2014年劇場公開観賞作品

2014年12月15日

神さまの言うとおり3

神さまの言うとおり「週刊少年マガジン」連載の人気漫画を、鬼才・三池崇史監督が実写映画化したサバイバルサスペンス。突如命懸けの不条理なゲームに巻き込まれた高校生たちが、生き残るために立ち向かう姿を描く。
次々に与えられる課題に、負ければ命はないという緊迫感のもとでゲームに挑む若者たちを、
NHK連続テレビ小説「あまちゃん」などの福士蒼汰と優希美青、『悪の教典』などの山崎紘菜と染谷将太、『桐島、部活やめるってよ』などの神木隆之介らが熱演する。

あらすじ:何事もない日々に飽き飽きしていた高校生・高畑瞬(福士蒼汰)の通う学校に突如ダルマが出現し、命を懸けたゲームの始まりを告げる。
少しでも動いたら首が吹き飛ぶ第
1のゲーム「ダルマさんが転んだ」をクリアした彼は、幼なじみの同級生・秋元いちか(山崎紘菜)と一緒に第2のゲームへと向かう。一方世間では、ゲームから生還した生徒たちを、神の子とあがめており……。

神さまの<感想>三池崇史監督が流れ作業的に描く問答無用の惨殺パレード映画で、惨殺といっても、いちいち人格など描いていないから吹けば飛ぶような軽さで、タッチ一つで駒が消えるゲームと全く同じノリです。

だからいくらド派手な落とし穴を用意しても、恐怖やショックとは無縁で、勝手にやってれば、という感じである。“シリトリ“仕掛けの進行や、日本の伝統的な遊びや玩具を使っての殺人ゲームも全てうんざり気味でした。

セカイ系的なゲームの類の映画の場所に、そういう意識もなくズイズイと三池崇史監督がやってきたみたいでおかしい。しかし、というかもちろん、飽きさせないのは良かった。

いきなりゲームが始まる本作に好感度アップ!・・・だが、ステージをクリアしていくだけで、何故?には最後まで答えず。登場人物はクレジットで説明される記号でしかない。

神さまの、9隔離と抽象の空間で登場人物が強いられたゲームに挑む映画は、おそらく世界中に数百はあるが、その中でも人命最安値級で、かつ、まぁ面白いからいいか。

それでも、設定のゲーム性がちゃんと活劇の位置になっており、アクションの場へ投げ返されている感じ。

たいしてというか、全然話などないのだ。部屋に引きこもって、ゲームに熱中している中年オヤジの大森南朋さんが、ゲームで遊んでいるのを見て、もしかしてこのオヤジのゲームが虐殺ゲームだったりして。そんなゲームオタクの部屋の光景を見て虚しさを感じますね。でもいつもそうだったし、それでいいのだろう。納得して観るべし。

ご都合主義をありにして、三池崇史監督が確信的な非映画に挑んだ先にあったのが、全てを続篇に投げ捨てることとは残念なことである。

染谷将太くんはあっさりと死んでしまったが、神木のニヒルな殺人機械ぶりは、今後の三池映画を支える存在に化ける予感がしてならない。


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papikosachimama at 12:18|Permalink

トワイライト ささらさや4

トワイライト、タイトル夫の死後、幼い子供を一人で育てることになったヒロインと、他人の体を借りて彼女を助ける亡き夫を、新垣結衣と大泉洋が初共演で演じる感動ドラマ。加納朋子の小説「ささら さや」を基に、メガホンを取るのは『神様のカルテ』『くじけないで』などの深川栄洋。
中村蒼や福島リラ、石橋凌、富司純子など若手からベテランまでが脇を固める。前向きでかわいらしいヒロインとユーモラスで優しい亡き夫の奮闘に、爽やかな感動が心を突き抜ける。

あらすじ:サヤ(新垣結衣)は夫のユウタロウ(大泉洋)を突然の事故で亡くしてしまう。人に対して疑いを抱かないサヤが、一人で息子を抱えることを心配するユウタロウ。
成仏できずに、いろいろな人の体に乗り移って、サヤのために手助けをすることに。のどかでどこか不思議な町ささらの人々に助けられながら、サヤは母親として成長する。

<感想>母親役は初めてという新垣結衣は、母親らしくないように見えて、ありうる感じで役柄としては的確かもですよね。原作は読んでいませんが、大泉洋の役は、普通のサラリーマンだったそうで、それが映画では売れない落語家に設定を変えた脚本に感心しました。

トワイライト、それによって、全体に笑いと軽みが加わっていて、他人の体に乗り移るという、いかにもなファンタジーが、すんなりとこちらにも入ってくるのだ。深川監督のキャラクター重視の演出は、今回も安定していて俳優陣もいきなり赤ん坊と2人ぽっちになった新垣結衣以外は、みんなのびのびと演じているのが判る。

主人公の自分は生後5か月の子供の父親で、新垣結衣に似ても似つかぬたくましい母親になった嫁の夫で、ゆえに本作がある意味社会的に求められるファンタジーであると感じました。

現実とやらは本作の乳母車よりはるかに軽量で、場所とらずのベビーカーにすら優しさを向けられぬ世の中だ。そうですよね、主人公は暫くは死ねないわ、成仏できないのが分かります。

ささらという街も、そこに住む思わせぶりな人々も、真打昇進直前に事故死した大泉が、下手な噺家という設定も、サヤのことが心配で、心配で成仏できない彼が、落語の師匠や富士純子演じる少しボケた老婆とか、思いがけない人物の肉体を借りて何度も甦るところが面白いですね。みんな大泉洋の口真似が上手い。

トワイライト、5さまざまな人に乗り移って彼女の前に現れるという展開なのだが、ナレーションも大泉洋のユウタロウが、落語を話しているような語り口で進んでいくのだ。

姿形が違う他人にユウタロウが乗り移った途端、結衣ちゃんのサヤもユウタロウが傍にいて、自分のことを見守っていることが分かり、素直に認める仕草に切り替わるのが素晴らしいですよね。

しかし、遺された妻子を無理やり路頭に迷わせ、大泉の父親が子供を奪いに来る理不尽な設定も、それを突き詰めればテレビ的な悲劇的喜劇を作ることもできただろうに。

救いは、大泉に憑依された小松政夫の芸達者ぶりには笑わせてもらいました。

それと、三婆トリオの富司純子の、ゴーストに乗り移られる演技などは珍しいし、上手いとは思えないが、その見せつける力は相変わらず巧い。ロケ地も効果的で、赤ん坊のナマ演技にも微笑ましく映ってよかった。
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papikosachimama at 11:54|Permalink

2014年12月02日

ドラキュラZERO4

ドラキュラ、タイトル『ワイルド・スピード EURO MISSION』などのルーク・エヴァンスが主演を務め、オスマン帝国の侵略から自国を死守するため悪に変じた君主の戦いを描くアクション。
ブラム・ストーカーの小説「ドラキュラ」のモデルとなった
15世紀の実在の君主をモチーフに、愛ゆえに強大な悪と化す男の数奇な運命に迫る。
主人公の妻を、『アンチヴァイラル』などのサラ・ガドンが好演。悲しくも美しいヒーロー伝説に圧倒される。

あらすじ:トランシルバニア君主ヴラド・ドラキュラ(ルーク・エヴァンス)が統治する国は栄え、人々は平和に暮らしていた。
だがある日、ヨーロッパ攻略を狙うオスマン帝国が、彼の息子を含む
1,000人の少年の徴兵を要求してくる。
愛する妻(サラ・ガドン)や息子と国を守るため、ヴラドは大国相手に反旗を翻し、古代より伝わる絶対的な闇の力と契約を交わす。

<感想>序盤からいきなりハイテンションの戦闘シーンが続く。少年たちがバトルごっこをする時、戦う理由を必要としないのと同じく、歴史的な背景設定を置いてけぼりする勢いで突き進んでいるのだ。

ドラキュラ、7目の前の敵を倒すことに没頭するゲーム的爽快感はあるかもしれないが、ただ、どんな激しいアクションでも、それがデフォルトになってしまえば麻痺してしまう。

戦いの見せ方にメリハリがあれば、もう少し肉体感覚のともなった表現になったのでは。まぁ、それでも、主人公ヴラドを演じるのは、「ホビット 竜に奪われた王国」でも領主の末裔バルドを演じたルーク・エヴァンス。以前の映画で、ドラキュラを演じた俳優さんは、みなイケメンで細身の男優さんばかり。今回もルーク・エヴァンスで申し分なくカッコ良かったです。

新解釈の「ドラキュラ物語」で、結構お金もかかっているようだが、観る側として、どんな「ドラキュラ物語」がでてこようと、これは荒唐無稽で面白くてよろしくて、という暗黙の約束があるみたいなもので、そう簡単には驚かない。

ドラキュラ、6むしろ、時代物語の約束にあまり捉われない一種の時代劇ファンタジーとして、一応、こういうのもありか、という感じでもある。

一人で、千人の軍勢を相手にして勝てるなら、話はそこで終りとなってしまう。意味のない映像の垂れ流し、敵方のオスマン・トルコ軍が魔力を怖れないのも、世継ぎの王子の人質にこだわりつづけるのも、理解不能です。

魔力があって、王妃の危険を察知できないのも、脚本の都合なだけ。最終決戦の崖と谷の地形もまったく生かされておらず、監督の才能もZEROのようだ。


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papikosachimama at 19:35|Permalink

エクスペンダブルズ3 ワールドミッション5

エクスペンダブルズ3シルヴェスター・スタローンら、スター軍団が結集したアクションシリーズ第3弾。傭兵(ようへい)部隊エクスペンダブルズが、同部隊の創設者の一人でありながら悪人となった男を相手に壮絶な戦いを繰り広げていく。
監督は『レッド・ヒル』で注目を浴びたパトリック・ヒューズ。ジェイソン・ステイサム、ドルフ・ラングレン、ジェット・リーといった前
2作のメンバーに、ハリソン・フォード、メル・ギブソンの名優も加わる。肉弾戦に銃撃戦、列車暴走、ビル崩壊と今回も迫力の見せ場が満載。

あらすじ:シルヴェスター・スタローンら、スター軍団が結集したアクションシリーズ第3弾。傭兵(ようへい)部隊エクスペンダブルズが、同部隊の創設者の一人でありながら悪人となった男を相手に壮絶な戦いを繰り広げていく。
監督は『レッド・ヒル』で注目を浴びたパトリック・ヒューズ。ジェイソン・ステイサム、ドルフ・ラングレン、ジェット・リーといった前
2作のメンバーに、ハリソン・フォード、メル・ギブソンの名優も加わる。肉弾戦に銃撃戦、列車暴走、ビル崩壊と今回も迫力の見せ場が満載。

エクスペンダブルズ3、7<感想>このシリーズは、良い意味での期待せずに観られる最高のポップコーンムービーだと思う。
ストーリーなんてどうでもいい、醍醐味はなんてたってキャスティングにある。
まずはスタローンとシュワちゃんのライバル共演に続いて、今回は悪役にメル・ギブソンと最近乗っているオジサン。
そして、責任者にハリソン・フォード、にジェイソン・ステイサムと、これだけも十分凄いのに、さらにはアントニオ・バンデラス、ウェズリー・スナイプス、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン。さらに紅一点のロンダ・ラウンジーというUFC女性ファイターの登場である。

しかし、老兵仲間が一人重症を負ったので、ロスは仲間を失うまいと、若手傭兵をリクルートする。
エクスペンダブルズ3、2仲間重視のあまり、危険を若い世代に押し付ける構造もまた、増えすぎた老人を養う負担を若い世代に押し付ける社会現象とダブるのだ。
だが、若い世代は、小さな敵を相手に持て余すエネルギーを無駄遣いしているのだ。

ストーンバンクスの要塞に入るには、老兵らは肉弾戦でこれに侵入するしか手がなかったはずだが、若手のコンピューター遣いのソーンが見事事前に要塞のインテリジェント機能を無化、ロスらを無傷で侵入させ、ストーンバンクスの生け捕りに一時は成功するのだが。

それにしても、インディ・ジョーンズの老けたこと。
シュワちゃんもそうだが、最近では、昔現役でバリバリとアクション映画に身体を張って人気を得ていた俳優たちも、今ではご老体である。
エクスペンダブルズ3、1しかし老人ホームに入るにはまだまだ惜しいきがするので、身体機能がまだまだ衰えない人たちの、動きを見ているだけでも気持ちがいいもんです。

スタローンはアクション映画の正統派だ。「ロッキー」から今に至るまで企画力も衰えをみせない。
年配ファンはストーリーそっちのけの連続アクションに、かつてのシリーズを懐かしみながら元気づけられるだろう。
白髪と深いしわの男たちが、若者軍団を圧倒するのは、やはり映画史的な貫録でもある。

ハリウッド・ロートル集合映画として不動の地位を占め続けて欲しいこのシリーズ。次作の出演予想が楽しみだし。ともかくも、ここまでやるか?・・・の連続で言葉がない。
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papikosachimama at 19:12|Permalink

2014年11月21日

誰よりも狙われた男4

誰よりも狙われた男スパイ小説の巨匠ジョン・ル・カレの同名小説を「コントロール」のアントン・コービン監督が映画化。20142月に急逝した名優フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作となった。ホフマンがバッハマンを演じるほか、共演にも「きみに読む物語」のレイチェル・マクアダムス、「グランド・ブダペスト・ホテル」のウィレム・デフォー、「ラッシュ プライドと友情」のダニエル・ブリュールら実力派キャストが集結。

あらすじ:ドイツのハンブルグは、9.11テロの実行犯たちが根城にしていたとも言われ、現代世界の政治地図の上で象徴的な意味を持つ街でもある。その街を舞台に、ドイツの対策チームを率いるバッハマンは、港に密入国した青年に目を付ける。イスラム過激派として国際指名手配されているイッサは、人権団体の女性弁護士アナベルを仲介してイギリス人銀行家ブルーと接触。ブルーが経営する銀行に、とある秘密口座が存在しているという。

ドイツ諜報界やCIAがイッサ逮捕に向けて動きだすなか、バッハマンはイッサをわざと泳がせることで、テロへの資金援助に関わる大物を狙うが……。

イッサがイスラム系のテロリストと接触することを恐れた憲法擁護庁の支局長であるモアは、即刻逮捕に乗り出す。それを止めるためバッハマンはCIAに協力を仰ぐのだ。

しかし、バッハマンがイッサの遺産を利用してマークしていたのは、イスラム系の慈善事業家であるアブドゥラ博士をおびき寄せること。そして、テロリストへの資金提供先を探し出すことに成功するも、任務遂行まであとわずかというところで、事態は急変する。何故にホフマンがタクシーの運転手になり、アブドゥラ博士を乗せて何処へ行こうとしたのか。最後が苦労してやっと捕まえた獲物をCIAに横取りされてしまうとは、口惜しいに違いない。

誰よりも、2<感想>原作者のジョン・ル・カレが制作総指揮にも名を連ねている。201422日にニューヨークの自宅で不慮の事故で亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンをまだ映画で観られるのは嬉しいのだが、やはり寂しくもある。

とりわけ本作では、始終動いているので。

そんな彼が最期に主演した本作では、組織との軋轢にも屈せず己の信念のためなら、非情に徹するスパイチームを率いる孤高の男を人間臭く哀愁たっぷりに始終抑えた演技に徹しているのだ。

太い指にタバコをはさみ、巨体をかがめてせわしなく鼻息を立てながらスマホをいじり、コーヒーカップを両手で抱え込むように啜る姿に、そこ儚いペーソスと、時としてホフマンの表情とたたずまいによって伝えられる。それに、気になったのが、寒々とした自室でピアノを弾く姿に、私生活の唯一の描写が覗けるのが嬉しい。

誰よりも、4レイチェル・マクアダムス、ウィレム・デフォー、ロビン・ライトと、配役がすこぶるいいのだ。スパイ映画として見れば、軽く失望してしまう。敵味方、正体不明者が絡み合い、山場に雪崩込むような構成ではなく、観客と予測のゲームをする手練手管が足らないのだ。

しかし、視点が並列に並ぶような緩い構成であることで、感情移入する対象が局面で移り変わるのだ。最初はシーモア・ホフマンに追われるグレゴリー・ドブリギンに共感してしまうのだが、ホフマンの過去の失敗やあせりが見えてくると、観ている方の意識が反転していくのだ。

張り込み中の夜、ターゲットの目を避けるように、同僚の女性とキスを交わすシーモア・ホフマン。ただのカモフラージュなのか、あるいはそれ以外の感情があるのか。改装中のアパートで、鍵を渡す女性弁護士の手を、受け取る青年の手が包むように触れるシーン。何となく艶めかしく感じた。

彼らの関係はこれ以上でもこれ以下でもない。なのにいろいろと鈍感さも含めて感情の機微が雄弁に伝わってくるのだ。

アントン・コービン監督の手腕たるや恐るべし。どんよりとした冷たいハンブルグの街並みにやるせなさが募る。

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papikosachimama at 10:49|Permalink

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札5

グレースニコール・キッドマンがハリウッド・スターからモナコ公妃となった伝説の美女グレース・ケリーを演じる伝記ドラマ。モナコ公妃としての生活に馴染めず苦悩を深めるグレース・ケリーの心の葛藤と、夫レーニエ公とフランス大統領シャルル・ド・ゴールとの政治的対立をめぐる国家の危機に際し、彼女がいかなる選択をしたか、その知られざる秘話を描く。共演はティム・ロス、パス・ベガ、フランク・ランジェラ。監督は「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」のオリヴィエ・ダアン。

あらすじ:1956年、人気絶頂の中、26歳という若さで突然ハリウッドから引退し、モナコ大公レーニエ3世の妻、モナコ公妃となる道を選んだグレース・ケリー。その“世紀の結婚”から6年。二子に恵まれながらも、彼女はいまだに宮中のしきたりに馴染めず、孤立感を募らせる息苦しい毎日を送っていた。

そんな時、ヒッチコック監督から次回作「マーニー」のヒロイン役を直々にオファーされ、心ゆれるグレース。ところが折しも、モナコが国家存亡の危機に直面してしまう。

おりしも、アルジェリア独立戦争で戦費が必要になったフランスが、無税のモナコに移転した仏企業から税金を徴収し、フランスのド・ゴール大統領がモナコに過酷な課税を強要し、一触即発の緊張状態に陥ってしまったのだ。

これを拒めば軍隊もない小国モナコはフランス領にされてしまう。政治で頭がいっぱいのレーニエ大公に、グレースは女優復帰の話を持ちかけると、自己責任においてと認められたものの、この極秘情報は宮殿から漏れてしまう。

それに、グレースの相談役であるタッカー神父は宮中にフランスのスパイがいると睨む。グレースへの風当たりが強まる中、ド・ゴール大統領はさらにモナコ企業へも課税し、フランスに収めるよう要求するのである。

レーニエ大公は欧州諸国代表に軍事支援を募るサミットを開くのだが、その最中にド・ゴール大統領暗殺未遂事件が勃発し、失敗に終わってしまう。大国フランスを相手にやがて万策尽きるレーニエ。そんな夫を支え、愛する家族と国家を守るため、グレースはある覚悟を胸に行動を開始する。

グレース、1<感想>ハリウッドの輝ける大スターだったグレース・ケリーが、モナコ公妃になったのは、単に映画界だけでなく世界中の驚きだった。この映画は、そのお話をニコール・キッドマン主演で、いわば正式な史実として描いている。

かなり肩肘張ったお話であり、演出もその線でグレース・ケリー本人が、持っていた柔らかな優雅さといったものはうかがえなかった。

それでも、レーニエ大公のティム・ロスや、タッカー神父のフランク・ランジェラなど、よいキャスティングだと思うのだが、それらも活かしきれていないように感じられました。

グレース対レーニエ公の構図が、グレース対ド・ゴールへと。その対立の裏側に、ハリウッドのヒッチコックという三角関係として、かなりのフィクションを交えて作られた世界自体は面白い。

ただし、小国モナコがフランスの圧力にふうぜんの灯状態になるとは。その原因をもたらした内通者は誰か?・・・をめぐるサスペンスに於いては、宮廷のグレースの取り巻きの人間関係をきめ細かく描いておくべきですね。

グレース、5ヒッチコックからのオファーで女優復帰へのヤシンを見せるグレース。公妃の立場を背負う覚悟を決める前の亜kの序を象徴するこの出来事は、ヒッチコックとの架空の対面シーンまで作って描かれている。

ところが、演じたニコール・キッドマンのグレースは、最初からパーフェクトン演技で、異国の王室への嫁入り修行に苦労するシーンでさえ、完璧に美しいのだから。さすがにオスカー女優だけある。

宮殿をステージのようにとらえたエリック・ゴ−ティエの華麗なる映像もその効果を強めている。身の回りの全てを舞台にしてしまう女優の性は、国よりも家族よりも勝るようですね。とても美しい宮廷での舞踏会に見惚れてしまいました。

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2014年11月13日

蜩ノ記4

ひぐらしのき、タイトル直木賞作家の葉室麟のベストセラー小説を、『雨あがる』『博士の愛した数式』の小泉堯史監督が映画化した人間ドラマ。無実の罪で3年後に切腹を控える武士の監視を命じられた青年武士が、その崇高な生きざまを知り成長していく姿を師弟の絆や家族愛、夫婦愛を交えて描き出す。過酷な運命を背負いながらもりんとした主人公に役所広司、その監視役の青年には『SP』シリーズの岡田准一。そのほか連続テレビ小説「梅ちゃん先生」の堀北真希や、ベテラン原田美枝子が共演を果たす。

あらすじ:7年前に前例のない事件を起こした戸田秋谷(役所広司)は、藩の歴史をまとめる家譜の編さんを命じられていた。3年後に決められた切腹までの監視役の命を受けた檀野庄三郎(岡田准一)は、秋谷一家と共に生活するうち、家譜作りに励む秋谷に胸を打たれる。秋谷の人格者ぶりを知り、事件の真相を探り始めた庄三郎は、やがて藩政を大きく揺るがしかねない秘密を知るが……。

<感想>役所広司さん演じる本作の主人公は、まさに聖典の教えを体現したような人物で、お家騒動が話の発端で、それに巻き込まれた藩士が事件を幕府から隠すために切腹を受け入れる。藩のために死ぬとはいえ、主君との対面シーンで短いながら情緒たっぷりに強調されるように、彼の言動を支えているのは、主君への心情にほかならない。
切腹を命じられた主人公が反逆者のわけはなく、自己犠牲の人であることは明らかで、それを演じているのが役所さんですから。彼の監視役に岡田くんが、実はスパイを期待されていることが判明する辺りから面白くなります。
ミステリーの要素が効いていて、切腹と藩内政治の陰謀と書かれつつある藩史が、やがては結びつくという仕掛けになっている。
ですが、御用商人の乱暴狼藉が型どおりで、とても気分が悪くなりこのような物語の展開になってしまうのが残念でなりません。
ひぐらしの記この時代では、世継ぎのお家騒動が多かったようで、我が仙台藩でも仙台萩という伊達騒動があったそうな。世継ぎの子を毒入り饅頭で殺してしまおうとする者たちに、その毒入り饅頭を、乳母の息子に先に毒見させて死なせてしまう哀しいお話は、歌舞伎でも有名です。
社会の建前がいよいよもって危ないのを感じるからだろうか「義を見てせざるは勇無きなり」なんて言う、お題目がどうにも沁みこんでしまう。
これは本当にヤバイですから、慎ましい生き方や、それを構成する美しい所作に見惚れてしまいます。歴史を紡ぐことの重さとか、この映画を観てつくづく説得力があると思います。しかし、この理想とされる武士道に惹かれつつ思うのだが、お家のためとか、国家のためとか、やっぱり我々現代に生きる者にとっては厳しいですよね。
昔だったら、さしずめ文部省推薦映画にでもなっていただろうに。道徳教育が求められるご時世には、格好の教材であると思うのですが、どうでしょうか、現代の人間には理解できるのでしょうか。
ひぐらしのき、1藩と家臣といった制度的な関係を描くのではなく、あくまで個人の心根を謳い上げているのだ。それが藩主に対する家臣の思慕であるがゆえに、結果的には、たとえば恋人を救うために命を賭ける男女の話などにはならず、忠義のために死ぬという制度的な問題へとなっているようだ。

主人公は十年後の切腹を受け入れ、その間に藩史を完成させることを命じられる。それから七年経ったと言う設定なのだが、役所さん演じるもっともらしい表情に、その歳月は感じられない。この場合も、時の経過と無縁なのだと思えてくる。

お家騒動=政治的事件に殉じた彼は、政治と一体化して生身の人間ではないのである。原田美枝子と堀北真希によるの妻子はもとより、彼を監視にきた青年、岡田准一までもが感化され、治国の道を歩むということになります。

とてもいい作品だと思う。一番良かったのがタイトルかもしれませんね。次に良かったのが、美術。それに、女たちの手仕事が物語に結びつかないのが残念です。

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2014年11月12日

泣く男4

泣く男『アジョシ』などのイ・ジョンボム監督が、『ブラザーフッド』などの韓国を代表するスター、チャン・ドンゴンを主演に迎えた衝撃のアクションドラマ。クールな殺し屋が少女の命を奪ったことをきっかけに、次第に人間的な感情に目覚めていく悲痛な葛藤を本格的アクションと共に描き切る。『恋愛の温度』などのキム・ミニが、殺された少女の母親を熱演。孤独な主人公が贖罪(しょくざい)のために選んだ壮絶な死闘はもとより、彼の揺れ動く感情が胸を締め付ける。

あらすじ:悲しい過去を持つゴン(チャン・ドンゴン)は、中国系マフィアの殺し屋として暗躍していた。すご腕のプロとして名をはせた彼だったが、ある晩、任務遂行中に無関係の幼い少女ユミ(カン・ジウ)の命を奪うという大きなミスを犯す。彼は取り返しのつかないことをしたと行方をくらますが……。

<感想>2010年に韓国全土にアジョシ・シンドロームを巻き起こした、イ・ジョンボム監督作品の第2弾。「アジョシ」のラストで監督は、少女を救うためなら冷徹な殺人マシーンと化した、ウォンビンに劇中で初めての涙を流させた。

そして、「アジョシ」から4年を経ての本作では、タイトルもズバリ「泣く男」である。

前作では、本来ならば出会うことのない者たちが偶然出会い、特殊な形ながら徐々に互いに理解し交流を持った末、何らかの思いを込めて主人公が涙を流す話でした。ですが、結局は今回もまた同じような話になっているようです。

泣く男、2主人公の殺し屋ゴン(チャン・ドンゴ)が抱えた業とは、前作の比ではない。過去のトラウマと自責の念が複雑に絡んだ内面を持つ、あまりに哀しい男なのである。

本来ならば出会うことのない2人とは、幼い頃にアメリカへ渡った後、母親に捨てられ殺し屋になるしか生きる道がなかったゴンと、幼い娘を亡くした母親のモギュンです。

そんな別世界で生きてきた2人が接点を持ったのは、ゴンが殺しの依頼を遂行する中で、偶然居合わせたモギュンの一人娘を自分が射殺してしまったこと。

その後、ゴンには母親であるモギュンも葬れとの命令が下されるのですが、彼女を追う途中で、子供を亡くした母親の心情がどんなものなのかを目の当たりにして、封印したはずの自分の母に関する辛い記憶を甦らせていくのです。

ある意味、これも相手を理解し交流を持つことと言えるのかもしれないが、そう言ってしまうには、あまりに悲壮感に満ちた関係と言えるのではないかと思うのです。

ゴンが、親として子供を亡くすことはどういうことなのか、理屈ではなく理解している様子なので、子供を失う哀しみ、そしてその命を奪うのが自分であるということの、後戻りできない悔根の念を、彼は予想以上に理解し感情移入してしまったのかと。だから、電話でモギュンに、「扉を開けて来る男は娘の命を奪った犯人だと、すかさず撃て」と言い放つって自分がその標的になるという。

人生に絶望した殺し屋ゴンが、死に場所を探し求める男の破れかぶれの選択なのか、それとも贖罪を果たすためなのか。決してヒーローではない傷だらけの哀しき男が行き着くラスト・シーンには、タイトルにぴったりの真実が刻み込まれていました。


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2014年10月30日

荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜4

荒野はつらいよ、タイトル世界的大ヒットコメディー『テッド』で注目を浴びたセス・マクファーレン監督が放つ異色ウエスタン。無法者がのさばる西部開拓時代の田舎町を舞台に、さえないオタクの羊飼いが謎めいた美女と恋に落ちたばかりに、西部きっての極悪人から命を狙われるさまを描く。
スゴ腕ガンマンが主人公という西部劇の常識を覆し、銃すら撃てないヘッポコ男の主人公をマクファーレン監督自ら演じるほか、オスカー女優シャーリーズ・セロン、『
96時間』シリーズなどのリーアム・ニーソンら豪華キャストが共演。

あらすじ1882年アリゾナ、パッとしない羊飼いのアルバート(セス・マクファーレン)は無法者がはびこる西部の町を嫌い、オタク友達とグチる毎日を過ごしていた。
射撃経験すらない彼は決闘からも逃げ出すありさまで、ガールフレンドのルイーズ(アマンダ・セイフライド)は嫌気が差し、彼のもとから去ってしまう。そんなある日、抜群の射撃センスを持つ美女アンナ(シャーリーズ・セロン)と出会い恋に落ちるが、同じころ西部一の大悪党クリンチ(リーアム・ニーソン)が町に現れ……。

荒野はつらいよ、9<感想>前作「テッド」で5億ドルを稼いだセス・マクファーレン監督の、オレの時代が来た的なノリで、とにかくやりたいことをやりまくった一本です。ですが、下ネタもここまでくれば清清しいと言っていいのだか、分からなくなりますからね、ホント!

俳優たちもその勢いにのるかのようで、大御所のリーアム・ニーソンが西部一の大悪党クリンチを演じて、喜んで半ケツに花を押し込んでいるのだ。このシーンはもしかして、吹き替えかもしれませんがね。

不潔で無法なアメリカ開拓期が実感として迫り、アメリカの歴史を再考させる深さも感じられます。
荒野はつらいよ、3だが、しかし、やはりコメディの部分は原語で理解できれば、という残念な気持ちに陥るのです。

それから、酷いウ○チネタの苦手な人は、観ない方がいいです。非情に下劣極まりないですからね。

ですが、見どころは、ジェーン・ラッセルの代わりにシャーリーズ・セロンが、鉄火の女を演じて、抜群の射撃センスを持つ美女アンナにハマリ役でした。

1880年代のアメリカ西部なんて最低だという視点で作られた喜劇だからして、決闘の場面では、監督主演のセス・マクファーレンが、「まず、話し合おうじゃないか」などと言うので、正統派西部劇を愛する者には腹正しいかもしれない。
荒野はつらいよ、4どうみても、腰抜けの羊飼いのアルバートの方が不利で、拳銃の腕はからっきしなので。そこで、シャーリーズ姉さんが登場して、酒場で決闘相手に下剤を入れた酒を飲ませてしまう。

まぁ、一番酷いのがアルバートが付きあっていたルイーズことアマンダ・セイフライドなんですがね。

全編、バッド・テイストを楽しむ映画で、スタッフだけが面白がっているところもあるが、シャーリーズ姉さんが登場してくると、俄然に引き締まるから凄い。
だてにオスカー女優じゃありませんから。彼女のファンになること請け合いですぞ。

終盤のチェイスシーンに、この監督は、下ネタ御法度でも十分にブロックバスターを撮れると思いました。


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papikosachimama at 11:58|Permalink

2014年10月29日

ぶどうのなみだ2

ぶどうのなみだ「しあわせのパン」の三島有紀子監督と主演の大泉洋が再び北海道を舞台に贈るドラマ。父が遺した小さなワイナリーを継いだ兄弟とそこに現われた謎の女性が織り成す不思議な交流の行方を綴る。共演は「WOOD JOB!(ウッジョブ)〜神去なあなあ日常〜」の染谷将太とシンガーソングライターで演技初挑戦の安藤裕子。

あらすじ:北海道・空知。父が遺した葡萄畑と小麦畑を継ぎ、静かな暮らしを送る兄弟のアオとロク。弟ロクが小麦畑の手入れに精を出すかたわら、兄のアオはワイン作りに励む日々。
“黒いダイヤ”とも呼ばれる葡萄ピノ・ノワールの醸造を繰り返すも、なかなか理想のワインには到達できずに苦しんでいた。
そんなある日、キャンピングカーに乗った女性エリカがいきなり現われたかと思うと、畑のすぐそばで穴を掘り始める。しかも、その不思議な魅力で町の人々とすぐに打ち解けてしまうエリカ。そんな謎の闖入者に警戒感を募らせるアオだったが…。

ぶどうのなみだ、7<感想>すこぶる健康なファンタジーになっていた。北海道は空知の大地で、兄はワイン用の葡萄作りに精根をかたむけ、弟はというと、父親が遺してくれた小麦作りに精を出している。

そこへ、ある日のこと、キャンピングカーに乗った女性がやってくる。
そして、突如アナを掘り始めるのだ。
あることが原因で弟にも心を開かない兄と、ナイーブな弟と、謎の女性の三者の関係が、葡萄や小麦作りと絡んで変化し、兄や女性の過去も明らかになるという物語の展開に文句はないのだが、誰かの言葉や行動を見る誰かの表情に、頼り過ぎた表現が気になってしまう。


突発性難聴で音楽を諦めた元指揮者の若者が、故郷でワインを作る。普通にいい話なのである。それなのに、妙にヘンな押話ばかりで正直いって、作者が何を考えているのか分かりづらかった。

ぶどうのなみだ、3最初に書いた物語を、意図的に隠して進むのだが、それが逆効果になってしまっているようだ。コンセプトは明晰にするべきで、特に良くないのが、ふらっと現れ、ダウジングで自分のお宝の在り処を見つけて、勝手に他人の畑の横に穴を掘る女。ここはあんたの土地じゃないのだから、掘るのは私の自由だって理屈あんおだが、その理屈は本当に正しいのだろうか。

警察も、郵便やも床屋も、弟までみんなその女の魅力に惹かれて虜になってしまう。さすがに、料理上手で客のもてなしが上手いのだ。

セットや食材や、衣装などから選び抜かれた上質さは、すこぶる上等なのだが、いかんせんドラマが薄すぎるので、北海道のワインのPRの映画のように見えてしまう。実際にそうなのだろう。

出演している人たちも、大泉洋、染谷将太など私の大好きな俳優たちばかりなので、なおさらに惜しい。葡萄の収穫や、ワインの製造工程も、手間ヒマかけてそうなわりには、雰囲気に流れてて、画で説得してくれないのが不満。

象徴的だったのが、ラストの雨、穴を掘ったところへ雨水が流れ込み、せっかく見つけたアンモナイトが、水に埋もれてしまう。それを見て、大泉洋がビニールテントを持って来たり、土嚢を積み上げたりして助け舟をしてくれる。そんなこんなで、いがみ合っていた二人の仲が急接近して、ここまでとってつけたような雨の降らせ方はどうかと思う。


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papikosachimama at 19:10|Permalink