2010年06月10日
オーケストラ！
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をモチーフに描く奇跡の物語。
ニセの楽団が奏でる究極のハーモニーが感動を呼び、フランスで大ヒット！
物語：かつてボリショイ交響楽団の天才指揮者だったアンドレは、今はさえない劇場清掃員として働いている。
ある日パリのシャトレ劇場から、出演できなくなった楽団の代わりの出演依頼FAXを偶然目にした彼に、とんでもないアイデアが閃いた。
クビになったかつての楽団仲間を集めて偽のオーケストラを結成し、ボリショイ交響楽団代表としてパリに乗り込もうというのだ。早速元チェロ奏者のグロスマンに話を持ちかける……。
脚本も手がけたラデュ・ミヘイレアニュ監督（『約束の旅路』）のもと、ポーランド生まれのロシアの名優アレクセイ・グシュコブ、『イングロリアス・バスターズ』のメラニー・ロラン、『トランスポーター』シリーズのフランソワ・ベルレアンらの名演が冴えわたる。
（作品資料より）注意：ネタバレです！
＜感想＞とりわけ楽器を巧みに奏でる人って尊敬します。私も実は小学校3年生ころからピアノを習ってました。その後、中学に入ると同時に受験勉強などで英数塾に通うようになり練習もおろそかになり敢え無く断念せざるを得ませんでした。
まぁ、才能がなかったと言えばそれまでですが、だからこういった音楽映画は好きで観に行ってますね。
音楽はどんなジャンルでも、聴く者にさまざまな感情や想像力をかきたててくれ、時代時代で流行った思い出の曲にも、必ずといってくらいに感動を呼び覚ませてくれる曲があります。
だから素晴らしい演奏を奏でてくれる演奏家や、オーケストラには演奏する曲に自らの想いをこめて、お国の違いとか言葉の違いや習慣、文化の違いを超えて心に沁み込んでくるので本当に素直な気持ちで拍手を贈りたくなりますね。
物語は喜劇で、悲劇で、社会派映画でもあってメロドラマでもあるのですが、やはり本作の魅力の一つは、チャイコフスキー、モーツァルトなどの名曲が贅沢に使われているクラシック音楽なんですね。
この映画を観て思ったのが、そうなんです「のだめカンタービレ」ですよね。パクリ映画かななんて思わないでください。あちらは日本の漫画の世界の音楽映画です。この映画の後に気になって観に行ったくらいですから、でもあちらはそれなりに面白かったです（笑）。
で、こっちの方はというと、ロシアのモスクワで主人公のアンドレイ（清掃員）が、実は30年前の旧ソヴィエト連邦時代に、ボリショイ劇場でこの管弦楽団で世界に知られた天才的な指揮者であったということなんです。
ちょうど30年前に、優秀な楽団員たちと、一途にチャイコスキーのヴァイオリン協奏曲の究極のハーモニーを、狂ったように追求していた。
その時のヴァイオリンのソリストがアンヌの母親だったんですね。
しかし、プレジネフ政権のユダヤ人排斥で楽団員の多くが解雇され、それをかばおうとしたアンドレイも失脚し、当時恋人同士だった二人の間に娘がいて、まさか一流のヴァイオリン奏者になっていたとはね。
当時クビになった楽団員たちは、今はそれぞれの職についてはいるが、夢を捨てたわけではない。だからアンドレイの突然の誘いにも、このチャンスに賭けて見果てぬ夢だったパリの一流劇場で演奏できることを喜んで引き受けたのでしょう。
寄せ集めとはいえ、昔奏でた一流のオーケストラの奏者たち。メンバーも揃ったのはいいが、楽器が足らなかったり、パリの街で浮かれて朝まで酒びたりとか、ロシアの名物キャビァを売り込む行商をしたりとトンでもない人たちばかりでてんやわんやのドタバタコメディ映画でもある。
映画の中でも、ロシア民謡カリンカ、マーラー：交響曲「巨人」、モーツアルトのピアノ協奏曲、ファリャの剣の舞、逆境に生きるミュージシャンたちの弾くジプシー音楽っぽい演奏なども、いっそう音楽に人生の意味を盛り込んでいてよかったと思う。
ですが、肝心の曲目「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲」はしっかりと聴かせてくれるのが一番嬉しかったですね。
初めは練習もなしでぶっつけ本番のステージ。きちんと演奏できるのだろうか、果たして団員たちは来るのだろうか？なんて思っていましたが、そこは映画見せ場はきちっと見せてくれますから（笑）
何故「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲」なのか、それはクライマックスでオーケストラの演奏の中で明らかになるのです。
ソリストにアンヌ＝マリー（メラニー・ロラン）を指名したわけとか、アンドレイが離れ離れにされた娘との再会。
しかし父親と名乗り出るわけにはいかない。昔の悲劇が、涙、涙で悲しく泣いているような悲痛なまでのヴァイオリンの旋律が、胸に響いてすごく感動の涙を誘います。
内容はともかくこの演奏だけで満点つけましたから。
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この記事へのコメント
rose chocolatさんへ・・・いつもＴＢ・コメントありがとう！！こちらが返事が遅くなり申し訳ございません。
クラシック好きにはたまらいほどの一級品の出来でした。
早速ＣＤ買いましたもの、いろんな曲が入っていてお買い得でした。
特に「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲」がダントツですね
最後に泣かせどころもありますしね。
いい映画でした。
