2010年07月13日

必殺剣 鳥刺し4

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死ぬことさえ許されない。ならば、運命を斬り開くまで。“秘剣”の全てが明らかになるラスト15分が、時代劇映画の歴史を変える。

物語:時は江戸。東北は海坂藩の近習頭取・兼見三佐ェ門には、消そうにも消せない過去があった。物頭をつとめていた三年前、藩主・右京太夫の愛妾・連子を城中で刺し殺したのだった。

最愛の妻・睦江を病で喪った三左ェ門にとって、失政の元凶である連子刺殺は死に場所を求めた武士の意地でもあった。が、意外にも寛大な処分が下され、一年の閉門後、再び藩主の傍に仕えることになる。

腑に落ちない想いを抱きつつも、身の周りの世話をする亡妻の姪・里尾との日々の中で三左ェ門は再び生きる力を取り戻してゆく。

そんなある日、中老・津田民部から思わぬ話を持ちかけられる三左ェ門。それは、彼を天心独名流の剣豪だと知っての相談であり、“鳥刺し”という必勝の技をお上のために役立てろという秘命でもあった。

kikkawaその者の名は直心流の達人であり、藩主家と対立しているご別家の帯屋隼人正だった。そして待ち受ける隼人正との決着の日。三左ェ門は、想像を絶する過酷な運命に翻弄されていく。

仁義と愛慕。武士道と政道。組織と個人、そして男と女。生きるほどに生じる運命の不条理を、江戸の世を舞台に静謐な筆で描き切る藤沢周平“隠し剣”シリーズ。

中でも現代に通じる傑作と名高い「必死剣鳥刺し」が、名匠・平山秀幸の手により、人間普遍の物語として甦る。

悲運の剣の達人・兼見三左エ門に豊川悦司、三左エ門の姪でありながら密かに想いを寄せるヒロイン・里尾に池脇千鶴、さらに吉川晃司、戸田菜穂、村上淳、関めぐみ、小日向文世、岸部一徳という個性あふれる実力派が勢ぞろいし、情緒纏綿たる世界が見事に誕生した。(作品資料より)

必殺剣鳥刺し、1<感想>タイトルの「必死剣鳥刺し」とは、それは必死必勝の剣。その秘剣が抜かれる時使い手は、半ば死んでいるとされる。

ここ数年ハイレベルな時代劇の映画といえば、原作が藤沢周平の作品であることが多い。原作を読みたいと思ったほど、クライマックスシーンの兼見三左エ門と帯屋隼人正の、壮絶なる斬りあいの山場となるシーンは見応えがあった。そして自分を陥れた者に必殺技の“鳥刺し”が繰り出されるシーンはお見事と言っても過言ではない。このシーンを活字にするのは、私の文章の拙さで伝えるより是非劇場でご覧下さい。

藤沢周平原作の映画は、「たそがれ清兵衛」、「武士の一分」、「山桜」「花のあと」と、藩に仕えているつつましく生きる下級武士の苦労や、悲哀が描かれているのが特徴。ですが、本作は異なった異質の作品になっていて、これぞ藤沢文学のリアリズムといって他ならないでしょう。

連子様最愛の妻に先立たれた孤独で寡黙な三左エ門は、死に急ぐように死に場所を求めて、その後を追うには武士たる意地があり、人生のままならぬさを感じつつ、それに藩の行く末を案じるあまり、ご政道に対して口をはさむ殿の妾、連子様を城中で刺し殺してしまった。

きっと、亡き妻の後を追うのに、禍の妾連子様を始末すれば切腹、極刑に処せられるはずだったが、それが意外にも寛大な処分が下され1年の閉門後、再び藩主の傍に仕えることになる。

死罪は免れなかったはずの三左エ門には、勝手な自害は恥となり、武士にとって公に死が許されぬ限り勝手な自害は許されぬ行為だったのです。献身的に使える姪の里尾の心使いにより、生きる力が宿った三左エ門。

閉門の間、蔵の中に閉じこもりひたすら木彫りに打ち込む。彫ったのはモズ?、キジ鳩かな?後はお地蔵さんの作りかけ(笑)

toyoetu悲運の剣の達人・兼見三左エ門に今スクリーンで最も輝く男、豊川悦司が演じており、対するご別家の帯屋隼人正には吉川晃司が扮して、お互い背の高い俳優さん、本作での見せ場となる殺陣のシーンでは予想を超える迫力でした。

その後が凄いって、中老・津田民部を演じた岸辺一徳さんの貫録ある風体、ご別家の帯屋隼人正の乱心を止めたのに、帯屋隼人正を斬った兼見三左エ門を抹殺せよと家来に命じる迫力。

里尾外は大雨、庭に下りた豊川悦司が同僚を斬るのをためらいながらも運命の不条理を知る。
四方八方から大勢の家来たちが三左エ門に斬りかかる凄まじさ。剣客ゆえに哀しい宿命に対し、最後は己をまざまざとさらけ出す姿はあっ晴れと言うしかない。

それに義理の姪にあたる里尾との恋愛感情とか、あの自分が死を意識した夜に里尾と関係を持ち、やっぱり子供が授かる運命になると想像していましたね。

庄内平野まぁ、里尾役の池脇千鶴の演技には賛否要論でしょうが、物語としてはこういった殺伐とした剣豪時代劇、特に藤沢周平さんの作品には必ずといってくらいに女性が出てくるのですから。

それにもまして藤沢映画の大半には、鳥海山や庄内平野の四季折々の移ろいがまた見栄えしていいですね。



papikosachimama at 18:12│ 2010年劇場公開作品、鑑賞 | はとぱ行の映画

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藤沢周平の隠し剣シリーズの1編ですね。 それは、必死必勝の剣。その秘剣が抜かれる時、遣い手は、半ば死んでいるとされる。 物語はもう知っているので、あとは当てはめていくだけなんだけど…豊川さんとのロマンス部分があるぶん里尾役の池脇千鶴さんがあまりにも幼な
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