2010年劇場公開作品、鑑賞

2011年01月04日

2010年映画ランキング・ベスト10!5

正月、1新年明けましておめでとうございます。旧年中は大変お世話になり有難うございました。


皆様お元気で新年をお迎えのことと存じます。朝起きるのがつらい季節ですね。

もうお正月気分は抜けましたでしょうか?・・・寒中には珍しく、うららかな日が続いております。寄る歳並みには勝てず、例年より寒さが身にこたえておりますです。

今年も幸多い年でありますようお祈り申し上げます。

2010年度劇場で鑑賞した作品、158本の中で洋画部門、邦画部門ベスト10!を選考

2009年よりも3本少なかったけれど、好きな映画を劇場に馳せ参じて鑑賞できる喜びと健康に感謝しつつ、2010年の映画の中でも素晴らしく自分の記憶に残っている作品を選りすぐりました。


洋画部門


第一位:
ハート・ロッカー(女性監督による戦争ものでアカデミー監督賞受賞作品)

第二位: インセプション(SF的仕掛けとヴィジュアルセンス、人間の心の奥に踏み込まれたような、一番のドキドキの映画体感でした。ジョセフ・ゴードン=レヴィットが良かった)

第三位: シャーロック・ホームズ(探偵ものとしての王道をいっている)

第四位:第9地区(まさかエビにこんなに心揺さぶられようとは、SFならではのブッ飛び感でした)

第五位:トイ・ストーリー3(期待を裏切らない物語に久々に泣いた)

第六位:瞳の奥の秘密


第七位:
オーケストラ! (笑いと涙、感動と驚き、映画に求めるものが全部詰まっている)


第八位:
Dr.パルナサスの鏡(本当にヒースの最後の映画となった)


第九位:
月に囚われた男


第十位:
小さな村の小さなダンサー


特別賞:
アイルトン・セナ〜音速の彼方へ〜、(韓国版)クロッシング(これは号泣もの)、ミレニアム・ドラゴン・タトゥーの女、ミレニアム2、3(スウェーデン映画の番外編:ミステリー・サスペンスで驚き!)

未鑑賞の作品で悔やまれる韓国版、「息もできない」を劇場で観ることができなかった。とても良い作品なので早速レンタルして観ることにします。

 

邦画部門


第一位:
十三人の刺客(ゴローちゃんの狂った殿様ぶり、映画の醍醐味を存分に味わわせてくれたさすがの三池監督。いくぶん歳のせいか、時代劇にハマってしまった年である)

第二位:ゴールデン・スランバー(原作者伊坂幸太郎とロケ地が地元仙台なので贔屓目線で称賛)

第三位:武士の家計簿(現代でも通じる内容と、堺雅人さんの演技に惚れた)

第四位告白


第五位:
最後の忠臣蔵


第六位:
ちょんまげぷりん


第七位:
SP野望篇


第八位:
借りぐらしのアリエッティ


第九位:
SPACE BATTLESHIP ヤマト


第十位:
踊る大捜査線THEMOVIE


特別賞:
ゲキ×シネ 蛮幽鬼(これは映画ではなく、本当に劇場で観ている感じがした。ここでも堺雅人さんの演技に惚れ惚れ!)

 

今年は兎年で飛躍の年のはずですが、ブログの方はマイペースの亀さんにて、のんびりとマイペースで行きたいと思っております。

本年も変わらぬお付き合いのほどをお願い申し上げます。

 



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2010年12月30日

最後の忠臣蔵5

最後の忠臣蔵、タイトル『四十七人の刺客』などで知られる池宮彰一郎の同名小説を、テレビドラマ「北の国から」シリーズの演出を手掛けた杉田成道が映画化。

物語:赤穂四十七士の最後の生き残り・寺坂吉右衛門は遺族達を訪ねて生活の支援をしていた。16年を掛けて全ての遺族を訪ね終えた吉右衛門は、四十七士の十七回忌の法要のため京都の進藤長保の元を訪れる。

その道中、彼はかつて討ち入り前夜に逐電(=脱走)した瀬尾孫左衛門によく似た人物を見かける。

討ち入り前夜に逃亡した瀬尾孫左衛門に役所広司、討ち入りを後世に伝えるため逃がされた寺坂吉右衛門を佐藤浩市が熱演。そのほか本耕史伊武雅刀安田成美ら演技派が脇を固め、「赤い糸」の新鋭、桜庭ななみも名を連ねている。(作品資料より)

最後の忠臣蔵、2<感想>今年最後の見終さめの映画となりました。前から観たいと思ってた作品でしたので、直ぐに鑑賞しようと思いながらこの年末になってしまった。

今年も時代劇をたくさん鑑賞した中で、最も王道を貫いた時代劇大作でした。毎年12月の14日になるとTVで放映されるあの、有名な「忠臣蔵」。

今なお語り継がれる誰でも知っている、赤穂藩藩主の浅野内匠頭が吉良上野介を個人的な遺恨から斬りつける。その騒ぎで浅野は切腹、吉良はおとがめなし。「忠臣蔵」とは大石内蔵助ら赤穂浪士47名が、主君の仇の吉良を襲撃し、殺害した事件のこと。

最後の忠臣蔵、5その吉良邸に討ち入りをクライマックスにした過去の映画やTVドラマ“忠臣蔵”とは違い、討ち入りから16年を経て、騒ぎを起こした47士全員が切腹し、事件はとっくに終わったと思われていたのだが、忠臣蔵の物語には2人の生き残りがいたというその後を物語にしている。

討ち入り直前に離脱した赤穂浪士もいたという史実ヒントに、2人の生き残りが、ある秘密が明らかになる中で、深い強い友情で結ばれていく様をドラマチックに描いています。

最後の忠臣蔵、3その一人は、討ち入り前夜に姿を消した元赤穂浪士、瀬尾孫左衛門。実は、大石内蔵助から彼の隠し子・可音を守るように密命を受けていた。そのため名前を変え、武士の身分を捨て商人として16年間ひっそりと暮らし、可音を育て上げたのである。

もう一人は、討ち入りを後世に伝え、討ち入り浪士の遺族を探しだして援助するという大役を全うするために生かされた寺坂吉右衛門。16年かけて方々に散った遺族を捜し出し、切腹した浪士の遺族を助ける使命を受けたが、名誉の死を遂げられなかったことを無念に感じている。

最後の忠臣蔵、1かつては熱い友情で結ばれた2人が、16年後に再会した時、まだ孫左衛門には成し遂げてないことが残っており、赤穂藩の人たちから死にぞこない、卑怯者となじられるても我慢をしてきた。だから、2人が出会った時には吉右衛門と斬り合って死ぬわけにはいかなかったのだ。ススキの野原での斬り合い、長い年月を経て再会し互いに見つめ合う熱い思いの二人が、何故に斬り合わなければならないのか。

瀬尾孫左衛門には役所広司、対する吉右衛門には佐藤浩市が、実力派俳優の2人が共演を果たしているのも話題ですが、作品は自らに課せられた宿命を受け入れて、人知れず寡黙に生きる2人の生き様を交互に映し出して行きます。

最後の忠臣蔵、6それぞれに積年の想いを爆発させるクライマックスは、さすがに涙なしでは見られません。それに脚本に新たに書き加えられた、孫左衛門と可音の淡い恋のエピソードにも、これは幼いころから本当に陰日向に可音と一緒に暮らしていれば、16歳になり、茶屋の呉服屋の息子に見染められ結婚の話がきても、彼女が孫左衛門を男としてそのような恋心も持って当たり前でしょう。

可音を演じた桜庭ななみの健気な立ち振る舞い、泣き笑いの表情も中々初々しいし、ラストの婚礼のシーンでは、大石内蔵助の隠し子・可音の輿入れを、赤穂藩の家来達が進藤長保の計らいで駆け付け、次々と行列に加わる展開にも感動します。

最後の忠臣蔵、7それにも増して、可音の輿入れのシーンで孫左衛門が、やっと本懐を遂げる時でもあるということがおのずと分り、忠義という名の気高き愛が私たちの胸を打ち続け、使命を貫き通した孫左衛門の生き様が、日本人が忘れてしまった武士道の精神を伝え、ぐっと胸に込み上げる演出にも涙を誘います。

全体に物語の中に人形浄瑠璃を重ねる演出は見事で、それも近松の「曽根崎心中」とはこころ憎い配慮で、幾つもの思いが交錯する複雑な物語を味わい深いものにしていると思います。

主君の元へ旅立つという本懐を、忠義の厚さゆえ許されなかった2人の男。その生かされた男の物語という。2人が背負う過酷な運命に、深いため息と言葉では言い尽くされぬ苦労や思いが、感動のクライマックスにただただ熱い涙を流さずにはいられません。

 


追記:最後に、今年も後1日となりましたが、たくさんの方々からのトラバ返しと熱いコメントに感謝の想いをこめて、今年1年間、本当にありがとうございました。

来年も、マイペースのブログで、皆さまにはご迷惑をかけるかもしれませんが、何とぞご理解の上宜しくお願いいたします。

 



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2010年12月27日

リトル・ランボーズ3

リトル・ランボーズ、タイトルとびきりポップな感動に包み込んでくれる遊びごころがギッシリ詰まった少年たちの友情と絆の物語。彼らを救ったのは、愛でもなく、神様でもなく、たった一本の映画だった。

物語:1982年、イギリス郊外。ウィル・プラウドフット(ビル・ミルナー)は母、妹、祖母と暮らす11歳の小学5年生。父親はいない。プリマス同胞教会の厳格な道徳律のもとで育てられた彼は、音楽、テレビ、映画など、同年代の子供たちが楽しんでいる娯楽を一切禁じられていた。息苦しさを感じつつ過ごす日々の中で、ウィルの唯一の楽しみはノートや聖書にパラパラマンガやイラストを描くことだった。

そんなある日、ウィルは学校きっての問題児リー・カーター(ウィル・ポールター)と出会う。ウィル同様、父親のいない環境で育ったカーターは、様々な悪事を働く反面、留守がちな母親に代わって兄の朝食も作る自立した少年だった。気弱で内気なウィルと悪ガキカーター。一見対照的ながらも、似たような境遇で育った2人は、たちまち友情を築き上げてゆく。

やがて、この友情がウィルの日常を大きく変えることになる。それは、老人ホームを営むカーターの自宅で生まれて初めて見た一本の映画がきっかけだった。その映画とは「ランボー」。傷だらけで戦うベトナム戦争帰りのヒーローに、人生で最高の衝撃を受ける。すっかり影響を受けたウィルは、ランボーになりきって“僕はランボーの息子だ!”と名乗ると、カーターが制作していた自主映画への出演を宣言。こうして、2人の映画作りがスタートする……。

監督・脚本を務めたガース・ジェニングス(「銀河ヒッチハイクガイド」)の少年時代の思い出をベースに、S・スタローンにキャラクターの使用許可を得て製作された。出演は「Is Anybody There?」のビル・ミルナー。(作品資料より)

リトル・ランボーズ、1<感想>イギリス映画で、少年を主人公にした名作が誕生した。その物語は一本のアクション映画「ランボー」である。この映画に感動して感化された動物・映画で「グレムリン」って作品もあるが、それよりもまぁ、こちらの作品の方が良く出来ている。

子どもの頃、特に男の子にとっては父親の存在が大きいのだが、この子たちには父親がいない。それもウィルという少年の家は、母親に妹、それに祖母と、厳格なプリマス同胞教会という宗教の信者で、母親は何を職業としてお金を得ているのか分らないが、それなりに一軒家で食べて暮らし向きは悪くない。ただ学校では虐められ友達がいない。

リトル・ランボーズ、2そんな時、同じような境遇の問題児リー(こちらは両親がいなく、兄と暮らしている)と学校の廊下で知り合う。仲良くなった悪ガキ同士、リーの家へ遊びに行き、そこは老人ホームで奥へ行くと兄と暮らしているようで、映画のダビングをして他人に販売して小遣いを稼いでいる。

このリーという少年、初めは映画館でタバコを吸いながら、前の椅子に足を乗せて態度の悪いマセガキそのもの。万引き盗みなんて日常茶飯事。言葉使いだって、家庭環境だって知れたもんではない。あまり行儀作法も良くなく、まるで孤児みたい。とにかくそこでシルヴェスタ・スタローン演じる映画の主人公「ランボー」を見て衝撃を受けたウィル少年。彼の家では宗教じょうの理由で、映画とかテレビは一切禁止なのだ。そんな宗教ってあるか(怒)

リトル・ランボーズ、4彼は勉強は真面目ではないが、パラパラ漫画や物語を創造し描くことが大好きで、ランボーという仮想のヒーローに夢を描く。ノートや聖書(参考書だと思った)に描かれたその絵を見たリーや、フランス人の留学生のディデイエ(オカマみたいなハデな格好)の目にとまり映画を制作することになる。この学校の上級生たちは、平気でタバコを吸ったり、女子はケバイ化粧したり、近頃の小学生?、中学生は本当に躾がなってない。このシーンには腹が立った。

リトル・ランボーズ、10それにウィルの家庭の話しでは、教会の信者の男が母親と仲良くなっているのか、家に入り込んで夕食を共にし、父親の代わりをしようとする。お婆ちゃんだって歩けないのか、食事も過保護すぎだし、自分で出来る範囲はしてもいいのに。

リトル・ランボーズ、9先生たちや、親ごさんたちも見て見ぬふりしているようなそんな印象がした。それに、リーの兄の持っている映写機(家庭用ビデオだったの?)で映画を撮影するのですが、危険極まりないですからね。泳げないウィルが川に落ちて死にそうになったり、廃墟で車の免許もないのにディデエに運転させて衝突し、重油の中へ落ちるウィル。案山子のアイディアは最高でしたがね。

勝手に映画をフランス留学生と撮っているウィルに、腹を立てて喧嘩をするリー。映画だからか、ウィルが重油の中に落ち、真っ黒になり上にトタンが被さり、危く死ぬところを助けるリー。間一髪のところへ戻って来たのだ。ところがウィルを助けだしたのは良かったが、今度はリーが倒れてくる鉄柱の下敷きになり危なく命を落としそうになる。これはもうダメかと思った。

リトル・ランボーズ、6最後にリーの兄が、弟のために映画を編集しなおして短編映画として街の映画館で上映してくれたのは、よかったのですが編集に無理があるよね。

リー少年が、足の骨折ですんだものの、一つ間違えば命を落とすことになるはずだったのに、こんな内容では、少年の冒険とか感動の成長記録とか、あまり私にはそんなに心をくすぐる印象はなかったです。



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2010年12月25日

ふたたび swing me again4

ふたたび、タイトル50年ぶりにかつてのバンド仲間と再会するため、孫と共に旅に出る男の姿を描くロードムービー。監督は「0(ゼロ)からの風」の塩屋俊。出演は「白椿」の財津一郎、「シュアリー・サムデイ」の鈴木亮平、「ラッシュライフ」のMINJI、「L change the World」の藤村俊二、「苦い蜜 消えたレコード」の犬塚弘、「ヒョンジェ」の佐川満男など。

物語:神戸。大学のジャズサークルでトランペットを吹いている貴島大翔(鈴木亮平)は、密かに“COOL JAZZ QUINTETTE”というジャズバンドに憧れていた。それは、たった1枚のLP盤を残して忽然と姿を消してしまった幻のバンドであった。大翔は家に保管されていたコレクションの中に偶然そのLPを見つけ、熱烈なファンになったのだ。

ある日、大翔は父・良雄(陣内孝則)から、亡くなったと伝えられていた祖父がまだ生きており、ハンセン病療養所から50年ぶりに戻ってくると聞かされる。だが、大翔は生まれて初めて会う祖父・健三郎(財津一郎)との接し方が分からず、会話もままならない。

ところが何の気なしに聴かせた1枚のレコードに、健三郎の表情が一転。健三郎は“COOL JAZZ QUINTETTE”のトランペッターだったのだ……。そんな中、健三郎は50年前のバンド仲間を探したいと、家を出て行ってしまう。

ところが、巻き込まれるようにして大翔はこの旅に同行することとなり、健三郎のかつてのバンドメンバーを訪ねる形で、神戸から京都、和歌山へと向かうのだった。50年ぶりの再会に戸惑いながら健三郎の訪問に喜び、泣き、笑い、興奮する友人たち。

そんな中、野田百合子(MINJI)という一人の女性の存在が明らかになる。彼女は“COOL JAZZ QUINTETTE”のピアニストで、ハンセン病の健三郎の子供を産んだことで家族からも子供からも引き離され一人寂しく死んでいったのだという。

実は、健三郎がいちばん会いたかったのはこの女性、即ち大翔の祖母だった。大翔は、この旅を通して祖父から父を経て自分へと繋がる家族の絆を知るのであった。二人の旅が終わりを迎える頃、思いがけないサプライズが待っていた。

神戸のジャズクラブ“SONE”で、50年間果たせなかった“COOL JAZZ QUINTETTE”のライブを実現できることになったのだ。そして今、バンドのラストステージが幕を開けた……。(作品資料より)

ふたたび、4<感想>監督の塩屋俊さんは、阪神大震災が人生の転機となった人物だそうで、映画の中では見事に復興がなされた神戸の街並みが映し出されています。物語には直接関係がないものの、それはジャズという音楽をとおして主人公のトランペット奏者がハンセン病患者だという設定。

ハンセン病とは、昔は「らい病」患者として扱われ、当時は発病すると強制的に療養所に収容され隔離された。それに、その家族たちは伝染病で移るからと差別を受け、隠れるようにひっそりと暮らさなければいけなかったそうです。

この作品は、ジャズのトランペット奏者がハンセン病で50年もの長い間家族と離れ離れに暮らし、やっと人生の終わりに息子のいる神戸に引き取られるお話。その主人公のやり残した事。人生の終わりを迎えて、昔そういう事情で仲間たちとも離れ、せっかく憧れの神戸の名門ジャズクラブ「SONE(ソネ)」で演奏できるチャンスを逃した若き日の後悔と、せめて死ぬ前に一度でいいから舞台で演奏したいという、心温まるお話なんですね。

ふたたび、3その主人公の祖父・健三郎には財津一郎が、トランペットは吹けないけれど実際に演奏している仕草の演技で良かったです。一人息子とは事情があって、つまりハンセン病で、妻にあたるピアノ演奏者の野田百合子とは秘かに二人で教会で結婚式を挙げ、その後は百合子がお腹の子どもを産み、百合子の家の者も娘と赤ん坊を引き離して育てて、百合子は寂しく一人で亡くなったという。

ふたたび、1百合子を演じたMINJIさんは、ハンセン病の療養所の看護師も演じており、またエンド・ロールに流れる主題歌も歌っている素晴らしさ。健三郎が昔のバンド仲間を訪ねて旅をする場面では、祖父と孫のロードムービー「春との旅」を思い出し、でもお供の、孫の大翔には鈴木亮平くんが、祖父と同じトランペット奏者として頑張ってました。

一番の泣かされた感動のシーンは、健三郎が初めて息子を抱くシーンですね。ハンセン病と認定されて隔離され、今まで産まれてから一度も抱いたことがない自分の息子を、50年後にやっと息子と抱き合うシーンには、思わず涙が込み上げてきました。

ふたたび、5それからやはり、旧友のバンド仲間を訪ねて旅をするシーンでは、ベースマンの犬塚弘さんがボケが始まった爺さん役で、それでも健三郎を思い出すと部屋の隅に置いてあるベースを取り出し嬉しそうに弾き始める。それからドラマーの佐川満男さん。最後は名古屋で立派なビルでピアノ会社のオーナーになって、出世をしたトロンボーンの藤村俊二さん。本当だったら谷啓さんが演じた役どころだっただろうに、残念でならない。
さらには、渡辺貞夫さんの
神戸の名門ジャズクラブ「SONE(ソネ)」の経営者として、圧倒的なサックス・パフォーマンスも見どころの一つですね。全編流れるジャズの名曲も余韻を残して素晴らしかったです。 



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2010年12月24日

バーレスク4

バーレスク、タイトル全世界トータル・セールス3000万枚、グラミー賞4部門受賞歴を誇り、デビュー以来10年以上に渡り世界中を魅了し続けるクリスティーナ・アギレラと、オスカー&グラミーW受賞で映画界、音楽界の頂点を極めたシェール。

物語:歌手になる夢を叶えるため、アイオワからロサンジェルスへやってきたアリ。彼女は歌手の仕事を探していろいろなバーを訪れる。ある日、偶然入った“バーレスク・クラブ”で、妖艶なダンサーたちの豪華なステージに魅了される。

なんとかバーレスクで働こうとする彼女は経営者のテスにあしらわれながらも何とかウェイトレスとして潜り込むことに成功した。

ある夜、遅刻が多い先輩ダンサーのニッキの代わりにステージに出ることになり、彼女がメインとなるステージでショーの最中にニッキから嫌がらせで音楽をストップ。アリの即興で歌を披露し、難局を乗り切ろうとする。

主演は人気シンガーのクリスティーナ・アギレラと「月の輝く夜に」でアカデミー賞受賞のシェール。「ラブリーボーン」のスタンリー・トゥッチ、クリステン・ベル。監督・脚本は「グーニーズ」などの俳優スティーヴ・アンティン。(作品資料より)

バーレスク、2<感想>この豪華絢爛なステージ!これはグラミー賞5冠に輝く歌姫の初主演映画。見ているとミュージカル映画に見えるが実はそうではない。この作品、ミュージカルではなく、パフォーマンスシーンをフィチャーしたストレートプレーなのだそうだ。歌唱力のみならず演技力も求められるため、アーティストのアギレラにとって大きな挑戦となる作品。彼女のファンでなくても見る価値ありですから。

バーレスク、7タイトルとなっている「バーレスク」とは、世界的に人気を呼んだ大人のためのショー。キャバレーなどセクシーな社交場のことであり、女性がヌードにならずにセクシーなダンスを見せ、タップダンス、スタンディングコメディ、ラインダンスなどのショーレビューの総称でもある。1920年代にアメリカから広がり日本でも人気に。

そのステージを見て、自らの夢を追求しようとする女性アリの姿を描いたウーマン・サクセス・ストーリー。映画の主軸となるパフォーマンス・シークエンスは、アギレラの歌唱力とダンスが最大の見どころで観る者を圧倒させます。アリがテスのクラブに働きに出る前に田舎の場末なバーで、アカペラでダイナミックに歌うSomething's Got A Hold On Meはその時の心境にピッタリで印象深い。もう一つアカペラで歌うシーン、ニッキに意地悪されて音源を切られて「Tough Lover」をアリが即興で披露する歌唱力には圧倒されますから。

バーレスク、1それと、アギレラがダンサーのパフォーマンスを見ながら自ら歌い踊る妄想をするシーンで、マリリン・モンローの名曲「Diamonds Are A GirIs Best Friend」これは、映画「ムーランルージュ」でニコールも歌っていたが、アリの夢を映像化するのには絶対に必要だったシーンで、楽曲もピッタリでした。

バーレスク、8特に彼女が書き下ろしたもので、劇中に流れる8曲のうち3曲Express」「Bound To You」「Show Me How You Burlesqueを熱唱するシーンは身震いしそうなほどのド迫力。だがそれだけではない、歌手を目指すというアリの役柄がアギレラにピッタリとハマっていてそれは見応えのある映画になっています。楽曲のチョイスの素晴らしさと、ふわふわのフェザーをミニスカート風にあしらったキュートな衣装をまとってのパワフルなパフォーマンスは、この作品のキモといっても過言ではないでしょう。

バーレスク、4それにベテランのシェールやスタンリー・トゥッチら共演陣の支えも手伝ってか演技面でも安定感がたっぷり。暫くスクリーンから遠ざかっていたシェール、64歳には見えませんから。とにかく彼女がテスの役でクラブのオープニングでWelcome To Burlesque」を熱唱する姿は、スクリーンで観るのはいったい何年ぶりのことか、と。クラブの借金で立ち行かなくなり、金策もつき、テスがリハーサルをするシーンでYou Haven't Seen The Last Of Me」を熱唱するシェールの素晴らしさは、まさに独断場です。ハイレグの衣装を身に着けたシェールのスタイルの良さにびっくり。

そして、バーレスク・ラウンジでのダンサーたちの衣装は、セクシーでゴージャス。ダンスをより華やかに見せるために、生地にスワロフスキーがデザインされた豪華衣装にもため息です。

バーレスク、6それからアリのルームメイトでバーテンダーのジャック、たれ目のカム・ジガンデー。気になっていたんだけど、「トワイライト〜初恋〜」に出ていたんだけど気がつかなくて、その後の「パンドラム」ではガロ役だったというけど印象にないくらい薄いですから。でも今回はNYに彼女がいて遠距離恋愛って感じで、アリとは友達関係っていっても好きになるわけで、踊りもやって中々良かったです。

煌びやかな舞台、圧倒的なパフォーマンス、野心たっぷりのキャラクター、そして「プラダを着た悪魔」のような女子力の高いサクセス・ストーリー。「シカゴ」や「ドリームガールズ」ほどのスケール感はないが、アギレラの初々しい演技と、アーティストとしての豊かな表現力の両方が存分に発揮されていることを大いに評価したいものですね。



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2010年12月23日

ばかもの2

ばかもの、タイトル芥川賞作家・絲山秋子が愛着をもって暮らす群馬県高崎市を舞台にした同名小説を原作に、『デスノート』の名匠・金子修介監督がメガホンをとり、生きること、愛することの切実な痛みが伝わるリアルな恋愛映画が誕生した。

「ドロップ」の成宮寛貴と「クワイエットルームにようこそ」の内田有紀共演で贈る恋愛ドラマ。
物語:群馬県高崎市。地元の大学に通い、気ままな生活を送る19歳の“ヒデ”こと大須秀成(成宮寛貴)は、近所のおでん屋“よしたけ”で、店の女将(古手川祐子)の娘、27歳の吉竹額子(内田有紀)と出会う。

数日後、偶然同じバイト先で働いていた2人は再会。その日、額子はヒデを部屋に連れ込み、半ば強引に童貞を奪ってしまう。年上女性の奔放さに戸惑いながらも、額子にのめりこんでいくヒデ。

だが、2人の別れは突然だった。ある夜、額子は公園の木に後ろ手にヒデを縛り付け、彼の下着を降ろす。そして長いキスをすると、額子は唐突に結婚を決めたことを告げ、ヒデをその場に放置して去っていく。茫然自失のヒデ。

大学卒業、そして就職と生活は変わっていく。ヒデは友人の加藤(池内博之)の紹介で知り合った翔子(白石美帆)と暮らし始める。額子とは違い、清楚で真面目な祥子。だが、ヒデの虚しさは募るばかりだった。

それを紛らわすかのように、酒に溺れていく。やがて会社で疎まれ、恋人や友人も周囲から去っていく。仕事を休んで部屋で酒を飲み続ける息子の姿を見て、涙する母(浅田美代子)。それでもヒデの酒量は増える一方で、姉の結婚式では泥酔して暴れ、会社も辞める羽目に。

そしてとうとう、飲酒運転で交通事故を起こしてしまう。これを機にようやく、ヒデはアルコール依存症の治療を受けるようになり、苦しみながらも快復していく。中華料理屋でバイトを始め、踏み出す新しい一歩。

そんなある晩、ヒデは額子の母親と再会。額子の様子を耳にする。幼かった頃、そしてヒデと別れてからの惨い運命。額子と出会ってから10年もの歳月が流れていた。額子に会いたい。気持ちを抑えられないヒデは、彼女の住む街へ向かう。待ち合わせのバス停に佇む額子。その姿は変わり果てていた。それでも、忘れられなかった2人の10年に渡る想いが溢れ出す……。(作品資料より)

ばかもの、1<感想>ふと知り合った10歳年上のいい女。声をかけられるままに女の部屋へ、そしてお決まりのセックス。

19歳の童貞男ヒデに成宮寛貴が、10歳年上のいい女額子に内田有紀。年上のいい女に惚れ込むのは見ていて手に取るように分った。

そうだよね夢中になってしまい、急に「別れて結婚するから」なんて言われても諦めきれない。

ヒデの両親に浅野美代子、余り強く叱らない優しい母親。父親も怒鳴ったり家から出て行けとか強い口調では言わない。だから息子が毎日酒びたりになり、アル中になって行くのは目に見えている。

ばかもの、4ヤク中とかアル中なんて他人事のように思って見ていたけれど、こんな風に男が惚れてのめり込んだ女を忘れるために酒を飲む。何だか見ていて可哀そうになってしまう。きっと初めて惚れた女だもの、忘れることなんて出来ない。
でもね、大学の同級生の女がいるんだよね。その女とは寝ないのよ、何故か友達のまんまで、変な宗教に走って死んでしまう女。

そんなヒデに彼女を紹介してくれる友達に、池内博之くんが好演している。彼は真面目で大学時代から付き合っていた彼女と結婚し、子供も産まれ幸せに暮らしている。友達の幸せそうな家庭生活なんて羨ましいとは思わないし、紹介してくれた彼女と同棲しても自暴自棄になって酒に逃げるヒデ。

ばかもの、2これは酷い、いくら酒のせいだと言っても、彼女に乱暴をし、仕事も休む。尽くしてくれる女教師だったのに、ある日のこと、部屋の荷物を全部持って引っ越してしまう。

それからのヒデは、酒飲み運転で、交通事故を起こし免停になり、アルコール依存症を治す施設へ入ることに。これは成宮くん見事に役にハマっていて良かった。年上の額子役の内田有紀さんも、大人の女の演技でいい印象。しかし、どうして額子はヒデと別れてマーケットの店主と結婚したのだろう。そこの内訳が全然分らないのが残念ですね。

ばかもの、3年上でも結婚している人たちたくさんいると思うんですけど、この作品は「ばかもの」というタイトル。額子がヒデを叱る言葉なんですが、確かに10歳も若い男だし夢中になるのは分っていたはず。愛は無かったとは思えないんだけど。経済的理由かな?・・・最後は、額子が結婚生活中に、夫の運転しているホークリフトに轢かれて左腕を失くしてしまうという大怪我を負う。

それが離婚の理由でもないのでしょうが、その後は一人で暮らしているところへ、ヒデが訪ねて行く。そんな二人がお互いに必要としているのは、手に取るように観ていて分る。そんな回り道をして、二人が結ばれる物語。アル中を克服した男の話とか、究極のラブストーリーって、そんなに感動とかのお話ではありません。



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2010年12月21日

トロン:レガシー4

トロンレガシーコンピューターの中に作りだされた究極の世界とは?3D映像表現の新たな可能性に挑むSFアクション!

物語:1989年、デリンジャーからスペースパラノイドの権利を奪還し出世街道にのったケヴィン・フリンはエンコム社のCEOとなった。しかしその数年後、ケヴィンは息子のサムに「明日ゲームセンターへ行こう。」と約束して仕事へ向かったのを最後に消息を絶ってしまう。
それから20年後、エンコム社の大株主でありながら自堕落に過ごすサムの元に父の盟友アランが顔をだす。アランはケヴィンから預かったポケベルに着信があったことを告げ、サムにケヴィンがかつて経営していたゲームセンターに行くよう説得する。サムがゲームセンターへ行くと、そこには隠し通路があった。

最新CG技術と3Dを融合させ、新たな映像表現の可能性に挑んだのは、アップルやナイキなどの独創的なCNを手掛けてきた新鋭ジョゼフ・コジンスキー監督。

主演は「エラゴン」「トロイ」などの大作出演を経て、これが本格的な初主演作となるギャレット・ヘドランド。父親役には「クレイジー・ハート」のジェフ・ブリッジズ。謎めいたヒロインには新進女優のオリヴィア・ワイルド。(作品資料より)

トロン・レガシー、2<感想>進化を遂げたテクノロジーと人類の戦いを革新的3D映像で描くSFアクション。デジタル界のカリスマといわれた男が謎の失踪を遂げてから20年。その息子サムは不思議なメッセージに導かれて神秘の世界へ入り込む。

トロン・シティ、電子世界の中心都市。理想郷として作られたが、そこはあまりにも美しく、あまりにも危険な思想に支配された世界だった。そこには電子世界をパトロールする飛行監視マシンが、サムは迷子プログラムと見なされてコロシアムへと連行される。

トロン、レガシー、1大歓声の観衆の中で対戦相手とディスクを飛ばして戦う危険な競技を強いられる。ゲーム・グリッド、プログラムたちが戦う競技場。戦いの勝者は1ゲームにつき1人だけで、敗者を待つのは容赦のない死。異分子や不完全なものは排除するというのがこの完璧なる世界のルールだった。

背中に搭載されたIDで、投げれば武器となりプログラム同士の戦いには欠かせない。
トロン・レガシー、5窮地に追い詰められたサムを救ったのは、ミステリアスな女性クオラ、彼女はサムをハイテク・バギーに乗せ、追跡者たちと熾烈なカーチェースを繰り広げながらシティの外の荒野へと脱出する。そこでは、バイクに似た二輪車のライト・サイクルで、プログラム自身の能力が動力で、戦闘機能を備えたものもある。

荒れ地も走行できるバギーのような四輪車、ライト・ランナー。数々の武器を装備し、ハイテク機能も満載。電光と闇の絶妙のコントラストは斬新な輝きを放ち、さすがに3Dカメラ、奥行きを感じさせる映像が絶妙である。

引き締まったくっきりとした黒さが印象的なデジタルワールドを、鮮やかな光を放ったライト・サイクルが猛スピードで突っ走る!近未来SF的な世界が好きな人にはたまらないヴィジュアルでしょう。

トロン・レガシー、6撮影には「アバター」でも用いられた2台の高画質デジタルシネマ用カメラ・システム“フュージョン・カメラ”の最新版が採用されたそうで、エレクトロ・ミュージック・デュオの<ダフト・パンク>が音楽を担当。(カメオ出演もしている)最初から古いジューク・ボックスから流れるジャーニンの「セパレート・ウェーブ」懐かしい〜って(笑)

CGIを意欲的に盛り込んだ作品のコンセプトにやっと時代が追いついたって感じだが、さすがに世界初のCG本格導入として話題となった前作から28年。新たな映像革命がここについにここまで来たか・・・って、といっても現時点で観ることができたのは20分ほどのフッテージのみ。それでもコンピューター内の冒険という「トロン」の設定は、3Dでこそ楽しみたいものですね。

トロン・レガシー、8もちろんドラマ面も魅力たっぷりで、父子の絆を捉えたエモーショナルな展開は、どこか「スターウォーズ」のような感じがしたのですが、辿り着いた山中でサムを待っていたのは、消息を絶っていた父親のケヴィン。

20年前、ケヴィンは電子世界の中に理想郷を創り上げ、そのパートナーとして若き自分の姿を投影したプログラム“クルー”を開発。だが個性と意思を持ったミュータントの出現によって世界のバランスが崩壊。ケヴィンは電子世界に閉じ込められてしまった。

ストーリーの核になっているのは、20年もの間離れた父と息子のドラマ。お互いに相手を思うあまり、素直になれない2人が、現状から脱却するために力を合わせて戦う姿を映し出してゆく。

1982年に制作されたSFファンタジーの続編。前作はCGを初めて全面的に取り入れた長編映画だったが、CGが当たり前となった今、どのように新しく見せるのかが期待のポイントで、前作での映像表現をリスペクトしつつ描かれた世界観には驚異の連続です。でももっと凄かったのは、ジェフ・ブリッジスの若返りCGかもしれませんね(笑)



papikosachimama at 17:23|Permalink

2010年12月17日

ノルウェイの森3

ノルウェイの森、タイトル村上春樹の最高傑作「ノルウェイの森」が1987年に発表され、20年以上の時を経て世紀を越えて人々の心を動かしてきた物語が映像化される。

物語:高校時代の唯一の親友キズキを突然の自殺で喪ったワタナベ(松山ケンイチ)は、新しい生活を求め東京の大学に行く。そこでキズキの恋人だった直子(菊地凛子)と偶然再会。同じ悲しみを背負った二人は、大切なものを喪った者同士付き合いを深めていく。しかし付き合いを深めるほど、次第に直子の持つ喪失感は深くなり、20歳になった直子は京都の療養所に入院することに。そんな時にワタナベは大学で、春を迎えて世界に飛び出したばかりの小動物のように瑞々しい女の子・緑(水原希子)と出会う――。

現代文学の申し子が作り上げた唯一無二の世界観を繊細な映像美で紡ぎ出すのは、『青いパパイヤの香り』などで知られる名匠トラン・アン・ユン。松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子ら魅力あふれるキャストを見事にまとめあげた。さらに原作タイトルの由来にもなっているザ・ビートルズの「ノルウェーの森」の原盤が主題歌として物語に彩りを加えている。(作品資料より)

ノルウェイの森、3<感想>この映画は面白かったとか、楽しかったとかの印象を述べる部類じゃない。原作を読んでいる者にとっては、非常に言葉では言い尽くされにくい感じがする。

きっと私と同じような印象を受け、映画の中のワタナベと直子と緑に小説の中の人物像をダブらせて、こんな感じか?いや、違う!もっとナイーブで力強いのに繊細で、刹那的なのに悲しくて激しい。なんて言って表現したら良いのか、独特な深さの空気を持っているはずだから。

小説というものは、読み手が自分で勝手に頭の中で思い巡らせて、その風景、場所、主人公の容貌などその人それぞれに、都合のいいように勝手に解釈し想像してしまうから。だから、思いれのある小説などは、主人公にもっと違う俳優さんをと、風景もここではなく、あそこがよかったのではないかしら、なんて自分流に考えてしまう。

ノルウェイの森、2特に愛と性、生と死など深淵な哲学性をはらむ村上春樹の究極の恋愛物語である本作が映画化されるとなると。
自殺した親友キズキの恋人だった直子に菊池凛子さん、欲をいえばもっと儚げでか弱い女性がよかったのに。大学の友人である緑は、台詞が棒読みなのが耳障りでしたね。主人公ワタナベを演じた松山ケンイチくんは、私が思い描いていた通りの人物像です。

あの掴みどころのない台詞を優しく論するような喋り方とか、もうこれ以上傷つきたくないというワタナベの心情を良く掴んでいると思います。マツケンの役者として別の面を見た印象を受けました。

冒頭の高校生活から入る主人公3人。小説では37歳になったワタナベが、ドイツのハンブルグ空港へ着陸する機内にいる。その機内の天井のスピーカーからBGMが流れ、その曲がビートルズの「ノルウェイの森」だった。

ノルウェイの森、5その曲に主人公が深く想いれのある曲で、頭が混乱するほどの頭痛がした。そして18年という歳月とあの草原の風景、本当に愛していた直子と一緒に草原にいる。直子が野井戸の話をする。そして「私のことを覚えていてほしいの、私が存在し、こうしてあなたの隣にいたことをずっと覚えていてくれる?」と、「いつまでも忘れないさ、君のことを忘れるわけがないよ」と言ったワタナベ。

それでも記憶は確実に遠ざかっていき、ふと忘れかけていた直子のことを、そう、僕には直子の顔を今すぐ思い出すことさえできないのだ。そんなふうに頭の中に直子の顔が浮かんでくるまでには少し時間がかかる。

そう、亡くなった直子のことを思い出し、それを文章に書き記すこと。しかし何故彼女が「私を忘れないで」と頼んだのか、その理由は僕の中で彼女に関する記憶がいつか薄らいでいくであろうということを。そして20年も前に遡る。(小説より)

ノルウェイの森、4映画は、高校生活の同級生キズキとその彼女直子の3人仲良し組から始まる。そして、キズキの自殺がリアルに描かれ、小説はそこのところはやんわりとした描写で映画ほどではない。

大学の学生寮の話で、毎朝6時に裏のグランドで「君が代」のテープレコーダーによる国旗掲揚が行われることや、同居人の清潔好きな“突撃隊”のことをもっと詳しく描いて欲しかった。

その寮に100人もの女と寝たという永沢先輩と知り合う。彼にはハツミさんという彼女がいるが、永沢は金持ちのお坊ちゃんだから、女がすぐにまとわりつくし、女には困らない。

ですが、内容的には学生運動が華やかなりし時代に、多感な青春時代を送った若者、ワタナベが、直子と緑と言うまったく別のタイプの2人の女性を愛する、つまり直子を救うことはできないけれど同じ傷を持っている。緑は生の輝きを持っていて、一緒にいると幸せになれるかもしれないと思わせる。

劇中で、性欲の描写が生々しく映像化され、台詞の赤裸々に話す直子と緑には、小説とは違って若さがいっぱいという、青春っていいなぁ〜なんて、男と女が逢えば直ぐにその話やら、ベットに直行なんて若さだよね。でも、原作を読んでない人たちは、きっとなんてエロ・エロした場面が多いんだろうって感じたに違いない。

ノルウェイの森、1最後の方で、直子が死んでワタナベが直子の元へ逝きたいという、日本海の冬の荒々しい海に旅して自問自答するシーン。その後やっとふっ切って生きる希望を見出し部屋へ帰ると礼子がいる。
そして礼子とも寝てしまう唐突なシーン、小説では礼子がどうしてワタナベに抱かれたかを上手く描写しているのですが、映画ではあまり唐突すぎて、なにこれ?って、ただの中年女の7年目の男開眼ってね(笑)原作では礼子の結婚生活とか、天才ピアニストとか礼子像が奇麗に描かれている。

それに、やたらとワタナベの回りには人間の死という、特別な関係だった大切な人との死に別れが描かれている。だからワタナベにとっては生きること、死よりも生き延びることを選択する。あんなに愛していたのに、好きだったのに、何故直子はキズキの元へ逝ってしまったのか。

私には直子がワタナベと関係を持ち、死んだキズキに対してそれを悔やんでいるような罪悪感が心の中に傷のように残ってしまったのではないかと感じた。
直子のことを自分では理解できていたのに、ガラス細工のように壊れそうな心を持っていた直子、自分の本当の心の中まではさらけ出さない直子。だからワタナベも直子のところへ逝きたいと思ったのかもしれない。でも生きていたいと葛藤するワタナベの苦しさが、マツケンの演技で上手く演じられていて、小説と同じく感情移入することができました。

まぁ、欲を言えば村上作品を映像化するのは難しいですね、彼の作品は文章の世界だからこそ完璧に表現出来るのかもしれませんね。



papikosachimama at 18:57|Permalink

2010年12月13日

ロビン・フッド3

ロビンフッド、タイトル誰もが知っている中世の吟遊詩人が生んだという伝説の義賊、ロビン・フッド。『グラディエーター』のリドリー・スコット監督と主演のラッセル・クロウのコンビで映画化した歴史スペクタクル。

物語:時代は12世紀末。イングランド王のリチャード一世の率いる部隊がフランス軍と戦闘を続ける中。その部隊にいた傭兵ロビン(ラッセル・クロウ)は、戦闘中に王が落命した直後、王冠をイングランドに持ち帰る役を担った騎士ロクスリーが、フランスのスパイ、ゴドフリー(マーク・ストロング)に騙し討ちにあう現場に遭遇し、王冠を奪還する。

瀕死のロクスリーからそれを故国に持ち帰ると共に、ルクスリーの遺言を聞き入れ、彼の父でノッティンガムの領主であるサー・ウォルター(マックス・フォン・シドー)に剣を届ける役目を引き受ける。
かくして訪れたノッティンガムの地で、ロバートの身代わりになってくれと頼まれるロビン。彼の素朴な人柄は領民たちの人気を集め、ロバートの未亡人マリアン(ケイト・ブランシェット)とも次第に心が通いあっていくのだが…。
その行く手には、イングランド侵略をもくろむフランス軍との壮絶な戦いが待ち受けていた!
主人公ロビンを演じるのは、これまで4作でスコット監督と組んでいるラッセル・クロウ。ヒロインのマリアンには、『アビエイター』でアカデミー助演女優賞を受賞したケイト・ブランシェットが扮する。
スタッフも超一流のベテランぞろいだ。脚本は、クロウ主演の『L.A.コンフィデンシャル』でアカデミー賞の脚色賞を受賞したブライアン・ヘルゲランド。衣装デザインは、『グラディエーター』でアカデミー賞を受賞したジャンティ・イエーツが手がけている。(作品資料より)

ロビンフッド、ケビン1<感想>庶民の英雄として何世紀も語り継がれてきたロビン・フッド。すでに誰もが知るヒーローとして何度も映像化されてきた。私が知っているのは1991年のケビィン・コストナー版「ロビン・フッド」ですが、メル・ブルックス監督のパロディ版「ロビン・フッド/メン・イン・タイツ」で、ケーリー・エルウィズが二枚目で可笑しなロビンを演じたのも記憶に残っている。

それに91年の「ロビン・フッド」でリチャード一世役でカメオ出演したショーン・コネリーも、1976年に「ロビンとマリアン」で老いたロビンを演じて、マリアンにはオードリー・ヘプバーンが演じるという豪華版だった。

ですからこれまでのロビンを主人公にした作品と趣向を変え、彼がシャーウッドの森に住む義賊になるまでの経緯を描いた本作では、マリアンとの出会いとロマンスも描かれています。今回のラッセル・クロウの野性味あるロビンは初めてかも。しかし、なんで若い俳優さんが演じないのか不思議です。

ロビンフッド、1もともと一匹狼のロビンが国民的カリスマになったのは、騎士としての強さだけではない。
歴史上、時のジョン王は、フランスに利用されイングランドを内部崩壊に導いた未熟な暴君であった。

その過ちをロビンが正し、民意をまとめ上げる。つまり強気をくじき、弱気を助ける世直しヒーローとして創造され、人気を博したのですね。
まさに“男の中の男“の名にふさわしいこの熱血漢を、ラッセル・クロウがハマリ役で熱演しているって大げさか(笑)。

軍や権力に縛られず、自分を慕う者たちと行動する。勝手だと思われそうだが、出会いや約束などを大切にするタイプで仁義の精神で行動するアウトロー。

ロビン・フッド、3マリアンも初めは、突然の来訪者ロビンに対して反抗的だったが、悪代官の搾取に苦しむ村の窮地を見たロビンが、仲間たちと強欲な教会から穀物の種を奪い、畑に蒔いてくれたことで実直な彼の人柄に少しづつ惹かれていく。ケイトの男まさりの役が似合ってる。

教会の神父さん養蜂業でお酒作って、その蜂を上手く敵の来襲に使うのかと期待してたのに、一回だけ。それにロクスリーの老いた目の見えない父、ウォルター卿にマックス・フォン・シドーが熱演。彼の願いは、息子の死を知った後ロビンに息子のフリをしてほしいと提案する。そうでなければ、後継ぎのない領地は国に没収され、マリアンも行き場がなくなってしまうから。

ロビンフッド、4そのころ王冠が戻った王室では、リチャードの弟ジョンが新王に即位し、民への増税を図り、反対意見を申し出た摂政マーシャルを解任し、なんと幼馴染みのゴドフリーを後釜に据えてしまう。イングランド内戦をもくろみ、重税に不満を持つ北方の貴族たちの領地を奪う。フランスの手先ゴドフリーには、「シャーロック・ホームズ」のマーク・ストロングがいかにも悪人という面構えでいい。

ロビン・フッド、4彼の企みに気づいたマーシャルは、王に反旗を翻そうとする貴族たちに、ゴドフリーの手先で上陸寸前のフランス軍と力を合わせ戦うべきと主張するが。

その時ウォルター卿の代理となったロビンが、万人の平等な権利を求める自由憲章の理念を説き、彼らの心を一つにまとめる。幼いころの幻覚が頭をよぎる。この自由憲章はロビンの亡き父親の願いだったことが分かる。

そしてクライマックスの、ドーバー海峡に現れたフランス軍の大艦隊と、ロビンが指揮を執るイングランド連合軍の壮絶な戦いが始まる。何故かロビンは大金槌を片手に馬で海岸を走り、敵を片っぱしからなぎ倒し、マリアンも鎧かぶとで馬に乗って参戦するも落馬。ロビンが凄いのは、逃げるゴドフリーを得意の弓矢で射る姿は、寸分の狂いもなくお見事!

ロビンフッド、2ですがジョン王は、勝利に導いたロビンの自由憲章の発行を約束すると言ったのに、ロビンはウォルターの息子のなりすましだといい、重罪に処すと言い放つ。
戦場でも王たるもの奥の方で見据えていればいいものを、自分も馬で戦いに出る馬鹿王。家臣の者は王を守るのに必死で、右往左往。

ロビンがシャーウッドの森に住み着き、孤児たちと暮らす姿で終わるが、まるで油絵のような趣向と音楽のエンディングが素晴らしい。

馬と弓、剣を駆使した戦闘シーンは、生々しいアクションと絵画的なビジュアルが融合して最高な見応えであります。さすが名匠リドリーの創出する映像美は圧巻ですね。



papikosachimama at 16:47|Permalink

2010年12月11日

義兄弟3

義兄弟、タイトル北朝鮮スパイと彼を追う元国家情報員の対決と友情、北と南それぞれの国家に翻弄された二人の男の葛藤を描く「映画は映画だ」のチャン・フン監督作。出演は「渇き」のソン・ガンホ、「M(エム)」のカン・ドンウォン、「四月の雪」のチョン・グックァンなど。
物語:国家情報員のイ・ハンギュ(ソン・ガンホ)は、ソウル市内の団地で起きた北朝鮮工作員との銃撃戦の折、多くの死傷者と工作員を取り逃がした責任を問われ組織をクビとなる。

6年後。彼は、逃げた妻や外国人花嫁などを捜す探偵まがいの稼業で糊口を凌いでいた。そんなある日、ハンギュは銃撃事件の現場から逃走した北朝鮮工作員のソン・ジウォン(カン・ドンウォン)に偶然出くわす。ジウォンはパク・ギジュンという偽名を使い、潜伏生活を続けていたのだった。

ハンギュの熱心な誘いで一緒に働くようになった二人は、それぞれの目的を胸の内に秘めながらも、寝食を共にするうちに次第に心を通わせていく。だが、それでも対立する立場にある二人はお互いの動向を探り続けていた。その頃、彼らの運命を左右する暗殺者が再び北からやって来る……。(作品資料より)

義兄弟、2<感想>韓国では脱北者が暗殺される事件が実際に起きていて、今年の4月にも6年もかけて黄長助ア(ファン・ジャンヨブ)元朝鮮労働党書記の暗殺計画を練った工作員2人が逮捕されたばかり(資料より)

本作が描くのは、そんな緊張感あふれる国家問題の当事者である暗殺者と、韓国情報局員の予期せぬ友情と葛藤の物語。冒頭から早々に緊迫感たっぷりに彼らの壮絶なチェイスが描きだされるが、南北分断を背にした敵同士、絶対にあり得ない対極に位置する男と男の物語だ。

義兄弟、4そして6年後、それぞれ任務を果たせず再会した後、離れて暮らす家族への想いをそれぞれに募らせた孤独な2人が、ひょんなことから一緒に働くことになり、腹を探り合いながらも理解を深める姿に、2人の描写には濃厚な生活感と男ヤモメの悲哀が感じられる。

敵対しきれない男たちの微妙な心情が観客の心を捉えているも、南北問題をテーマにしながら現実味がなさすぎるし、全体に軽すぎるなんて批判をしたくなる作品。韓国が抱える移民問題にもチラリと言及しているが、ついで感はゼロだし、硬派な社会問題を扱いつつも、男と男のドラマである。

義兄弟、3今では日本の映画ファンにもお馴染みのソン・ガンホ。優秀な情報局員だったのに、作戦ミスでリストラ。嫁と子供にも逃げられ、今やしがない人探し専門の探偵。まさにガンちゃんそのもののよう。って、ガンちゃんは妻子仲良く暮らしていますよ(笑)

そう思えるくらいやもめオーラが漂いまくっているし、実はスーパースパイってこともなく、つい人情にほだされ北の工作員にも感情移入してしまう。そんな優秀すぎないあくまでも公務員として地に足のついたスパイっぷり。「渇き」でスガシカオ風のオーラを出していたガンちゃんとはまったくの別人。つまりそれが名優ってことなんだけどね。

義兄弟、1一方、現場で暗殺者<影>の命令に従わなかったことから裏切り者のレッテルを貼られ、家族の待つ北朝鮮に帰る道を閉ざされてしまった北朝鮮工作員ソン・ジウォンを演じるのは、美男青年のカン・ドンウォン。
ガンホとドンウォンのハイ・コントラストなキャラクターが、互いに猜疑の眼差しを注ぎながらも絆を堅く結ぶところ。映画は真の意味での“義兄弟”の香りをじんわりと放っている。帰るべき場所を失くした孤独の狼のようなドンウォンの存在感がそれを際立たせているのが新鮮でいい。

ラストのドンウォン家族がロンドンへの亡命なんて、彼は絶対にあの高さから落ちたら死んでいるのに。監督がこの作品を娯楽に昇華させているように思えた。



papikosachimama at 18:26|Permalink