二足歩行ロボットの開発を命じられた電器メーカー社員が、開発に行き詰まり、老人にロボットの外装を装着したことから起きる騒動を描くコメディ。出演は五十嵐信次郎こと「日輪の遺産」のミッキー・カーチス、「ゴールデンスランバー」の濱田岳、「カイジ2 人生奪回ゲーム」の吉高由里子。監督は「ハッピーフライト」の矢口史靖。
あらすじ:家電メーカー木村電器の窓際社員、小林(濱田岳)、太田(川合正悟)、長井(川島潤哉)の3人は、いつもワンマンな木村社長(小野武彦)から流行の二足歩行ロボット開発を命じられる。近く開催されるロボット博での企業広告が目的だった。しかし、ロボット博まであと1週間という時期になって、制作途中のロボット“ニュー潮風”が木っ端微塵に大破してしまう。
窮地に追い込まれた3人は、ロボットの中に人間を入れてごまかす計画を立案。ロボットの外装にぴったり収まる人間を探すため、架空のオーディションによって、仕事をリタイアして久しい独り暮らしの老人、73歳の鈴木重光(五十嵐信次郎)が選ばれる。しかし、この鈴木さん、実はとんでもない爺さんだった…。さらに、“ニュー潮風”に恋をしたロボットオタクの女子学生・葉子(吉高由里子)も巻き込み、事態は思わぬ方向へ転がり出す。(作品資料より)
<感想>夢の人型ロボットが完成!でも中身はわがままジジイだった。
ミッキー・カーチス改め五十嵐信次郎と吉高由里子の息のあったコメディ演技がドラマを盛り上げている。おとぼけ顔のレトロな主役ロボットが愛嬌たっぷり。
それに、チビ、デブ、ノッポのずっこけ3人組のダメっぷりが最高に笑える。3人は、エアコン技師、元営業マン、梱包係という設定で、そんな3人がロボットを開発するなんて無謀というもの。リストラ寸前の落ちこぼれ3人組の逆襲にご期待。
本作は、ジャンル的にはコメディの枠に入るのですが、そこかしこに鈴木さんのおトボケぶりに観客も笑いの渦に巻き込まれ、監督としては笑わなくてもありな話しの展開にもっていきたかったようです。実際ダメな3人の社員にとっては、ロボットは完成せず、世間を欺いている状況はとてつもない悲劇で、ニュー潮風が事故で大破し、急きょオーディションを開催。
決まった若者が金属アレルギーでダメになり、そのロボットの中に入る身長とか体重とかにピッタリの鈴木おじいさんが選ばれる。
だが、ロボットの中に入っている鈴木さん、小林の無線の指示を無視して勝手に動き始め、“おてもやん“を踊るなど妙に人間くさいロボットに恋をする女子大生。
ロボットのじいさんが、人の波に押されて、倒れて来た柱の下敷きになりそうな女子学生・葉子を救出する。それがメディアの注目を集めてしまう。おじいさんの鈴木さんにとっても正体を明かすことが出来ず、ロボットの中に入りながら自らのアイデンティティを見つめる展開となっていく。
有名になったニュー潮風は、社長命令により宣伝巡業に駆りだされ、イベントやTV番組に出演。TV番組では匂いで選別しながら、器用に洗濯機の中へ汚れた服を選んで入れて行くという。
舞台裏では、鈴木さんは秘密の契約であることを利用して行く先々で豪遊しまくり、3人をぐったりさせる。その経費が会社の経理では認められず、小林がロボットオタクの女子学生・葉子を利用する。彼女たち学生の知識を盗み、本物のロボットを作ろうと研究に入れ込む3人。
そんな時、3人の中の太田が不用意な発言で仲互いした葉子が、ニュー潮風がニセモノであることに勘づき、3人と鈴木さんを監視し始める。
ニュー潮風に期待を寄せる大勢の人達の熱意を受け止め、3人は本気でロボット開発を始めるのだが、・・・デビューから一貫してコメディ映画を撮り続けている矢口監督。ネタ切れになったり、笑いがどんどん先鋭的になることなく、興行的な結果を残している希有な存在だ。
監督が人間型自律ニ足歩行ロボットに興味を抱いた発端は、1996年、HONDAが発表したP2であった。
紹介しているニュース映像を見て慌ててVHSに録画。その形状と動きに衝撃を受けたそうです。その後、AS−MOが登場し、あそこまで進化すると、ほとんど人間と同じ動きに見える。だったら中に人が入ってもバレないところまできたわけで、そんな発想からロボット造りに失敗し、人を入れてなんとかごまかそうとする連中の話はどうかと考えたそうです。さらにゆっくりした動きがロボットに近い老人を入れてみたら、・・・どんどん構想が広がっていったそうです。
ロボジーとは、英語にすればROBO・G。末尾のGはグランパの頭文字からとったもの。おじいさんってドラマや映画に出てくると、仙人っぽい人生の達人キャラが多いですが、本作の鈴木さんはその真逆で、偏屈でエッチで口汚くて、本当に底意地が悪い。
でも“クソジジイ“と誰もが思うようにな主人公が入っているロボットだからこそ物語は転がり、雇い主である家電メーカーのダメ社員3人も、翻弄されつつ奮起していくという。そういうギャップが生まれることで、作品にぐんと弾みがついていくわけですね。
老人とロボットという意表をついた組み合わせでつくり上げたユーモラスな物語。現代のロボット工学の進化を逆手にとり、アナクロ感たっぷりのドラマに仕上がっている。
レトロフューチャーなデザインが愛おしいニュー潮風。人間臭い動きがキュート。
他にも「通天閣ロボ」など実在する人気ロボットが続々登場。ロボット好きにはたまらんですよね。
主人公の名前はいつも「鈴木さん」、どこにでもいそうな目立たないキャラクターが、いろんな人たちと触れ合いながら、人間的にほんのちょっぴり成長する姿を描いている。ハリウッドの大予算ロボットバトルムービーとは、一味違ったロボットコメディをお楽しみあれ。企業による偽装問題となりかねない題材なのだが、ブラックな笑いを散りばめながらもホロリとさせる最後には、満点をつけたいですね。
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>監督としては笑わなくてもありな話しの展開にもっていきたかったようです。
えーっ、そうなんですか。
でも「ここは笑うところですよ」といった風に狙ってないからこそ笑えるのかもしれません。