アレクサンドリアアジャストメント

2011年05月26日

八日目の蝉4

八日目の蝉、タイトル角田光代原作の同名小説を映画化したヒューマン・サスペンス。誘拐された少女と犯人の女との逃亡劇、その後の運命を描く。監督は「孤高のメス」の成島出。出演は「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」の井上真央、「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の永作博美、「乱暴と待機」の小池栄子、「僕の初恋をキミに捧ぐ」の森口瑤子、「白夜行」の田中哲司。

あらすじ:199510月東京地裁。秋山丈博(田中哲司)、恵津子(森口瑤子)夫婦の間に生まれた生後6カ月の恵理菜を誘拐、4年間逃亡した野々宮希和子(永作博美)への論告求刑が告げられた後、希和子は静かにこう述べた。「四年間、子育ての喜びを味わわせてもらったことを感謝します」と……。

会社の上司で妻帯者の丈博を愛した希和子は彼の子供を身ごもるが、産むことは叶えられなかった。そんな時、丈博から恵津子との子供のこと知らされた希和子は、夫婦の留守宅に忍び込み、赤ん坊を抱かかえて雨の中を飛び出す。希和子は子供を薫と名づけ、各地を転々としながら、流れ着いた小豆島でひと時の安らぎを得る。楽園のようなこの地で、薫に様々な美しいものを見せたいと願う希和子だったが、捜査の手は迫り、福田港のフェリー乗り場で4年間の逃避行は終わりを迎えた。

八日目の蝉、1秋山恵理菜(井上真央)21歳の大学生となった。4歳で初めて実の両親に会い、私たちこそが正真正銘の家族だ、と言われても実感が持てなかった。世間からはいわれのないない中傷を受け、無神経に事件が書きたてられる中、家族は疲弊していった。誘拐した希和子を憎むことで自分を殺し、誰にも心を開かないまま、恵理菜は家を出て一人暮らしを始める。

そんな中、岸田孝史(劇団ひとり)に出会い、好きになった。だがある日、自分が妊娠していることに気づいた恵理菜の心は揺れる。岸田は家庭のある男だった。そんな頃、恵理菜のバイト先にルポライターの安藤千草(小池栄子)が訪ねてくる。千草はあの誘拐事件を本にしたいという。恵理菜を度々訪れ、親しげに生活に立ち入ってくる千草。だが、恵理菜は放っておいて欲しいと思いながらも、なぜか千草を拒絶することが出来なかった。千草に励まされながら、恵理菜は今までの人生を確認するように、希和子との逃亡生活を辿る旅に出る。そして最終地、小豆島に降り立った時、恵理菜は記憶の底にあったある事実を思い出す……。(作品資料より)

八日目の蝉、NHK<感想>やっとシネコンが再開しました。あの震災で劇場が多大な被害があったのだろう。駐車場も地割れが凄い。それに電気は復旧したが水が給水車で、それで再開のめどが立たなかったのだろう。それにしても映画ファンにはとにもかくにも有りがたい。

この作品は、NHKドラマで見た。それで感動して原作まで読んでしまった(笑)どうしてもTV版と比較して見てしまう。きっと脚本がTV版では浅野妙子が、映画版では奥寺佐渡子と、違うからだろう。

映画の方では誘拐された娘・恵理菜(薫)が主体で、大人になった恵理菜が本当の母親に懐かず自立して自堕落な生活をしている。そして妊娠と。それに薫の子役を上手にいかしているのも良かったですね。

八日目の蝉、7TV版は誘拐犯の京子(希和子)が主人公で、追い詰められていく様と、幼子を我が子のように必死になって守るため、本当だったら憎い男の子供なのに、愛して生き抜くことを選んでしまう。
それも4年もの間逃亡生活をつづけ、その間薫を実の子供以上に可愛がり愛情を注いで、薫が小学校へ入学させることなんて考えていなかったのだろうか?こちらTV版の子役も抜群に上手い。

TV版の主人公は檀れいさんで、こちらは永作博美さんが演じて、どちらも甲乙つけがたく熱演して上手い。しかし、TV版で感銘を受けたようには行かなかった。別に永作さんの演技が下手というのではない。物語の展開が違うからだと思う。
TV版では6話と原作にそって展開し、主に愛人だった京子(TV版)がどしゃぶりの雨の中、本妻に「がらんどう」なんて酷い言葉を浴びさせられて、自宅まで行き置き去りにされていた本妻の赤ん坊をとっさに抱き上げて誘拐するところから、その赤ん坊に薫と名付けて逃亡生活を送る。
八日目の蝉、6その後のエンジェルホームの場面では、もう少し詳しく描いてもよかったのに、エンジェルさんの余貴美子さんはさすがの熱演でしたが、他の人達もたくさんいたのに。エンジェルホームはこの時代、一世風靡したオウム真理教みたいなものを感じましたね。その後に小豆島へと向かうも、そこは暫くは二人にとって楽園のような生活であり、その島で漁師の男に好かれるエピソードがあり、原作では役場の青年とのお見合いだったかなぁ、それもない。夏の祭りでTVでは浴衣を着た京子と薫が新聞に報道され、それが警察の目にとまり逮捕されることになる。

八日目の蝉、4最後に二人で記念写真を撮る姿に、本当の親子のように信じていつも手を離さない薫、だから真実を知った時には産みの母親に懐くわけがない。しかしながら、TV版の壇れいさんの実の母親のような必死で真剣な演技には泣かされました。それは薫との別れ、小豆島のフェリー乗り場での別れが、もう一生会えないであろう母と子の別れを感じさせる強烈な熱演にホロリと涙が、警察の人に「その子はまだ朝ご飯を食べていないんです」という台詞。このシーンが一番泣けたのに、、、ない!

八日目の蝉、3それでもTV版のレポーター役にはあまり注目がいかなかったのに、映画版ではびっくりするほど演技が上達した、千草を演じる小池栄子には驚いた。
彼女の猫背で男性不審で、ぎこちない動きと早口な喋り方とか、だらしないような服装とか彼女に合った役どころがいい。
映画の最後は、小豆島の写真館で、4年間逃亡生活した誘拐犯の母と一緒に撮った古い写真での対面でした。原作とTV版では、薫が小豆島に来て帰る時に、その売店で働く母、壇れいの姿が薫と気付くシーンで終わるのが良かった。この作品は原作がいいのか、誘拐犯人という大罪なのに、何故かその誘拐犯の女に感情移入してしまい同情すら覚える点が素晴らしい。
追記:「八日目の蝉」のNHK再放送〜6月1日(水)AM12時15分から1話から3話まで。

6月2日(木)AM12時15分から4話から6話最終回まで。



papikosachimama at 21:18│ 2011年劇場公開作品、鑑賞 | や行の映画

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監督: 成島出 出演: 井上真央 、永作博美 、小池栄子 、森口瑤子 、田中哲司 公式サイトはこちら。 原作読了しています。 もともと読売新聞連載小説でしたが、途中でついていけなくなり、挫折。f^^; ですのでこれは一気に読みたかったし、そして映画化...
1. 八日目の蝉  [ LOVE Cinemas 調布 ]   2011年05月26日 21:29
角田光代の同名ベストセラー小説を映画化。生まれてすぐに誘拐された少女が大学生になってからの姿と、誘拐した犯人が逃亡を続ける4年間の両方を描いたヒューマンドラマだ。出演は『花より男子ファイナル』の井上真央と『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』の永作博美。共演
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