2009年03月04日

ディファイアンス4

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人間として、生きるための抵抗=ディファイアンスだった。1200人の命を守り抜いたビエルスキ兄弟。知られざるユダヤ人、真実の戦い。

物語:第二次世界大戦時の1941年。ヒトラー率いるナチス・ドイツ政権下。本国から遠く離れた東ヨーロッパの地でも、ユダヤ人に対する迫害や虐殺が始まっていた。

両親を殺されたユダヤ人のビエルスキ兄弟は、復讐の気持ちを胸に、ポーランドに隣接する極寒のベラルーシの森の中に逃げ込む。

飢えや寒さ、度重なるドイツ軍の攻撃に立ち向かいながら、逃げ惑うユダヤ人を引き入れ、彼ら自由をもって暮らせる共同体を築いていく。

そして3年にも及ぶ長い月日が経ったときには、仲間は1,200人になっていた。厳しい環境ながらも、そこには恋愛や結婚、そして出産の日々が存在し、彼らの子孫は数万人に及んでいる――

第二次世界大戦下、1,200人ものユダヤ人の命を救った3人兄弟の真実の物語。大ヒットシリーズ『007』の6代目ジェームズ・ボンドとしても活躍するダニエル・クレイグの最新主演作。(作品資料より)

ダニエル<感想>ジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグもいいが、より硬派な役も最高!・・・そう思わずにいられない本作は、第二次世界大戦中の実話に基づく力作。

実際のビエルスキは、多くのユダヤ人を救った東欧版オスカー・シンドラーというべき人物だが、本作ではそれを美談に仕立てあげるのではなく、彼の苦闘をとらえることに集中している。

「ラストサムライ」をはじめ、こだわりの格闘を描くことに定評のあるエドワード・ズウィック監督の真骨頂。銃を構えるとほとんど“007“に見えるクレイグの熱演ともども必見ですよ!

第二次世界大戦中のユダヤ人についての話はたくさんありますが、抵抗して戦ったユダヤ人の物語はあまり語られてきませんでしたね。

私は始めて、ビエルスキ兄弟のことをこの映画で知りました。

長男のトゥヴィアが白い馬に乗ってメンバーを率いる姿は、きっと避難者たちの目には「ユダヤ人を悪の手から救うメシア」と映ったことでしょう。その白馬も食料となってしまうのだから。

生存者の中には、「ユダヤ人を救うために神が彼を遣わした」と思っている人や、「彼は人間ではなく、天使だった」とまで断言する人達もいるわけで、トゥヴィアのカリスマ性を物語る言葉でもある。

理想はどうであれ、現実はどうしようもなかったのだろう。彼らの周囲はすべて敵に囲まれていたのだから。

ズッシュ敵はナチス・ドイツやそれに協力する地元警察だけではなかった。共闘関係にあったロシア人パルチザンでさえ、ユダヤ人パルチザンに常に疑いの目と差別意識を向けていたのだから。

また地元農民から見れば、食料を調達していく彼らは、最低限のものだけを取り、後は一切手をつけるなとトゥヴィアが厳しく言っていても、「ユダヤ人強盗団」でしかなかった。

実際のビエルスキ隊は、ドイツ兵や地元警察官だけでなく、多くの地元農民をも密告者やスパイとして殺害している。

映画の中でも、ビエルスキ隊のこうした負の側面は美化されることなくリアリティックに描かれている。無抵抗なドイツ人捕虜をユダヤ人たちが集団で惨殺するシーンは、思わず目を背けたくなる。

生き残るためには、殺される前に殺さなければならない。それは言いようもないほど残酷な時代だったのであるから。

アザエルトゥヴィアがナチスの追っ手から逃げながらも仲間を束ね、リーダーとして強固な絆を持つコミュニティーを築いて行く過程は、キューバの山岳地帯で敵に囲まれながらゲリラ戦を展開、革命を成功に導いたゲバラの戦術を彷彿とさせます。

四面楚歌の過酷な状況を乗り切ったトゥヴィアとゲバラの行動に共通点が多い事実は、普遍的なリーダー論を考え知る上で興味深いと思われますね。

自己に厳しいが仲間へも厳格で、コミュニティー内の規律を破る者へは、容赦ない制裁を加える冷酷さなど、厳しさを超え冷たさも感じるが、他人に厳しい分、自己への厳しさも半端ではなかった。性格の気質にも2人には重なる部分が多い。

自分が食糧を口にするのは、いつも仲間に行き渡ったことを確認した後、一番最後と決めていた。こんな優しさも共通しているのには感動する。

四方を敵に囲まれ、食糧も乏しい極限状態の中で、ビエルスキ隊には分裂の危機が幾度となく訪れ、その度に、兄弟は断固たる苛烈な手段によって問題を解決したのだった。

daanieruそんな過酷な森の中での生活にも、武器を直し、料理を作り、裁縫や銃の訓練など、人々はそれぞれ職を持ち、恋愛、結婚、出産と人間らしさを取り戻す。

そんな平安な生活にも暗い影がしのびよる、それは空を旋回する飛行機から爆弾が投下されやむなく森の奥へとみんなを引き連れて逃げ惑う。だが、目の前に大きな川が現れ、ドイツ軍に囲まれている今は、その川を渡るしかない。

老人や子供を抱えて、川を突き進み、「やればできる。神はモーゼのために紅海を引裂いた。僕らに奇跡はない、奇跡は自分たちで起こす」と、トゥヴィアの言葉に促され、ロープやベルトで皆をつなぎ川を渡りきる。

しかし、対岸にもドイツ兵が待ち受けていた。激しい銃撃戦の中、トゥヴィアの作戦でドイツ兵の裏手に回り襲撃するが、その時、弟のズシュが現れて劣勢になったトゥヴィアたちを助ける。その時の、ドイツ軍の戦車まで乗っ取るのには驚いた。

その後、森の中での生活は1944年7月、ドイツ軍壊滅まで続けられた。

しかしそれでも、ビエルスキ兄弟によって1200人ものユダヤ人の命が救われたのは紛れもない事実である。

彼らホロコーストを生き延びた人々とその子孫たちは、今もビエルスキ兄弟に厚い感謝の念を抱き続けている。

 

追記:ビエルスキ兄弟の次男、ズシュ役にはなんとあの「オーメン」(06)悪魔の化身ダミアンの養父を演じたリーヴ・シュレイバーが熱演しており、3男のアザエル役には、「リトル・ダンサー」と「ジャンパー」のジェイミー・ベルが、あの過酷な森の中での生活で恋人となったハイアと結婚式を上げるシーンもある。

トゥヴィアの恋人・リルカ役となったのは、「リディック」で映画デビューしたアレクサ・ダヴァロス。昨年、衝撃の結末を迎えたスティーヴン・キングの「ミスト」にも出演しているのも記憶に新しい。
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