世界最速のインディアンライフ・イズ・ビューティフル(DVD)

2007年02月08日

人生は、奇跡の詩4

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彼女が死んだら、この世界という舞台は終わってしまう。

太陽は好きだが、なくてもいい 僕が太陽を好きなのは、彼女を照らすから。

'03年、イラク戦争直前のローマ。大学教授で詩人のアッティリオ(ロベルト・ベニーニ)は、最新刊も高い評価を得ており順風満帆。だが彼の心は、すべて美しき伝記作家・ヴィットリア(ニコレッタ・ブラスキ)のものだった。彼女との結婚式を夢見るほど思いつめているが、現実では常につれない素振り。そんな中、彼女は著名な詩人フアド(ジャン・レノ)に会うため、バグダッドに向かう。しかし戦火に巻き込まれ、意識不明の重体に。一報を聞いたアッティリオは、彼女を救うため東奔西走するが…。(作品資料より)

結婚式で<感想>うたが聴こえてくる。トロンボーンやクラリネットのやわらかな音色。低音でピアノを弾きながら歌っているのは、誰?・・・トム・ウェイッだ。

時にはハードに、時にはずれているかのように、そして甘美にひびく声。ここではとびきりのラブ・ソングを歌っている。

屋外の教会だろうか、どこかで見たことのある顔ぶれ・・・それは作家の、詩人の顔が・・・実在の著名な詩人たちがカメオ出演をしている。「愛があってこその人生」と、声高らかに歌い上げる、シンガーソング・ライターであり俳優でもあるトム・ウェイツが、この映画のために書き下ろした曲「You can Never Hold Back Spring」を熱唱する夢の中のシーンは必見です。

夢を見てる花嫁がベールを被って新郎を待っている、そこにオドケタような姿で現れるのは、主人公アッテリオの夢の世界のシーン。ベニーニが下着姿で現れる。

この映画には、やさしさと幸せと愛があふれるほどに満ちている。

2時間近い上映時間の間、そこには、幸せに値するあたたかい心配りがさりげなく用意されている。1997年の『ライフ・イズ・ビューティフル』でアカデミー賞を受賞したロベルト・ベニーニは、映画の中で主人公アッティリオを演じ、スクリーンいっぱいに絶え間なく走りながら、幸せの道を語り続ける。

広場で二人大学で講義を持つ詩人のアッティリオが、詩人になった経緯を二人の娘に語る場面が有る。

ある時、アッティリオの肩に小鳥が飛んできて止まり、美しい声でさえずり、その小鳥をびっくりさせたくなくて、ずっと木のふりをしていた時、彼はどんなにか幸せだった事か。その話を、母親に上手に話せなかった。「その時のドキドキする幸せ感を上手に話したくて詩人になった」と。

言葉で自分の気持ちを偽らずに話すのは至難の業だ。しかし、人と人がわかり合うための、もっとも早い、そして正確な道は、やはり言葉しかないのである。

ジャンレノヒロインには、実生活でもパートナーのニコレッタ・ブラスキが、ヴィットリアを演じている。

一方的に想いを伝えるアッティリオに、彼女はうんざり・・・「僕たち、ずっと一緒に暮らさないか」、「ローマに雪が降って、その中で虎を見たら、一生貴方と暮らすわ」・・・死ぬほど愛する女性の心だけは動かす事ができない。

どれだけ彼女の後を追い、話しかけ、時間を費やしてもその想いは伝わらないのです。瀕死のヴィットリアを救うべく主人公が目指した戦火のバクダッド。

そこに住む詩人ファドにジャン・レノ(ダ・ヴィンチ・コード)が演じており、「夢だけが現実で、この世の後にはなにもない」と多くを語ることなく、イラクの悲惨に悲しみ絶望したファドのとった行動に愕然とし、庭の桜?の花びらが舞い散るさまがファドの儚さをあらわしている。

駱駝に乗ってハラハラさせつつユーモアを忘れないベニーニ・タッチの展開の中、映画のシーンで、イラクへの渡航を禁じられたロベルトが、バグダットの彼女に逢う為に、彼は外科医と偽って、赤十字の飛行機に乗り込んで潜入。

あと4時間の命と宣告された彼女の為ならば、バグダッド中を地雷をふんで走り回りながら、薬がないといえば材料調達に奔走して、薬をつくり、やっと酸素マスクやボンベ(アクアラングの酸素ボンベとマスク)を調達。

点滴をしなければ生き延びないといえば、バイクで砂漠の中を何処までも、検問までいって地雷源のところでウロウロ。駱駝に乗ってその高さに仰天しながら「シートベルトがない」とぼやいてみせる。

最後のキスヴィットリアのいる病院に戻れば、泥棒が彼女に乗りかかってネックレスを盗もうとして、必死で取り戻して何気なく自分の首にかけたとき、愛の成就に繋がる小さな偶然が起きるのです。

そして、主人公が病院で瀕死のヴィットリアのために、アラーの神に対してキリスト教の主の祈りを捧げる場面は、ちょっぴりコミカルに描かれ、宗派などは関係なく肝心なのは、人が人を思い祈ることなのですよね。

愛が生んだ奇跡のクライマックス、雪ならぬ綿毛が舞う美しいシーン、「雪の中で虎を見る」という奇跡は確かに起こり、まさに夢心地。

ロベルト&ニコレッタの睦まじい夫婦愛と、いった作品ですが、物語の背景にイラク戦争を選んだ監督は、愛の賛歌の裏側に戦争の理不尽さと悲惨を潜ませたのでしょう。

幸福と不幸は背中合わせ、それを分けるのは愛。優しさと愛があふれでる夢のラストシーンで、ベニーニ監督の静かに語りかける「戦争の反対は愛」という言葉に深く感動してしまうのです。



papikosachimama at 23:48│ 2007年劇場公開作品、鑑賞 | さ行・ざ行の映画

この記事へのトラックバック

20. 人生は、奇跡の詩  [ tetujin's blog ]   2008年09月08日 10:59
トム・ウェイツがピアノを弾きながら歌う(You Can Never Hold Back Spring )幻想的な冒頭のシーン。しぶい歌声で、この映画で描かれている献身的な愛と悲惨な戦争という組み合わせのやるせなさが滲みだしていた。******そう、春のままにしておく事はできないさ さあ...
19. 人生は、奇跡の詩(20070114)  [ cococo ]   2007年08月10日 22:31
今年の映画は、これが最初。 『ライフ・イズ・ビューティフル』は、観賞していたの
18. 人生は、奇跡の詩  [ skywave blog ]   2007年03月03日 21:54
ロベルト・ベニーニとニコレッタ・ブラスキ。実際に夫婦でもある二人がが演ずる、大人のためのおとぎ話。 饒舌な詩人の言葉のマジック、彼の大学での講義を聴けば、今日からだれ
17. 【人生は、奇跡の詩】  [ NAO−C☆シネマ日記 ]   2007年02月15日 21:01
 {/kirakira/}ロベルト・ベニーニが贈る究極の愛のおとぎ話{/kirakira/} 『ライフ・イズ・ビューティフル』{/fuki_suki/}から、もう10年経つんですね〜 時が経つのは早いです。。 戦時下のバグダットを舞台に大切な人を守る為、 全てをかける男の“究極の愛”をロベル...
16. 映画:人生は、奇跡の詩(うた)  [ 駒吉の日記 ]   2007年02月14日 17:55
人生は、奇跡の詩(うた) 「毎晩君の夢をみる 結婚しよう」 ロマンチック?ストレート?お笑い??とよくわからないけど、キュートなアッティリオ。お笑いのヒトがモテるわけがわかります。 小日向文世にトム・ハンクスを3割混ぜ込んだような(主観です??)ロベ...
15. 人生は、奇跡の詩  [ とんとん亭 ]   2007年02月13日 21:31
「人生は、奇跡の詩」 2006年 伊 ★★★★★ これは、都会では去年公開されたのですかね?^^ こちらでは、土曜日から1週間上映です。一週間でも上映されないよりは 全然ましだけど、主に休日にしか観れない私には時間も1日に2回だけの 上映で時間...
14. 人生は、奇跡の詩  [ 八ちゃんの日常空間 ]   2007年02月10日 22:52
大人の恋のおとぎ話。 「詩的」だけどコメディのようで本当にほんわかあったかいお話です。 あんな素敵な奥さんいるのに浮気しちゃダメだよ〜。
13. 『人生は、奇跡の詩』 今年はあと何本観れる?  [ Brilliant Days ]   2007年02月10日 16:36
ラスト・スパートの時期ですが、寒いし野暮用も多いしで、年内にあと何本観れるかな?って瀬戸際です(笑) 青島幸男さんと、岸田今日子さんの訃報には驚きました。 御2人ともまだまだお元気で活躍されると思っていましたのに・・ ご冥福をお祈り致します。 さて、ロベル....
12. 人生は、奇跡の詩(20070114)  [ cococo ]   2007年02月10日 03:01
今年の映画は、これが最初。 『ライフ・イズ・ビューティフル』は、観賞していたの
11. 感想/人生は、奇跡の詩(試写)  [ APRIL FOOLS ]   2007年02月10日 01:34
『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニ最新作『人生は、奇跡の詩(うた)』12月9日公開。大学で詩を教えるアッティリオは毎晩、同じ女性と結婚する夢を見ていた。現実の世界にも現れた彼女だったが、ある日危篤状態に陥ったことを知らされ、アッティリオが大...
10. 人生は、奇跡の詩/LA TIGRE NEVE/The Tiger and Snow  [ 我想一個人映画美的女人blog ]   2007年02月10日 00:40
ここまで一途な男もすごい。 ロベルト・ベニーニ監督は今作でも主演/脚本/製作全てこなす。 べらべらべらべらずーっと出ずっぱりで喋りっぱなし!のベニーニはロマンティックで饒舌な詩人。 この作品、そんなミスマッチな印象ながらも、素敵な映像{/kirakira/}で魅せるコメデ...
9. 人生は、奇跡の詩  [ Addicted to the Movie and Reading! ]   2007年02月09日 23:18
■ シャンテシネにて鑑賞 人生は、奇跡の詩/LA TIGRE E LA NEVE 2005年/イタリア/114分 監督: ロベルト・ベニーニ 出演: ロベルト・ベニーニ/ニコレッタ・ブラスキ/ジャン・レノ 公式サイト 2003年、イタリア。詩人のアッティリオ・デ・ジョバンニは、いつ...
8. 人生は、奇跡の詩  [ なんちゃかんちゃ ]   2007年02月09日 21:09
『ライフ・イズ・ビューティフル』のロベルト・ベニーニが放つ感動喜劇。戦地で意識を失った妻と、夫の絆をコミカルに綴りながら、“無償の愛”を高らかにうたう
7. 微妙に見逃した? 「人生は、奇跡の詩」  [ 平気の平左 ]   2007年02月09日 19:53
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4 2007年最初の劇場鑑賞作品は意外にもイタリア映画。昨年から観たいなと思ってたんですよね。久しぶりの日比谷シャンテは箱根駅伝と重なって国道沿いにはノボリがいっぱい。道行く人も讀賣の小旗やポータブルTVを携えてる人がちらほらいたりして、大手町界隈独特のお正月の風....
1. 『人生は、奇跡の詩』 La tigre e la neve  [ かえるぴょこぴょこ CINEMATIC ODYSSEY ]   2007年02月09日 16:12
ノイジーだけど、ファンタスティックなベニーニ・マジック。 ローマに住む大学教授で詩人のアッティリオは、愛する女性ヴィットリアを救うため、イラク戦争直前のバグダッドへ赴く。英語題は、「The Tiger and the Snow」  イカとクジラみたいにそのまんま「トラと雪」...

この記事へのコメント

4. Posted by パピのママ   2007年03月01日 14:10
カオリさんへ〜ご来店ありがとうございます(^_-)-☆
そうですね!、原題「虎と雪」ではベニーニ監督作品というイメージが、現れてないようなそんな感じで「人生は、奇跡の詩」としたのでしょう。
しかし、原題のシーンを映像で表現、一番素敵なシーンです
3. Posted by カオリ   2007年02月27日 23:17
こんばんは〜
原題のとおり「虎と雪」でも良かったかも?と思いました。詩人だから、ホントはもっと韻を踏んだりして素敵なんでしょうね。日本語訳ではなかなか難しいかも。
それにしても、キレイな奥様ですよねー。
2. Posted by パピのママ   2007年02月14日 10:09
あかん隊さんへ〜コメント有難う(*^^)v
ベニーニ監督って、本当にお茶目さんですよね!
けっして二枚目ではないけれど、好きな人の為ならイラクでも地球の果てまで追いかけていくのでしょうね
暖かくて優しさが溢れた映画でした。
1. Posted by あかん隊   2007年02月10日 01:48
TBありがとうございます。
こちらの記事で、いろいろなシーンを思い出しました。「街中で雪のように舞う花粉(?)の中に現れた虎」というシチュエーションは、すてきでした。ラストの門扉での、彼の往復も印象的でした。
世界最速のインディアンライフ・イズ・ビューティフル(DVD)