な行の映画

2015年05月04日

ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密4

ナイトミュージアム夜になると博物館の展示物が動き出す『ナイト ミュージアム』シリーズ最終章。展示物に命を吹き込むエジプト王の石板の魔力が消えかかる危機を回避すべく、ニューヨーク自然史博物館からロンドンの大英博物館へ乗り込んだ夜警のラリーと仲間たちが大騒動を繰り広げる。
主演のベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ、オーウェン・ウィルソンらおなじみの顔ぶれに加え、オスカー俳優のベン・キングズレー、テレビドラマ「ダウントン・アビー」シリーズなどのダン・スティーヴンスらが新たに登場。

あらすじ:ニューヨーク自然史博物館の展示物に命を吹き込むエジプトの石板(タブレット)の魔力が消えかけていた。
最悪の事態を回避すべく夜警のラリー(ベン・スティラー)と仲間たちは、石板の謎を解く鍵を求めロンドンの大英博物館へ向かう。
一行はエッシャーのだまし絵に迷い込み、恐竜の化石や九つの頭を持つ大蛇に襲われ、ロンドン市街でチェイスを繰り広げるはめに……。

<感想>自然博物館の人たちが、今回は大西洋を渡ってロンドンの大英博物館へと。コントの合間、合間にポチポチなスペクタクルがはさまっているという体裁の映画なので、例によって英米のコメディアンたちの芸や間合いにハマるかどうかで、映画全体の楽しさが変わってきそうですね。

ナイトミュージアム、1「インターステラー」のマン博士のキャスティングも驚いたが、この映画にもクレジットされていない、すごいサプライズキャストが登場します。
そして、どちらもこれが遺作となった、ミッキー・ルーニーとロビン・ウィリアムズの姿にしんみりとしてしまった。

思えばロビン・ウィリアムズは、テディ・ルーズヴェルト大統領役が似合っていたなぁと改めて思った。別れを切りだす姿も、昨年の逝去と重なって切ないですよね。

石板のためにロンドンの大英博物館へやってきたのは、ラリーの他に息子のニッキーと仲間たちの、西部劇のジェデダイアのオーウェン・ウィルソンに、ローマ帝国オクタヴィウスのスティーブ・クーガン、アジアの騎馬遊牧民であるフン族の王アッティラ・ザ・フンに、人懐っこくて好奇心旺盛な猿のデクスター、博学で自然史博物館の展示物たちの父親的存在であるセオドア・テディ・ルーズベルト、古代エジプトの青年王であるアクメンラー、アメリカ先住民で女性探検家のサカジャウィア。

ナイトミュージアム、3大英博物館では、展示物の大恐竜トリケラトブスに追われて大騒動になる。それに、ガルーダというインド神話に登場する神鳥で、ラリーたちがソウリュウという中国の古代神話に登場する九頭の大蛇に襲われて苦戦するのを応援する。

そして、不思議な空間が展開するエッシャーの騙し絵の中に迷い込んだりと、最新のVFXを駆使した奇想天外な仕掛けが待ち受けるのも面白いです。

大英博物館の女性警備員ティリー、デブちょのレベル・ウィルソンから、博物館の展示物が夜になると動き出す理由を聞かされる、NYの自然史博物館の館長マクフィーも、出演している。
石板の秘密を3話まで知らなかったとはね。

これまで同様に明朗活発なアドベンチャーに仕上がってはいるが、主人公のベン・スティラー演じるラリーと、彼が戯れていた蝋人形たちや剥製との別れ。夢あふれる世界から離れようとしなかった中年男性のラリーの、あまりにも長過ぎる幼年期終焉の物語りで、何だか「クマのプーさん」における“魔法の森”から旅立つクリストファー・ロビンを想起させる。

それでも、星座の説明をしてグレゴリー・ペックの録音された声と、初めて投影された星座たちが動き出して、人々を襲う場面とかが、とりわけ楽しかったです。主人公の博物館夜警のラリーはもちろんのこと、すべての登場人物が絶えず走り回っているという意味では、これはノンストップ・ムービーであろう。


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papikosachimama at 19:37|Permalink

2014年11月12日

泣く男4

泣く男『アジョシ』などのイ・ジョンボム監督が、『ブラザーフッド』などの韓国を代表するスター、チャン・ドンゴンを主演に迎えた衝撃のアクションドラマ。クールな殺し屋が少女の命を奪ったことをきっかけに、次第に人間的な感情に目覚めていく悲痛な葛藤を本格的アクションと共に描き切る。『恋愛の温度』などのキム・ミニが、殺された少女の母親を熱演。孤独な主人公が贖罪(しょくざい)のために選んだ壮絶な死闘はもとより、彼の揺れ動く感情が胸を締め付ける。

あらすじ:悲しい過去を持つゴン(チャン・ドンゴン)は、中国系マフィアの殺し屋として暗躍していた。すご腕のプロとして名をはせた彼だったが、ある晩、任務遂行中に無関係の幼い少女ユミ(カン・ジウ)の命を奪うという大きなミスを犯す。彼は取り返しのつかないことをしたと行方をくらますが……。

<感想>2010年に韓国全土にアジョシ・シンドロームを巻き起こした、イ・ジョンボム監督作品の第2弾。「アジョシ」のラストで監督は、少女を救うためなら冷徹な殺人マシーンと化した、ウォンビンに劇中で初めての涙を流させた。

そして、「アジョシ」から4年を経ての本作では、タイトルもズバリ「泣く男」である。

前作では、本来ならば出会うことのない者たちが偶然出会い、特殊な形ながら徐々に互いに理解し交流を持った末、何らかの思いを込めて主人公が涙を流す話でした。ですが、結局は今回もまた同じような話になっているようです。

泣く男、2主人公の殺し屋ゴン(チャン・ドンゴ)が抱えた業とは、前作の比ではない。過去のトラウマと自責の念が複雑に絡んだ内面を持つ、あまりに哀しい男なのである。

本来ならば出会うことのない2人とは、幼い頃にアメリカへ渡った後、母親に捨てられ殺し屋になるしか生きる道がなかったゴンと、幼い娘を亡くした母親のモギュンです。

そんな別世界で生きてきた2人が接点を持ったのは、ゴンが殺しの依頼を遂行する中で、偶然居合わせたモギュンの一人娘を自分が射殺してしまったこと。

その後、ゴンには母親であるモギュンも葬れとの命令が下されるのですが、彼女を追う途中で、子供を亡くした母親の心情がどんなものなのかを目の当たりにして、封印したはずの自分の母に関する辛い記憶を甦らせていくのです。

ある意味、これも相手を理解し交流を持つことと言えるのかもしれないが、そう言ってしまうには、あまりに悲壮感に満ちた関係と言えるのではないかと思うのです。

ゴンが、親として子供を亡くすことはどういうことなのか、理屈ではなく理解している様子なので、子供を失う哀しみ、そしてその命を奪うのが自分であるということの、後戻りできない悔根の念を、彼は予想以上に理解し感情移入してしまったのかと。だから、電話でモギュンに、「扉を開けて来る男は娘の命を奪った犯人だと、すかさず撃て」と言い放つって自分がその標的になるという。

人生に絶望した殺し屋ゴンが、死に場所を探し求める男の破れかぶれの選択なのか、それとも贖罪を果たすためなのか。決してヒーローではない傷だらけの哀しき男が行き着くラスト・シーンには、タイトルにぴったりの真実が刻み込まれていました。


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2014年05月27日

ネイチャー3D3

ネイチャー『アース』などを製作したBBC EARTHが、水をテーマに大自然を特殊なカメラで撮影したドキュメンタリー。573日の撮影期間を要し、謎めいた森、燃え盛る地下世界、異国の砂、灼熱の平原、魅惑の海中都市、凍てつく山脈、荒れ狂う激流の七つのカテゴリーの自然で構成。
『ウォーキング
with ダイナソー』のニール・ナイチンゲイルと共にパトリック・モスが共同でメガホンを取る。
ジンバブエ共和国のビクトリアの滝の縁からの眼下に落ちていく水、数千羽のフラミンゴの色が変化する過程など、迫力あるビジュアルでいまだ見たことのない大自然が眼前に広がる。

あらすじ:多くの人々が雨に濡れないように身を潜める中、雨は自然の神秘と奇跡の象徴だと愉悦を覚える少女。そこへ地球の旅への案内人が出現。
世界最大の落差と称されるジンバブエの滝、大群のフラミンゴの色が瞬く間に変化する様子など、七つの大自然の王国を最新鋭のカメラが捉える。

<感想>自然ドキュメントの集合体で、とくにテーマといったものもなく、各素材はこれまでに観たことのあるものばかりで、新鮮味がないのだ。そこで、映像の技術と美しさを徹底してアピールしているのは見事である。

ネイチャー、11それにしても、冒頭で大都会が映しだされ、雨と少女の象徴的な映像から始まるといったあざとさや、最新技術による映像のアクロバット的な見せ方に、何とも言えぬわざとらしさを感じつつ、素直に楽しむことができなかった。


よく鉄板焼屋の、かべにかかていた液晶テレビで映っている環境ビデオを見る気分になった。
撮影の苦労話が凄まじいとか、最先端の技術でこそ観られる我々が一生肉眼で眺めることのないであろう映像なのでしょう。

ネイチャー、4同じ地球の未知の部分を観る驚きはあり、確かに貴重なものだと思います。
でも、それ以上に人間には、ドラマが必要だと思っているから、環境映像の作品をあれこれと詮索する必要もない。

鮮やかな自然の色彩の神秘を堪能し、これぞ“体感型ドキュメンタリー”とは思ったが、もっともっと食うか食われるかのシーンを見たかったというのが、いつわざる感想。
結局のところ、ワニとかライオンとか、猛禽類とか食虫植物が無情に相手を仕留めるハンティング・シーンの、息を呑むサスペンスがあればこそ、我々は飽きもせず動物ドキュメンタリーを見続けてきたのだと思う。
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ネイチャー、2 



papikosachimama at 17:42|Permalink

2014年04月30日

猫侍3

猫侍、タイトル『ねこタクシー』や『幼獣マメシバ』などの動物作品群を手掛けてきたスタッフが再集結した人情時代劇。
幕末の江戸を舞台に、猫暗殺の依頼を受けたことで大きな人生の転機を迎える浪人剣士の姿を描き出す。
ATARU』シリーズなどのマルチ俳優北村一輝が主演を務め、ヒロインを『源氏物語 千年の謎』などの蓮佛美沙子が演じ、寺脇康文や温水洋一らベテラン勢が脇を固める。猫とこわもての侍が織り成す、笑って泣ける物語に心癒やされる。

あらすじ:江戸時代末期、かつて一流の剣の使い手と恐れられた斑目久太郎(北村一輝)も、今やしがない浪人暮らし。
ある日、彼の元に久しぶりに仕事の話が舞い込むが、何とそれは対立する一家の親分がかわいがっている猫を暗殺せよとの命令だった。
久太郎はやむを得ず仕事を引き受けるが、踏み込んだ屋敷で彼を待っていたのは愛らしい白猫だった。

猫侍<感想>現在は犬が大好きで、長年飼い犬がいるのだが、その前に私が実家にいるときは、母親が猫好きで野良猫を育てていて、いつも2,3匹は実家にいましたね。

だからっていう分けでもないが、この映画はBSフジのTVドラマで観ています。時代劇の主軸に猫を据え、「動物癒し時代劇」として人気を博したドラマの映画版であります。この一連の動物シリーズは、テレビ版の方がよく出来ているようで、これも例外ではない。細かいギャグで繋ぐ方法が長篇映画に向いてないからだと思う。

ゆるすぎるキャラに、トロすぎる演出、場面はあってもドラマ性がなく、どうでもいいエピソードでダラダラ引っ張っているだけ。
しかも猫の撮り方も犬の扱いもおざなりになっているのがどうにも許せない。

猫侍、3長屋住まいの剣豪、北村一輝は傘張りの内職で糊口をしのいでいるらしいが、開いた傘が、2、3本置いてあるだけで、何が傘張りですか。

「まあだだよ」の失踪した猫を狂ったように探す百聞先生が理解できないし、映画の中で有無を言わさず癒しの対象として、猫可愛がりされる猫を眺めさせられるのはいいですよ。

しかし、作品の趣旨に合致しない者としては、北村一輝や洞口依子の嬉々とした怪演ぶりを眺める他なく、「人情紙風船」に「用心棒」という趣の設定に期待を寄せて奇想を持ち込んで、弾けてくれるのかと思いきや、平凡に処理されてしまい拍子抜けしました。
せめてクライマックスだけでも、猫が作劇上不可欠な役割を担ってくれれば良かったのに。

猫侍、2特に、仇討を赤の他人にやらせてしまおうとする若者の押話が、虫が良すぎて呆れるばかりだ。でも主人公の浪人キャラクターは万全で、北村一輝の代表作となったようですね。

心の声が現代人ぽくて最高でした。
イヌ派とネコ派の対立という「用心棒」系の男っぽい物語が、かえって邪魔しているように見えました。
もっとレギュラー陣の女たちを活躍させて欲しかった。でもやっぱり真っ白いニャンコの玉之丞に癒されるのよね。


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papikosachimama at 19:27|Permalink

2014年04月07日

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅4

ネブラスカ、タイトル『ファミリー・ツリー』などのアレクサンダー・ペインがメガホンを取り、頑固な父と息子が旅を通して家族の絆を取り戻す様子を描くロードムービー。
大金が当選したという通知を信じる父とそれを怪しむ息子が、モンタナからネブラスカまで車で旅する途中に立ち寄った父の故郷で、父の意外な真実に遭遇しながらつながりを深めていく様子を映し出す。
父と息子の役には、『帰郷』などのブルース・ダーンと『最凶家族計画』などのウィル・フォーテ。不器用だけれど憎めないキャラクターや、本作でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞したブルースの演技に魅了される。

あらすじ100万ドルが当たったという通知を受け取ったウディ(ブルース・ダーン)。
それはどう見てもインチキだったが、徒歩でもモンタナからネブラスカまで金を受け取ろうとするウディに息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)が付き添うことに。
こうして始まった父と息子の4州をまたぐ車での旅。途中、立ち寄った父の故郷で、デイビッドは父の意外な過去を知ることになる。

ネブラスカ、2<感想>ペイン監督のお手の物のロードムービーだが、「アバウト・シュミット」、「サイドウェイズ」とはまた別の趣の作品であって、すこぶる面白いのだ。

ボブ・ネルソンが初めて手掛けた脚本を、ペインが9年間も温めていたというだけあって、物語りも演出も実によくこなれている。

父親と息子が父親の郷里に寄り道するところから、俄然趣きがつのる。人物造形も鮮やかで、なかでも認知初期の父親を演じたブルース・ダーンが絶品である。
彼の風貌と背格好、歩き方を手に入れた時点で、ほぼこの映画は出来上がったようなもの。

患者服に重ね着のまま不格好に両脚を広げてヨタヨタと病院を抜け出すガンコ親父の哀愁と可愛らしさといったらない。まるで演技というより地でいっているところも。ブルースが渋い光沢を放っていて、カンヌの男優賞受賞には納得がいきます。

それに、雰囲気と奥行のあるモノクロの画面に、ウェルメイドなストーリーテリングが放つ何とはナシの胡散臭さに存在感が余りある。

だからというわけではないが、モノクロ・シネスコという今では、あり得ないフォームが、この現実的なお伽噺の不思議な魅力を醸し出しているといっていい。

ネブラスカ、1現在であって現在ではない。時代を喪失したような映画。家族のお荷物になっている彼が、息子に連れられて、モンタナからネブラスカまで旅をする行程が、息子の父親の過去の発見に繋がっている。

この父親の故郷である架空の街ホーソンの描写が素晴らしいですよね。住民のキャスティングの渋さが絶妙です。現在時でありつつ、時代の古さの塵が積もっていると思う。老人が大金を持っているらしいと知った途端に、たかってくる親戚一同や昔の友人たち。そのリアクションは存外にリアルだが、安心して笑えるのはフィクションの強みといっていいでしょう。

コメディとなっているが、笑えないのだ。深刻なボケ老人たち、いずれは自分たちもこうなるであろうということを忘れてはならない。そのことを、しっかりと見せつけられた。
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2013年09月30日

日本の悲劇5

日本の悲劇、7『バッシング』などの小林政広監督が、余命3か月の父親とその父の年金を頼りに生活するうつ病の息子の悲劇を描く社会派ドラマ。ガンと診断され封鎖した自室にこもった父の息子への思い、何もできずに過ぎ行く日を暮らす息子の様子をつづる。
小林監督作『春との旅』にも主演した日本屈指の名優、仲代達矢が父親を熱演。息子役の北村一輝のほか、大森暁美と寺島しのぶが共演する。現代の問題点をえぐり出す小林監督の鋭い着眼点と物語、キャスト陣の渾身の演技に圧倒される。

<感想>内容は、妻を亡くし、自分も肺がんで余命3カ月と宣告された不二男が、病院から帰った翌日、妻の骨壺が置いてある座敷の扉や窓に釘を打って、自分の部屋を封鎖する。そして、このまま何も食べずにミイラになると一人息子の義男に宣言する。義男は必死に説得を試みるが、父親は頑として意志を曲げようとはしない。

もしも、息子が扉をこじ開けて入ってきたら、自分の喉をノミで刺して死ぬというのだ。不二男は自分の死を1年隠しとおして年金を受け取り、生活費に当てろと息子に言う。

日本の悲劇、9義男は会社をリストラされて、精神的に追い詰められ死のうと何回も手首を切ろうとしたが死にきれずに鬱病を患い精神病院へ入院した。そのことを、妻にも知らせずに。妻は1カ月もの間、夫の消息を訪ねてとうとう諦めて実家へ帰って、離婚届を持って不二男夫婦のもとを訪れたのだ。

父親が死を覚悟して部屋に閉じこもる前のシーンは、飲んだくれのいわゆる亭主関白で、妻にも暴言を吐き頑固で、仕事は大工をしていたようだが、老後は朝から晩まで酒びたりの毎日。
そこへ、一人息子が帰って来て、職を探しに行くわけでもなく、母親がスーパーマーケットで倒れ、その後病院生活。父と息子が二人して毎日酒を飲む生活が続き、とうとう父親が血を吐き肺ガンで入院。それでも息子は職探しなどせず、父親の年金で生活をしていたのだ。

退院した後、父親は息子のフリーター暮らしを見て、妻子にも捨てられて現在無職の義男が、その父親の言葉と、気持ちをどう受け止めるかが描かれる。出演者は仲代達矢ほか、北村一輝、寺島しのぶ、大森暁美の4人。

日本の悲劇、3年金不正受給問題が素材である。生計を絶たれた息子のために、父親が奇妙なやり方で自分の存在を抹消するに至るという話で、これは傑作である。それにしては、最初の時点で先が読めるのが難点で、さして広くないキッチンをメインにした“ギリギリの父と息子”。

音楽は一切ないし、扉を開ける音とか、外の雨が降る音、外の庭を歩く下駄の足音などが音響効果でシンプルだ。カメラは固定カメラで外には一歩も出ない。

全篇モノクロ映像で、ただし、幸福な親子孫の家族時代の回想が、カラー映像というのは効果的であったと思う。

死を早めることを決断した末期がんの父親の回想も、全てこのダイニングがらみで、しかも長回しカメラでまるで舞台劇の映画のようだ。

日本の悲劇、1とはいえ、北村一輝が演じる息子の自己弁解セリフは情けなくて、息子の別れた妻が東日本大震災で行方不明という設定も何やら不快な感じもする。
それでも、主人公
仲代達矢の背中芝居が印象的で、父親の覚悟の行為は仏教でいう即身成仏そのまま。
ところが部屋に籠る仲代が声だけで芝居をして、それがかえって気が気じゃない、というディティールが素晴らしい。
外界との接触が電話のみという空間的構成も上手く効果的であった。

今なら撮影数日を、ロケセットで済ませそうな内容を、撮影所にセットを組み、2週間かけて丹念に撮った映画の厚みは素晴らしく段違いにいい。妻の遺影見つめるメガネを外した仲代の無表情な顔と刻まれた皺が絶妙。このアップこそがこの映画の総てと言って良いだろう。

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2013年09月17日

謎解きはディナーのあとで3

謎解きは、82011年の本屋大賞に選出された東川篤哉のミステリー小説を、嵐の櫻井翔と北川景子ら共演で映像化した人気テレビドラマの劇場版。
財閥令嬢の新人刑事・麗子とトゲのある口調ながら彼女の推理を支える執事・影山という凸凹コンビが、アジア最大の豪華客船の中で起きた殺人事件の謎解きに挑む。
「お嬢様の目は節穴でございますか?」と執事にあるまじき暴言を言い放つ影山と麗子の掛け合いはもちろん、中村雅俊、鹿賀丈史、宮沢りえ、生瀬勝久、竹中直人ら多彩なキャスト陣にも注目。


あらすじ:
財閥の令嬢で新人刑事の宝生麗子(北川景子)と執事の影山(櫻井翔)は、久しぶりの休暇を楽しむためシンガポール行きの豪華客船に乗り込む。しかし、出航後ほどなくして船内で殺人事件が発生。
乗員乗客3,000人を乗せた船が目的地に到着するまでの5日間に犯人を捕らえ、事件を解明しようとする麗子と影山だったが、次々と事件が発生してしまい……。

謎解きは、5<感想>TVシリーズは、たまに見てました。テレビの映画化だからといって、映画らしさを出す必要もないが、スペシャルドラマで十分な内容なのでどうってことない。シンガポール行きの豪華客船に乗った気分で映画を鑑賞。

本格ミステリと、泥臭いコメディのドッキングという狙いは、悪くないと思います。
豪華客船上での殺人事件。雰囲気はとてもあるのですが、謎がちょいと弱かった。口の悪い執事とお人好しの主人というコンビは先例ありとのことで、そっちも有名になったが、これはこれで良し。

謎解きは、タイトル美貌のご主人がせっせと仕事をしている間に執事は骨休め、というコンセプトにしゃれっ気があっていい。
名探偵の休暇。もっとも、休んでいたわけじゃないと後で分かる仕掛けで、船の中にあるお宝、竹中直人扮と大倉孝二する凸凹コンビの泥棒が、風祭警部に扮する椎名桔平さんの部屋にある、黄金の翼を持つ“Kライオン”を盗む下りです。
もう一つのお宝は、宝生家の
50億円もする“セイレーンの涙”なのです。ですが、怪盗の件も含め全体に「後で分かる」のが多く、そこまでに退屈してしまうのが残念ですね。


それに、北川景子よりも嵐の櫻井翔を引き立てる趣旨のせいか、彼女が豪華客船の上で、素敵な衣装で登場しようが、平板な見せ方に終始しているようではロマンチック・コメディの要素が不足するのも当然でしょう。

豪華客船上という限定空間が舞台にもかかわらず、殺人事件が発生したり、犯人探しにウロウロ。
謎解きは、7主要人物が都合よく現れたり消えたりして、謎解きはどうでもよくなってしまっている。

いくら娯楽ミステリだとはいってもね、過度な遊びや寄り道は作品を薄っぺらにするだけだと思います。お嬢様刑事と毒舌執事のコンビも、もう一つスマートさがあればと感じたのだが、TVドラマからスタートしたキャラだけに不満を言っても仕方がないか。

しかしである、ニヤとしたのは宮沢りえの登場。お騒がせ女として意外性があって面白いし、ラストのその正体にあっと驚くに違いありません。

丸ごとレジャー気分の映画であるし、これを見れば一流の執事魂を体得できるように出来ており、執事志願者には必見の価値ありですぞ。


 

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2013年08月29日

嘆きのピエタ4

嘆きのピエタ独創的な作風で世界中から注目を浴びる韓国の鬼才キム・ギドク監督による、第69回ベネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた問題作。
昔ながらの町工場が並ぶソウルの清渓川周辺を舞台に、天涯孤独に生きてきた借金取りの男の前に突如母親と名乗る女性が現われ、生まれて初めて母の愛を知った男の運命を描き出す。
主演はテレビドラマ「愛してる、泣かないで」のイ・ジョンジンと、ベテラン女優チョ・ミンス。二人の気迫に満ちた演技と、観る者の予想を超えたストーリー展開に圧倒される。

あらすじ:身寄りもなく、ずっと一人で生きてきたイ・ガンド(イ・ジョンジン)は、極悪非道な借金取り立て屋として債務者たちから恐れられていた。そんな彼の前に母親だと名乗る女性(チョ・ミンス)が突如現われ、当初は疑念を抱くガンドだったが、女性から注がれる愛情に次第に心を開いていく。

生まれて初めて母の愛を知った彼が取り立て屋から足を洗おうとした矢先、女性の行方がわからなくなってしまい……。

嘆きのピエタ、3<感想>舞台はソウル近郊に取り残された町工場が密集する一帯が舞台。主人公のガンドという男は卑劣な借金取りが仕事である。おなじ韓国の映画「息もできない」の男が、金を取りたてにいく様子が思い出されるが、ガンドはそれ以上に、金が払えない債務者に対して、保険金が下りるように指を切断したり、足を折り重傷を負わせて身体障害者にして、その保険金で借金を支払わせるというやり方。
手足をもぎ取られた債務者は、その後ほとんどが将来に希望を失い自殺する。

母、息子、編み物、零細工場、高利貸し、大型ベロップメント、植林など、・・・湧き上がるシンボルとイメージをぐいぐいと作品にしていく。

嘆きのピエタ、5叙述は力強く、かつ暴力的で、しかし、その奥に人間そのものを見ようとする姿勢がきわめて明確になってくる。見ていて、こういう作品にみなぎる暴力生には馴染めないが、この作品の“母”の存在はたいへん興味深いものだと感じた。

残虐な機械のような若者と、その母親と名乗る女性との心理的衝突を描く前半部分には、彼女がガンドの心の中に入り込み、気持ちを支配し、精神的な絶望を与えようとする。だが、ミソンの方に憐れみの感情が芽生えてしまう。

若者に人間的な心が芽生えるあたりから、彼の動揺を反映するかのごとく演出モードがずれはじめ、観る側も鑑賞モードを模索するようになる。

やがて、死せるキリストを抱くマリアにあたる人物が、この映画に複数存在することが明らかになってくる。

嘆きのピエタ、1母親的なものは、無償の愛などといった美しい言葉には回収され得ない不気味なものとして立ち現れて、ガンドの前に、母親と思い込み始めた女が落下してくる。
この衝撃たるや、彼女がせっせと編んでいた赤と白のセーターは、自分のために編んでいたのではなく、本当の息子、借金のために首をくくり死を選んだ息子のために編んであげたもの。植林の下からその息子の亡骸が赤と白のセーターを着て現れ、嫉妬なのかよくわらないがそのセーターを自分の物として強奪する。

そのラストが、自分の今までしてきた行動がいかに人間として許されるものではないと思ったかどうか、トラックに引きずられるガンドの自殺行為は、監督の意図とすることで、残酷な描写ではありますが、きっとガンドのような人間を生んでしまったこの世の中とは、どういうところなのか。それを観客へのメッセージと捉えてもいいでしょう。



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2013年03月18日

21ジャンプストリート4

21ジャンプ、taitoru













高校時代の敵役シュミットとジェンコの2人が新人警官としてコンビ結成。青年犯罪を撲滅するために高校で潜入活動する犯罪特別捜査課「21ジャンプストリート」に配属され、高校にはびこる凶悪犯罪の実態を知る...

映画版では、青少年犯罪特別捜査課に配属された若手刑事のジェンコ(テイタム)とシュミット(ヒル)が、ドラッグ売買を取り締まるというミッションのもと高校で潜入捜査を開始するが、思いのほか高校生活をエンジョイしまくる様子がコミカルに描かれている。続編の製作が既に決定!
21ジャンプ、3<感想>劇場未公開作品。1980年代に主演のジョニー・デップを一躍スターにした、同名テレビドラマの映画化作品である。制作総指揮、原案、主演の三役を手掛けたのは、「スーパーバット 童貞ウォーズ」や「マネーボール」のデブ、ジョナ・ヒル。


ジャド・アパトーの弟子とはいえ、クリエイターとしての才能は未知数だったので、正直どうなることやらと思っていましたが、まさかこれほど傑作に仕上がるとは、思ってなかったです。


「スコット・ピルグリムVS.邪悪な元カレ軍団」の脚本家、マイケル・バコールと組んで作り上げたストーリーは、本人いわく「バッドボーイズ」なもの。学芸会やホームパーティ、そしてプロムを舞台にした、正義感とティーン時代のトラウマが交錯するイカしたアクション・コメディに仕上がっています。

21ジャンプ、1しかし、高校に麻薬取締で潜入捜査するのに、相棒役のチャニング・テイタムのロン毛のズラとスタジャン着て、高校生には見えなかったし、ジョナ・ヒルも金髪に染めて矯正歯とは、どうにも無理っていうもの。
それでもプロムでは、ばっちしタキシードで正装して、でも中に防弾ベスト着てるしで高校生には見えん。

監督は「くもりときどきミートボール」のフィル・ロードとクリストファー・ミラーの演出も的確でいい。そして、敢えてサプライズとしては、オリジナルの主演者ジョニー・デップと相棒役だったピーター・デルイーズもゲスト出演という。

21ジャンプ、2ここ最近のジョニーには全然いい印象がなかったんだけど、それを覆いかぶすハジケっぷりで見直しました。
ちなみに本作は、アメリカでは大ヒットしており、すでに続編の制作も決定されているそうです。

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2012年07月31日

ネイビーシールズ4

ウサマ・ビン・ラディンの暗殺の精巧なミッション遂行に世界が目を見張ったアメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALS。 偵察、監視、対テロ対策などの機密性の高い特殊作戦に従事する彼らの、CIAエージェント奪還から国際テロ阻止に動く姿を追う。現役のNEVY SEALS隊員が出演しており、さらに作品中に登場する兵器、戦闘機などは本物を使用、実際に遂行される作戦を隊員たちの視線からのカメラワークで撮影するなど、フィクションながらもリアリティに溢れている。『レッド・オクトーバーを追え』、『愛国者のゲーム』(映画「パトリオット・ゲーム」の原作)、『いま、そこにある危機』(映画「今そこにある危機」の原作)など軍事・政治小説家として名高いトム・クランシーが企画協力している。

ネイビーシールズ、3
あらすじ
:医師に扮してコスタリカに潜入していたCIA女性エージェントが拉致される事件が発生する。黒幕は、麻薬取引や武器密輸で暗躍し財を成す、通称クリストという男と目される。アメリカ海軍特殊部隊NAVY SEALSに出動命令が下り、隊員たちは迅速かつ的確に敵の拠点地を突き止め急襲し、エージェントを取り戻すことに成功。

そのときに現場から押収した携帯電話を分析すると、クリストがイスラム系テロリストを支援し、全世界規模のテロを計画していたことがわかる。NAVY SEALSの中でも選りすぐりの精鋭たちに新たな国家の最高機密に関わる極秘指令が下り、ひときわ優秀なローク大尉は妊娠した妻を置いて熾烈な戦いが待つ任地へ赴く。

ネイビーシールズ、1
<感想>最近ミニシアターで鑑賞した映画。
主役は俳優でなく現役のシールズ隊員が出演するということで、前評判の高かった作品である。当初はドキュメンタリーなのかと思ったが、実際のシールズの活躍を踏まえているが、あくまでも劇映画だということ。

邦題はチャ−リー・シーンが主演した1990年の映画と同じなのだが、もちろんあの作品のリメイクではない。もっともストーリーがかなり似通っていることは確かだそうですよ。

南米で活動中のCIAの女性エージェントが、何者かに拉致される。ロークたちシールズのチームが招集され、救出作戦に当たる事になる。彼らは飛行機からパラシュートで降下、密かに敵のアジトに接近し作戦を遂行する。

ネイビーシールズ、2
エージェントの救出で分かったのは大規模なイスラム過激派のテロが計画されていることだった。ロークの率いるチームは情報の収穫にあたり、ロシア人の武器商人の関与を掴む。テロリストは高性能の自爆ベストを入手していた。彼らの目標は、アメリカ本土だった・・・。

ネイビーシールズ、5
現役のシールズ隊員が役を演じるということで、メインキャストには知っている顔は皆無である。しかし銃器や乗り物の操作には、熟知しているからとにかく戦闘シーンだけはリアルですから。細かいディテールも凝っているし、スナイパーのスコープには、ちゃんと細かいネットが掛けられており、レンズ表面の反射で位置がバレたりはしないようになっている。

シールズ隊員の標準装備は、M4AIカービン。ハンドガード部分にはレールシステムが取りつけられ、アクセサリーがてんこ盛りだ。

ネイビーシールズ、4
歩哨を倒す際の音を立てない工夫も目新しく感じた。SH−60Bシーホーク・ヘリコプターや、小型潜水艇を搭載した改良型オハイオ級巡航ミサイル潜水艦など、大物も全部本物なのだ。似たような塗装を施した民間機なんかじゃない。つまりアメリカ海軍のデモンストレーション映画になっているのだ。

戦闘シーンは、銃を撃つ持ち手の主観映像など、かなりゲームを意識した表現などが取り入れられており、アメリカでもゲーマーが多く鑑賞したという。リアルな半面、スター映画のような花々しさはないが、これはないものねだりというものだろう。

ストーリーはお約束の展開だし、ここはとにかく本物の兵士が、本物の武器を操る姿をじっくりと鑑賞するのが楽しみ方の一つと言えよう。

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papikosachimama at 23:00|Permalink