り空に目をやると

サナトリウムにいる

透けるような肌で

咳き込むと吐血する

白皙の美青年ならぬ

白皙の病人になったような気になる


太ったね、


こころなしか

ゆっくりなモーター音が

ひィひィと聞こえてきた



そして

さらにリクライニングすると

見慣れた二階の窓からの景色が

リゾートの空に変わった



少し「見あげたようなもの」に変わっただけで

少し「見おろしたようなもの」に変わっただけで

ふぅっ、と旅先にいるような気分になった



かえればいいんだ

かわればいいんだ



見える景色は目の位置で変わる



からだは飛ばないが

こころの目は高さを変えられる



デキナイ、

デキタノニデキナイ、

ナイ、

ナイナイ、

否定語で積み上がった山の頂は過去を超えられない

ましてや頂の見えない岩壁なら



心を飛ばす。

それに気づかせてくれた



体が不自由になった身には

自由に外出できない身には

微少微細な位置変換でもとてもうれしいのだ





味をしめた矢尾板はベッド全体をあげはじめた



すごい、今度は空がせまってくる。



おお。



動く、

空中へ動く、

高校時代に体験した胴上げ以来の浮遊感



また癖になってしまった

他愛もないが四十男の危険なひとり遊び



大柄なベッドに大柄な体をのせて

昼夜上げては下げての繰り返し



「上へ参りま~す、」



いつの間にかご案内のコール付き。

(笑)、(ひとり笑)、をともなって。



エレベーター・ガールなど

絶滅危惧種のこの時代に

なつかしい山田邦子ばりのセルフ・アテンダント



いつも

どんな話でも

笑ってくれる訪問看護師の先生は

今回笑ってくれなかった



「矢尾板さん、大丈夫ですか!」



先生、私もそう思います。




矢尾板拓也 

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上へ参ります

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介護ベッドというやつをレンタルすることになった


布団を敷いて寝ていたが起き上がるのが大変

特に夜間のトイレのための起床は至難の業

漏らさぬよう膀胱括約筋を締めつづけ
薬の効果の減じはじめた足はふにゃふにゃ
一度床に腹ばいになり
壁を登るように足を折り上げ
なんとかかんとか立ち上がっていた

ベッドは
横に滑り降りれば同時に立ち上がることが出来る。

魅力的だ




業者さんがカタログを見せてくれた

安いのはどれかなぁと選ぼうとすると

「矢尾板さんのはこれです」とお高い方を指差した


決めてかかられてるなぁと一瞥をくれると

「こちらの大きさでないと、ベッドに矢尾板さんが乗りません」

重さじゃなく身の丈が長く、縦に乗らないのだそうだ


若いころ
お化け屋敷のガラス廊下を踏み抜いて以来
おのれの重みが生み出す二次災害に
過剰に意識をするようになった矢尾板は

「このベッドの積載可能重量は?」と
それでもあえて畳みかえした

ひがみ根性丸出しだったな




ダンプをリースするかのようなやり取りの数日後

介護ベッド様は運び込まれた

有料老人ホームのコマーシャルでよくみかけるタイプ


頭上と足元の板は木製でちょっと上品

医療器具独特の無機質感がなく

柵がなければ普通の家具だ


これならばと寝てみると
やはり見事に縦がぴったり


寝ルよりはむしろハマルであった


頭は板に接触、
足首は90度状態で

それはまるで棺桶。


まぁレンタルだからしょうがない


そしてレンタルだから

このベッドでお隠れになった方もおられるはず


「お前は何人見送ったのかい?」とベッドに話しかけたら

業者さんに嫌な顔をされてしまった。


あたりまえか


ただ、パーキンソン病になって

葛藤を超えこの難病を受け入れてからは

こういったことにナーバスにならなくなった


達観だろうか


死という最終手段に耽美な憧憬をいだいていたためか

死という結果そのものには嫌悪を感じなくなってきていた


死よりもその道程に恐怖していたのかもしれない



かりにベッドに何かまつわっているとしても


その地縛霊、
見ようによってはこれも守護霊、

呉越同舟、宝船、
被介護サービス受給の皆々サマ
身の不運をもってこその乗り合いバス



何の口上だかわからなくなったが

とにかく介護ベッド様は部屋に据えられたのであった




(つづく)





矢尾板拓也 

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近況1 兆し

先日派手に転んだ

いわゆる「姿勢傾斜」の果ての「転倒」である


可動下の左側からでなく

不動の右からあやしくふわふわした

Gの誘惑を感じたとき

「そっちにはストーブがある…」

この認識考察の一行で

膝をとっさに折り体勢をくずし

長身による遠心力の付加パワーを回避する

いつものセルフ・セイフティーネットが稼働しなかった


げっ、


ボキッ、がほぼ同時だった


折れてはいまい

着撃面は骨の無いところ

では何が鳴ったかわからない

でも久々の激痛

うー、動くと痛みが走る


生きてる証拠

生きてる証し


刺激的な一撃が慢性化した生活リズムを襲う


病におびえ

薬の効用と副作用に翻弄され

ダレて、ほぼ寝たきりの生活


意欲をもてど現実に水をかけられ

問診にもよどみなく語れるようになったつらい日常


では、この痛みはナンだろう


病に慣れ、

病に飽きてしまった。


動いたから痛い

寝ていたら

まずこの痛みには出会わない


病に慣れ、

病に飽きてしまった。


頭より

体の方が何か言っている





矢尾板拓也 

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紅衛兵

紅衛兵

落語のくだりで

御指南番と御指南番で合わせりゃ八なんばん

というのがあったと思うのだが

私のホームページにもあるように

身体障害者手帳は1級を賜った


まさに「賜る」という表現がふさわしく

古典風に申さば

五位を賜って昇殿を許されたといったところ


障害者手帳をひらくと

障害名に

パーキンソン病による体幹機能障害2級

パーキンソン病による右上肢機能障害3級


そして

身体障害者等級表による級別で1級と


「?!」

たして最上位1級ということか

合わせて八難ばん…

笑いこそ起こらないがあのフレーズが頭をよぎった



髭を剃る気力も


障害の為
カミソリを持って動かす能力も

ついにはつきてしまった矢尾板は

山賊の頭目のようなヒゲ面になった

その山賊の白黒証明写真の貼ってある
この赤い手帳とは

まさしく天下御免の向う傷


そこのけそこのけ何が通る?



彷彿するのは

毛沢東語録の赤手帳


それを振りかざす

頬まで朱く昂揚させた紅衛兵たち


私も振りかざすのだろうか

既に振りかざしてはいないだろうか




ナンナンなん病。


かつての健常経験に

逆に惑う日々。





矢尾板拓也 

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