日々是吉日:美術館

November 30, 2007

ムンクって何だか不安になりませんか?

国立西洋美術館で開催中の「ムンク展」を夫と二人で見に行ってきた。どうも夫はムンクが気になっているらしい。やはりムンクと言えば「叫び」が有名だけど、「叫び」は来ていないが、同じ「生のフリーズ」の中の「不安」(左のカタログの絵)や「絶望」が出展されている。彼は同じテーマやモチーフで複数を絵を描き、それを室内装飾や壁画として、並べ替えるで概念を表現しようとしたらしい。

しかし変わった画家である。
絵の中には「豊穣」と言うタイトルの絵もあるが、何だか豊かさより不安な感じを与えるのは色彩のせいか。画家であれば習作や連作で同じモチーフを何度も描くのはよくあることだと思うが、この人の絵の中には「それは一体何を言いたいのか」その心理を追求してみたくなる不思議な何かがある。

考えながら見るから絵の数の割りにすっごい体力が要る展示だった。こっちまで不安なようなダークな気分になってくるような。面白い展示だったけど見終わった後は館内の椅子でちょっとぐったり。…考えすぎ?

November 09, 2007

ベルト・モリゾ展

会社帰りの美術館なんて実に久しぶりではなかろうか。しかも西新宿は損保ジャパン東郷青児美術館は本当に本当に久しぶりである。なんたって確か前回行った時は損保ジャパンじゃなかった気がする。金融機関の名前の変遷には着いて行けないよ。

「特別展 美しき女性印象派画家 ベルト・モリゾ展」

左の絵は正しくは彼女の絵ではなく、彼女の師であるマネによる彼女の肖像画だが、今年のオルセー展で上野にやってきて、テレビで特集も組まれていたので、こちらを思い出す方も多いかも知れない。
コローに師事し、その後マネに出会って感銘を受け、モネやルノアールとも親交を深めながら印象派展に精力的に出品し続けた女流画家。マネの弟ウジェーヌと結婚し、娘ジュリーを生んで以来、娘の絵も多く手がけている。

私は彼女の絵が結構好きだ。印象派の中では一番好きかもしれない。タッチの柔らかさと雑さのバランスや色合いが一番好きなのかも。
評論家はよく「女性ならではの柔らかい繊細なタッチ」と評するが、タッチの優しさならシスレーやルノアールの方が断然柔らかいし繊細だと思う。男性でも繊細な人もいれば、女性でも大胆な人はいる。彼女は結構ガシガシ流れるように描いてる時もあるように思う。
彼女の絵に敢えて「女性らしさ」を求めるならば、娘を見る同性の視線だろうか。男性画家にとって娘とはただひたすら愛らしいものかもしれないが、女性である彼女にとって娘は幼くとも同じ一人の女。ジュリーとの絵には何か会話があるような気がする。まあ、勝手な思い込みかも知れませんがね。

今回の特別展は「個人蔵」と言う絵が本当に多い。こんなの本当に家に飾ってる人がいるんですねえ。驚き。昔から続いている美術館だから、そう言うコネクションも強いのかも。
印象派と言うと油彩だが、今回水彩やパステル、ドライポイントの小品も結構展示されているが、水彩は予想外に素敵で、絵葉書を買ってきた。さて、誰に送ろうか…。

最後にお約束のゴッホ、セザンヌ、ゴーギャンにご挨拶。美術館の後大学の友人と食事の約束をしていたので、駆け足の鑑賞だったが、いい気分転換になった。特別展は11月25日まで。金曜日は夜間展示もやっているので、興味のある方は是非。

August 31, 2007

トプカピ宮殿の至宝展

イスタンプール
花の金曜日、気分の重〜い婦人科受診。せっかく会社を休みにしたのに朝から何にもする気がない…うぅ。
結局午後から病院直行することにして、予約の時間よりかなり早く病院最寄の駅を降りたところで、看護婦さんから電話がかかってきた。
「前の治療がかなり時間がかかっているので、予約の時間より大分遅れそうなんです。申し訳ないのですが、何処か他に行くところがあったら少し時間をつぶしてきていただけると…」

それで「よし!気分転換」と反対側の電車に乗って一路上野へ。東京都美術館の「トプカピ宮殿の至宝展」を見に行くことにした。

色んな国に行ったし、色んな美術館や美術展を訪れる機会があった。どの文化も素晴らしいけど、実は私はイスラム美術と言うのは世界で一番美しいんじゃないかと思っている。金や宝石の豪華な装飾はどの文化にもあるけど、更に七宝、彫金、中国的な青絵の焼き物、螺鈿、あらゆる美しいものがここにはある。そして何より繊細な細工がため息が出るほど美しい。
イスタンブールはまだ行ったことが無いが、絶対行ってみたい都市のひとつ。アジアとヨーロッパを結ぶ東西の架け橋として栄えてきたが、13世紀以降アジアからヨーロッパ、アフリカに至るまで広大な領域を支配したオスマン王朝の首都がおかれ、専制君主スルタンの私的空間と国政の場を兼ね備えたトプカピ宮殿には、世界中の美女が集まるハレムがおかれ、優美な宮廷文化が生まれたと言う。

あんまり時間の余裕はないので駆け足。曇天で気温も上がらず、上野の森はちょっと秋っぽい雰囲気。夏休み最後の日を満喫したと思しき動物園帰りの親子連れとすれ違う。都美術館前の林の蝉の大合唱を潜り抜け、残り一時間を切った会場に飛び込んだ。
音声ガイド(使わないけど)は終了し、入り口は人もまばら。中にはまだお客さんがいたけど、落ち着いて見られる空き具合。美術館の中は先日のオルセー展とは打って変わって光が絞られている。

その中で見るスルタンやハレムの女性たちの道具の数々は本当に素晴らしかった。ポスターにもどんと写っている巨大エメラルドつきのターバン飾りが広告の全面に押し出ているせいか、はたまたトプカピ宮殿のイメージがそうさせるのか宝石ばっかりかと思っていたら、そうではなく、色んなお道具類があった。
一階は王者スルタンの道具の展示。武器や旗印などが中心だ。おそらくこれだけ立派なものは実戦ではなく儀式などに使ったのでは…と思われるが、本当に細工が細かい。中には中国的な青い文様の焼き物もあれば七宝もある。肖像画類を見ると、オスマン朝はモンゴル起源とあって、何処か中国的と言うか、アジア的と言うか…。
二階からはハレムの衣装や道具類。羽飾りもここにある。感動したのは金糸銀糸入りの細かい刺繍の入った赤いブーツの美しさ。それに水晶に埋め込まれた宝石細工。金に宝石はよく見るが、水晶に埋め込まれた細工はめったに見ない。

駆け足で30分ほどで鑑賞したが、その間別世界に通院の気の重さを全て忘れた。それが美術館の企画展のいいトコロかも。9月24日までなのでもう一度行きたいなぁ。

しかし最近東京都美術館は夜間鑑賞を止めてしまった。平日は17時まで。会社を休まない限り土日に行くしかないが、土日はやはり混んでいる。国立科学博物館や東京国立博物館はやっているのに…。
仕事帰りの美術館は仕事で凝った頭をすっきり別世界にスイッチできる。社会人客のために是非夜間も一日くらい開けておいて欲しいんだけど…。

August 03, 2007

失われた文明、インカ・マヤ・アステカ展。

マチュピチュ
会社を早帰りして「失われた文明 インカ・マヤ・アステカ展」に行って来ました。
思い切って17時半(私にとって驚異的な早帰り)に出るとまだ空が青い!夏ってすごい!と妙に感動
18時過ぎに例の上野の例の改札口でY嬢と待ち合わせて上野の国立科学博物館に向かいました。ここは金曜日は夜間開園をやっています。既に行って来た友達が「結構混んでたよ」と言っていたので心配していたのですが、幸い待ち時間はなく、中は人が結構いるものの、ちょっと待てば展示をじっくり目の前で見られる程度の適度な混み具合。会場は大きく「マヤ」「アステカ」「インカ」の三つのエリアに分かれています。当時の道具などの展示とともに、写真や動画による説明が充実していて全然退屈しません。

入るとマチュピチュを初めとする中南米の文明都市の写真がお出迎え。中央・南アメリカには実に110を超える世界遺産が登録されているそうです。
大河の河岸でもなく、海に開く湾ではなく、密林の中突如現れ、どーんと屹立する石のピラミッドは、他の四大文明とは全然違う独特な印象を受けます。実際地理的な隔たりがあるせいか「文字がない」「弦楽器がない」「家畜がいない」と色んな点で他の文明と異なる点を持っているようです。
最も違うと感じたのは、この地域には戦争によって領土を拡大してきた歴史がないこと。貢納や生贄の獲得を目的とした都市間の抗争はあったものの、領土獲得のための戦争はなかったそうです。だから武器がないし、鉄器がないし、戦勝を祈る遺跡もない。
都市には足で移動できる範囲の人々が自然に集まり、人々は王を中心に太陽や自然の神を信仰して、ただ自然の実りを祈って、密林と共存して生きてきました。
乾季の強い日差しと、雨季の激しい雨や濃い緑。鮮やかな色彩の中ではぐくまれた文化はすごく力強さを感じさせます。

しかし、やがて大西洋を越えて来たスペイン人に文明は破壊されることになります。スペイン人って言うとチャンピオンの顔しか思いつけなかった私は発想があまりに貧困。

今は失われてしまった文明、コントラスの強い中南米の日差しの中に静かに遺されたピラミッドたち。
実際に一目見てみたいもんです。
神よ!俺にはまだ見たいものがある!←このネタは分かる人だけ分かって下さい(^^;)

ちなみに中学生以下は入場無料ですって。お子さんがいる人は夏休みの自由研究を兼ねて子連れで行くのもいいかも。
と言うのも恐竜の化石があることで有名なこちら国立科学博物館は、以前展示のついでに何回か行ったことがあるのですが、大人でも面白いのですよ。で、今日もちょうど帰りに「シアター360」の最終上映をやっていたので、ちょっと寄ってみたんですが、コレが結構すごい。

おおお〜恐竜が〜走ってる〜!

…すっかり童心に返って楽しんでしまいました。

June 02, 2007

会社帰りの青いバラ

トルコききょう
…と言っても左の写真はバラではありませんが…。

またもや金曜の夜の上野、国立科学博物館の「特別展 花 FLOWER 〜太古の花から青いバラまで〜」を見に行ってきた。ちなみに道連れはいつものマドモアゼルY
金曜の夜にも関わらずとにかく人が並んでいるどころかチケット売り場に人っ子一人いやしない(笑)中はさすがに会社帰りの様子の方がぽつぽつと。おかげで花畑をお散歩するような感じでゆっくり見ることが出来る。
ちなみに金曜日はペアで2,000円で入れたらしい。前売券仕入れていくんじゃなかった〜!

中に入るとふんわり花の香り。太古の花の化石からバイオで作り出した花まで、あるいは世界中の珍しい花や植物がコーナー別に並んでいる。香りを体験するコーナーが設けられていたり、色素の説明がされているコーナーがあったり、美しさを愛でると言うよりは、植物観察を実際に体験する…と言う感じ。子どもから大人まで楽しめる。(でも説明は大人向けでかなり漢字も多く科学的なので、小学生高学年向きかな)
でも、そこはお花だからやっぱり癒されるんだな、これが。

ちなみに目玉は「ヒマラヤの青いケシ」と「青いバラ」。こちらは撮影禁止だけど、花展ブログにけっこういい写真や説明が載っているので興味がある方は覗いて見て頂きたい。

もともとバラには青色の花に多く含まれる「デルフィニジン」という成分が無く、交配を重ねても、もともと存在しない青色成分デルフィニジンをバラの中に入れることはできなかった。
青いバラを作るのが困難であることはすでに古代ギリシア・ローマ時代から認識されており、英語では「不可能」の代名詞となっていた。(…ただ英国人マーティン曰く『聞いたことがない』と言ってたけど…)
そこで、交配とは異なる方法 ―― 最先端のバイオテクノロジーの遺伝子組換え技術によって生まれたのが、花展に展示されている青いバラ。いろいろな植物から取得した青色の遺伝子を入れてみても、花は咲いてもデルフィニジンは検出されないという状況が長く続いたが、1996年、パンジーに由来する青色遺伝子を入れたバラからデルフィニジンが検出され、花の色にも変化があらわれたのだそう。


このバラの実物を一度見てみたくって出かけていった訳だけど、青って言うか…紫のバラ?
どうしてもガラスの○面を思い出してしまうのは私だけでしょうか。
でも確かに青みを帯びたバラって見慣れない不思議な感じ。思わずじっと見つめてしまう。ちなみに青いケシは本当に可憐な水色だった。
ちなみに本日の写メはオールドローズみたいなくすんだピンクが美しかったトルコ桔梗。
お土産屋さんが楽しくて、ついミニバラの栽培セット缶を衝動買い。果たして咲かせることは出来るのか?!

なかなかに楽しい科学のお花畑。6月17日まで開催中。近くに行ったら寄って見てくださいネ。

May 26, 2007

ロシア皇帝の至宝展〜世界遺産クレムリンの奇跡

前々から行ってみたかった江戸東京博物館「ロシア皇帝の至宝展〜世界遺産クレムリンの奇跡」
友人H嬢も興味があるということで、二人して行って見ることにした。両国駅を降りるとただ今夏場所中の国技館には青空にたくさんののぼりがはためいていた。浴衣姿のお相撲さんたちも歩いてる。駅から少し歩くと「天下のハコモノ」の奇妙な姿が。都税の無駄遣いと陰口をたたかれるこの博物館だけど、確かに広くて施設はいいんだよね〜…。

で、展示に入ると、出てくる出てくる、モスクワ・クレムリンに伝わるお宝の数々がぎっしり展示されている。
イコン(キリスト教において神や天使や聖人を記念し象徴として模られた絵や像で、特に東方教会では平面の板に描かれたものや浮き彫りのものを用いる)、宝石がちりばめられたひしゃくや杖などの皇帝の道具の数々。金糸銀糸の皇帝や聖職者の衣装に、精巧な細工と仕掛けで有名なクレムリン・エッグ。
細かい金細工や、まるでガラス玉みたいに惜しげもなく使われている宝石やバロック真珠が目に眩しい。
「お道具系展示」と私は呼んでいるのだけど、古来から伝わる歴史のあるお道具の数々を鑑賞すると、当時の彼らの生活への想像力が掻き立てられて、絵画とは違う萌え(笑)がある。
ゆっくり見て回っても、品数が豊富で全然見飽きなかった。これはお薦め。
東京では6月17日までとあと一ヶ月くらいやってるし、その後は大阪を回る予定だそうなので、興味がある方は是非。見る価値あり!

May 11, 2007

上野で「ダ・ヴィンチ」

レオナルド
GWボケから立ち直れないまま週末へ。東京国立博物館の金曜夜間開園を利用して「レオナルド・ダ・ヴィンチ−天才の実像」を見に、例によって例のごとくY嬢と連れ立って上野で集合。
今回の目玉は何と言ってもウフィツィ美術館から借りてきた「受胎告知」。大天使ガブリエルがマドンナ・リリーをささげて聖母マリアにイエスの処女懐胎を告げる有名なあの絵である。この大物が遥々海を渡って来ると聞いた時はびっくりした。現地でもイタリアの宝とも言える絵画の海外貸出には賛否両論あったらしい。そりゃそうだ。しかしせっかく来るなら見たいのが人情。

さて、日暮れのちょっと不気味な上野公園を抜けるとライトアップされたクラッシックな博物館がどーんと現れる。去年も同じ頃「ベルリンの至宝展」を見に行ったが、爽やかな初夏の夜に浮かび上がるこの博物館が私は好きだ。今日はちょっと寒かったけど。

まずまっすぐ平成館特別展示室の第一展示へ向かう。そこには一枚だけいきなり「受胎告知」が飾られていた。待ち時間はなし。絵の周りは混んではいるものの、ゆっくり進んでいけば、絵は十分近くで堪能できる。
…不思議な絵だ。この絵も「最後の晩餐」もそうだけれど、宗教的なモチーフでありながら全く宗教色を感じない。遠近法など新しい手法を生かし、ダ・ヴィンチの興味の向くまま実験した作品、と言う印象を受ける。まさにルネッサンス!
(まあ、だからって「最後の晩餐」に聖杯が隠されてるかは定かではありませんが…)

その後奥の本館に向うと、彼の思想の軌跡をデジタル複製画や模型、映像を使って分かりやすく展示してある。つまり当時の科学を現代の科学を使って読み解いて見ようと言う訳。
彼の残した絵画は実はそんなに多くはない。多数書き残したメモ、いわゆる「手稿」を元に、さまざまな復元図や模型がテーマごとに展示されている。
天文、建築、動力、鳥の生態、人体の構造、人力飛行機…とにかくもうバラエティに富んでで何でもアリ。中には現代から見ればありえな〜い奇想天外な発想もあるが、あの発想力は天才と言うより鬼才?執念深いくらい自然科学、観察とそこから導かれる理論にとことんこだわった彼はいわば究極の自然科学オタクである。
でもそんじょそこらのオタクではない。その世界が面白いのだ。彼の人生を追いかけるのに一時間はあっと言う間だった。お休みとってゆっくり来てもよかったかも。

美術館を早足で後にした後は「やはりルネッサンスと言えばイタリアンだろう」といつものごとく上野アトレのイタ飯屋で食事。う〜ん…イタリアはいいねえ。と結局最後は科学から食い気に走ってしまった金曜の上野の夜であった。

May 06, 2007

六本木でパリを観る。

国立新美術館
私のGWは本当に「ただちょっと長い休みだった」だけでした。
いや…人のせいにするわけではないのですが、夫が四月末から突如仕事が鬼のように忙しくなり、朝まで帰ってこなかったり、連休中もほとんど出勤だったりで、お客さんの予定も出かける予定も全て直前でキャンセル(涙)
連休の交通渋滞だのひかりの乗車率180%だのを見て「行楽地は今日も大変な人ですこと」などと憎まれ口をききながら(←性格悪っ)地道に家の掃除をやってました。おかげで床が妙に綺麗だぜ、チクショー。

…ちょっとむなしいのでGW前に行った国立新美術館の話など。こちらは友達がやはり仕事が忙しくキャンセルだったのですが、会社は有給取っちゃったので一人で思い切ってコレクション二つはしご。
続きを読む

March 01, 2007

オルセー美術館展に行って来た!

fa54dd74.jpg
会社を休んで、上野の東京都美術館で開催中の「オルセー美術館展 19世紀 芸術家たちの楽園」を見に行って来た。メンバーは毎度お世話になってますY嬢と久しぶりに登場のマダムA。何を隠そう、この三人が初めて一堂に会したのは2003年の冬に同じ東京都美術館で開催された「華麗なる宮廷ヴェルサイユ展」であった。あれから何と五年。(調べてびっくり)
多分誰か晴れ女がいるんだと思うんだけど、今日も本当にいいお天気で気持ちよかった。

さてさて…覚悟はしていたが駅には入場制限中で一時間待ちの表示。現地に行ってみると40分待ちの表示。思い出話と近況報告に花を咲かせながら列に並ぶ。
結果的には待ち時間の表示はほぼ正しかった。お昼の時間を狙っていったんだけど、私たちが出てきた午後一時くらいは待ち時間は20分になってた。
大英博物館展以来の混雑だけど、入場制限のおかげで、会場内は混んでいるものの、人は流れていて絵はしっかり見ることが出来た。

絵はかなりいいのが来てる!さすがオルセー。しかも粒ぞろいの名作がたくさん来ている。左上のマネの「すみれのブーケをつけたベルト・モリゾ」は今回の目玉であり、私の大好きな絵の一つだけど、マネの絵はどれもよかった。
マネに描かれたベルト・モリゾ自身も女性では珍しい印象派画家で、彼女の柔らかいタッチが私は結構好きなのだが、今回も「ゆりかご」と言う絵が来ている。

面白かったのは芸術家たちがお互いのアトリエで絵を描く肖像をお互いに描きあったコーナー。ルノワールの描くモネ、とか。結構面白い。

いやいや、印象派堪能。並ぶ価値あり。この後、一同目白台へ午後のお茶のため移動〜。

February 03, 2007

Louvre…過去と未来が出会う場所。

今月のPENは丸ごと一冊ルーブル美術館特集。…思わず買ってしまった。

美術館は大好き。
世界史に興味はない訳ではないが、そんなに造詣が深いわけでもないし、好きな画家は何人かいるけど、別に美術史に明るい訳ではない。大体私はそんなインテリではないのである。
ただきょろきょろと歩いて、見て「へぇ〜」「ほぉ〜」と感心しながら、自分が好きなものが見つかったら、ちょっと立ち止まって眺めていたい。私にとって美術館はそんな場所。

その中でも過去四回訪れたルーブルは私の中でスペシャルで、ターニングポイントの一つとなっている場所である。
22歳の夏、アルバイト代を貯めて初めて行った海外旅行先がパリだった。何故パリだったのかも実は全然覚えていない。
高校生の頃NHKスペシャルで放映された「大英博物館」を見て、いつかは色んな遺跡を見てみたいと思っていたが、だったらロンドンでもよさそうなもんだが、何故かその時選んだのはパリだった。決して憧れの男装の麗人の面影を追っていったわけではないと思うが…。

さて、人生初めての言葉も話せない「異国」に降り立って、私はしばし呆然としていた。目に入るもの、街角、何から何まで日本とは違う。違いすぎてまるでフィルターがかかったみたいに全然現実感がない。ホテルまではパックの送迎がついていたが、そこからは真の一人旅。とりあえずメトロに乗って一番有名なコンコルド広場に向かった。
コンコルド広場でぼけっと座っていると、シャンゼリゼ通りを通り越して凱旋門が見える。すごい景色だと思うんだけど、気持ちは高揚するどころかどんどん下降気味に・…。

何で私は一人でこんな遠いところへ来ちゃったんだろう?

今思えばそれが初めての時差ぼけってヤツだったのかもしれないが、その時はとにかくせっかく憧れの外国に来たのに全然気力が湧いてこなかった。

仕方ないからとにかく何処か、見る価値のある有名なところへ行こうと思って、歩いてテュイルリー広場を抜け、ルーブルへ辿り着いた。
入ってみると分かるがルーブルはとにかく広い。まずは自分の知っている何かを探そうと思ってサモトラケのニケを探した。探したけど見当たらない。足を引きずるようにふらふらと歩いた。
疲れて階段に座ろうか、それともとにかくホテルに帰って寝てしまおうか…とふと後ろを振り向いたら…

サモトラケのニケがいた!

階段の踊り場に胸を張って、翼を広げた本物のニケがいて、私はその時初めて目が覚めた。

「私は今本物を見ている。過去を見ている」

教科書に載っているだけの、自分とは全然違う世界にあるものが、カチッとチャンネルがあって脳みその奥にずんと入ってきた感じがした。

もうこの世の中にはいない誰かが作って、色んな時代を越えて、今それを私が見ているってのは何だかとてもすごいことに思えた。
アルバイトして自分の貯めたお金でこんな遠いところまで来ることが出来た。大人って大変だけど、頑張ったら自分が好きなところに行って、自分が知らない世界と出会える自由があるんだな、と思った。
それはこれから社会人になろうとしていたすごく私にとって尊くて幸せで、楽しみなことに感じられた。
それ以来、海外旅行も美術館も、私の数少ないOL生活の楽しみの一つで、独身時代はやりくりしながら年に一回は海外に出かけてきた。

「違う世界を自分の力で見に行きたい」

ルーブルはそんな私のスタート地点。何度でも何度でも帰りたい大好きな場所。嗚呼…また行きたくなってきたなぁ…。