2008年01月06日
4分間のピアニスト
類まれな才能を持ちながらも、人生は過ちばかり。自由をつかむために彼女に残された演奏時間は、たったの4分間だった__。
ピアノ教師として刑務所にやってきたクリューガー(M・ブライブトロイ)は、問題児とされている少女、殺人犯で服役中のジェニー(ハンナ・ヘルツシュプルング)が机を鍵盤がわりに無心に指を動かす姿を見つける。
愛に裏切られ続け、過ちを犯したジェニーの類まれなる才能を見抜いたクリューガーは、それを花開かせることこそが、残り少ない自分の人生の使命だと考え、所長を説得して特別レッスンを始める。
その日から、全く違う世界に生きていた二つの魂のぶつかり合いが始った。
全てのものに牙をむき、自らを傷つけようとするジェニーだったが、自分と同じ孤独を抱えるクリューガーの情熱にいつしか心を開いていく・・・。
しかし、新たな悲劇が二人を襲う。ある陰謀により、ジェニーは暴力事件を起こしてしまったのだ。
コンテストの決勝があと数日後に迫っているというのに、ピアノを禁止されるジェニー。
そして、彼女を助けようとしたクリューガーは、解雇されてしまう。
果たしてジェニーは、自由への扉を開くことができるのか__?(作品資料より)
<感想>10歳で国際的な舞台に立ってピアノを演奏していたという天才児ジェニーが、どこかで道をまちがった。
殺人の罪を問われ、刑務所にいる。えらく反抗的なうえに、かっとなると暴れ狂う。
そんな彼女(ハンナー・ヘルツシュプルング)が、ピアノの老教師(モニカ・ブライブトロイ)に出会い、レッスンを受けることになる。
老教師のクリューガーは、第二次世界大戦末期には看護婦をしていた。映画では、彼女の半生の描写が短いフラッシュバックで挿入される。
視点は、老教師クリューガーの側に置かれている。だから、映画は、彼女が、グランドピアノを運ばせながら、刑務所にやってくるところからはじまり、彼女がジェニーを見出すところへと進む。
まず最初に、刑務所でクリューガーがパイプオルガンを弾いていると、テーブルの上でしきりに指を動かしながらオルガンの曲に合わせているジェニーが観客のなかにいる。
大勢いる受刑者のなかで、相当高齢のクリューガーが、オルガンの上にある鏡のようなものに写っている、一人の受刑者ジェニーに注目するというのはかなり困難だと思うのだが。
それでも、彼女が、強く主張してジェニーに刑務所内で、ピアノの個人レッスンをするところにこぎつけるが、ジェニーにいじわるをした看守を猛烈に平手打ちする。
今度はジェニーが、その看守に重傷を負わせるのです。看守や受刑者仲間の卑劣な嫉妬・憎悪・妨害にもめげずに、レッスンは続くのです。
刑務所内でジェニーの手錠をはずさない看守のまえで、手錠をはめたままの後ろ手であざやかに弾いてしまうのは、「アマデウス」のモーツァルトが目隠しをしてピアノを弾いたり、後ろ手で弾いたりするシーンがある。
映画ではよくある仕掛けだが、あまり効果的ではないと思う。ちょっと“無理”と思えるシーンがたくさんあるし共感できない。
驚くことに、冒頭でジェニーは、同じ房にいた女性受刑者が首を吊って死んでいるのに、吊りさがった死体にも驚かず、死体のポケットからタバコを取り出して、吸う。
彼女がこういう風な人間になってしまった理由は、またしてもジェニーの養父との忌まわしい思い出が、・・・育ての親の陵辱によるトラウマだと示唆されるが、暗に、その冷えた感性がナチのそれと重ね合わされる。
クリューガーの意識のなかで、若いときの彼女が愛したユダヤ人のコミュニスト活動家の女性が、ナチに捕まり、拷問のすえ、残酷なやり方で殺されるシーンが甦る。
彼女にとって、刑務所とナチとがダブって走馬灯のように頭をよぎる。
繰り返し、ナチ時代に設定された映像が挿入され、クリューガーが、レズであることはすぐにわかるし、彼女がジェニーの才能だけに惹かれているわけではないこともわかる。
とはいえ、老教師役のモニカ・ブライブトロイは、見事な演技を見せる。
ジェニー役のハンナー・ヘルツシュプルングは、1200人のオーディションから選ばれた新人だそうだが、ちょっとドリュー・バリモア似の女の子、パンク的ななげやりさと、暴力性を斬新に演じている。
脚本家クリス・クラウスが構想8年で初監督した音楽ドラマ。独アカデミー賞作品・主演女優賞にモニカ・ブライブトロイが受賞した。
原題は「4分間」という題名、最後のクライマックスの脱出劇は、もう全然無理というもの。
しかも、ドイツのオペラ劇場でジェニーが演奏をする「4分間」、警官がじっと見守り、演奏が終わり、スタンディング・オベイションと同時に警官が彼女を拘束するというのは、あまりに「劇」的すぎるシーンだった。
彼女の魂と魂のぶつかりあいが、激しく鍵盤をたたき、弦を弾く。
こなごなに踏みにじられた少女の哀しみからあふれ出た凄まじいほどの旋律。
ラストの4分間の感動で、体ではなく心がしびれて揺さぶられました。
きっとコンクールの課題曲など弾くより、自分の心の中に眠っていた魂の叫び、自分の感性を弾きたかったのでしょう。その後に、独房が待っていることも承知で、・・・。
しかし、その即興風で前衛的な音楽は、たしかにすばらしいと思えた。(日本人ピアニストの演奏であるようだ)。
それだけでなく、この映画は全編を通して演奏されるベートーベンやシューベルト、シューマンなどの典雅なクラシックの名曲も美しく、その点で、ミヒャエル・ハネケ監督の「ピアニスト」(2001)を思い出させるところがあった。
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この記事へのコメント
ミチさんへ・・・コメントいつもありがとう(^^♪ラストのコンサートしーんは、圧巻でしたね。
ジェニーが微笑みながらお辞儀をしたのは、もしかしてクリューガー先生に感謝の意を表わしてたのかもしれませんね。
TBありがとうございます!
あの4分間は本当にスクリーンに目が釘付けでした。
もしかしたら口もあんぐり開いていたかも(笑)
シューマンの演奏も聞いてみたかったです。
今年も宜しくお願いいたしますね(^^♪
この映画のクライマックと言うべき「4分間」って、劇的な瞬間ですよね!
始めはあまり刑務所が設定だったのでつまらないと思いました。
しかし、ピアノを教える老婆の教師の昔話やら、ジェニーの生い立ちなど分かり始め、話も面白く展開して、ラストの即興、前衛てきなピアノ演奏シーン。
評価は、みなさんいいみたいですね!(^^)!
トラックバックありがとうございます。(*^-^*
今年もヨロシクです♪
>自分の心の中に眠っていた魂の叫び、自分の感性を弾きたかったのでしょう。
少女は4分間の演奏でありのままの自分を解放出来たという意味では
少女の心は初めて満たされたのでしょうね。
