私はWindows XPがこれまでで一番優れたWindowsだったと思います。しかし、Windows XPの後「ネットとユーザーの接点の争奪」が激しくなります。Steve Jobsが仕掛けた iPhone, iPadなどがWindowsのユーザーから、ネットデバイスの主流を奪っていったのです。MacBookの人気も急回復しました。そして、iPhone, iPadなどのiOSに加えて、GoogleのAndroidが参戦します。
そもそもWindows PCはIBM社が1981年に発売したIBM PCが原点になっているのですが、IBM社は2004年に「PCはユーザーをネットとつなぐ箱でしかなくなり、価格競争になるだろう」とPCの開発製造販売からさっさと撤退してしまいました。
Windowsマシンのシェアを、iPhone, iPadなどiOSデバイスやAndroidデバイスから取り戻そうと、Windows 8が開発されました。しかし、Windows 8のコンセプトは今のところ失敗しているように見えます。iPadユーザーにはWindows 8のPCは高価格で重いタブレットでしかありません。MacBookと比べるとWindows 8は魅力的になりきれません。従来のWindows XPユーザーにとってはWindows 8は使いにくいWindowsマシンになってしまいました。
特にWindows 8 PCの販売不振の原因は、タッチパネルの採用のメリットがユーザーには見えないのに、タッチパネルの採用などによりWindows 8 PCが高価格になってしまっていることだと思います。
来年2014年4月8日にはWindows XPのサポートが終了します。セキュリティ上の問題が大きいのでWindows XPはそれ以降使用すべきではありません。Windows XPのユーザーの多くが今は様子見で、もしかしたらそのままWindowsから離れてしまう可能性もあります。

日経パソコンのサイトでおもしろい記事を見つけました。

Ultrabookの堕落が甚だしい。  

そもそも、登場当初のUltrabookは、軽くて薄く、スタイリッシュで手ごろな価格が魅力であった。素晴らしいモバイルノートが誰にでも買える価格帯で登場したのだから、大人気になったのは言うまでもない。流行しつつあったタブレットの対抗馬として、大いに注目されていたことをよく覚えている。パソコンの売れ行きが悪化する中でも、Ultrabookだけは人気を保っていた。  

そんなことも一因なのだろう。本来のコンセプトからはどんどんかけ離れていくのに、Ultrabookという命名をしたモデルが矢継ぎ早にリリースされるようになった。中には、15型液晶にドライブを内蔵したUltrabookまで登場。確かに若干薄型だが、2.3kgを超える巨きな本体は、もはや持ち運びなど不可能に近い。Ultrabookが登場した当初の魅力的なコンセプトは完全に影を潜め、売らんがための単なるネーミングへと堕落してしまったと 感じるのは僕だけではあるまい。

(日経パソコン PCオンライン 2013/04/19 戸田 覚の読み応え重視の超辛口レビュー)


この記事を読んでいると、ネットブックとUltrabookを混同してしまいそうです。また、タブレットが流行しつつあった時期の記憶が、混乱しているように感じられます。整理してみましょう。

2007年 Acer社からネットブックが登場。ネットブラウズに特化して、必要な最低限の性能だけに的を絞ことで、小型化、低価格化。ネットブックが大流行。
2010年1月 iPad発表。発表会でSteve JobsはiPadに粉々に吹き飛ばされるネットブックを大画面に表示させて見せた。
2010年9月 AndroidタブレットのSAMSUNG Galaxy発売。ネットブックの衰退が決定的になる。
2011年 Intel社が高性能PCの新規格、Ultrabookを提唱。高速CPU、高速起動、高速USB、長時間電池稼働、薄型ボディの規格。MacBookAirを強く意識していると考えられる。Windows PCの中では最上位クラスとなり、高価格のハイエンド商品。
2012年
小型、低価格のネットブックが姿を消す。iPhone, iPadなどのiOSデバイスやAndroidデバイスなど、スマートフォンとタブレットに市場を追われた形となった。
高性能で高価格なUltrabook規格PCのラインナップが、HP, Lenovo, ASUSなどの主要メーカーから出揃う。ノートPCの最高峰Lenovo ThinkPadからもUltrabook規格対応モデルが発売される。
2012年10月 Windows 8の発売が開始。

戸田 覚さんは、タブレットの流行が始まったころにUltrabookが存在したかのように記憶されていますが、私の知るところでは、大流行したネットブックがiPadやAndroidタブレットに追われてどんどん端に追いやられていった時に、まだIntel社の提唱するUltrabookは世に出ていなかったという認識です。 ネットブックが大流行した2008-2009年にはタブレットはまだなかったし、タブレットがネットブックに置き換わっていった2010-2011年にはUltrabookはまだ無かったのです。本格的にUltrabookがラインナップされた2012年には高価格なUltrabookと手軽なタブレットは競合しなかったと思います。記憶はそれぞれの人生と共にあるので、2007年から2012年の間をいかに生きたかによって、感じ方が異なるのかもしれませんね。NECやFujitsuなど日本市場の特異性だけに特化したPCメーカーに着目すると、世界の主流とは違った見方もあるかもしれません。

Ultrabook ネットブック
2011年にIntel社が提唱した高性能PCの新規格 2007年に登場し2012年に姿を消した、ネット機能に特化した小型、低価格PC
高速CPU
Intel Core i5 / i7
低速の廉価版CPU
Intel Atom
画面は高精細の14インチクラスが主流 低解像度の11-12インチクラスが主流
高速USB, 高速起動, 長時間電池 ネット検索に必要最低限の性能
起動用のSSDと大容量HDD併搭載、
または中容量以上のSSD搭載
最小限のディスク
4G/8G メモリ搭載 最低限の1Gメモリが主流
性能の規格が高いので価格も高価格 通常のPCの半額以下程度の価格帯であった
(現在のタブレットの価格帯)
HP, Lenovo, ASUSなど大手各社が人気
(PCの世界シェア上位5社は: HP, Lenovo, Dell, Acer, ASUS)
Acer(台湾), ASUS(台湾)などが最初にヒットさせる
(現在では両社とも世界のトップ5に入るが、2007年当時は新興勢力であった)

Ultrabookは高性能で高価格なので、タブレットとは競合しえません。Ultrabookはせっかく薄型で長時間電池稼働を実現していますが、重量が重いので持ち運びは大変です。私の意見では、外出先でタブレットを使用する人は自宅には通常のPCがあれば済むので、高性能高価格なUltrabookは不要だと思います。
もともとPCを常時持ち歩いていた人には、高性能で薄型で長時間電池稼働のUltrabookはうれしいですね。重量が重いことと、価格が高いことが欠点です。
ちなみに私は最近は、iPhone 5とMacBook Airを常時持ち歩いています。MacBook Airは高性能で、長時間稼働可能で、薄くて軽いんですよ。iPadを使う機会が減りました。

(Last update 2013/06/09)

注: このブログで紹介した情報は 2013/04/20 現在のものです。ブログをご覧いただいた時には情報が古くなっている場合があります。この記事を読まれて実行されたことによりいかなる損害を受けられても、補償することはできません。ご了承の上、自己責任で実行されるようにお願いいたします。このブログの記事は私の知る限りで正確な情報を記載していま す。万一 間違いなどありましたら、コメントの投稿でお知らせいただければ幸いです。