キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーブリッツ

2011年10月18日

一命3

一命、タイトル31952年に発表され、1968年には「切腹」として映画化された滝口康彦の『異聞浪人記』を原作に「十三人の刺客」の三池崇史監督が武士の誇りと家族愛を描く時代劇。音楽を「シルク」の坂本龍一が担当。出演は「出口のない海」の市川海老蔵、「大鹿村騒動記」の瑛太、「最期の忠臣蔵」の役所広司、「悪人」の満島ひかり。

あらすじ:戦国の世は終わり、平和が訪れたかのようにみえた江戸時代初頭、徳川の治世。その下では大名の御家取り潰しが相次ぎ、仕事も家もなくし生活に困った浪人たちの間で“狂言切腹”が流行していた。それは裕福な大名屋敷に押し掛け、庭先で切腹させてほしいと願い出ると、面倒を避けたい屋敷側から職や金銭がもらえるという都合のいいゆすりだった。

そんなある日、名門・井伊家の門前に一人の侍が、切腹を願い出た。名は津雲半四郎(市川海老蔵)。家老・斎藤勘解由(役所広司)は、数ヶ月前にも同じように訪ねてきた若浪人・千々岩求女(瑛太)の、狂言切腹の顛末を語り始める。武士の命である刀を売り、竹光に変え、恥も外聞もなく切腹を願い出た若浪人の無様な最期を……。そして半四郎は、驚くべき真実を語り出すのだった……。(作品資料より)

一命、1<感想>時代劇初の3D作品として映画化されたのだが、2Dで鑑賞。特別海老様ファンっていうわけでもなく、昨年観た「十三人の刺客」の三池さんが監督ということで。思った通りだった。
見所は、歌舞伎役者の海老蔵が、まるで歌舞伎の舞台でも観ているかのような鬼気迫る目力で、ギョロっと左右を見据えての殺陣は彼の十八番のような、廊下に上がり両手を広げ家来どもをギョッロっと見据えてまるで花道を走るかのように怒涛のようにバッタバッタとなぎ倒す。
一命、5しかしながら自分も脇差しの刀は竹光で死闘を繰り広げる、いくら剣豪でも無謀というもの。

これはもう海老様の俺様芸風でしょう。だから折角の家老役の役所広司が右足を大きく膝を曲げて歩く姿と、定評のある演技も霞んで見えてしまった。
若い千々岩求女の瑛太さんは、難しい切腹というそれも竹光で何度も腹を刺して苦しむシーンには気の毒にと。
一命、4いくら武士道を貫く自決方法とは言え、目論んでいた狂言切腹だとは今さら言えずに腹を切る姿に、正直のところ理解できず侍とは何ぞや、名誉な死に方だ、立派だったというよりも情けなさと怒りが込み上げたのは、この時代の喰えない武士の意固地なプライドと見栄っ張りが命を粗末にすることだと。可哀そうな気もするが同情の余地はない。

一命、3物語は冒頭からいきなり海老様が、娘婿の千々岩求女が切腹をした井伊家に現れ切腹を申し出るシーンから始まり、またか、と家老が仕方なく説得しようとここであった若い侍が、竹光で切腹をした話をする。その若侍こそ自分の娘婿だといい、そこから場面は半四郎が浪人になった経緯とか、半四郎は傘張りをし、求女は寺子屋で子供達に学問を教え、貧しくも娘や求女と生きた苦難の日々を振り返って行く回想シーンが始まる。

一命、6これでは、武士の魂ともいえる刀を質屋にいれて生活費にするしかない。徳川幕府の泰平の世には仕官はほとんど適わず、武士という名声だけでは食べていけない。それに貧窮の生活の中、妻は体調を崩して吐血、やがて赤ん坊も高熱をだすが薬代もまかなえず医者に診せる金もない。「心当たりがある」と家を飛び出すも、数日後に亡骸となって戻って来る。

情けを得るため偽りの切腹を願い出る求女に、「武士に二言はない」と武士の義を問われ、今さらながら狂言でしたなどと、引くに引けない武士の意地。体面だけを重んじ情けを失った家臣たちに、半四郎は命懸けで武士の生き方を問うのだが。

一命、7そしてここで切腹をすると言い、千々岩求女と同じ介錯人を希望するも今日は不在だと言う。他の者ではダメかと言われるも、やはり頑なに同じ介錯人を願い出る。
だが、家老が家来に探すようにいうも何処にもいないと。屋敷の白砂の上に座り込み、介錯人が苦しんでいる求女をあざ笑いながら中々介錯をしなかったいきさつを知っていた半四郎。

昨夜のうちに、その3人を待ち伏せして侍の誇りの髷を切り、白砂に並べる半四郎。これでは恥ずかしくて表を歩けないだろうと言い、侍が本音と建前で苦悩するそんな武士を捨てきれない。この時代浪人の身になってもいくら生活に困っても、建前上武士という肩書を捨てきれない。武士であることにこだわったゆえの悲劇。

一命、2これは半四郎の復讐劇といってよいでしょう。何故自分も竹光でと思ったのですが、半四郎自身命を捨ててこの屋敷へ来た訳で、もう人は殺したくない。竹光での立ち回るクライマックスのシーンは、海老様の気迫がハンパじゃなくて眼力が凄いしで圧倒されました。

さすがに井伊家の屋敷は舞台ように荘厳であり、降り始める雪も幻想的だが、ちょっと多すぎではないかしら。それに音楽は坂本龍一に、四季の移ろいの赤い紅葉が奇麗で、映像美がまるで絵画のようでした。

徳川家康の重臣だった井伊直政は、関ヶ原の戦いで活躍し近江国(のちの彦根藩)を与えられた。直政は武具を総朱塗りにした最強部隊“赤備え”を編成し恐れられ、以後、井伊家は大老を6度輩出するなど、権威ある武家として一目置かれた。武家の鑑である井伊家ならば情けを持ち合わせているだろうと、千々岩求女はそう考えたのでしょう。



papikosachimama at 13:15│ 2011年劇場公開作品、鑑賞 | あ行の映画

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27. 一命  [ いやいやえん ]   2012年04月16日 09:46
同じ原作を使ってるため、実質的に「切腹(1962年)」のリメイク作品になってると思う。…なのでどうしても比べてみてしまいますが、残念ながら「切腹」ほどのただならぬ緊張感や迫力をどうしても感じ取れなかった。 市川海老蔵さん主演。仲代達矢さんが演じた津雲半四
26. 一命  [ 銀幕大帝α ]   2012年04月15日 01:57
HARA-KIRI: Death of a Samurai/11年/日本/126分/時代劇ドラマ/劇場公開(2011/10/15) −監督− 三池崇史 過去監督作:『十三人の刺客』 −原作− 滝口康彦『異聞浪人記』 −音楽− 坂本龍一 −出演− ◆市川海老蔵…津雲半四郎 ◆瑛太…千々岩求女 過去出演作:
25. 『一命』| 武士道はあれど、その道を歩く者なし。  [ 23:30の雑記帳 ]   2011年11月05日 01:12
「『一命』を一名ください」と チケット売り場で言えなかった小心者です。 まだまだ修行が足りません(泣) まずは簡単なあらすじ紹介から。。。 (ネタバレあります!) ...
24. ■映画『一命』  [ Viva La Vida! <ライターCheese の映画やもろもろ> ]   2011年11月03日 07:13
それは、こんなに気合いの入った映画の撮影が終わったら、ちょっとハメを外したくもなるよね…。 と、ちょっと市川海老蔵の心境に思いを馳せてしまうこの映画『一命』。 この映画にはやっぱり海老蔵の才能が必要だったし、海老蔵がいなくてはなりたたない作品だと思うの
23. 一命  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2011年10月30日 18:34
 『一命』を吉祥寺のバウスシアターで見ました。 (1)原作の滝口康彦著「異聞浪人記」(注1)を映画化したものとしては、小林正樹監督の『切腹』(1962年)があり、それに甚だ感銘を受けたことがあり、また『十三人の刺客』の三池崇史監督の作品ということもあって、映画...
22. 一命(2011-086)  [ 単館系 ]   2011年10月28日 22:32
1962年に仲代達矢主演で公開された『切腹』と同一原作 リメイクではないらしい。 狂言切腹というのが有るらしい。 切腹を申し出て面倒事を避けたい大名はお金や職を与えて 思いとどませるらしい。 と...
21. 一命・・・・・評価額1650円  [ ノラネコの呑んで観るシネマ ]   2011年10月27日 21:46
猫様は見ていた。 「一命」は、滝口康彦の短編小説「異聞浪人記」を原作に、1962年に発表された小林正樹監督の「切腹」のリメイクである。 舞台は豊臣氏の滅亡により、天下太平の世が訪れた寛永年間の江戸...
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 江戸時代初期。井伊家に津雲半四郎(市川海老蔵)と名乗る浪人が現れ、切腹 を願い出る。井伊家家老・斎藤勘解由(役所広司)は狂言切腹であると考え、数ヶ 月前に井伊家を訪れた若い浪人の話を始める。...
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★★★☆  1962年に製作された小林正樹監督の『切腹』のリメイク版である。その『切腹』はかなり古い映画になってしまったので、若い人達には馴染みがないかもしれない。どちらかと言えば、海老蔵の復帰作ということに、話題が集中しているようである。 だが『切腹』は
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□作品オフィシャルサイト 「一命」□監督 三池崇史 □脚本 山岸きくみ □原作 滝口康彦(異聞浪人記)□キャスト 市川海老蔵、瑛太、満島ひかり、役所広司、竹中直人、       新井浩文、笹野高史、中村梅雀■鑑賞日 10月16日(日)■劇場 TOHOシ
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----これって、昔の映画のリメイクだよね。 「そうなんだけど、 あまりそのことを、前面に出してはいない。 やはり、小林正樹監督の『切腹』が あまりにも名作だからかもしれないね。 で、その元となった原作『異聞浪人記』の映画化の方が 強調されているみたい。 ぼくは...
5. 一命  [ 悠雅的生活 ]   2011年10月19日 20:43
一皿の菓子。降り頻る雪。まだ遠き春。
4. 劇場鑑賞「一命」  [ 日々“是”精進! ver.A ]   2011年10月19日 19:12
武士が守るべきは義か、愛か・・・ 詳細レビューはφ(.. ) http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201110150001/ キネマ旬報 2011年 10/1号 [雑誌] posted with amazlet at 11.10.10 キネマ旬報社 (2011-09-20) Amazon.co.jp で詳
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キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャーブリッツ