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2007年01月04日

山猫(ヴィスコンティ生誕100年祭)5

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映像の世界遺産とも呼べるイタリアの至宝。巨匠ルキーノ・ヴィスコンティの最高傑作にして、絢爛豪華なる一大ページェントが、イタリアが国を挙げて完全復元したマスター・プリントにて蘇る。

伊・シシリー島(シチリア島)のジュゼッペ・ディ・ランペドゥーサの小説The Leopar(イタリア・ストレガ賞受賞)を、「ソドムとゴモラ」の製作者ゴッフレード・ロンバルドが製作、「ボッカチオ'70」のルキノ・ヴィスコンティが監督、スーゾ・チェッキ・ダミーコ、パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ、エンリコ・メディオーリ、マッシモ・フランシオーサの四人が脚本を執筆。音楽は「道」のニーノ・ロータ、「若者のすべて」のジュゼッペ・ロトゥンノが撮影を担当した。出演者は「終身犯」のバート・ランカスター、「地下室のメロディー」のアラン・ドロン、「ビアンカ」のクラウディア・カルディナーレ、「夏の嵐」のリナ・モレリ、「若者のすべて」のパオロ・ストッパなど。

サリーナ公爵<ストーリー>1860年春。イタリア全土はブルボン王朝から、国王ビクトル・エマニュエルの統治下に入った。シシリー島の名門を誇っていたサリナ公爵(バート・ランカスター)にとって、政治的変動は大きなショックだった。そんなある日、サリナ家は田舎の別荘に出掛けた。一行の中、公爵の甥タンクレディ(アラン・ドロン)はブルボン王朝側と戦った革命クラウディアのたて派で早くも公爵の娘コンセッタの心をとらえていた。一家が田舎に着くと村長のドン・カロゲロ(パオロ・ストッパ)が歓迎会を開いた。彼は新興ブルジョアの一人だ。コンセッタはタンクレディと結婚したいとまで考えていたが、村長の娘アンジェリカ(クラウディア・カルディナーレ)の出現が、タンクレディをひきつけ、彼が求婚までしたと聞いて絶望した。タンクレディが所属連隊に復帰すると間もなく公爵に手紙を送り、アンジェリカとの挙式の手配をしてくれと頼んだ。公爵夫人(リナ・モレリ)は彼を貴族を裏切るものだとののしった。公爵にと山猫っては、娘の心の痛手もつらいがその縁組が、彼の貴族としてのプライドの故に嫌悪とバツの悪さを意識した。タンクレディとアンジェリカは毎日のように会い、愛情は燃え上った。アンジェリカも平民の娘と思えぬ程の気品を初めての舞踏会で漂わせた。その席で公爵は急に自分の老いと孤独を感じた。アンジェリカの求めに応じて踊ったものの、何となくその場にそぐわない気さえする。時代は代ったのだ。歴史の大きな歯車は少数の人間の意思とは全く無関係に回転していくものなのかもしれない。公爵はやがてくる自分の死を考えていた。(作品資料より)

アラン、クラウディア<感想>何も足すことなく何も引く事もない完璧なる3時間7分の上映!。第十六回(1963年)カンヌ国際映画祭で最高賞(グランプリ)に輝き、今も色褪せることなく映画史に燦然と輝く巨匠ルキーノ・ヴィスコンティの「山猫」。

これは、ヴィスコンティが唯一自信を語った意味でも代表作山猫ダンス中の代表作であり、フランシス・フォード・コッポラ、ベルナルド・ベルトリッチ、マーティン・スコセッシ、ら巨匠を初めとする多くの後進に大きな影響を与えた傑作でもあります。ヴィスコンティという貴族文化の洗練から生まれた唯一無二の才能のみが創り得た、もう二度と創ることのできない華麗なる一大叙事詩です。

アランドロン山猫復元はイタリアを代表する撮影監督ジュゼッペ・ロトゥンノの監修で1991年に開始されたものの、テクニカラーの激しい褪色のため作業は困難を極め、ロトゥンノはその間、ヴィスコンティの「白夜」(1957年)の復元を先に終了させる。そして何度も改良を続けられた「山猫」の復元版は今世紀に入って遂に終了。

更なる輝きを放ち、最新技術で鮮やかな色彩を取り戻した映像に溢れるのは、VFXやデジタル・サウンドの力に溺れない映画本来の豊かな時間、そして極上の陶酔感である。それは初めて観る者も、そして既に観ている者をも虜にするに違いありません。  

原作はシチリア貴族、ジュゼッペ・トマージ・ディ・ランペドゥーサ(1896〜1957)が死の直前に完成させた生涯唯一の長編小説。生前は次々と出版を断られたが、死後出版されると瞬く間にベストセラーになヴィスコンティ監督った。

そこで綴られた、統一戦争に揺れる1860年のイタリア、シチリア島で歴史の波に呑まれてゆく誇り高きイタリア貴族の栄華と悲哀、そして新旧世代交代の瞬間を、ヴィスコンティは絢爛豪華な映像と重厚な語り口で壮大な一大叙情詩として織り上げている。

貴族ランペドゥーサが書き、ミラノを統治した名門貴族ヴィスコンティ家の末裔ルキーノが映像にした、滅び行く貴族社会の最後の輝き、そこには本物だけが身に付け得る鋭い洞察力と豊かな感性こそが創り上げるドラマがある。

主人公サリーナ公爵の甥、タンクレディをアラン・ドロンが演じているのですが、まだ若いアランの美貌と、そのカッコよさったらないですね。

公爵の甥でありながら義勇軍として革命に参加する青年タンクレディ(アラン・ドロン)、戦争で片目を負傷して戦線を離れた。・・・彼とひと目で相思相愛となる新興ブルジョワの娘アンジェリカをクラウディア・カルディナーレが、アンジェリカサリーナ公爵とダンスたてが社交界デビューを果たす舞踏会シーンは素晴らしいの一言につきます。

純白のドレスのカルディナーレの眩い美しさ、サリーナがリードする優雅なステップとアンジェリカの美しさが際立つワルツ。

周囲が二人のために場所を空け、叔父とはいえ堂々たる魅力のサリーナ公爵に、タンクレディが嫉妬をおぼえる姿は隠せませんでしたね。

貴族階級の没落を毅然と眺めるサリーナ公爵、そして未来に踏み出して行く若い恋人たちを通し、世代交代と滅びゆく貴族社会の最後の光芒を絢爛たる映像で綴った、生涯の代表作ともいえるヴィスコンティ監督の中期の傑作である。

映画史上伝説となった、貴族社会の終焉と新時代の幕開けを同時に告げる、全篇の約三分の一を占める大舞踏会のシーンは圧巻で、名門貴族の末裔、ヴィスコンティならではの、重厚、壮麗な映像絵巻は、本物だけが持ち得る極上の陶酔感に包まれることに違いありませんね。

 



papikosachimama at 00:12│ 2007年劇場公開作品、鑑賞 | や行の映画

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この記事へのコメント

5. Posted by パピのママ   2009年04月15日 00:30
5 晴雨堂ミカエルさんへ・・・こちらこそ、TB・コメント有難うございました。
ヴィスコンティ監督自身が、名門貴族出身というだけあって、映像、美術、衣装などすべてにおいて本物だけが身に付け得る、鋭い洞察力と豊かな感性で創り上げているのが素晴らしいですね。
メインの舞踏会のシーンでは、純白のドレスのカルディナーレの眩い美しさに見惚れてしまい、そこまで目が行き届きませんでした^^;
4. Posted by 晴雨堂ミカエル   2009年04月09日 03:17
はじめまして、トラックバックありがとうございます。

 原作通りにいかない映画化ですが、これは美術作品として素晴らしいですね。没落していく公爵と台頭する市民階級の美の対比が良き演出です。
 
 しかし、舞踏会のエキストラ、暑そうですね。やはり蝋燭の炎と大礼服は身体に悪そうで、気の毒です。
3. Posted by 伽羅   2007年01月08日 23:11
新年明けましておめでとうございます!!
TB&コメント、どうもありがとうございました。
今年もどうぞ宜しくお願いいたします!!

ヴィスコンティの妥協のないあくなき美への探究心♪
衣装もセットも、とにかくゴージャス!!
クラウディアのウエスト、キューッと細かったですよね〜。
羨ましい限りです。
顔の系統は今で言うところのキャサリン・ゼタ姐御?
気が強そうでセクシーな感じがたまりませんでした!!
2. Posted by パピのママ   2007年01月05日 13:56
5 新年そうそう、有難うございます。
今年も映画館通いざんまい、バリバリ記事をアップしますのでどうか宜しくお願いいたします。
1. Posted by アルバイトマニアのヨシキ   2007年01月04日 02:31
あけましておめでとうございます。いろんなサイトを読みふけるのも楽しいですよね。
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