2011年12月21日
あしたのパスタはアルデンテ
カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭グランプリ「向かいの窓」のフェルザン・オズペテク監督による人情コメディ。老舗パスタ会社の後継者がゲイを告白したことで、騒動が起こる。出演は「輝ける青春」のリッカルド・スカマルチョ、「シチリア!シチリア!」のニコール・グリマウド、「副王家の一族」のアレッサンドロ・プレツィオージ。
あらすじ:トンマーゾ(リッカルド・スカマルチョ)はローマに住む作家志望の青年。実家は南イタリアのレッツェにある老舗のパスタ会社だが、兄アントニオ(アレッサンドロ・プレツィオージ)の新社長就任が決まり、共同経営者一族の晩餐会が開かれることになった。
帰郷したトンマーゾは、その席上で家族に言えなかった3つの秘密を告白しようと、兄のアントニオに予告する。1つ目は経営学部と偽って文学部を卒業したこと。2つ目は家業を継がずに小説家になること。そして最大の秘密はゲイであること。
だが、ディナーの席でトンマーゾが告白しようとした矢先、アントニオが先にカミングアウトしてしまう。実は彼もゲイだったのだ。一同は驚愕、父ヴィンチェンツォ(エンニオ・ファンタスティキーニ)は憤怒のあまり、アントニオに勘当を言い渡してそのまま卒倒。家族は大騒ぎになる。
トンマーゾは告白どころか、ローマに戻ることもできず、共同経営者の美しい娘アルバ(ニコール・グリマウド)とパスタ工場を任される羽目に。果たして、トンマーゾの未来は……?老舗パスタ会社の将来は……?そして、一家に再び平和な日々は訪れるのか……?(作品資料より)
<感想>先々週観にいったのに、何だか遅くなってしまった。イタリア映画は明るくてコメディたっちで好きです。この前に見た「人生、ここにあり!」も良かった。
でもパスタ好きの私は、このタイトルにも惹かれた。
だが、原題は「MINE VAGANTI」=浮遊機雷。なんじゃこれは、意味不明のタイトルを邦題を付けた人の勝ち〜。確かにパスタ会社の跡取り騒動の物語だが、パスタ料理がふんだんに出てくるのでこれでもいいかもです。
でもこの作品の内容は辛辣ですよ。父親に言えなかった自分がゲイだということを。昔の人は、やはりゲイだと言うことが恥ずかしいとか、世間体が悪いとか。家族の中でゲイの男が出ることが恥だと思っている人が多いんですね。
ですから、この作品の展開も、兄弟そろってゲイだとは、父親にとってがっかりするやら、これから家の家業を誰に継がそう。息子がゲイだと結婚して子供も出来ないしましてや、孫の顔も見ることが出来ない。
二男がゲイ仲間を連れて来たのだが、兄がカミングアウト宣言して自分は言い出せなくなる。父親は、兄はダメなら弟に会社を任せようとし、共同経営者の美しい娘アルバと結婚するように仕向けるしで、でも自分のゲイの恋人も来ているしでテンヤワンヤの大騒ぎ。
トンマーゾの恋人マルコが素敵でしたね、せっかく会いに来たのに抱いてキスしてくれない。そのいじらしさが女性にはない切なさを感じました。
しかし、海水浴に皆で行くと、彼女アルバの水着姿も素敵だが、ゲイの男達も筋肉付けてましたよ。だからアルバが肉体美を見せても知らん顔のゲイたち、彼らには男の恋人しか目に付かないのよね。ゲイの友達が、トンマーゾの両親にゲイだとバレないように苦労するシーンは傑作です。
そんな中でも、身内のお婆ちゃんが味方になります。自分が本当は兄弟の弟を愛していたのに、親が決めて結婚したのは兄の方だったこと。劇中でその結婚式に教会へいく若き日のお婆ちゃんが、白いウェディングドレスで何度も映し出されます。最後は、医者には食べてはダメだといわれていた大好きなケーキを、たくさん食べての大往生でしたね。
人生は思い通りにならないことを、陽気なイタリア人らしさでコメディチックで表現しているので、ともすれば暗くなる展開を陰湿にならなくていいですね。
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