2008年06月06日

地上5センチの恋心3

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仏で大ヒットを記録したあふれる色彩とファンタジックな世界で繰り広げられる大人のためのラブ・コメディ

突然、憧れの作家と共同生活を送ることになった未亡人の姿を、ポップかつファンシーなタッチでつづる。

物語: オデット・トゥールモンド(カトリーヌ・フロ)は、美容師の息子ルディ(ファブリス・ミュルジア)と生意気盛りの娘スー=エレン(ニナ・ドレック)を持つ、明るくてちょっと夢見がちな主婦。先に逝ってしまった夫に代わって、昼はデパートの化粧品売り場で働き、夜は踊り子の羽根飾りを内職しながら、2人の子供たちを育てている。

決して裕福な生活でないけれど、自分なりの幸せを見つけて、楽しく毎日を送っている。彼女の日課は、寝る前に大好きな作家バルタザール・バルザン(アルベール・デュポンテル)の本を読むこと。バルタザールは、ベタベタのラブロマンス作家だが、オデットにとっては憧れの存在。彼の本は、たちまち彼女を夢の世界へといざなってくれるのだ。

待ちに待った彼のサイン会。とびっきりのおしゃれをして会場に向かったオデットだったが、緊張のあまり自分の名前すら上手く言えず、彼に想いを伝えるせっかくのチャンスを逃してしまう。

本屋で作家と悲しみに暮れていると、別の日にサイン会があることを知り、今度こそ自分の想いを彼に伝えるべく、ファンレターを渡そうと考える。

そして当日、彼女はついにバルタザールにファンレターを渡すことに成功する。

 

一方、バルタザールは自分の小説は所詮女ばかりを喜ばせる、型にはまったロマンス小説に過ぎないと、成功しながらもどこか満たされない生活を送っている。妻とも最近すれ違ってばかりだ。

そんな時、自分の最新刊がTV番組で酷評されているのを目にしてしまい、挙句妻がその評論家と浮気している事実を知る。まさに人生のどん底!思い余って自殺を図るバルタザールだったが、なんとか一命を取り留める。

そんな時、オデットからもらったファンレターを読み…。

そこには、彼に対する尊敬と感謝の言葉が並んでいるのだった。すっかり感激してしまったバルタザールは傷ついた心を癒してもらおうと、オデットの元を訪れる。

こうして、普通の主婦とベストセラー作家の奇妙な生活がはじまる…。(作品資料より)

デパートで<感想>フランスで100万人を動員したという、大人のためのラブ・コメディ作品です。

ささやかな生活を送っている主婦オデットにとって、お気に入りのロマンス作家バルタザールの本を読むことがなによりの幸せ。

たとえ空想上であっても、恋する気持ちを忘れていない。

彼こそが心の恋人であり、そんな憧れの人が現実に目の前に現れたら?・・・。

それは「羽ペンの男(作家)」と「羽飾り作りの女」が出会う映画なんですね。

オデットにとって羽を縫い合わせたり、豪華な衣装を作ることは気晴らしになるし、彼女はジョセフィン・ベイカーのシャンソンをすべて知っていて、彼女の内面の声にもなっているわけで、その生きる喜びが心の中で鳴り響いているんですね。

しかし実際に彼女を幸せにするのは作家のバルタザール・バルサンなの。

エディットオデットは生まれつき幸せの秘密を握っているのですが、バルタザールの小説が彼女を元気にしてくれるので、この元気は彼のおかげだと信じ思い込んでいるわけ。

 

夫が死んで悲しみの中にあっても、彼の本だけが生命の糸を張り詰めさせ、彼女を現実につなぎ止めていたのですね。

彼女はバルタザールに借りがあり、それを伝えなければならないと思っているし、そして最後には、この借りよりも、はるかに大きなものを返すことになるわけなのです。

ヒロインは若くてキレイな方がいいと、誰でもそう思うはず。

でも、フランス映画では50歳前後のそれほど美人じゃないおばさん(失礼?)

それでも魅力的なヒロインになれるし、おしゃれなストーリーに仕上がるから不思議。
ありきたりな日常を、バラ色に変える魅力的なヒロイン、オデットを演じるのは、フランスの大女優カトリーヌ・フロ。

セドリック・クラピッシュの『家族の気分』、コリーヌ・セローの『女はみんな生きている』などで愛すべきキャラクターを演じてきたフロのほんわかした魅力が最大限に引き出され、観る者すべてを幸せにさせてくれる。

バルタザールバルタザールには、コメディアンから作家までマルチな活躍をしている俳優アルベール・デュポンテル。渋さの中にもどこか飄々としたユーモアを醸し出している。

また、オデットがしばしば歌いながら踊るのは、黒いヴィーナスといわれたシャンソン歌手ジョセフィン・ベイカーの代表曲の数々。それ以外の印象的なオリジナル音楽を『ライフ・イズ・ビューティフル』など多くのイタリア映画の音楽を手がけてきた巨匠ニコラ・ピオヴァーニが手がけている。

監督・脚本を、『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』の脚本を手がけるなど、劇作家や小説家としても活躍するエリック=エマニュエル・シュミットが務め、本作が記念すべき初監督作品となった。

地上5センチの息子いつでもファンは好きな俳優や作家とお近づきになれると信じているもの。

サイン会や舞台挨拶に殺到するファン心理の面白さや、逆に自信満々に見える作家の不安な内心が覗き見えるのも興味深いです。

 

自分の作品がファンにとって生きる糧になる喜びを知っているシュミットだからこそ、この『地上5センチの恋心』を生み出すことができたのでしょう。

また、化粧品や羽根が踊りだしたり、嬉しさのあまり文字通りオデットの体が浮いて空を飛んでしまったりと、楽しさたっぷりの演出が全篇に漂う不思議な浮遊感を一層盛り上げています。

彼女が幸せな時、体が浮遊しますし、お風呂に入っている時に原生林にいると想像すると、森が現れて・・・という風に。幻想的なシーンがたくさんあります。

主人公が、フワフワと浮きながらも、新たな人生のスタート地点へと確実に着地するヒロインを描いた最大級に幸せなドラマです。

踊るオデットフランスでは、2006年に生まれた婚外子の割合が50.5%になったとのこと。そんなフランスだから、当然同性愛にも同性婚にも寛容・・・?
そんなフランスの実情が、オデットの家庭を見ればよくわかる。同性愛者の息子ルディ(ファブリス・ミュルジア)は正々堂々と男を家に連れ込んでくるし、おしゃれに関心のない妹のスー=エレン(ニナ・ドレック)もいつの間にかケッタイな男を引っ張り込んでいたが、オデットはそれをすべて容認。日本ではとてもこうはいかないはずですよね。


日本でも近時「癒し系」が大はやりだが、オデットは癒し系の権化みたいな存在なんです。したがって、自信を喪失したバルタザールの再生はもちろん、自信喪失の原因となった不貞妻とバルタザールとの復活劇まですべてオデットが成し遂げることに。

だって、オデットにとってバルタザールは恋愛の対象ではなく、あくまで憧れの存在だったのだから・・・。

欲張らなくても生活を幸せで満たせるオデットの揺ぎない価値観は、多くを求めがちな現代人に幸せの意味を教えてくれるはずですね。

主人公の気分を表現した映像による演出がユニーク!。人と比べたりせず、ありのままの自分を認めることが大事だということを教えてくれる作品でもあります。



papikosachimama at 23:43│ 2008年劇場公開作品、鑑賞 | た行・だ行の映画

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この記事へのコメント

2. Posted by パピのママ   2008年06月13日 15:58
5 miyuさんへ・・・こんちは〜こちらこそいつもTB貼り逃げですみません
おフランスのコメディ映画は、ウィットに跳んでいて、この作品の彼女(50歳のおばさん)も嬉しくなると身体が自然に浮いてしまう(ホント心も軽く、浮かんだ心理状態なのでしょう)
好きな彼氏(作家のバルタザール)が、ひょんなことから同棲することになって、私ならこれをチャンスとばかりにいい関係になってしまうのに、拒否しちゃって、・・・女心はわかりませんね(笑)
1. Posted by miyu   2008年06月08日 23:31
いつもお世話になっています〜。
すみません。トラバ間違っちゃってたんですね(;・∀・)
それなのにちゃんと返してくれてありがとうございます!
コレ本当素敵な映画でしたよね〜♪
癒し系のオデットに癒されちゃいましたし、色んなことを教わりました。