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2012年02月20日

メランコリア3

merannkoria,taitoru「アンチクライスト」のラース・フォン・トリアーが、惑星衝突による地球の危機を背景に、ある姉妹の葛藤を描く。出演は「スパイダーマン3」のキルスティン・ダンスト(本作でカンヌ国際映画祭主演女優賞受賞)、「アンチクライスト」のシャルロット・ゲンズブール、『24 TWENTY FOUR』のキーファー・サザーランド。

あらすじ:<第1部 ジャスティン>新婦ジャスティン(キルスティン・ダンスト)は、新郎マイケル(アレクサンダー・スカースガード)とともに結婚パーティーの行われる姉夫婦の家に向かっていた。ところが、2人の乗るリムジンが立ち往生し、大遅刻。姉のクレア(シャルロット・ゲンズブール)とその夫ジョン(キーファー・サザーランド)が出迎えて、ようやくパーティーが開始される。

義兄のジョンが私財を投じて開いてくれた盛大なパーティーだったが、母ギャビー(シャーロット・ランプリング)の悪意に満ちたスピーチなどを目にして、ジャスティンは次第に虚しさを覚えてゆく。“バカなマネはしないように”とクレアから釘を刺されたものの、会場を離れて情緒不安定な行動を繰り返した後、霧が立ち込める早朝の道を愛馬で駆ける。橋のたもとで空を見上げたジャスティンは、そこにさそり座の赤い星アンタレスが存在しないことに気付く。

<第2部 クレア>7週間後。別荘の窓から木々のざわめきを眺めていたクレアは、アンタレスを遮って地球に異常接近する惑星メランコリアが気になっていた。ジョンは、“惑星は5日後に通過するので、地球に衝突することはない”と妻をなだめる一方で、非常時の用意も整えていた。

そんな中、憔悴しきったジャスティンがやって来る。支えられなければ歩くこともできないジャスティンだったが、夜には外出し、小川の辺で月よりも大きくなった惑星にうっとりと微笑みかける。後を追い、その姿を目撃するクレア。惑星の接近を心待ちにする息子レオ(キャメロン・シュプール)とは反対に、ネットで地球と惑星の軌道が交わる画像を発見してぼう然とするクレア。

“地球は邪悪よ。消えても嘆く必要はないわ”とクレアに淡々と語るジャスティンは、惑星の接近につれて心が軽くなってゆく。いよいよ惑星が通過する夜、ジャスティン、クレア、ジョン、レオの4人はその瞬間をテラスで待ち構える。(作品資料より)

merannkoria<感想>「奇跡の海」、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で知られるデンマーク出身の奇才、ラース・フォン・トリアー監督の新作である。
と言うだけで何やら身が引き締まり好き嫌いが別れてくるようだが、冒頭部分から画面には異様な雰囲気と緊張感が漂い、なんと金縛りにでも遭ったかのような気分に陥らせる。

ラース・フォン・トリアー監督の「アンチクライスト」もそうだったが、主人公が息子を亡くして鬱病になり、その主人公の精神状態を現わすシーンが物議を醸し出すようだった。

こちらの作品も大惨事をほのめかす序章から、衝撃の地球滅亡のラストまでのわずかな日々を描いている。
つまり、ラース・フォン・トリアー自身の鬱病体験から生まれた壮大な叙事詩と言っていいだろう。

それもこれも、カンヌで主演女優賞に輝いたキルスティン・ダンストと言う演技の巧い役者がいればこそ。
merannkoria,2今日が結婚式だという新婦が彼女の役どころで、これから披露宴の会場へと赴く途中で、新郎と乗った長いリムジンが立ち往生して、前途に暗雲が立ち込める滑り出しである。
それにしても肝心の新郎新婦が2時間も遅刻とは、考えられませんね。

この前半の披露宴のシーンでの、文句を言う母親のシャーロット・ランプリングとか、父親のジョン・ハート、その他もろもろの人達の出し入れを見ているだけで、監督の卓越した演出力というか映像の美しさを感じ取れる。

だが、そこに流れる低音の奏でる音楽がまるで終末観を現わし、つまり「メランコリア」という惑星の異常接近で、地球が崩壊の危機にある絶望的な状況を捉えて、観客を奈落の底に突き落としていく。

merannkoria,22部に構成されていたが、ジャスティンにとって生涯で最高の日になるはずだったのが、何故か次第に彼女の気分が落ち込み、情緒不安定になっていき混乱した彼女は、数々の常軌を逸した行動を取り続け、参列者たちが家路につく時には、優しく接してくれた新郎のマイケルも彼女の元を去っていく。

披露宴以来、重度のうつ病状態に陥る彼女の奇行ともいえる、精神状態の壊れ方。
観客にとって立派なお屋敷の庭で、灯篭のように願いを書いて飛ばす紙風船が美しく、そこに遠くに惑星が見えそれも美しくもあり儚げにも見えた。

それなのに、次の朝、姉妹で乗馬をして橋に通りかかった時、ジャスティンの愛馬が橋を渡るのをためらう。

第2部では、姉のクレア、「アンチクライスト」での熱演も凄かったシャルロット・ゲンズブールが、妹の病気を思い、そして惑星メランコリアの衝突を恐れ、その存在に不安を募らせ、惑星が接近するにつれ膨らんで行く死の恐怖に絶望し、しだいに理性を崩壊させていく。

merannkoria,1それでも、夫のジョン、キーファー・サザーランドが地峡に衝突することはないとなだめるが、自分は馬屋で一人薬を飲んで自殺してしまうとは情けない。

ここでは、妹キルスティン・ダンストの全裸のシーンに驚かされ、姉のシャルロット・ゲンズブールの全裸は「アンチクライスト」で散々みたので本作では脱ぎませんから。

それにしても、この監督は女優を裸にするシーンを撮るのが巧い。

惑星が近付くにつれて、姉のクレアは惑星の衝突に怯える一方、衰弱していた妹のジャスティンは、うつ病も治ったようで心が軽くなっていく。それに姉の息子レオを、恐がらないように棒木れをピラミッドのように組んで、その中へ3人で入る。

merannkoria,3メランコリアが夜空を覆い、青白く染め上げながら地球に近づいてくる。絶望なのか、希望なのか、意見の別れる結末である。まるで「ノウイング」のような最後。

 

「メランコリア」とは「憂欝」のこと。であると同時に「鬱病」をも意味するのか。何だか監督がうつ病を患っている経験があるらしく、ここではその「鬱」の状態が色濃く反映されているようだ。

地球の崩壊は、人類の滅亡なくしては人間の再生はあり得ないのではないかという、終末の思想こそが監督のメッセージなのだろう。
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papikosachimama at 23:16│ 2012年劇場公開作品鑑賞 | ま行の映画

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