エリックを探してブラック・スワン

2011年05月09日

SOMEWHERE4

サムウェア、タイトル「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラが、空虚な日々を送るハリウッドスターと、別れた妻と暮らす娘とのひと時の交流を優しい眼差しで描いたドラマ。出演は「パブリック・エネミーズ」のスティーヴン・ドーフ、「SUPER8/スーパーエイト」のエル・ファニング。ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作。

あらすじ:ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ(スティーヴ・ドーフ)は、ロサンゼルスのホテル“シャトー・マーモント”で暮らしている。フェラーリを乗り回し、パーティで酒と女に溺れる彼の日々は、表面的な華やかさとは裏腹に、孤独で空虚だった。そんなある日、彼の元を前妻レイラと同居する11歳の娘クレオ(エル・ファニング)が訪れる。

夜までクレオを預かり、スケートリンクで優雅にターンするその姿に拍手を送るジョニー。クレオを家へ送り届けると、乱痴気騒ぎに明け暮れるいつもの毎日が彼を待ち受けていた。新作の取材対応や特殊メイクの型取りなど、俳優としての仕事をこなすものの、どこか落ち着かない。隣室の女と情事を済ませて部屋を出ると、そこには再びクレオが荷物を抱えて立っていた。

サムウェア、4レイラが家を空けるため、しばらくジョニーのもとで暮らさなければならないという。ジョニーの友人サミー(クリス・ポンティアス)を交え、ゲームに熱中する3人。数日後、授賞式に参加するため、クレオを伴ってイタリアを訪れるジョニー。だがクレオが寝た隙に、ジョニーは部屋に女を招き入れ、翌日の朝食は3人が顔を揃えることに。盛大な授賞式に参加したものの、ジョニーとクレオは疲れ果てて逃げ帰ってゆく。

サムウェア、3シャトーで過ごす穏やかな2人の時間。ジョニーの肩にもたれ、うたた寝するクレオ。ジョニーが寝ている間に朝食の支度をするクレオ。そして、他愛のない会話。それは、本来なら父と娘が触れ合うごく普通の風景だった。やがて訪れる別れの日。悲しんで泣くクレオを抱き寄せるジョニー。別れ際、一緒にいられないことをクレオに謝罪する。一人きりで部屋に帰ると、たまらずレイラに泣きながら電話する。

しかし……。ジョニーはホテルをチェックアウトして、フェラーリをどこかへ走らせて行く。そして彼はフェラーリを捨て、もう一度歩き始められる場所に辿り着くのだった……。(作品資料より)

サムウェア、6<感想>「マリー・アントワネット」から4年ぶりとなるソフィア・コッポラ監督の最新作は、初めて男目線で描いた人間ドラマだ。でも、ソフィアの映画の最大の特徴は、それは“ガーリー”であること。監督4作目となる本作では、11歳のヒロイン、クレオにフィギュアスケートのシーンや、プールで泳ぐ姿とか父親とWiiに熱中するシーンと、夜中にアイスを食べるクレオの少女のようなイノセンスを漂わせながらも、時には父親に朝食を作ってあげる、娘としての成熟を感じさせるヒロインの印象的な場面がたくさんある。
映画の舞台となっているシャトー・マ−モントは、セレブ御用達の実在するホテル。かつてはエリザベス・テーラーやヴィヴィアン・リーも滞在したことがある伝説のスポットで、ここに泊まることがスターのステータスにもなっているほど。お忍びのセレブも多くだからというわけでもないが、エレベーターの中で偶然デル・トロと鉢合わせというシーンも嬉しいサプライズ。
サムウェア、5柔らかく美しい“光”にこだわった特徴的な映像美も、どのシーンもファンタジーのようなふんわり感があり、とあるセレブ俳優の空虚な生活をひたすら淡々と描いた作品なんです。でもどこか世間ズレしたセレブライフと相まって、雲の上の話ですものね、これって。

ハリウッドスターのジョニー・マルコを演じるのはスティーヴン・ドーフ。ハリウッドの華やかな生活の中で自分を見失いかけているが、そこへ別れた妻との間にできた娘のクレオが現れ、娘との交流を通して、スケート場でクルクル回る娘を見つめる姿は、忘れかけていた大切なものや、娘の存在に不思議なほど癒されている自分に気づく。ジョニーの肩にもたれて疲れて寝てしまうクレオ。そんな穏やかで優しい時間は、彼がずっと忘れていたもの、本当の自分を問い直すことになる。スティーヴンがあまりに自然すぎて、でも名演かも。

サムウェア、2娘役を演じるのは、ダコダ・ファニングの妹エル・ファニングちゃん。彼女の強烈な天使のように、か細い手足の長さとか、透き通った肌、切ない笑顔。
イタリアでのシーンでの大人びた表情(ピンクのドレス)なんて完璧すぎる。

サムウェア、8冒頭の黒のフェラーリに乗った男がぐるぐると何回も同じところを回っている。そして、最後は黒のフェラーリが真っ直ぐに走り抜け、そして路肩に車を止め歩き出す。とにかく無駄な台詞がないというか、ドラマも殆どないようなもので、人によってはとんでもなく退屈に映るかもしれない。でも、ハリウッド映画の脚本というのは往々にして語り過ぎていると思うから、観客の感じるままにこういう説明過多にならない大胆な映画作りがソフィアにはできるのでしょう。



papikosachimama at 19:50│ 2011年劇場公開作品、鑑賞 | さ行・ざ行の映画

この記事へのトラックバック

19. どこかでファイター  [ Akira's VOICE ]   2011年11月10日 10:46
「SOMEWHERE」 「ザ・ファイター」 
18. No.252 SOMEWHERE  [ 気ままな映画生活 ]   2011年10月07日 23:45
【ストーリー】 「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラ監督が、父フランシス・フォード・コッポラとの思い出や、2児の母となった自らの経験を投影して製作。 ...
17. SOMEWHERE  [ C'est joli〜ここちいい毎日を〜 ]   2011年09月05日 13:16
SOMEWHERE'10:米◆原題:SOMEWHERE◆監督:ソフィア・コッポラ「マリー・アントワネット」「ロスト・イン・トランスレーション」◆出演:スティーブン・ドーフ、エル・ファニング、クリス・ポ ...
16. 友達のススメ「ゴッドファーザー」  [ いろはGOD正方形 ]   2011年06月02日 23:49
ジャンル問わず色々でっす
15. [映画『SOMEWHERE』を観た]  [ 『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭 ]   2011年05月25日 22:41
☆うん、分かる分かる、映評ブロガー・セレブとして名高い私の、『パイレーツ・オブ・カリビアン』の新作の感想を聞きたいんだろう?  でもね、私、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズを一作も見たことがないんだわ^^;  一週間程前に、前三作を借りてきて見...
14. 「SOMEWHERE」感想  [ 新・狂人ブログ〜暁は燃えているか!〜 ]   2011年05月20日 20:12
 イケメン妖怪スティーブン・ドーフ小僧が、生き別れの一人娘を探して大冒険を繰り広げる、超スペクタクル3Dアクションムービ(殴)  …痛、痛いです、ごめんなさいホント、すみません。ちょっとやってみたかっただけなんです、ゴメンナサイ…。  気を取り直して
13. ■映画『SOMEWHERE』  [ Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ> ]   2011年05月15日 09:18
ソフィア・コッポラ監督の新作映画『SOMEWHERE』。 これは巨匠と言われる映画監督フランシス・フォード・コッポラの娘である彼女、映画業界の表と裏、光と影、華やかさの裏にある空虚さを知り尽くしている彼女だからこそ作れた作品だと思います。 派手なストーリー展開
12. 「SOMEWHERE」 淡々とした生活、だが大切な日々  [ はらやんの映画徒然草 ]   2011年05月13日 22:41
ヴェネチア国際映画祭で受賞したのは元カレのタランティーノが贔屓目でみたからとか言
11. 『SOMEWHERE』  [ ラムの大通り ]   2011年05月11日 22:48
(原題:SOMEWHERE) ----これってソフィア・コッポラ』監督の映画だよね。 確かヴェネチア国際映画祭金獅子賞だったような…。 「うん。 実を言うと、 あまりノレた映画じゃなくって、 いったんはスルーしようかと思っていたんだけど、 今回の地震で思うところがあっ...
10. シャトー・マーモントホテル〜『SOMEWHERE』  [ 真紅のthinkingdays ]   2011年05月11日 21:39
 SOMEWHERE  ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)は、LAの ホテル「シャトー・マーモント」で暮らし、空虚な日々を過ごしていた。そこへ、 前妻と暮らす...
9. Some where  [ ケントのたそがれ劇場 ]   2011年05月11日 14:05
★★★  フランシス・F・コッポラの娘であるソフィア・コッポラが『ロスト・イン・トランスレーション』、『マリー・アントワネット』に続いて撮った三作目の映画である。本作は『ロスト・イン・トランスレーション』同様、ドキュメンタリータッチのけだるい雰囲気が漂う。
8. シャトー・マーモントホテル〜『SOMEWHERE』  [ 真紅のthinkingdays ]   2011年05月11日 08:25
 SOMEWHERE  ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)は、LAの ホテル「シャトー・マーモント」で暮らし、空虚な日々を過ごしていた。そこへ、 前妻と暮らす...
7. SOMEWHERE  [ 心のままに映画の風景 ]   2011年05月10日 23:20
ハリウッドスター、ジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)は、ロサンゼルスのホテル“シャトー・マーモント”に住み、酒と女に明け暮れ、高級車を乗り回し、孤独を紛らわす生活をおくっていた。 ある日...
6. SOMEWHERE(2010)  [ 銅版画制作の日々 ]   2011年05月10日 22:09
どうしてだろう、娘との時間が美しいのは。 MOVX京都にて鑑賞。ソフィア・コッポラ監督の待望の新作。 2010年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞作だそうです。ということでかなり期待度高い作品でしたが、、、、。う〜ん特に大きな展開があるわけではなく、意外に淡々...
5. Somewhere  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2011年05月10日 22:01
 『Somewhere』を吉祥寺のバウスシアターで見てきました。 (1)映画を制作したソフィア・コッポラ監督については、少し前にDVDで見たことがある『ロスト・イン・トランスレーション』(2003年)が、東京を舞台にした大変興味深い作品だったこともあり、今回の作品にも期...
4. SOMEWHERE/スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング  [ カノンな日々 ]   2011年05月10日 21:23
2010年ヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したソフィア・コッポラ監督が手がけたこの作品はハリウッドスターの主人公の光と影、孤独な生活や家族との絆を描いた人間ドラマです。 ...
3. 『SOMEWHERE』 (2010) / アメリカ  [ Nice One!! ]   2011年05月10日 20:52
楽天ブログ「Nice One!!」2011年4月9日日記のコピー記事です。 TBはこちらにお願いします。 原題: SOMEWHERE 監督: ソフィア・コッポラ 出演: スティーブン・ドーフ 、エル・ファニング 、クリス・ポンティアス 、ベニチオ・デル・トロ 、ミシェル・モナハン...
2. SOMEWHERE  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2011年05月09日 20:48
典型的なセレブの生活を送る映画スターの下に、前妻との間にできた思春期の娘がやってくる。娘との瑞々しい交流を描きつつも、彼は己の心の空白に気付くのだった…。『マリー・アントワネット』のソフィア・コッポラが送る最新作は2010年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞受賞
1. SOMEWHERE /サムウェア  [ 我想一個人映画美的女人blog ]   2011年05月09日 20:38
ランキングクリックしてね ←please click ヴェネチア映画祭、金獅子賞受賞で箔がついた、ソフィア・コッポラの4年振りの新作 むむむ、感想から言っちゃうと そんなとるほどの話じゃない。 タラちゃんが審査委員長で今回ひいき目だという声もあがって...

この記事へのコメント

2. Posted by パピのママ   2011年05月18日 18:13
rose_chocolatさんへ・・・いつもTB・コメ感謝です!(^^)!
キャスティングが良かったですね、物語としてはあまり内容が薄いっていうか、だから俳優さんの技量が大事なんです。
娘役のエル・ファニングちゃん、ダコダ姉さんより上をいくかもです。
女性監督というと、何かと厳しい目線で観てしまうのですが、ソフィアの監督としての演出は、私も好きですね。
1. Posted by rose_chocolat   2011年05月10日 20:56
エル・ファニングちゃん、ほんと完璧すぎますよね。
これほどぴったりとハマるキャスティングもそうそうないです。

私はソフィア・コッポラ作品が大好きなんですけど、
ハリウッドらしくない作風がいいんですよね。
エリックを探してブラック・スワン