ジブリ
2010年07月23日
借りぐらしのアリエッティ
「ポニョ」から早くも2年〜スタジオジブリ2年ぶりの新作は、メアリー・ノートンの児童文学「床下の小人たち」を原案にした心温まるファンタジー。企画・脚本は宮崎駿。本作の監督を務めたのはこれが初監督作品となるスタジオジブリの新鋭・米林宏昌。
物語:舞台は現代の日本。大きな庭のある古い屋敷に、12歳の少年、翔が病気療養のためにやってくる。その床下には、14歳になる小人の少女アリエッティが父と母と3人で暮らしていた。
小人たちは魔法使いでもなければ妖精でもない。生活に必要なものはすべて人間の家から借りて暮らしている。彼らの起きては、決して人間に見つかってはならないこと。
ところが翔がやってきたその日、アリエッティは翔に姿を見られてしまう。限られたものの中で、生活の知恵や工夫を働かせながら慎ましく生きる小人たち。
人間に姿を見られたからには、引っ越さないといけない。掟と好奇心の間でアリエッティの心は大きく揺れるのだった…。
アリエッティの声優を務めるのはアニメ映画初参加となる志田未来。翔役には「千と千尋の神隠し」などジブリ作品常連の神木隆之介。さらにアリエッティの母親には、大竹しのぶ、父親に三浦友和、翔のお祖母さんの妹には竹下景子、そして屋敷のお手伝いさんに樹木希林さんなど豪華キャストが脇を固めている。(作品資料より)注意:ネタバレ!
<感想>もう温かみのある絵を見るだけでワクワクしちゃう、さすがジブリ★〜原作は、宮崎駿氏が40年以上も前に読んで、その記憶が鮮明に残っていたというイギリスの児童文学「床下の小人たち」だ。
手書きで描いたお屋敷の広大な庭、庭師が手入れをしていない荒れた草ぼうぼうの庭。何だか私の実家の庭に似ているような、そんな美的センスが見ている私を和ませてくれる。
物語は、ファンタジーがいっぱいのアニメ好き!、ジブリ好き!にはたまらない設定なんです。借りぐらしの小人たちは、人間には絶対に見つかってはいけないのに、アリエッティがその家に病気療養にきた少年に見つかってしまうところから始まります。
そのことを床下の家に帰り、両親に話します。すると父親がしばらく様子をみようといい、その夜父親が狩りに出かけるのに付いて行くことに。それは、10センチ足らずの小人にとっては大冒険、もしかして命にかかわる危険がいっぱいなんです。
父親が慣れた手つきで、お手製の滑車(糸巻きに重い石を縛りつけた)をつたって上へ昇り、壁に開けた穴から大きな屋敷の台所へと移動します。食器戸棚から下を見るとそれは人間がビルの10階から覗いた気分です。高所恐怖症には足がすくんでしまいますから(笑)
それは山登りをするように、釣り針のようなフックが付いているロープを使ったり、手足に両面テープを貼り上っていく父親の勇敢さには拍手を送りたくなります。それに時計のチクタクが大音量に聴こえて怖いですね。
お目当てはお母さんから頼まれた氷砂糖、でも彼女たちにはそれはとても大きく父親との連係プレイで見事にキャッチするのですが、もう一つのテッシュが問題なんですね。
それを取りに入った翔の寝室。テッシュボックスの大きさは二人の背丈ほどあるんです。父親とアリエッティが二人で両端を持って引っ張らないと取れないんです。悪戦苦闘しているところへ、翔が目を覚ましアリエッティを見つけたのです。
大慌てで床下の家へ帰る二人、大きな角砂糖も、翔と目が合った時に袋からこぼれて落としてしまい、この夜は何も収穫がありませんでした。
ですが、出かける途中でアリエッティが見つけた丸いポッチの付いた鋭い針(マチ針)を、敵が攻撃してきたときに使えると脇に差して持ち帰ったのを母親に得意げに見せるのが可愛いいですね。自分の身を守るという勇敢さに感心させられました。
おばさんの家に古くからあるイギリス製の“ドールハウス“は立派ですね。わたしもこんなドールハウスが欲しかった。でも私の娘たちには、リカちゃん人形のハウス、キッチン(ホットケーキが焼ける電気式)や洋服ダンスには洋服も揃えて、娘たちが楽しそうに遊んでいる姿を見てご満悦の私(笑)子供たちの幼いころのそんな思い出が目に浮かびます。
小さな体のアリエッティは、外へ出れば屋敷に飼われているデブ猫や、カラス、ネズミ、それに大雨など危険がいっぱい。それと一番脅威なのはお手伝いさんのハルさん、床下に小人が住んでいて家からいろんな物を盗んで行く泥棒がいると、ネズミ捕り駆除の会社に電話するんですからね、ハルさんの声に樹木希林さんがこの方は実に上手いですね。でも勇敢にも挑んでクリアしていくアリエッティに応援したくなります。
危険ではないものもあります、団子虫とかテントウムシ、翔がアリエッティのために縁の下のところへ置いてくれた角砂糖に群がる蟻たちとかは、友達感覚なんでしょうね。蟻たちが食べて変形した角砂糖の下に手紙が置いてありました。それには「わすれもの」と書いてあったのです。アリエッティは字が読めるんだね、これは罠かもしれないと返しにいくのですから。
2階にある翔の部屋へ、蔦の葉っぱを伝って登っていくと、大きなカラスが彼女に襲いかかります。翔が気づいて助けてくれるのも嬉しいですね。それに部屋にあった立派なドールハウスの中へ隠れるアリエッティ。その中でおばさんもお気にいりのオーブンが使えるキッチンの部屋を床下にプレゼントするんですね。ところが、これが禍の元となって母親がハルさんに見つかり捕えられてしまうのです。
アリエッティは、ハルさんに見つかってしまった母親を助けに翔に頼みに行きます。翔の助けで無事母親を救出できホット安心。でもこんなに危険がいっぱいでは、やはり引っ越ししなければならなくなり、父親が外へ狩りに出かけて怪我をし、一緒に連れてきた少年スピラー(インデアンみたいに狩りをしてるまるで戦士のよう)が、自分たちと同じ小人族がまだいると教えてくれた。そこへ引っ越すのだ。
屋敷の少年翔の病気は心臓病で、手術をしても余命いく日か分らないという。両親は離婚して母親も一緒に来ていないし、寂しく心細い。だからなのか未来に希望もなく、アリエッティに酷いことを言う。俺たち人間は全世界で27億人、「君たち家族は何人?・・・滅びゆく種族なんだね」と現実の残酷さを教えるシーンだ。人間たちから必要な物を借りて暮らしている小人たち、小さな命も人間の脅威には敵わないことを。
だがアリエッティは強い口調で答える「私たちは滅びたりしない、家族だっているし、きっと仲間もたくさんいるのだから」と、小人たちのたくましさを羨ましくもあり敬意さえ覚えます。
アリエッティたちの引っ越しも大変、夜に広大な庭を通り、庭石も崖のように高くよじ登るのに苦労する。あずまやで一休みするとまた歩く、背中に担いだ大きな袋には食糧とか食器、洋服に日用品がたくさん詰まっている。暫くすると小川があり少年のスピラーが待っていた。小舟はやかんである。
屋敷の飼い猫も恐怖でありましたが、翔に懐いていて猫も利口でアリエッティたちを襲わない。少年を起こして連れてきたのだ。見送りに来てくれて翔を見つけ駆け寄ると、手には角砂糖が乗っていた。そして、手術をして生きる勇気をもらったと嬉しそうにほほ笑む翔!
最後には涙もろくなっている私には、もう画面が霞んでしまってアリエッティたちに元気で生きて行くのよって、声を張り上げて叫びたかった。
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