2010年05月13日

カラヴァッジョ/天才画家の光と影3

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16世紀イタリアを代表するバロック絵画最大の巨匠カラヴァッジョ。38年という短かくも激動の生涯を駆け抜けた男の、愛と悲運の物語。

“聖マタイの召命”、“洗礼者ヨハネの斬首”など名画誕生の秘密も明かされる。

出演は「輝ける青春」のアレッシオ・ボーニ(カラヴァッジョ)、「裸のマハ」のジョルディ・モリャ(デル・モンテ枢機卿)他、エレナ・ソフィア・リッチ(コンスタンツァ・コロンナ侯爵夫人)、など。監督はアンジェロ・ロンゴーニ。撮影監督には「地獄の黙示録」などで3度のオスカーに輝くヴィットリオ・ストラロが担当している。

物語:ミラノで絵の修行をしていたカラヴァッジョは、コスタンツァ・コロンナ侯爵夫人の援助を得て芸術の都ローマに出てきた。ローマの街角で画家のマリオ・ミンニーティと知り合ったカラヴァッジョは、ダルピーノの工房に入り込む。

夜になると、マリオや血の気が多い仲間オノリオらと街へ繰り出す。カラヴァッジョが目をとめたのは高級娼婦のフィリデ。しかし元締めは街の権力者ラヌッチョ・トマッソーニで、手が出せる女ではなかった。
カラヴァッジョの絵画絵が売れず、窮地にあったカラヴァッジョのもとに、絵の評判を聞きつけたデル・モンテ枢機卿がすべての生活を援助してくれることになった。
カラヴァッジョの絵がお披露目されるサロンには、有力貴族ジュスティニアーニ侯爵や画壇の大御所ズッカリ、人気画家のバッリョーネなどローマ中の名士が集まっていたが、カラヴァッジョは誰にも媚びることなく率直な意見を口にし、皆を驚かせる。

フィリデのことが忘れられないカラヴァッジョは、彼女をモデルにする権利を賭けラヌッチョにテニス対決を挑み勝ち取った。

モデルに乗り気ではなかったフィリデだが、彼の描く絵に感動し、その熱い思いのまま二人は激しく愛し合う。

その頃、巷ではチェンチ殺害事件の話題でもちきりだった。チェンチ男爵の娘ベアトリーチェとダルピーノの工房で言葉を交わしたこともあるカラヴァッジョは、殺人の罪を着せられ首を斬り落とされる彼女の姿を目に焼き付け、フィリデをモデルに迫力あるユディトの絵を完成させる。

だが、フィリデは、娼婦として暮らさなければならない自分を理解してくれないカラヴァッジョのもとを去っていく。
karavuajjyo3フィリデとの別れからまたしても放蕩に明け暮れるカラヴァッジョにとって、最高に名誉ある仕事がもたらされる。それはサン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂の絵画制作。

《聖マタイの召命》《聖マタイの殉教》の誕生でローマ中の賞賛を浴びたカラヴァッジョが、誰よりも作品を見せたかったコロンナ夫人もその栄光を称え、これからは家族を持ち落ち着いた生活が必要と勧めるが、彼は夫人に永遠の愛を捧げると告白するのだった。

その頃、教会では異端粛正が続き、火刑に処せられたドミニコ会修道士ジョルダーノ・ブルーノの末期の苦悶を見届けたカラヴァッジョは、聖人も人間だと考え《聖マタイと天使》を描く。

しかし人間的すぎる聖人像だと教会に受け取りを拒否され、街での乱闘騒ぎで鬱憤を晴らすしかなかった。
すでにスペイン派が多勢を占めていた教会では、フランス派のデル・モンテ枢機卿にカラヴァッジョを擁護する力はもうなかった。
宮殿を辞したカラヴァッジョは、街の娘レナをモデルに呼び寄せ二人で暮らす。心優しく、信頼と愛情を寄せてくれる彼女に、カラヴァッジョは初めて安らぎを得る。
しかし、モデルに庶民のレナを使って《ロレートの聖母》を描いたカラヴァッジョは、教会の非難にさらされる。
その上、最愛の人レナにも危害が及び、逆上したカラヴァッジョはトマッソーニの仕業だと決闘を申し込み、怒りのままに彼を刺してしまうのだった・・・。
(東京美術通信より)   注意:ネタバレです!

karavuajjyo<感想>カラヴァッジョという名を聞くと、教会美術を写実的に描いた、視覚的にリアルな人間の真実に迫り、娼婦をモデルに描いた聖処女の絵は、大胆な発想とリアリズムとコントラストの強い陰影「光の部分は美しく、影の部分は罪深い」で見る者を圧倒します。

 

この時代、天才画家と幼い頃から認められても、誰かの庇護を得なくては世に出ることはない。埋もれてしまう画家もいただろうに。

カラヴァッジョは、ミラノで絵の修行をしたいたころ、恵まれた才能をコスタンツァ・コロンナ侯爵夫人に見出されローマへと。

そこでまたデル・モンテ枢機卿の援助で画壇デビューを果たすのだが、それにもまして、彼の血気盛んで暴力の衝動を抑えきれない短慮な性格が災いをもたらす。

デル・モンテ街の娼婦フィリデに目を付け恋焦がれ、彼女をモデルにする権利を賭けて元締めで権力者でもあるラヌッチョ・トマッソーニラヌッチョにテニス対決を挑み勝ち取ることに成功する。

しかしである、画家にとっては手は商売道具、その手に黒い皮手袋を嵌めてボールを撃ち合うテニス。手の平が腫れ上がったりしなかったのか?・・・無茶をする男だ。

その娼婦フィリデをモデルに、当時巷ではチェンチ殺害事件が、カラヴァッジョは、首を斬り落とされる彼女の姿を目に焼き付け、娼婦のフィリデをモデルに迫力あるユディトの絵を完成させるのです。

karavuajjyo2娼婦フィリデに別れを告げられ、またしても放蕩に明け暮れるカラヴァッジョに、最高に名誉ある仕事がもたらされます。
それはサン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂の絵画「聖マタイの召命」「聖マタイの殉教」の制作でした。

彼の絵の発想には驚かされます。
天井を破って陽の光を差込む明るさと影、窓からの差し込む陽射しの光で照らされるモデルたち。その革新的な明暗対比の写実主義な描写の誕生でローマ中の賞賛を浴びるのですね。

きっとこの時、カラヴァッジョが、誰よりも作品を見せたかったのはコロンナ夫人だったに違いありません。彼は夫人に永遠の愛を捧げると告白したのに、叶わぬ恋なのか娼婦との生活に明け暮れる。

karavuajjyo4その後もカラヴァッジョの才能は開花されるのですが、聖人も人間だと考え「聖マタイと天使」を描くのですが、その聖人像(聖マタイが娼婦のフィリデをモデルにしている)があまりにも人間的すぎると教会に拒否され、またもや鬱憤ばらしに街で暴れて牢獄へと入れられる。

その後も、レナという街娘と恋仲になりモデルにして「ロレートの聖母」を完成させるのですが、またしても教会の非難にさらされます。

その上、最愛のレナもトマッソーニに襲われて顔に怪我を負う。逆上したカラヴァッジョはトマッソーニに決闘を申し込み、怒りを押さえきれぬままに彼を刺し殺してしまうのです。
それに彼も重傷を負い、ナポリのコロンナ邸に運び込まれ、夫人の必死の看護によって傷は癒えたが、そこに届いたのは、恐るべき死刑宣告の知らせが。

その後はマルタ島で渾身の一作「洗礼者ヨハネの斬首」を描き、名誉騎士に叙任される。だが彼を憎む上官の罠にはまり牢につながれ、カラヴァッジョの味方をする騎士たちによって漁師の船でシチリアへ逃げのびるのです。

そのシチリアでローマ時代の友マリオと再会、カラヴァッジョの体は痩せ衰えていき、残された力を振り絞りながら教会の絵を描くことに没頭するのです。

コロンナ夫人ローマでは、デル・モンテ枢機卿をはじめとするパトロンたちや、コロンナ侯爵夫人やフィリデまでもが恩赦嘆願のために力を注ぎ、そのお陰で教皇による恩赦の知らせがやっとシチリアに届いたのだが、ローマに戻る途中の港で官憲に誤認逮捕され足止めをくらい、教皇に献呈する絵画を乗せたまま離れていく船。

絵画を乗せたその船になんとか追いつこうとするカラヴァッジョ、しかし牢獄での生活や、幼い頃のマラリアの再発なのか、彼の衰弱した体にまたしても死神の幻覚が襲う。

繊細なタッチでリアルに描く写実派のカラヴァッジョ。腐乱死体とか斬首刑、火あぶりの刑を参考に描いていく過程は、写実こそ人間の真実に迫るものというルネサンスの精神に通じているからだろう。

karavuajjyo,4芸術家にしては破天荒な人生を送り、38歳で生涯を閉じたというカラヴァッジョ。

そんな彼の狂気と化する性格の理性を失う原因は、きっと幼いころのマラリアで亡くなった祖父母や両親が、遺体置き場に現れた黒い馬に乗り黒装束の死神が、頭から離れないことが狂気にしているのではないかと思われます。


彼の才能を世に開花させたコスタンツァ・コロンナ侯爵夫人や、デル・モンテ枢機卿のもとに擁護されつづけるが、そのかいもなく、若くして逝ってしまった天才画家カラヴァッジョの生涯を描いた作品です。

2時間半と長い映画でしたが、カラヴァッジョを演じたアレッシオ・ポーニがヒュー・ジャックマン似であったことで救われました。
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papikosachimama at 21:24│ 2010年劇場公開作品、鑑賞 | か行・が行の映画

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3. カラヴァッジョ天才画家の光と影  [ ケントのたそがれ劇場 ]   2010年05月22日 16:22
★★★★  まさにタイトル通りの映画であった。イタリアの天才画家であるカラヴァッジョの、波乱に満ちた激動の半世を、胸が苦しくなるほど激しく描いている。 カラヴァッジョの画風は、徹底した写実性と明暗対比、そして卓越した感情表現にある。これは彼の人生そのもので
2. イタリア映画祭2008...「カラヴァッジョ」  [ ヨーロッパ映画を観よう! ]   2010年05月19日 21:03
今年も楽しみにしていたイタリア映画祭。 私的には“映画祭”じゃなくて、有楽町でまとめてイタリア映画を観るといった感じ。 で、一番最初に観たのがコレ... 「Caravaggio」2007 イタリア/フランス/スペイン/ドイツ “カラヴァッジョ”と呼ばれたミラノ出身の画家...
1. 『カラヴァッジョ 天才画家の光と影』 (200...  [ NiceOne!! ]   2010年05月19日 09:10
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この記事へのコメント

2. Posted by パピのまま   2010年06月25日 18:19
5 rose chocolatさんへ・・・大変返事が遅くなってしまいました。
本当にごめんなさいね(-_-;)
宗教画は大好きで、イタリア旅行に2回行きましたが、それはもう本物は見事でした。
カラヴァッジョの画風は、徹底した写実性と明暗の対比がしっかりと描かれていて、見事なほどリアルで繊細でした。
だからこそ、モデルにこだわって自分の頭の中で構成して描くこだわりがあったのでしょう。
それにもまして、激しく抑えきれない感情と男としての誇りとても言うのでしょうか、暴力行為が自分の命と才能を縮めているようでした。
1. Posted by rose_chocolat   2010年05月19日 09:14
これ、さすがに長かったですね。
そしてカラヴァッジョの人生があまりにもケンカ人生だったため、どうにも展開として似たようなことが多くなってしまい。。。
仕方ないと言えば仕方ないのかな。

「光と影」、ここがポイントでしたね。
邦題にしては珍しく気が効いていると感じました。