2015年DVD鑑賞作品

2015年05月25日

レッド・ファミリー4

レッド・ファミリー『アリラン』『嘆きのピエタ』などの鬼才キム・ギドクが、脚本、編集、エグゼクティブプロデューサーを務めた異色のドラマ。家族を装って韓国に潜入する北朝鮮の工作員たちが、次第に階級の壁を乗り越えて奇妙な絆で結ばれていくさまを追う。監督を務めるのは、本作が初の長編作となるイ・ジュヒョン。『人形霊』などのキム・ユミ、『大韓民国1%』などのソン・ビョンホら実力派俳優が共演。
ハートウオーミングかつスリリングな物語の中に、南北分断の現状も垣間見える作品。

あらすじ:誰もがうらやむ理想の家族を絵に描いたような一家。だがその正体は、母国からの密命を遂行するために韓国に潜入している北朝鮮の工作員チーム、サザンカ班だった。表では仲むつまじい4人家族だが、玄関のドアを閉めると階級を重んじ、母国の命令を順守するスパイ集団となる。何かと押し掛けてくる隣人一家を資本主義の隷属者と見下しながらも彼らに憧れを抱き、互いの階級を忘れて家族的な絆を育むようになる4人。そんな中、メンバーの一人が母国に残した妻子が脱北に失敗したとわかり……。

レッドファミリー、2<感想>雑な2時間ドラマみたいに、棒立ちのまま台詞をやり取りしているだけのシーンがやたらに多いと感じた。それは、北朝鮮の諜報部員が、自分たちの正体に関わる会話を周りに聞こえないような状況で、会話していることを好意的に解釈すれば、これがリアリズムを志向していないコメディ映画を目指しているからなのだろう。

喧嘩の絶えない南の家族(韓国側)も、偽の家族を形成する北の工作員たちも、その出会いいから展開される物語も、そういうものだろうと見ている者が思い描くイメージの域を出ることはないようだ。

冒頭での韓国の軍事施設の近くにあるレストランで、家族がウナギを食べるシーンから始まる。その店の下では、その家族が国境をバックに写真を撮っているのだ。どんなウナギ料理を食べているのか気になったのだが、これが北の工作員たちの偽装家族で、それに後ろ隣の(南)一般市民の一家などが絡み、早口台詞の多種家族間ドラマが展開するのだから面白い。

怒りっぽい人間味が溢れる南の家族。きっちりとしてはいるが人間味の薄い北の家族。彼らが実際の韓国で、北朝鮮同様に、隣り合って暮らす構図からして巧いと思った。国境、国家、思想という大義名分も、愛や情には適わないことを、笑いと涙とスリルで綴る脚本の、キム・ギドクのストーリーテラーぶりに感心しました。

レッドファミリー、1哀しみを芳醇に劇作できる韓国映画界が羨ましい。それにしても、南の家族が喧嘩する声が筒抜けなのだから、北の家族の叱責する怒鳴った声や、ビンタの打音も絶対に外に漏れて聞こえているはず。

南の家族の口げんかさえも「理想的な」、北の一家にとっては理想へと変わるのだ。ちょっとくだらないケンカの内容なのだが、北の国が目指すモノが一体何なのか?・・・問われます。普通の暮らしがしたい。しかし答えはない。

結局は裏切りは処刑されるのがオチで、助かった娘が最後に出てくる。まだ、北の工作員として働いているのだろう。

この映画の中では、可笑しいことと哀しいことが同時に描かれる。限りなく家族に近い生活をさせられながら、偽の家族であり続けることを強要されているのだから、自然と対立と葛藤が生まれてくるのだ。その描き方が実に面白かった。例えば南のダメ妻が、闇金融の取り立てに困っているところへ、北の一家にかかれば暴利な利息も交渉可能だし、急所を押えられたヤクザたちは慌てて逃げ出してしまう。

南の家への垣根を越えてしまった彼らは、監視をしている仲間にとっては、資本主義に毒された証拠である。北で鍛えられた能力を無駄使いしてしまった代償は大きい。だから、北に住んでいる家族の安否を餌に、残酷な選択を突きつけるのだ。偽の家族に一切の自由はないのだから。
よかったら押して下さいね 〜"http://ranking.kuruten.jp/rankin.php" くる天 人気ブログランキング



papikosachimama at 11:58|Permalink