トゥルー・グリット塔の上のラプンツェル

2011年04月14日

わたしを離さないで3

わたしを離さないで、タイトル17歳の肖像」のキャリー・マリガン、「ソーシャル・ネットワーク」のアンドリュー・ガーフィールド、「つぐない」のキーラ・ナイトレイ共演で贈るラブストーリー。謎を秘めた寄宿学校で育った3人の若者が、自らに課された過酷な運命を知りながらも、懸命に生き抜こうとする。原作はカズオ・イシグロの同名小説。

あらすじ:緑豊かな自然に囲まれた寄宿学校ヘールシャム。そこで学ぶキャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)の3人は、幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。

しかし、外界と完全に隔絶したこの施設にはいくつもの謎があり、“保護官”と呼ばれる先生のもとで絵や詩の創作に励む子供たちには、帰るべき家がなかった。18歳になって、校外の農場のコテージで共同生活を始める3人。生まれて初めて社会の空気に触れる中、ルースとトミーは恋を育んでいく。そんな2人の傍にいながらも、次第に孤立していくキャシー。複雑に絡み合ったそれぞれの感情が、3人の関係を微妙に変えていく。

やがて、彼らはコテージを出て離れ離れになるが、それぞれが逃れようのない過酷な運命をまっとうしようとしていた。やがて再会を果たしたルース、トミーとかけがえのない絆を取り戻したキャシーは、ささやかな夢を手繰り寄せるため、ヘールシャムの秘密を確かめようとする。だが、彼らに残された時間はあまりにも短かった……。(作品資料より)

わたしを離さないで、1<感想>この映画も前から観たいと思っていた作品。原作者がカズオ・イシグロと聞いておやぁ、って。そうなんですよね、英国在住の日本人作家で映画化された「日の名残り」を思い出す。確かアンソニー・ホプキンスがお屋敷の執事で使用人のエマ・トンプソンとの淡い恋物語。原作者自らプロデューサーに名を連ねているのは、今回もヒットすることを狙ったのでしょう。

イギリスの田園地帯、全体にくすんだ色合いの美しい撮影カメラの映像。それに静かで内省的な語り口。ですが、そこで繰り広げられるドラマは一筋縄ではいかない。観ている内に登場人物の彼らの謎めいたことが、彼らは実は遺伝子操作によって生まれたコピー人間で、将来臓器提供者として生を終えることを運命づけられているのだ。

わたしを離さないで、2その彼らとはキャシーにケアリー・マリガンと、トミーにアンドルー・ガーフィールドとルースのキーラ・ナイトリーで、ここから若い3人の男女の屈折したラブストーリーが展開する。中でも校長のシャーロット・ランプリングの険しい顔がいい。

このヘールシャムの中で学び、恋人同士になり結婚しようとする二人には、臓器提供以外に終えんで生をまっとうすることなく二人で生活して生きて行くことができるという噂話が広まっている。そのことを信じて若いカップルが出来、その後のことは皆無に等しい。しかし、その夢のような噂話に若者たちは心躍らせながら恋をする。

わたしを離さないで、3それに、コピー人間だと分っていても、自分のオリジナルに一目会いたいという願望もあり、街のレストランへ彼らが行くのだが、食事のオーダーも満足に出来ないのだ。自分の生涯が臓器移植で終わることも納得しており、手術台の上で目を開けながら生涯を終える彼らには、人間としての心も存在していることを忘れてはならない。

要するに人間の一生とは長くとも短くとも所詮限りがあり、その限界を知る男も女もその中で懸命に生きるしかないということ。恋愛もしかり、分りきったこの事実も、繰り返される臓器移植のために限られた時間しか生きられない男女にとっては、一層残酷であり悲劇的で切ない。

ここで描いているのは死の恐怖ではなくて、生の哀しみといっていいでしょう。コピー人間の臓器提供というSF的な設定自体、私には理解しがたいし、すんなりと受け入れることが出来ない。それが近未来ではなく現代に起きるという設定自体、より作品を難解にしていると思う。原作は読んでいませんが、小説のように文字ではなく映像で語るには題材がいささか観念的すぎるのではと思われた。

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papikosachimama at 18:36│ 2011年劇場公開作品、鑑賞 | わ行の映画

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主演はキャリー・マリガン、キーラ・ナイトレイ、アンドリュー・ガーフィールド。 「アイランド」でもあった臓器移植を目的として誕生させられたクローンという設定が、こちらは国が認可しているという設定でした。しかし3人を取り巻くそういった環境が、前半から隔離
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(英題:NEVER LET ME GO) ※この映画はネタバレを避けた方が楽しめます。 ----この映画の原作って、カズオ・イシグロニャんだって。 映画では『日の名残り』が有名だよね。 「うん。 あれは監督がジェームズ・アイヴォリーということもあって、 端正で抑制のきいた映..
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1. わたしを離さないで  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2011年04月14日 20:43
ブッカー賞受賞作家カズオ・イシグロの小説をベースに、過酷な宿命を背負った少年少女たちが、それを受け入れながら限られた命を精一杯行きぬく姿を描いた青春ドラマだ。主演は『17歳の肖像』のキャリー・マリガン、共演に『つぐない』のキーラ・ナイトレイ、『ソーシャル

この記事へのコメント

4. Posted by パピのママ   2011年04月20日 21:30
rose chokolatさんへ・・・今晩は、いつもコメントありがとう。
そうですよね、逃げ出そうと思えば逃げ出すことできると思うんですよね。
でも自分の生まれた使命みたいな、オリジナルの人間のために生まれたことを運命だと諦めているような、そんな印象。
前に観た「私の中のあなた」とはまるで違う、自分の運命を放棄しない。
確かに原作は日本人、だからなんでしょうね、日本人の強い信念というか自分の置かれた立場を、自分はオリジナルの役に立つことが運命だと、強い使命感で。
これから原作を読んでみようと思います。
3. Posted by パピのママ   2011年04月20日 21:23
migさんへ・・・こちらへもコメ感謝です(^−^)
何だか臓器移植のためにクローン人間を育てている。これは私にはダメでしたね。
物語的には、そんなコピー人間でも若いカップルたちが愛を育み、生きようとしている。
でも一方では、刻刻と自分の臓器移植の日が迫って来るのが分かる。
切ないですよね、臓器移植は年齢が若いほど重要視されるんですもの。
残酷ですね。
2. Posted by rose_chocolat   2011年04月15日 16:26
ご覧になったんですね。
たぶんこれは「そういうもんだ」的な世界としてみて行くんでしょうね。

原作のエピソードを大胆にカットもしてましたけど、逆にいろいろ入れ過ぎずスッキリとした感じでまとめてました。
雰囲気なんかはよく出ていましたね。
悲しいけど、やりきれないけど、黙ってこの世界に生きる。 それは日本人的な感覚にも通じています。
1. Posted by mig   2011年04月14日 22:04
こちらにも。
賛否あるようですが、重いけど、ちょっと変わった描かれ方の本作、SF色強くて興味深く観ました。
わたしこれ嫌いじゃないです。^^
トゥルー・グリット塔の上のラプンツェル