2013年DVDレンタル作品鑑賞

2013年12月28日

ユナイテッド ミュンヘンの悲劇4

ユナイテッド、タイトルマンチェスターの魂は熱かった! 1958年、突然の悲劇から復活を遂げた真実の物語

あらすじ:195826日、UEFAチャンピオンズカップ(現チャンピオンズリーグ)に参加したチームを乗せたチャーター機が敵地からの帰路、給油のために立ち寄ったミュンヘンの空港で離陸に失敗。

 乗員乗客44名のうち23名を犠牲にする未曾有の飛行機事故に遭遇。チームの主力選手8名クラブ関係者3名の尊い命が奪われた。

 主人公は、ジミー・マーフィー。伝説の名将マット・バスビー監督の右腕として「バスビー・ベイブス(Busby Babes)」と呼ばれた若手有望選手の発掘・育成に尽力し、1950年代の黄金時代を支えた熱血コーチ。本作は、悲劇を乗り越えて再生を目指す真実のドラマである。

【キャスト】

ジミー・マーフィー役/デイヴィッド・テナント

 ボビー・チャールトン役/ジャック・オコンネル

 ダンカン・エドワーズ役/サム・クラフリン

 マット・バスビー役/ダグレイ・スコット

監督/ジェームズ・ストロング

脚本/クリス・チブナル 内容(「キネマ旬報社」データベースより)

ユナイテッド、1<感想>イングランドの名門、マンチェスター・ユナイテッドを襲った悲劇と再生への道程を描いた感動ドラマ。事故であれ災害であれ、ある時突然、大切な仲間を失ってしまった場合には、どうやって自分を奮起させればいいのでしょうか?・・・。
しかも、本作の場合は、コーチのジミーはリミットが迫る危機的な状況の中で、チームを再建させなければならなくなってしまった。

普通なら、もうこんなにダメになってしまったと、考えるか、「まだ生き残ったメンバーがいる」とこれからを考えるか、過去を考えるかなんですね。もし、こうなってしまったら、今の起点に甦ることができるなら、自分たちはきっと最強になれる、と考えることが出来るのだ。

ユナイテッド、2しかしながら、ゼロの地点からチームにしていく、一つの仕事を成し遂げるということは、とても困難な作業だと思います。

上に立つものが一人一人に、「お前ならやれる、お前を信じている」と声をかけるのも方法の一つでしょうが、ジミーの場合はボビーが立ち直るまで待ち続けていました。

そして、ボビーが自主的に聞いてきた時に、初めて答える。その結果ボビーはチームの再建のキーマンとなるわけなんです。
でも、ボビーは最終的にモチベーションを取り戻しましたが、かなり時間がかかりました。

大切な仲間がいなくなる喪失感は、3年前の大震災で多くの人が経験しているわけで、このようなトラウマをどう向き合い、癒していけばいいのか。

ユナイテッド、4やるべきことをやる、それに尽きます。ショックな出来事から目をそらすことは出来ません。見ないと決めつけるとかえって余計にそれに囚われてしまう。

だから、毎日何かをやる、やるべきことがある、ということが大事なんですね。喪失に向き合う暇がないという状況にいれば、自然と復帰してくるもんだと。

確かに、そっとしておく、同情をしないという分けではない。
泣いてもいい、泣けるだけないて、しかし、危機的状況から何かを再建しなければ、溜め息を付く前に体を動かそうではないか。とても感動的な作品でした。

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papikosachimama at 20:00|Permalink

2013年06月06日

ジャッジ・ドレッド3

ジャッジ・ドレッド、タイトルスペインのカルロス・エズキエラと「ヒストリー・オブ・バイオレンス」の原作者ジョン・ワグナーが生み出したイギリス発の人気SFアクションコミック『ジャッジ・ドレッド』。秩序の番人ドレッドが正義を取り戻すために戦う様を描き、1995年にはシルベスター・スタローン主演で映画化された同作が、「バンテージ・ポイント」のピート・トラヴィスを監督に迎え生まれ変わる。今回新たにドレッド役に挑むのは「ボーン・スプレマシー」のカール・アーバン。ほか、「300〈スリーハンドレッド〉」のレナ・ヘディが敵役を、「抱きたいカンケイ」のオリヴィア・サールビーがドレッドの相棒役を演じる。脚本は「わたしを離さないで」のアレックス・ガーランド。

あらすじ:政府も国家も消えたアメリカは荒廃しきり、東海岸沿いに広がるメガシティ・ワンという暗黒都市だけが残っていた。そこでは4億人以上が住む誰もが犯罪者となりえる可能性を秘めている。そんな悪環境の中、秩序を守るため陪審員、裁判官、刑執行の権限を持つ“ジャッジ”という集団がいた。エリートの集まりではあるが、1分間に12件、一日にすると17,280件もの膨大な犯罪が報告される中で彼らが対応できているのはたった6%に過ぎない。そんな“ジャッジ”達のトップに立つのが、ドレッド(カール・アーバン)という男だった。ある日、ドレッドは新米ジャッジのアンダーソン(オリヴィア・サールビー)とともに、悪名を轟かせているマーマ(レナ・ヘディ)一派が支配するピーチ・ツリーという200階建てビルに乗り込む。マーマはビルを封鎖し、75,000人にもおよぶビルの全住人に対してジャッジを見つけ次第殺害するよう命令。絶体絶命の危機に陥ったドレッドは、正義を取り戻すために戦うことを決意する……。(作品資料より)

<感想>イギリスの人気コミック誌「2000AD」の看板作品で、「ジャッジ・ドレッド」が誕生したのは1977年。舞台は、核戦争後のアメリカに造られた塀に囲まれた巨大都市メガシティ・ワン。主人公は、悪党を逮捕したら、その場で判決を下し、処刑できる権限を持った究極の法の番人ジャッジ・ドレッド。

ジャッジ・ドレッド、3そんなジャッジ・ドレッドが95年に映画化された際に、なぜスタローンが演じたのか?・・・これ見ました、17年経っているんですね。私も年をとったわけだ。実は95年版は当初、シュワルツェネッガーのために立ち上がった企画だったそうです。しかし、シュワちゃんが断ったため「誰か似ている人いないかな?」というアバウトなチョイスでスタローンに舞い込んでしまった。

ちなみに、ジャッジ・ドレッドは正義のために造られたクローン人間で、そのため、法を犯した者はたとえ友人でも厳しく処罰する、というようなハードコアな人間味のなさすぎる男である。そして、トレードマークであるマスクを、連載開始から一度も外したことがないのだ。そんなブレーキの壊れた正義の味方っぷりを描く、どこかブラックユーモア溢れる物語は、「デス・レース2000年」から多大な影響を受けている。ちなみにドレッドのマスク&スーツのデザインも「デス・レース2000年」の主人公フランケンシュタインからインスパイアされている。

本作の予算は、スタローン版に比べると画期的に少ない。そのため、スタローン版で意外と楽しめたローマスターバイクによる空中戦、イカス戦闘ロボ、片腕サイボーグの殺人鬼ミーンマシーンなどは描かれていない。その代わり、第二次大戦中、ヒトラーの電動ノコギリと恐れられたドイツの機関銃MG34を、二丁装備しているので豪快な殺人ショーを披露してくれます。

ジャッジ・ドレッド、4制作陣たちが心血を注いだのはドレッドをドレッドらしく描くこと一点のみ。その期待に応えるべく2代目ドレッド役に選ばれたカール・アーバンは「俺は少年時代からのドレッドのファンなんだ。ヤツに人間味はいらない。だから俺の素顔を見せる必要はない」と、ドレッドに成りきった、心強い個性禁止宣言だけでも、十分合格です。それに、ドレッドの相棒として、超能力のオーナーで、妙にエロイ、ジャッジ・アンダーソン(オリヴィア・サールビー)が参戦。

気になる物語の設定は、「ザ・レイド」と「ダイ・ハード」の最初の作品と一緒で、極悪犯罪者たちの巣窟となっている200階建ての超高層マンションに、足を踏み入れてしまったドレッドの戦いを描くんですが、不思議なことに「ザ・レイド」とはまったく別次元の作品に仕上がっている。

ジャッジ・ドレッド、1その理由は、「ザ・レイド」のイコ・ウワイスはボテ腹の嫁が家で待っている身。だからマンションに閉じ込められた時も、「この建物は犯罪者だらけ、それなら脱出しなきゃ」と焦ってしまった。しかし、この映画では、ドレッドは違うんですね。要塞マンションに閉じ込められた瞬間、「この建物は犯罪者だらけ、つまり全員逮捕、もしくは死刑」と、ビタ一文も焦ることなく判断して、館内アナウンスを使って業務連絡を披露。

「建物の住民に告ぐ、このマンションを支配した気になっているが、お前らにその権限はない。俺が法律だ。今からお前らのボスを処刑する。俺の職務を妨害するやつは共犯者とみなす。以上、警告はしたぞ」って。職務を淡々と実行するプロフェッショナルなんだもの、かっこいいはずだ。

ジャッジ・ドレッド、2皆さんアクション映画史、コミック映画史にとっては事故としか思えないくらい、まったく動揺しないヒーローの誕生です。本来アクション映画にとって、ヒーローの心の揺れを描くことでドラマを盛り上げていくはずなのに。

その基本ルールを徹底的に無視してまでも、ドレッドらしさを追求した物語。この手の映画は見つくしているので、普通かなぁ、でも極悪非道の女ボスに、「ターミネーター:サラ・コナークロニカル」のサラ役と、「300」の王女を演じたレナ・ヘディが熱演しているので、結構面白かった。

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papikosachimama at 21:59|Permalink

2013年06月04日

鍵泥棒のメソッド5

鍵泥棒、タイトル「運命じゃない人」「アフタースクール」の内田けんじ監督が、人生が入れ替わってしまった売れない役者と凄腕の殺し屋が巻き込まれる騒動を、堺雅人主演で描く喜劇。
35歳でオンボロアパート暮らしの売れない役者・桜井は、銭湯で出会った羽振りのよい男・コンドウが転倒して記憶を失ってしまったことから、出来心で自分とコンドウの荷物をすり替え、そのままコンドウになりすます。
しかし、コンドウの正体は伝説の殺し屋で、桜井は恐ろしい殺しの依頼を引き受けなくてはならなくなる。一方、自分が売れない貧乏役者だと思い込んでいるコンドウは、役者として成功するため真面目に働き始め、徐々に事態は好転していくが……。共演に香川照之、広末涼子。第36回日本アカデミー賞で最優秀脚本賞を受賞した。


<感想>
売れない役者と凄腕の殺し屋が入れ替わり、婚活中の女性が絡むことで事態が思わぬ方向に、・・・。この映画は実に面白かった。明らかに奇抜な展開を楽しむ作品だが、内田けんじ監督はセリフの間や伏線といった展開意外のうま味もそこに盛り込んで、徹底的に楽しさを提供してくれている。

鍵泥棒、1いったい彼は、何を目指してこのオリジナルストーリーを創ったのだろうか?・・・。今の日本で恋に落ちて結婚してハッピーエンドという展開はしっくりこない。
だから、恋に落ちるのではなくて、恋に落ちようとしている人、もしくは結婚しようとしている人を描がこうと考えたのだろう。

世の人々はガツガツと婚活する人に対して、斜めに構えがちですが、そんなに頑張って結婚したい人たちに「真剣に婚活してもいいんじゃないか」と思ってくるようになる。そんな思いがヒロイン香苗に投影しているようだ。
彼女はかなり変わっていて、結婚も仕事と同じように努力さえすれば成し遂げられると信じている真面目なタイプ。その異質なキャラを広末涼子さんが見事に演じています。

香苗に限らず、登場人物すべてが曲者ぞろい。下手をすると白々しくなりそうな設定なのだが、・・・。
鍵泥棒、3香川さん演じる殺し屋、コンドウが銭湯で石鹸を踏んづけ、大きく飛び上がって転倒する場面があるのですが、お尻の見え方が絶妙で笑ってしまった。そこがベタで陳腐になりかねないこの描写を救っているのですね。少し現実離れしているけど、滑稽にならないギリギリの線で全編笑いを誘うように描いている。

それに、堺雅人と香川照之という実力派の二人が主に作品のトーンを支えているようですね。その面目躍如たる演技は圧巻です。
香川さんのコンドウが、ノートを小脇に抱えて、普通だったら横に抱えるのに縦にする。その佇まいがおかしくて笑ってしまった。
それと、堺さんもヤクザ相手に一芝居を打つシーンでも、素晴らしくて、下手な役者が上手く演技をした気になって得意になるという、痛々しい状況を恐ろしいほど上手に表現するという。これってやっぱりベテラン俳優さんだからなんですよね。
ですから、本作の見どころは何と言っても役者さんの演技力に尽きるといっていいでしょう。練りに練られた脚本とハイレベルな演技に支えられた本作。この二つの華麗なる化学反応を、是非あなたの目で確かめて欲しいですね。

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papikosachimama at 20:27|Permalink

2013年05月28日

北のカナリアたち4

北のカナリア、タイトル『告白』の原作者である湊かなえの小説「往復書簡」の一編「二十年後の宿題」を、日本を代表する女優・吉永小百合を主演に迎え、『大鹿村騒動記』の阪本順治監督が映画化したヒューマン・サスペンス。
20年前に起きた悲劇により引き裂かれた教師と教え子たちがある事件を機に再会し、それぞれが抱える心の傷や真実が明らかになっていくさまを描く。共演には柴田恭兵、里見浩太朗、仲村トオル、森山未來、宮崎あおい、松田龍平など、ベテランから若手まで実力派が勢ぞろいする。


あらすじ:
日本最北の島で小学校教師をしていた川島はる(吉永小百合)は、ある事故をきっかけに島から出て行ってしまう。それから20年後、東京の図書館で働いていた彼女は、教え子の一人が事件を起こしたことに疑問を抱き、かつての自分が受け持っていた生徒たちに会うため北海道へ向かう。恩師と再会した教え子たちは、それぞれに抱える複雑で苦しい胸中を明かす。


<感想>
北海道の離れ小島にある分校で々時を過ごしたひとりの女性教師と教え子たちの、20年の時をまたいで抱え続けた秘密と心の傷、さまざまに揺れ動く人生の機微をていねいにすくい取った静かな感動作となっている。

北のカナリア、2大作と思えるところは、まず豪華なキャストである。主演の大スター、吉永小百合はもとより、父親役の里見浩太郎、吉永小百合の夫役の柴田恭平、警察官の仲村トオルらベテラン勢に、そして6人の教え子たちを演じる森山未來、宮崎あおい、満島ひかり、勝地涼、小池栄子、松田龍平など、いずれも主演級の俳優陣がずらりと居並ぶのである。

その見事なアンサンブルにも目を奪われるのだが、それらに負けないもっとも重要な出演者の一人とも言えるのが、北海道の雄大な自然そのものでもあります。
日本最北端の地、稚内、その沖にある利尻・礼文島、他にも道内各地で撮影された映像は、圧倒的なまでのスケールで、自然の厳しさと美しさを伝え、本作のほろ苦い人間ドラマにさらなる奥行と深みを与えている。

人間の業、愛と絆、裏切りとエゴ、生への渇望と死の恐怖。それらを全部受け止めて丸ごと飲み込んでいく真冬の北海道の過酷な自然環境が、すべてを物語っているようでもある。

北のカナリア、1まさかと思うような、吉永さんと仲村トオルのラブシーンに目をこすり、それが小さな町では噂に悪い尾ひれが付いて、この島を離れざるを得なかった吉永さんの心情も見事な演技で熱演。
若い教師の吉永さんと、年老いて戻って来た吉永さん、あまり年の差は感じませんでした。幼いころの子供たちを演じた子役たち、とても合唱が上手かったですね。

内容自体が見どころ満点なのは言うまでもないが、この映画がいかに過酷な環境の下で撮影されたのかが、ひしひしと伝わってきます。その過酷な自然に抱かれて生きる人々が、心の奥底にもっているすべての感情を、美しいものもドロドロとした闇の部分もすべて併せて、飲み込んだ生きるという意味を、雪がすべてを覆い隠してしまうという、その下で密かに芽吹く人生の春が見る者にひしひしと伝わってくる。

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2013年05月06日

夢売るふたり3

夢売るふたり、1「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督がオリジナル脚本で描く長編第4作。料理人の貫也と妻の里子は東京の片隅で小料理屋を営んでいたが、調理場からの失火が原因で店が全焼。
すべてを失ってしまう。絶望して酒びたりの日々を送っていた貴也はある日、店の常連客だった玲子と再会。酔った勢いで一夜をともにする。
そのことを知った里子は、夫を女たちの心の隙に忍び込ませて金を騙し取る結婚詐欺を思いつき、店の再開資金を得るため、夫婦は共謀して詐欺を働く。
しかし嘘で塗り固められた2人は、次第に歯車が狂い始めていき……。主演は「告白」の松たか子と「なくもんか」の阿部サダヲ。


<感想>
火事ですべてを失ったことから、結婚詐欺に手を染める夫婦の物語ある。きっかけは店を失って気落ちする夫の貫也(阿部サダヲ)が、店の常連客だった女性と関係を持ち、一夜の浮気に妻の里子(松たか子)が気付いたことから。
孤独を抱えた女性に近づき、結婚話をちらつかせて金を巻き上げる。そんな悪だくみを思いついた妻は、夫を使って店の再開資金を稼ごうと動き出す。

最初は「だましたお金は、後で被害者に全額返そうね」などと言いながら、どこかお気楽な雰囲気が漂っている。夫婦仲もまだまだ良好。しかし、一人、また一人と騙していくうちに、妻の心にはいつしか嫉妬心が芽生え、愛し合っていたはずの夫婦関係に歪みが生じ始める。

夢売るふたり、3阿部サダヲ演じる貫也は、西川監督の前作「ディア・ドクター」のニセ医者にどこか通じるところがある。
女たちに向ける愛はニセモノだが、貫也は彼女たちを本気で心配し、寄り添おうとする。
その優しさは罪だとも言えるが、貫也が基本的に善人なのが透けて見えてくる。

それに対して、松たか子扮する妻の里子は、平静を装いながらも、心の奥では夫の不貞を許せずにいる。
自分が裏で糸を引きながらも、心の中ではメラメラと嫉妬心が燃え盛り、欲求不満を溜め込んでしまう矛盾。
西川監督は、これが女の業なのだと言わんばかりに、女の得体のしれない“怖さ”をまざまざと見せつける。

夢売るふたり、2本作で見せる松たか子の演技が演技が素晴らしい。他の女のもとへ通う夫を送り出すときの表情、込み上げる涙を隠しながら話す夫の両親との電話、ついには女の家に乗り込んでしまう衝動的な行動。

それらすべてが真に迫っていて、屈折した思いを抱えながらも結局は夫の愛を信じたい里子の、複雑な女心がつぶさに伝わってくる。

普通の女であった彼女が、夫に罪を重ねさせるたびに、強く美しく輝いていくのが印象的に映った。


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papikosachimama at 14:09|Permalink

2013年04月15日

凍える牙3

凍える牙、タイトル乃南アサの直木賞受賞作で、日本でも2度テレビドラマ化された人気作「凍える牙」を、韓国で映画化したサスペンスミステリー。主演は名優ソン・ガンホと「悲夢」のイ・ナヨン。
監督は「マルチュク青春通り」のユ・ハ。人体が発火して炎上する事件が発生し、遺体には獣にかまれた傷が残っていた。殺人課のベテラン刑事サンギルと新米女性刑事のウニョンが捜査にあたるが、同様の事件が続発。手がかりを追っていくうちに、事件の裏に隠された社会の闇と悲哀が浮き彫りになっていく。


<感想>
警視庁機動捜査隊の女性刑事を主人公に、狼犬という獣が引き起こす連続殺人の行方と、その困難な捜査に挑む刑事たちの人間模様を描いたミステリー。これまでも2度ドラマ化されたこともあるが、TVドラマは見ていない。

舞台をソウルに移し、主人公の女性刑事を「私たちの幸せな時間」「悲夢」などのイ・ナヨンが演じている。

彼女とコンビを組む中年刑事には、ソン・ガンホという嬉しいキャスティング。「マルチュク青春通り」の監督ユ・ハが、ハードボイルドなタッチの中にも人間臭いユーモアを織り交ぜた快作に仕上げている。

物語:ソウルの一角で、奇妙な焼死体が発見される。獣に咬まれた傷跡のあるその死体は、巧妙に仕掛けられた他殺によるものだった。被害者の男は、麻薬絡みの性犯罪に絡んでいたことも判明。キャリアが行き詰まり焦りを感じる中年刑事サンギルは、新米女性刑事ウニョンをいやいやパートにしながらも、昇進につながる手柄をあげようと捜査を進めていく。

凍える牙、2やがて続く同じ獣による第二、第三の事件。二人は真相を追う中、この異常な事件の裏にある激しい憎しみの連鎖を知る。

事件の実行犯であり、物語の鍵となるのは、犬とオオカミの交配種、ウルフドッグだ。殺人兵器として育てられてしまった痛切な宿命を背負うこの獣は、犬でも狼でもない。どこにも属するところがないのだ。


主人公の新米女性刑事ウニョンは、警察という男社会で、チームに溶け込めず孤立する自分自身を、どこかウルフドッグに重ね、共感していく。
ウニョン役のイ・ナヨンは、気は強いが寂しげな雰囲気を漂わせ、ひたむきにウルフドッグの闇を追う。
その孤独な結びつきが、ひとつの大きな見どころだと言える。

凍える牙、1でも以上に本作の魅力になっているのは、やはりソン・ガンホの存在感ではないでしょうか。
出世できず、妻にも逃げられた負け犬刑事。
古いタイプでガラも悪いが、次第にウニョンのことを認めていく。
「シークレット・サンシャイン」がそうだったように、生真面目で頑固なヒロインと組ませると、ガンホの人間的魅力がさらに映えるということを改めて確認させられる意味でも、このコンビの相性はいいということなのだ。
刑事として現実の掟に従わざるを得ない男のしたたかさが、なぜだか強く印象に残った。

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2013年04月12日

ハーバー・クライシス<湾岸危機>4

ハーバー・クライシス、タイトル台湾エミー賞5部門受賞の『ブラック&ホワイト』の映画版。新米の熱血刑事がチンピラとコンビを組み、国家をも巻き込む巨大な陰謀に立ち向かっていく姿を描く。

監督・脚本はTV版を手掛け、本作が映画デビューとなるツァイ・ユエシュン。出演は「モンガに散る」のマーク・チャオ、「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」のホァン・ボー、「些細なこと」のアンジェラベイビー。


あらすじ
:台湾の大都市・ハーバー・シティ。正義感は強いが、向う見ずな行動で上司の頭を悩ませる南署特捜課の新米刑事、ウー・インション(マーク・チャオ)は、現金輸送車の強奪事件を解決するものの、行き過ぎた行為で停職処分を言い渡されてしまう。

一方、犯罪組織・三連会の構成員、シュー・ダーフー(ホァン・ボー)は、極道暮らしから足を洗い、恋人と幸せに暮らすことを夢見ていた。
ダーフーは手元にある組織の金を利用してダイヤモンドを密売、一攫千金をもくろむが、取引現場を武装集団に襲われ、取引は失敗する。
ハーバー・クライシス、1ある殺人事件を追って現場にやってきたインションもまた武装集団の攻撃に遭い、ダーフーと共に命からがら脱出するのだった。
実は、取引に使われたアタッシュケースには、秘密裏に開発された大量破壊兵器の謎が隠されていた。
インションは事件の真相を探るため、ダーフーと行動を共にすることになるが、そんな中、SIS(台湾情報局)がケース回収に動き出し、インションはSISから追われる身となってしまう。

その一方で、破壊兵器を手にした謎の組織は、ある計画の準備を着々と進めていた。ダーフーを追う三連会の殺し屋、インションをマークするSIS、そして事件の鍵を握る美女ファン・ニン(アンジェラベイビー)の出現。
ハーバー・クライシス、4深まる謎と危険が渦巻く中、インションは事件の裏にハーバー・シティ爆破計画があることを突き止める。
タイムリミットは36時間。はたして二人は、ハーバー・シティに、そして台湾にしのびよる危機を回避することができるのか。(作品資料より)


<感想>
ハリウッド映画に負けないほどの、イケイケドンドン的な台湾映画が今熱い。とにかく頭からアクションの乱れ撃ち。
カーアクションに、ガンアクション、航空機アクションと、格闘技にド派手な爆破シーンが重なり、息もつかせぬ展開。

ハーバー・クライシス、2主人公二人も、気弱なチンピラやヤクザと猪突猛進の熱血刑事という、バディ・ムービーならではの凸凹コンビで、そこに事件を追う謎の美女、怪しい密輸仲買人、何やら思惑がありげな情報局員などの個性的キャラクターが絡んで、いい味を出している。


本作は制作に約10億円を投じた超大作で、日本でも放映された台湾のテレビドラマ「ブラック&ホワイト」の映画化作品。
撮影は、映画の撮影や大型コンサートなどを招致し、エンタテインメントを入り口に観光客を呼び込むことに積極的な台湾南部の都市、高雄市をメインに行われた。

ハーバー・クライシス、3倉庫やコンテナが並ぶ港湾地帯や、ステンドグラスの円柱と天井が幻想的な地下鉄、美麗島駅など、高雄の近未来的で、無国籍な雰囲気も映画の魅力となっている。

陸、海(湾岸)、空のすべてを舞台に肉弾戦に銃撃戦と爆破の連打に驚いてはいけません。飛び散る火花と立ち昇る火炎はハンパなく過剰だし、人もガンガンと死にまくり、その主義を最後まで崩さないのには圧巻の一言。

思いきって制作費をかけ、街も全面協力で、ロケーションがリアル。カースタントや爆破シーン、格闘場面など大作なみのダイナミックなサービス満点映画。

どちらかと言えば、ラブストリーやホームドラマ、文芸ものなどソフトな作品が多い台湾映画で、こんなに硬派なエンタテインメントも見事にこなすとは、観客が育ち、お金が集まる場所には、今後様々な才能が集まりこれからも多様な作品が誕生することでしょう。


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2013年04月09日

ローマ法王の休日4

ローマ法王の休日、タイトル「息子の部屋」「親愛なる日記」のナンニ・モレッティ監督が、ローマ法王のつかの間の休日を笑いと涙を交えて描くハートフルドラマ。
ローマ法王が死去し、新しい法王を選出するため各国の枢機卿がバチカンに集まる。
全員が心の中では面倒な法王に選ばれたくないと思うなか、誰もが予想していなかったメルビルが新たな法王に選出される。
メルビルはプレッシャーのあまりローマの街へ逃げ出すが、街の人々と触れ合うことで人生において大切なものや法王の存在意義とは何かを見つめ直していく。


<感想>
この邦題は、響きからすると人の模範ともなるべく威厳に満ちた法王が、ちょいと仮面を脱ぎ捨てて送る休日、などとハート・ウォーミングな内容を想像してしまう。

しかしだ、なんと優雅な休日どころか、新法王に選ばれた男が、「嫌だ、そんな重責なんて無理だよ」と、逃亡してしまう。という衝撃的な内容なのだ。


ローマ法王、3まさに「えっ?」と、散りばめられたいろんなポカ〜ンを笑えるか否か。そこから何を感じる取るかである。
舞台は先の法王が亡くなり、新法王を選ぶべく世界各国から枢機卿が集まって選挙「コンクラーベ」が行われるバチカン。


ところが最高峰の権力を狙って駆け引きが行われるどころか、各地で尊敬を集めているであろう枢機卿らが、こぞって神に祈るのは「どうか自分が選ばれませんように」と。


有力と目される枢機卿らは逆に結託した結果、自分はまったく無関係とシレ〜ッとしていた主人公のメルヴィルに白羽の矢が立ってしまう。
ローマ法王、2演じる名優ミシェル・ピコリの、目が泳ぐさまが笑える。
最高権威がハズレクジとは、たらい回しごとくコロコロ変わる、どこぞの国の首相みたい?・・・。
そうして重圧に耐えかねたメルヴィルは、バチカンを抜け出しローマの街へと逃亡してしまう。


もちろん本作はコメディである。お揃いの紅の法衣に身を包み、赤い丸帽子をチョコンと頭にのせた老齢の枢機卿らが、嫌な役を押し付け合うコンクラーベを神妙に行い、やれ「カフェに行きたい」だなんてブーたれる姿は一般人とさして変わりはない。新法王が逃亡している間の枢機卿らは、法王の部屋に病気だと偽り影武者をたて、自分たちはバレーボールなどして気楽なもんだ。
逃げ出したメルヴィルがローマの街でいろんな人と出会い、若かりし頃を思い返すくだりは、ハート・ウォーミングともいえる。

ローマ法王の休日、1最近バチカンで、法王様が老齢で仕事を続けられないと引退を宣言し、コンクラーベで新しく新法王が選ばれた。
今までは80歳を超えた高齢であろうが死ぬまで職責を果たしてきた法王さま、これからは自由に老後を選択しても良いのではなかろうかと。

小さな笑いを積み重ねたコメディなのに、観終わった後、楽しさだけ残るわけではない。
法王といえど、我々となんら変わらぬちっぽけな人間。それを知って嬉しいのか?、いやいやまったくもって世界中のけったいな“今”を否が応もなく映し出した辛辣な笑いが残る。
それでも映画は宗教やバチカンの構造自体を批判するという、スタンスとは異なるユーモラスに描いているところが面白い。


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2013年04月01日

最強のふたり5

最強のふたり、タイトルパラグライダーの事故で首から下が麻痺してしまった富豪の男と、介護役として男に雇われた刑務所を出たばかりの黒人青年の交流を、笑いと涙を交えて描く実話がもとのドラマ。
まったく共通点のない2人は衝突しあいながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。2011年・第24回東京国際映画祭で東京サクラグランプリ(最優秀作品賞)と最優秀男優賞をダブル受賞した。


本国フランスでは国民の3人に1人が観たという。日本でも興収16.5億円のロングランヒットとなり、「アメリ」の持っていた日本国内におけるフランス語映画の興収記録を塗り替えた。日本ではほぼ無名に近い監督、俳優の作品がここまでヒットした理由とは何か。それはひとえに、この映画が放つ気持ちのよさにあると思う。


あらすじ
:事故でクビから下が麻痺した大富豪のフィリップは、介護者選びの面接に来ていた黒人青年ドリスを試験的に雇う。
スラム街出身で、前科を持つドリスは、不採用の証明書でもらえる失業手当目的で来ていただけで、いかにもな志望理由を語る他の候補者に比べて異質の存在。

最強のふたり、1フィリップがそれでもドリスを雇ったのは、身体が不自由な自分に対する同情の目に飽き飽きしてたからだ。
子供がそのまま大人になったかのようなドリスには常識がないが、陽気で屈託がない。
フィリップが障害者であることに対しても一切の偏見がなく、どこまでも本音で付き合おうとする。

時にはやりすぎることもあるが、ドリスのこの豪胆さが、固く閉じたフィリップの心を溶かし、人間らしい人生の喜びをとりもどさせていく。


<感想>
監督と脚本を手がけたエリック・トレダノとオリヴィエ・ナカシュは、実在の二人を描いた1本のドキュメンタリーに感銘を受けて、この作品を作ったそうです。ドキュメンタリーの劇映画化は何も珍しいことではないが、やもすれば重くなりがちな題材を、これまで軽やかなコメディに仕上げたのには感心する。

最強のふたり、2とりわけ、粗野で口は悪いが、心温かいドリスのキャラクターが素晴らしい。モデルとなった人物がいたにせよ、彼の天真爛漫な笑顔には、フィリップだけでなく、観る者の心も癒されます。

この映画が素直に笑って泣ける、気持ちのいい作品になった要因は、ドリスのキャラクター性にあると言えるだろう。

聞けば、演じたオマール・シーにあて書きしたそうだが、彼らの絆がいかに強かったのかが分かる。

特典といえば、メイキング・ドキュメンタリー「本物の最強のふたり」も面白い。モデルとなった二人が登場するのだが、実際はどうだったのかだけでなく、役者陣との交流も見られて興味深い。何より、彼ら自身が映画の誕生を喜んでいるのが伝わってきて、こちらも嬉しい気持ちにさせてくれる。ハリウッド・リメイクが決まっているという本作。しかし、オリジナルを超えることはできないだろう。と思わせるのが、この映画の罪なところでもあると感じた。
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2013年03月25日

コンフィデンスマン/ある詐欺師の男3

コンフィデンスマン、タイトル「パルプ・フィクション」、「ジュラシック・パーク」などに出演した名脇役俳優サミュエル・L・ジャクソンが、製作総指揮・主演を務めるギャング・アクション。元天才詐欺師が大切な人を守り抜くため、やむを得ず再び裏社会へと足を踏み入れていく哀愁を描く。その他の出演は「テイク・ディス・ワルツ」(11)のルーク・カービー、「フル・モンティ」(97)のトム・ウィルキンソンほか。
あらすじ親友を殺した罪で25年の刑期を終え出所した元天才詐欺師フォリー(サミュエル・L・ジャクソン)には、帰りを待つ者など誰一人いなかった。そこに突如現れた、殺した親友の息子イーサン(ルーク・カービー)の誘いでバーを訪れたフォリーは、アイリス(ルース・ネッガ)と名乗る若い女と出会う。やがて愛が芽生えたアイリスと共に新しい生活を送ろうと決心したフォリーの前に再びイーサンが現れる。彼はフォリーの罪悪感を利用し再び詐欺を持ちかける。断れば、イーサンの卑劣な罠によりアイリスの身は危険にさらされる。フォリーが愛する者を守るために残された道はただひとつだけだった……。 (作品資料より)

コンフィデンスマン、1<感想>還暦過ぎても精力的なサミエル・L・ジャクソンが脚本を気に入り制作も兼ねて主演。信用詐欺の例え話「善きサマリア人」をモチーフにしたコンゲームに、最悪な罠に落ちた男が第二の人生を賭けるクライム・サスペンス。

最近では「アベンジャーズ」に本作品と、そして待望の「ジャンゴ 繋がれざる者」が公開され、さらにはアニメやゲームの声優など働き者のサミエル・L・ジャクソン。
彼が主演の、ハードボイルドにはちょうどいい長さのB級映画。
ワケありの孤独な女性と愛し合い、束の間の幸せに初めて生きている実感を得るが、衝撃の事実を知らされて、怒りと悲しみの涙目パンチが炸裂!

詐欺師として開きなおってからは、ハッタリかました説教オヤジなど、いつものサミュル節も炸裂するなど幅広い熱演である。
コンフィデンスマン、2ルーク・カービーが「テイク・ディス・ワルツ」の好青年から一転して、悪賢い卑劣な役を演じ、組織のボスのトム・ウィルキンソンもハマリ役で、ジャンキーのメンヘラ・ヒロインには、「プルートで朝食を」のルース・ネッガを起用するなど。ニール・ジョーダンの影響を受けた監督デヴィッド・ウィーヴァーの演出も的確。

冒頭とラストのモノローグが重なる「アローン・イン・ザ・ダーク」のエラン・マスタイの脚本は、悲痛すぎるのだが、それゆえクライマックスの父娘コンゲームの芝居がより重く感じられて、スリリングに活きてくる絶妙な設定である。


無駄のない展開に、個性派俳優たちの確かな演技で、もたつくことなく90分と、ハードボイルドには丁度いい長さの佳作になっている。寒々としたトロントの風景も効果的な背景でいい。
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