日々是吉日:本

March 30, 2007

真山仁「ハゲタカ」

結構久しぶりにガシガシ読んだかも〜。

ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、瀕死状態の企業を次々と買収する。敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、鷲津は斬新な再生プランを披露し、業績を上げていく。企業買収、再生の真実を克明に描いた問題作。


主人公はいわゆる外資のハゲタカファンドの若き運営社長。時代は都銀、地銀が不良債権でバタバタと破綻したいわゆる金融危機の頃。
このお話はハゲタカ鷲津を中心とした人間ドラマのいわゆる「物語」部分と、外資ファンド、ハゲタカって一体何なのか、不良債権処理の現場で何が行われていたかを説明する「経済書」的な部分と二つで成り立っている。
勿論実際の買収の現場ではもっとも複雑で戦略的なやり取りが繰り広げられていただろうから、あくまで「入門」としてだけど、結構分かりやすく書いてあるので、どんどん読めてしまう。ただどちらかと言うと「経済書」色が強くて物語のオチとしてはイマイチなのだけど、魅力のある本だと思う。

…この小説でも語られているが、外資アレルギーの人って結構いるんでしょうね。
自分自身が外資で働いているので、私には別にアレルギーはないんですが…。

外資は金に汚いってイメージがあるかもしれないけど、商人がお金を儲けたい気持ちには国境はないし、国内企業にもダーティーなことをやってる会社は山のようにある訳だし。首切りリスクだ、実力主義だと言うけど、最近は国内企業も変わってきているし。でも、まあ、競争のキャリアが違うから、国内企業より平均して「強か」だと思う。

この本を読むと、確かにまあ外資の強かさ、一筋縄では行かない喰えなさ、と言うのは勿論感じるんだけど、それ以上に、買収のターゲットにされた不良債権、バブルに踊らされた脆弱な経済を作りだしてしまったのは、まさにバブルに踊らされた日本人自身であり、中でも政府と銀行の罪は深いと思ってしまう。
バブル時代、銀行は企業の本質も見ず、土地を担保にどんどんお金を貸し、借金が必要な企業にまでビジネスを持ちかけ、頼み込んでまでじゃんじゃん貸した。
しかしバブルは弾けて、バブルに躍らされた企業がはっと気がつくと経営状態は悪化の一途。その中で銀行は自分可愛さにどんどん自分から頼んでも借りてもらったお金を今度は貸し剥がして行く。実際、当時を知る銀行員の知人によれば、個人レベルでは、貸したい企業、持ちこたえて欲しい企業にも、とにかく会社として返済を求めなければならず、それは厳しい思い出だったと語る人も多い。

さて、そしてその瀕死の日本経済の死肉にたかるようにハゲタカ外資がやってきた。
外資の中には本当に錬金術のように値段のマジックでお金を儲ける奴らもいれば、追加投資やノウハウを生かして企業を再生させてくれるファンドもあるんだけど、登場人物の松平貴子の言葉が全てかもしれない。

「今の日本にはリスクをとって資金を貸してくれるところはほとんどない。ならばハゲタカのお金を利用して危機を救えばいい。お金には色はない。大切なのはきっちり結果を出すことです。
そうすれば私たちはハゲタカに食い荒らされたのではなく、ハゲタカを利用した勝利者になれる」

そうそう。日本人はもっと強くなきゃ。

January 08, 2007

年末年始読書・ザ・決算。

年末年始、まとまった時間が取れたら「あれもしよう」「これもしよう」と思っていたけど、「何となく大掃除もどき」をやっているうちに緊急帰省に突入。「はっ」と気がつくと明日から会社。

見回すと大掃除の甲斐あって、部屋の中はそれなりに昨年より片付いているような…。逆に出来なかったのは読書。二週間近くお休みがあって文庫本四冊は少ないでしょう。
一組目は藤原伊織の「シリウスの道」上下巻。

東京の大手広告代理店の営業部副部長・辰村祐介は子供のころ大阪で育ち、明子、勝哉という二人の幼馴染がいた。この三人の間には、決して人には言えない、ある秘密があった。それは…。月日は流れ、三人は連絡をとりあうこともなく、別々の人生を歩んできた。しかし、今になって明子のもとに何者からか、あの秘密をもとにした脅迫状が届く!いったい誰の仕業なのか?離ればなれになった3人が25年前の「秘密」に操られ、吸い寄せられるように、運命の渦に巻き込まれる―。著者が知悉する広告業界の内幕を描きつつ展開する待望の最新長編ミステリー。

主人公と親友、初恋の女性の幼馴染三人組、いわゆる「ドリカム」パターンは正直もう食傷気味な気がする。主人公が属する広告業界の人間関係と三人の過去が交錯する…訳なんだけど、その絡みがイマイチ弱くて「これって上下巻二冊でこれだけ?」と言う気がする。何しろ私はこのお話の主人公があんまり好きになれなかったのよね。何か無茶苦茶やる一匹狼で、でも仕事は出来て、女にもてるタイプって出来すぎでしょ。藤原伊織さん、好きなんだけどなぁ〜。

二組目は篠田節子の「コンタクト・ゾーン」同じく上下巻。

ノンキャリ公務員の真央子、買い物依存症の祝子、不倫の恋に悩むOLありさの三人組は、バカンス先のバヤン・リゾートで、テオマバル国の内乱に巻き込まれる。ゲリラの手に落ちた島で、虐殺を逃げ延び、彼女たちは生き残れるのか…?圧倒的なスケールで、異文化接触地点での女たちの闘いを描いた感動巨編。

「弥勒」に引き続き現代人がバカンス先で小国の内乱に巻き込まれ、原住民の村で生き延びていくと言うもの。
話の出だしのこの三人組嫌な女なんだ(笑)
少女漫画化の松苗あけみ先生にこの三人の挿絵をそれぞれ描いてもらいたい。

とはいえ、篠田節子は未開の地の生活や文化を書くのがやっぱりうまい。実際はもっと生々しくて残酷で、不潔だったりするのかもしれないけど、小説の中で違和感なく書けるのはやっぱりスゴイ。作者自身が自分自身の価値観をしっかり持った上で、多様な価値観を受け入れられる女性なんだろうな…と思う。
とは言えこの作品は重くはなく「弥勒」と較べたら、メッセージ性も薄く、明るくて、先も読みやすいから「娯楽」として楽しめてラクチン。文庫二冊、すんなり読んでしまった。

さて…明日の通勤には何を持っていこうかな…。

March 01, 2006

ダヴィンチ・コードは盗作か?

もうすぐ愛しのトム・ハンクスが主演で映画化されるはずの世界のベストセラー、ダ・ヴィンチ・コード。

「ダ・ヴィンチ・コード」は盗作?裁判始まる --- YOMIURI ONLINE
↑ニュースの特性上一部ネタばれなので、これから読む人はご注意。

世界で4000万部が売れたこの本が、なんと1982年に出版されたノンフィクションの盗作だとして、著作権侵害を訴えられ、裁判がロンドン高等法院で始まったと言う。
原告の「レンヌ=ル=シャトーの謎―イエスの血脈と聖杯伝説」を読んでないので是非を問うことは出来ないが、ダ・ヴィンチ・コードの種明かしであるマグダラのマリアの謎ははっきり言っちゃうと素人目にも「いかにもありそう」な話で、実際に被告も「原告の著作に盛られた様々なアイデアは既存の文献にも見られる」と著作権侵害を否定しているそうな。

盗作疑惑は日本の芸能界でも文芸界でもよく争われる話題になってきた。
違う人間が一つの共通したモチーフを見て何かを書こうとした時、共通した文化や社会などの素地があれば、全く同じことを思いつく、と言うことは大いにありえることだと思う。逆に、これまでにない人と違うことを思いつくのって実はすごく難しいことなんじゃないだろうか。だからこそ発明は貴重で革命的なことなのだ。
なのに現代は情報は簡単に手に入るし、コピーできて、盗作しやすい環境になっている。悪意をもって盗作したわけではなくても、人と自分のオリジナリティの境目を見極めるのがどんどん難しくなっているように思う。モノを作る人は本当に大変だ。

個人的にはダ・ヴィンチ・コードの魅力は、「いかにも」な謎あかしより、ルーブル美術館での殺人と言う大掛かりな事件から、思わせぶりな「暗号(コード)」で謎に繋げていく強引さにあると思う。私はそんな強引さは嫌いじゃなかったし、本物のルーブルを使った映像化はやっぱりちょっと見てみたい。なので「著作権侵害、映画上映差し止め」なんて結果には出来ればならないで欲しいんだけど、果たしてどうなるかなぁ。

February 27, 2006

乃南アサの「あなた」1

乃南アサの文庫新作、ホラーの「あなた」を完読。

秀明はやや軽めの明るい浪人生。明るいといっても二浪目に突入したのだから、多少の屈託もないわけではない。しかし、女子大生の彼女もちゃんといて、携帯メールを間断なくやりとりして、にやけてみたり、ふて腐れてみたり…。受験の年の元日の未明、秀明の身体を異変が襲った。胃を握り潰されるかのような激しい吐き気、強烈な圧迫感。それは底なしの恐怖の序章に過ぎなかった。

いつも乃南アサの小説ってスキーの原田のジャンプみたいなもんだと思う。基本おおはずれでたまにバッケンレコード、K点越え、違う世界に飛んで行っちゃったぞみたいな。でも最近原田のジャンプより確率悪いかも。少なくともこれは「読んでみたら200グラム足んなくて実は失格でした。全然ホラーじゃありませんでした」だろう。
乃南アサも「風紋」とか「晩鐘」は色々考えさせて好きだったんだけどなあ。

まず怖くないホラーってどうよ。
最初から最後までホラーって言うか単なる妄想だし。ネタばればれだし。せめて登場人物が魅力的だったらって思うけど、この主人公の秀明が本当にツマンナイ男なのだ。強いて言えば上下巻二冊使って「どんなつまんない男でも恋しちゃったら盲目。貴方しか見えない」ってのを書きたかったのだろうか。
本当にこのお話が好きだった人はごめんなさい。私は久しぶりに「全然駄目」だった。共感も納得も出来なかった。

February 20, 2006

雫井脩介の「クローズド・ノート」

いやいや…これはいいですよ。これは。

香恵はバイトとサークルに勤しむごく普通の大学生だ。ある日、前の居住者が置き忘れたノートの束を見つける。興味本位でノートを手にする香恵。そのノートが開かれた時、彼女の平凡な日常は大きく変わり始める。

まず雫井脩介と言えば、「火の粉」「犯人に告ぐ」「栄光一途」「虚貌」とちょっと精神に来る系のミステリが多かったので、私はずっとこの小説を「ノートを開いたらそこに隠されたトリックががある」んだと勘違いしてた。

…恋愛小説だったんですね
携帯サイトで連載されてて人気沸騰だったらしい。携帯サイトで読書をするのは個人的にはちと辛そうだけど…でも、本当にこれはよかった。恋愛小説はそんなに普段読まない私だけど、照れもなく言葉が素直に胸にすとーんとまっすぐ入ってくる感じで心地よかった。

まず、主人公の香恵はマンダリンを奏で、万年筆を愛用する、教育大の学生だ。穏やかな自分のリズムで生きている。どちらかと言うと常に爆走気味、他人にペース乱され気味の私には彼女の穏やかさがなんとも言えずまぶしく愛らしい。

彼女が偶然手に取る、前の居住者のノートには小学校教諭である真野伊吹先生の子どもたちへかける想いと、友人以上恋人未満への「隆」への想いが綴られていて、それが香恵だけでなく、読み手を惹きつけていくのだ。

私小説って心情の語り過ぎで時にうるさくなってしまうものだけど、香恵の独特のリズムとマンダリンや万年筆などの小道具、そして「日記」と言う媒体を通して想いを語らせることで、切なく優しい空気が生まれている気がする。続きを読む

February 15, 2006

東野圭吾の「容疑者Xの献身」3

東野圭吾は過去にも何冊か読んでいるけど、話題の直木賞受賞作を読んでみた。

数学だけが生きがいだった男の純愛ミステリ
天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。湯川は果たして真実に迫れるか


…うーん。
ちょっとamazonの書評も読んでみたんだけど「すごい」と言う人もいれば、「うーん」と言う人も。「意外と、読者を選ぶ作品」と言うコメントがあって、ああ〜そうかも…と思わず納得。ちなみに、私は「可も不可もなく」。
東野氏は文章は大変うまく、多作の割りに一作一作のクォリティが高い水準で安定している。何を読んでもまあまあ面白い。これはすごいことだ。でも裏切られることはない替わりに、逆にがーんと言うショックもない。これで直木賞が取れるなら、今回「セカチュー」コンビでドラマ化の「白夜行」や以前広末涼子が映画で主演した「秘密」の方がエンターテイメント性は高いかもしれないと思う。実際私は映画は見てないし、ミステリではないけれど「秘密」は私は結構好きだった。

この作品も新本格推理のような「犯人当て」がある訳ではない。ミステリと言うかパズルのような感じ。最初から犯人は石神と割れているんだけど、彼の手の内は100%明かされていない。果たして彼が「完全犯罪」と言い切るその根拠は一体どこから来るのか。ヒントは細切れで見え隠れしていて、読者はそれを追いかけながら「何だろう?どうなるんだろう」と追いかけながら話は進む。トリックも「おお!なるほど!そうだったのか」と素直に納得できた。読んでる時は結構はまって読んでいたんだけど、読後に「よかった!」と言う爽快感が得られなかった。何でだろう??

強いて言えば私の中で石神の「天才的な数学的才能」と「純愛」がうまく像を結ばないと言うか。
そこで四季さんのBlog「Ciel Bleu」を読ませて頂き、ちょっと納得。主人公の純愛の対象である靖子があまりに普通の女過ぎて「天才的数学の才能を駆使し、自分が重い荷物を背負ってまで守りきる純愛」が今ひとつ説得力に欠けるだけのような気も。「純愛」と「狂気」ってひょっとしたら紙一重じゃないかな。違う終わり方があったのかも。うがったモノの見方でしょうか。

February 11, 2006

安野モヨコの「働きマン」4

久しぶりに漫画を買った。今まで安野モヨコ系の絵柄ってなんとなく敬遠していたんだけど、駅で立ち読みしてて思わず一、二巻をまとめて購入。これ、かなり面白かったデス。
主人公松方弘子は週刊誌「JIDAI」の編集者で仕事に熱く血をたぎらす、自他共に見える働きマン。いわゆる修羅場にアドレナリン燃やしちゃうタイプ。

働きマンになると血中の男性ホルモンが増加し、通常の三倍で仕事をするのだ。
その間寝食恋愛衣食衛生の観念は消失する。


ううっ!何だか無茶苦茶分かる気がするんですが(汗)
会社で誰より男らしいと言われているのは私です。
私は悲しいかな食い意地が張っているので、残念ながら食べないことは出来ないけど、とりあえず適当にお腹を満たせればいいって気持ちになるか、要はそれ以外のことにこだわらなくなるんです。男性ホルモンって言うか女性ホルモンが低下するというか。
嗚呼…Wakoさんに怒られる〜。

この瞬間確かに恋愛スイッチは完全にオフ。
…というか自分の事で手一杯になっちゃうんである。
でもこれは決してトータルで見たら悪い訳ではないと思うんだけど。パートナーが「働きマンスィッチ」入ってる時は逆に「あ〜頑張ってるんだな〜」って穏やかな気持ちで見守ることが出来ると思う。うちの夫婦はお互いに「相手にスィッチが入ってる瞬間」を受け流しながら七年間過ごしてきたのかも。

仕事だから好きで楽しいばっかりなんて絶対無い。でも我を忘れて仕事をしてる瞬間はやっぱ「生きてるぜ!」って感じがするし、終わった瞬間「やった!」って気持ちになる。仕事ばっかりじゃ悲しいけど、この気持ちを味わえるのは悪くない、と思う。

January 31, 2006

井上靖の「氷壁」4

NHKの土曜ドラマで井上靖の「氷壁」をやっている。興味はあったんだけど、毎週ドラマを見るというのが面倒くさがりの私には意外に大変なんである。録画しときゃいいじゃん、と思うんだけど、録画予約していると「そこまでして毎週見なきゃいけないのか?」何だか縛られているようで嫌になるというか…。要はへそ曲がりなだけなんですけどね。
しかも既に今期は「神はサイコロを振らない」を見ているので二個も見る余裕は無い。だって小林聡美が好きなんだもん。

…ってな訳で私のマイブームは「ドラマ・映画化した小説を読む」である。
ドラマ化されるくらいなので面白いに違いない、と言う単純な確率論に加えて「小説とドラマでどれくらい違う味付けをしてるか」などと検証するのが面白いのだ。ちなみに「神はサイコロを振らない」も既に小説で読んだけど、登場人物もストーリーもかなり設定は変わっているし、ドラマならではの味付けをしてあるので結構いい感じ。氷壁もHPを見た感じではかなり味付けしてあるようである。

さて、本題。
奥穂高の難所に挑んだ小坂乙彦は、切れる筈のないザイルが切れて墜死する。小坂と同行し、遭難の真因をつきとめようとする魚津恭太は、自殺説も含め数々の臆測と戦いながら、小坂の恋人であった美貌の人妻八代美那子への思慕を胸に、死の単独行を開始する…。完璧な構成のもとに雄大な自然と都会の雑踏を照応させつつ、恋愛と男同士の友情をドラマチックに展開させた長編小説。

…さすが井上靖。
恋愛と男の友情と書いてあるので、死んだ友人との濃厚で分かりやすいメロドラマを想像していたが、違った。
舞台は上高地から山奥深く前穂高の難所。私も山登りと言えるほどの登山はしたこと
が無いが、山は一歩踏み込むと、大きくて、静謐で、底知れなくて綺麗だけどとても怖う。井上靖の作品はいつも画像的で美しいけど、この本もその自然の怖いくらいの綺麗さを本当に綺麗に書いていて、お調子者の私は上高地は河童橋の奥、明神池の上へ一度は行って一目その峰を眺めたいと思ってしまったりして。
その中でザイルを繰る山男二人の関係と言うのは言葉も無く、静かで、揺るがない感じがする。

その一方が、人妻との実らぬ恋に悩み、それを振り切ろうと上った山で事故にあい、二人を繋いでいるはずのザイルが切れた。自殺か、事故か。それとも主人公自身が助かりたくてザイルを切ったのではないか、と疑う者もある。そして主人公もまた、人妻への思慕を募らせ、色々な葛藤が主人公を友を失った山へ立ち向かわせる。

時代的には古い話のはずなんだけど、全然古く感じない。それは「山」と言うものへの恐れが今も昔も変わっていないと言う証拠なのだろう。
久しぶりに「一気に読んだ」と言う読後感のある本だった。

January 26, 2006

地下鉄(メトロ)に乗って4

永田町の地下鉄駅の階段を上がると、そこは30年前の風景。ワンマンな父に反発し自殺した兄が現れた。さらに満州に出征する父を目撃し、また戦後闇市で精力的に商いに励む父に出会う。だが封印された“過去”に行ったため……。

強い父、優しき息子。
父の老いや死を前に、息子はある日、地下鉄の出口から時間を遡り、若かりし父の生き方を追いかける。

ちょっとこの父と子の構図は重松清の「流星ワゴン」に似ているんだけれど、時代の中で走り続ける地下鉄が昔の活動写真みたいにセピアっぽいやさしい色をつけてくれている気がする。
確かに東京の地下鉄は他の国に比べてとても綺麗だけど、それでもところどころ古い壁が覗いていたり、曲がりくねった細い通路が延々とつながっていたりして、一個出口を間違えたらひょいと過去に遡ってしまいそうな気がしなくもない。
まだ日が高いうちに地下鉄に乗って、入り口を登るとすっかり真っ暗で月がぽんと出ているみたいな感じ。

January 20, 2006

まだはまってます…APOLLO 13…。

以前私が映画「APOLLO 13」にはまっていることは書いたと思うが、実はその後その愛は激化の一途を辿っている。もう確実に30回は見ている。昨日も見た。11月の激忙期は午前1時過ぎに帰ってきて、お風呂に入った後泣きながら朝3時過ぎまで見ていた。
友人Lちゃんの怪人への歪んだ…いやいや…深い愛情を決して笑えない私である。

これくらい見ると台詞まで覚えてくる。
さぞや英語の能力が上がっただろう…と思いきや、EECOMだのGNCだのFIDOだのメインバスの電圧が低下しただの…そんな専門用語ばかり覚えているので実生活に役に立ちはしない…。困ったもんだ。

さて、そんな我が家にはDVDは普通版と記念版の二枚ある。サウンドトラックもある。そして今日はとうとうペーパーバックがやってきた。
APOLLO 13の宇宙飛行士で、映画ではトム・ハンクスが演じているジム・ラベル氏の原作である。久しぶりのペーパーバックだ。思えばここ数年仕事の英語でいっぱいいっぱいで、楽しみのために英語を読むのはF1以外では久しぶりである。明日から頑張って読むぞ♪


ちなみにこっちのペーパーバックも買ったのよん♪映画の中ではエド・ハリスが演じている主席航空管制官、フライト・ディレクターのジム・クランツ氏の自伝、タイトルの「Failure is not an option」(失敗は許されない)はジムが実際にAPOLLO 13の事件の際、管制官にかけた言葉で、映画でも再現されている。

彼はAPOLLO計画の礎となったMercury計画、Gemini計画にも参画し、人類が初の月面着陸を果たしたAPOLLO 11でもその指示をとった。APOLLO 13でも多くの管制官を率い、無事事故にあった三飛行士を地球に生還させることに成功した。その素晴らしいリーダー・シップは、会社で小さいながらプロジェクト・マネージャーとしてプロジェクトの舵を取る私にとって憧れてやまないものである。

男は頭だよな〜。賢い男性ってそれだけで輝いて見える。
嗚呼…私のジーン…