ずいぶん昔から、Amazon.co.jpで買い物をすると、名刺無料とかスタンプ無料とかはがき無料とか、VistaPrintのにぎやかな広告ちらしが同封されていました。最近は楽天での買い物にも同封されるようになったようです。


私は、Amazon.co.jpの買い物に Vistaprintのちらしが同封されるのを見るたびに、いかにもアメリカ的だなと思って見ていました。でも、アメリカと日本では習慣が違うので、日本ではなかなか受け入れられないのではないかと少しひややかでした。
Vistaprintのサイトの説明では、Vistaprintは英領バーミューダに所在地を持つ法人で、アメリカの法律が適用されると書かれています。
今回注文してみました。今朝は次の順に解説します。
  1. Vistaprintに関するネット上での良からぬ評判について調査しました。
  2. アメリカと日本との習慣の違いを考察しました。
  3. 実際に注文してみました。発注から商品の受け取りまでを実況中継します。

Vistaprintに関するネット上での良からぬ評判について調査しました。

  • 2007/11/02 arurururuさんのブログに寄せられたコメントたち
    • アフターサービスが悪い
    • 商品不着などのトラブル
    • 個人情報の取り扱いの心配
    • アカウント削除できず
    • 米国での訴訟ざた
  • 2008/02/22 yaneuraoさんのブログにはこんなコメントが寄せられています。
    • 「商品自体は問題なかったのですが、その後、注文していないメンバーシップとやらに強制的に加入させられ毎月14.95ドルがチャージされるという手口です。」
  • 2011/05/26 tomotomo1608さんのブログ記事です。
    • 最後に買い物かごへいくと送料とプロセス料というものが加算されていて、商品代金より高い!
    • 素人が手でカットしたみたいな荒さ、微妙に斜めに曲がっている・・
    • Webサービスもやっている・・1ヶ月無料ということでチェックしてみる。あと2週間でキャンセルしようと連絡したが、返事が一向に来ない!48時間以内に回答とあるが1週間待っても届かない・・。結局、4回もメールしたが、返答無し。。。。電話を見ると英語のガイダンスのみ・・・

アメリカと日本との習慣の違いを考察しました。

  • アメリカの表現は大げさ:
    アメリカ人は大げさで歯の浮くようなことを平気で言うのが大好きです。日本では「初めまして。」というところが、アメリカでは「あなたにお会いできて良かった。(Nice to meet you!)」 日本では「またね」というところが、アメリカでは「良い一日を!(Have a nice day!)」 言うことがいちいちタイソウなので、チラシに書かれる言葉もとにかくタイソウなのです。そんなにお得なことが現実にあるわけがないと、警戒してしまうような広告文句が日常的に使われます。Vistaprintの「おめでとうございます。特典に当選しました」もアメリカでは毎日使われている広告方法です。
  • アメリカの料金は「込み込み」ではない:
    日本では「込み込み」で料金が表示されます。この「込み込み」というのは、もともとは税金込みサービス料込みという意味です。アメリカでは料金は「別々」です。レストランで食事をしたら食事代金の他に、ハワイ州だと州税が 4.29%、チップが15%-20%必要なのは当たり前です。ハワイのホテル料金は客室料金の他に、 4.29%の収税に加えてさらに 7.25%のホテル税が加算され、チップは別です。アメリカの通信販売には、送料と手数料(S&H)が別途必要なのが当たり前です。Vistaprintも、商品そのものは無料でも、プロセス料金やオプション料金と送料は別途請求されます。
  • アメリカではオプションは別料金:
    日本ではディナーもセットプランが好まれると思います。アメリカでは、飲み物、前菜、サラダ、スープ、メイン、デザート、コーヒー、全てそれぞれ注文します。サラダでも、チキンを追加料金で入れたり、いろいろと追加料金の必要なオプションが用意されています。ウェイトレスに注文をつけるのはステーキの焼き具合だけではありません。付け合せの内容や味の加減、ドレッシングの出し方など細かく細かく好みを注文するのが普通です。(私のブログ関連記事「ハワイアンのフラダンサーが大阪のザ丼にやってきた」はこちら) 
    車を買うときも、日本は何段階かのグレードごとに装備が決められているのが普通です。新車の補償は無料で付いてきます。アメリカでは、装備のないベースグレードに、細かく追加料金のオプションを購入します。保証も別料金が当たり前です。
    Vistaprintも、無料の名刺だけを注文しようと思っても、追加オプションがつい欲しくなって、無料ではなくなってしまいます。
  • アメリカでは「サービス」は無料ではない:
    日本では「サービス」というと、商品を買ったときに無料で提供してもらえるものと考えている人がいるようです。
    アメリカは物質は豊かで安く、「サービス」こそが付加価値であり、経済活動の中心です。アメリカにあふれている物質は中国などの外国で製造されています。アメリカが世界一の経済大国なのはサービス産業によるものです。経済活動の中心は、金融サービス、医療サービス、ITサービスなどにあります。暮らしを豊かにするのは物質を製造したり購入したりすることではなく、「サービス」を提供したり受けたりすることによると考えられています。
    Vistaprintも、物を売って商売するというよりは、サービスを提供しているというスタンスなのだと思います。
  • アメリカの名刺は小さい:
    アメリカでは名刺も運転免許証も、クレジットカードのサイズです。日本でも運転免許証は 1994年からの 1999年の5年間にクレジットカードサイズに縮小されたものと入れ替わりました。名刺については日本ではクレジットカードよりも大きなものが使われています。名刺の大きさは、特別に「日本サイズ」と明記されていないかぎり、海外サイトで購入するとクレジットカードサイズのものが来ると考えたほうが良いでしょう。
    Vistaprintの日本語サイトには、日本サイズの名刺もラインナップされています。日本サイズと表記が無い商品には注意しましょうね。

  • アメリカのクリスマスカードなどのカードは大きい:
    日本では年賀状などは、はがきサイズ(100mmx148mm)です。
    アメリカのカードは 5インチx 7インチ(127mmx178mm)です。日本では2L判と呼ばれているサイズです。
    Vistaprintのカードは「日本はがきサイズ」もラインナップされています。日本サイズと表記が無い商品には注意しましょうね。
  • アメリカではカードは封筒に入れて出す:
    日本では年賀状や暑中見舞いなどは、50円切手を貼って「はがき」として出しますね。
    アメリカでは、クリスマスカードをはじめ、グリーティングカードは必ず封筒に入れて出します。44セント切手を貼って送ります。1ドル77円として34円です。日本のはがきより安くて、個人情報もプライバシーも安心ですね。アメリカでは私信を封筒に入れないで送ることはありません。唯一の例外は旅先で書く絵葉書です。
    Vistaprintのカードも、封筒に入れて出す方が適切だと思います。カードとマッチした模様の封筒も、同時販売されています。もちろん、画面上で「ご一緒にいかがですか?」と表示されます。
  • アメリカの写真印刷は日本の写真よりも落ち着いた色合い:
    アメリカで写真ポストカードを製作すると、日本で製作するよりも落ち着いた色合いで、少し粒子の粗い写真になることが多いと感じています。日本の写真の方が、ビビッドで鮮やかです。
    日本のリビングルームでは天井に取り付けられた白い蛍光灯の直接照明が使われることがあるのに対して、アメリカではリビングルームの天井に白い蛍光灯が取り付けられることは決してありません。アメリカのリビングの照明は壁に取り付けられた電球色の間接照明や、スタンドタイプの電球色のやわらかい照明が使われます。写真の色合いの好みが違うのは、リビングルームの照明に対する考え方と関連しているかもしれません。
    アメリカでは薄型テレビのトップシェアは、アメリカブランドのVIZIOです。自社では一切工場を持たず、中国のiPhoneと同じ工場に生産委託されています。2位は韓国のサムスン、3位は韓国のLG、4位が韓国の液晶パネルを使用した日本のSONYです。日本ではこれらのテレビが全く売れていません。アメリカの上位3位までのメーカーのテレビを、日本では見たこともない人が多いのではないでしょうか。日本では、亀山で製造されたシャープや、パナソニック、東芝、日立、三菱などのテレビが売られています。このことを考えても、アメリカ人と日本人の目の構造は違っていて色合いなどは違うように見えているのではないかと思えてしかたがありません。
    Vistaprintの写真印刷も、日本の印刷とはちょっと違った色合いに仕上がってきます。
  • アメリカ人は名前入りグッズが大好き:
    iPodやiPad2を APPLE STOREでオンライン購入すると、自分の名前やメッセージを刻印してくれます。このサービスは日本でも利用できます。自分の名前や誕生日、好きな言葉、結婚記念日などを刻印します。メッセージを刻印してプレゼントするのも良いでしょう。今の私ならば、スティーブ ジョブズの名言を刻印したいかもしれません。(APPLE STOREの刻印の説明はこちら、英語版日本版)
    アメリカでは、Lands Endで旅行かばんを買っても、キャスターとボストンとセカンドバッグをお揃いにして、自分のイニシャルを入れたりします。ポロシャツの胸やタートルの首元などにイニシャルを入れてくれます。アメリカでは、モノグラムと言って自分の持ち物に自分の名前を入れたり、イニシャルを入れたりするサービスがとても普及しています。(私のブログの関連記事:「ハード・スーツケースとソフト・スーツケース」はこちら)
    Vistaprintも、自分のロゴや名前を入れた商品のラインナップがすごく豊富で楽しいですね。小さなビジネスをしている人は、販促グッズや広告に使用すると効果的です。

  • アメリカでは、住所のスタンプや、住所ラベルのシールは必需品:
    日本では、現金が頻繁に使われます。高度成長期の金権政治家や、税金を逃れたい自営業者にとってはトラッキングされにくい現金主義は都合が良いシステムだったと思います。アメリカでは身元の分からない人が現金を出しても、危ないお金かもしれないので受け取りません。クレジットカードか小切手を使います。クレジットカードも小切手も、社会保険番号がないと口座開設できません。日本では社会保険番号の制度がないために、年金記録が失われる事件がありました。日本の高額所得者や資産家たちが、資産を把握される社会保険番号の導入を拒んでいたのだと思います。
    日本では、銀行やコンビニで振込みを行うことがあります。アメリカでは小切手を普通郵便で送ります。手数料は郵送料の44セントのみです。1ドル77円として34円です。小切手は宛名人しか使用できないので安全です。支払い者と使用者の両方が本人確認のうえで使用されます。小切手はとても便利で安全です。日本に小切手が普及しなかったのは、護送船団方式と言われて規制で守られていた日本の銀行のサービスレベルがアメリカに比べて低かったためだと思います。
    毎月小切手での支払いをあちこちに郵送するためにも、アメリカでは差出人住所のスタンプやラベルシールは必需品です。
    アメリカのショッピングモールでホールマーク、(Hallmark)などのカード店を見るのは楽しいですね。日本では年賀状以外には、暑中見舞いくらいしか郵便を出さない人も多いと思います。アメリカでは頻繁にグリーティングカードを送る習慣があります。差出人住所のスタンプやラベルシールは必需品です。
    差出人住所のスタンプやラベルシールを格安で印刷する通販ビジネスは、何十年も前からアメリカではポピュラーな事業です。アメリカには VIstaprintのような業者が山ほどあります。
  • アメリカでは送料は配達時間と反比例する:
    日本では、荷物を送るときのチョイスは、定形外郵便とゆうパックと宅急便、それにメール便とレターパックくらいの選択肢だと思います。アメリカでは、荷物を送るときに MailBox etcなどに行くと、アメリカ大陸内でもどのフライトに乗せるか、直行便にするのか経由便にするのか、それともトラックにするか、どの会社に頼むか、いろいろな選択肢をコンピュータが表示してくれます。急いでいる度合いに応じて送料が変わってきます。
    Vistaprintでも、3日で到着する方法から、21日かかる方法まで、4つの選択肢があり、それぞれ送料が大きく変わります。
  • アメリカの契約には細かな文字で細かな規定が書かれている:
    アメリカでは広告や注文ページに「細かな文字で制限事項が書かれていたりしません」というような文言を良く目にします。日本は事前に細かく物事を決めないで、後で「それが常識だろう」という議論をする国民性です。欧米の人たちは、常識は狭い世間でしか通用しないことを良く知っています。アメリカの契約には利用規約が細かく決められて記載されています。言いにくいことは、読めないくらい小さな字で最後に書かれていることもあります。そこで、近年では「細かな文字で制限事項が書かれていたりしません」と記載して「消費者に不利な制限事項を隠していませんよ」とアピールするようになりました。SoftBankの孫正義氏は、NTTが日本をISDN網でカバーして国産機器で固めようとしていたところに、アメリカ規格のADSLルーターを街頭で無料配布して、日本にブロードバンドをもたらしました。日本の旧電電公社の出入り企業で固めていた携帯電話業界に、アメリカのiPhoneを持ち込んでスマホ時代をもたらしました。規制緩和で国民にIT革命をもたらす救世主です。規制緩和は諸刃の剣なので賛否両論あります。アメリカのように効率を追求すると格差社会が広がります。資源の無い狭い日本で国民が豊かに暮らすために、野田首相は「分厚い中間層」の再生が必要だと主張されています。孫正義氏には、もちろん敵も多いと思います。総務省は、docomoと auには、800MHzと 2GHzの両方の電波を認可していますが、SoftBankには 2GHzの電波しか認可していません。孫正義氏はアメリカ西海岸の名門大学、カリフォルニア大学バークレー校を卒業しています。そして、孫正義氏のSoftBankは、携帯電話の「通話料0円,メール代0円」の表示や契約規約の小さな文字の制限事項などで、とてもアメリカ的な広告手法を使用しました。公正取引委員会はそれに対し、「警告」という厳しい行政指導で対応しました。(ニュース記事はこちら) 
    Vistaprintは、前述のようにアメリカの法律が適用されるため、日本の公正取引委員会の指導は及ばないと思います。
  • 事務作業を人手を一切介さずにコンピュータが行えば、経費はゼロに近くなる:
    Googleが大成功した理由は、3つあります。そのうちのひとつが、「事務作業をコンピュータが行えば、経費はゼロに近くなる」です。GmailのユーザーIDの初回登録から、設定、メール送信などは、全て人手を一切介さないで行われます。データセンターの運用にしっかりお金をかけておけば、サービスの提供費用は無視できるほど小さいのです。
    Vistaprintも、登録から受付、発注など、一切人間の手を経ないで全てコンピュータで処理されていると思います。事務処理の経費はゼロに近いくらい小さいと思います。
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  • 言語画面だけを用意すれば、世界中から利用者を集めることができる:
    Googleが大成功した3つの理由の2つ目です。自動的に集客して登録して受け付けるシステムを構築してしまえば、あとは各国語に対応する画面表示だけを用意すれば、簡単に世界中の見込み客を相手に商売をすることができます。コンピュータシステムはそのままで画面表示だけで良いのです。Googleの Gmailなどの各サービスも、英語画面や日本語画面を切り替えて使用することができます。
    Vistaprintは31国・言語で画面を表示することができます。(右の画像参照)
  • 新しい顧客を開発するよりも、既存の顧客や見込み客からの売上を最大化する方が、効率が良い:
    これは、確か経済学者ドラッガーの言葉だったと思います。
    Googleが大成功した3つの理由の3つ目です。Googleは検索結果や利用者のネット社会での振る舞いを分析して、効率よく世界中の見込み客や顧客に対して、的確な広告を表示します。広告効果がずば抜けて高いために、Googleは桁外れの広告収入を得ることができるのです。Amazon.comは、見込み客や顧客の購買行動や検索履歴などを分析して「 最近の履歴に含まれている商品を買った人は、こんな商品も買っています」などと表示します。
    Vistaprintも、注文した商品に対して関心のありそうな商品を次々と自動的に表示してきます。コンピュータが自動的に「ごいっしょにアップルパイはいかがですか?」的な商売をするわけです。画面を注意しないで隣のボタンを押すと、いろいろまとめて発注されてしまいそうになるほどです。これも、アメリカでは当たり前の商売方法です。
  • アメリカ企業はグローバルな適材適所:
    アメリカ企業は、アメリカで企画や設計を行い、最も人件費が安くて法人税の安いところで製造し、最も送料の安いところに配送センターを置く、という考え方があります。最も売れている携帯電話 iPhoneも、最も売れている薄型テレビの VIZIOも、自社工場を持たないで中国の従業員45万人の巨大工場に生産委託されています。アメリカの航空会社の日本語のDMが、日本国内からでもアメリカからでもなく、シンガポールやオランダから発送されて来ます。アメリカの機関誌がフランクフルトから日本に郵送されて来ます。Lenovoの周辺機器は日本で買っても中国から直送されます。
    Vistaprintは、シンガポールとベルギーから直送されるようです。

  • アメリカではお客様は神様ではない:
    日本は八百万(やおよろず)の神々に守られています。ネイティブアメリカン(アメリカンインディアン)や、ハワイアンにも全ての自然の木々や岩石や川や海には神々が宿っています。日本の神話でも、ギリシャ神話や北欧神話などでも、神々が人間のように生き生きと描かれています。これらの宗教は多神教と呼ばれ、原始宗教に分類されます。対してアメリカの多数派を占めるキリスト教では神は唯一の存在です。キリストでさえ、預言者なので人間であって神ではありません。万物を創造した神は唯一の存在なのです。
    アメリカではお客様も業者も人間であって、決して神には成りえません。お客様も業者も、唯一の存在である神の下では平等で対等な存在です。そして、お客様と業者と見解の相違や主張の差異は、神が双方の立場の人間に与えた試練なのです。人間同士の愛と思いやりと英知で解決しなければなりません。

実際に注文してみました。発注から商品の受け取りまでを実況中継します。

(Last update 2011/11/19)

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