数年前からパラエストラ東京は、「キング・オブ・スポーツ路線」と銘打って(?)「ありとあらゆるスポーツに打って出る団体になろう」と非公式に宣言してきました。今回はその真意を述べたいと思います。
 そもそも私は、パラエストラ設立当初から「できることなら全団体のオフィシャルジムになりたい」と発言していたのです。当時ある雑誌のインタヴューに応えてのステートメントでしたが、完璧に本音でした。
 また古代オリンピックに於いてレスリングが主要競技のひとつであり、メインの五種競技の他の競技(短距離走、幅跳び、円盤投げ、槍投げ)をやって勝ち残った選手が、最後にレスリングを実施した故事にあやかってもいるのです。
 加えて道場を運営していく中で、例えば寝技なら寝技だけに偏重していく事で故障が増える可能性があるのかも知れないと感じたことから、道場生の身体面の健康を真に願うなら、「この道場を起点として色々なものに挑戦していく姿勢を後押しした方がより良い」と考え直すに至ったのもあります。
 更に突き詰めれば、「すべての運動は格闘技にとって何らかのドリルである」ということに気付いてしまったという私自身の変化があげられます。そうでなければ説明のつかない何人もの生徒の成長が、この私の人生観を形作ってくれました。
 以上のような諸々の要因が重なり合って、クロストレーニングを奨励し他の各スポーツや格闘技、武道や武術とも緩やかに繋がっていこう、と願っているわけです。
 今では柔道、サンボ、アマチュアレスリング、相撲は勿論のこと、キック等の打撃系競技や各種総合系とグラップリング系、だいたいどこに行ってもパラエストラ・グループの姿を見つけることが出来るはずです。
 更にモンゴル相撲や沖縄角力などの民族的格闘技に挑む方や、陸上競技会やマラソン、トレイルランニングなどのランナー達、ボルダリングなどのクライマー達など、いろいろなスポーツに挑む方が続々増えてきました。しかも嬉しいことに、所属の欄にはパラ東の名を記入してくれている方もいらっしゃいます。これからはフットサルなどの球技や、水泳やトライアスロンなどを嗜む方も出てくるのではと考えています。
 たとえ、スピンオフして始めたものの方が人生における比重が高くなってしまっても、それはそれで全然悪いことじゃありません。格闘技はいつ始めても、いつ再開しても、出来るものです。門戸は、いつでも開かれています。

[出典]パラエストラ東京news
    中井祐樹 記名原稿


■解説 / 若林太郎(2013.5.14.筆)

 2011年4月にスタートした「パラエストラ東京news」用に、同年8月16日に中井祐樹が書き下ろしたもの。同newsブログはほぼ毎日更新を目標としていたのですが、お盆休館中にはアップすべき開館スケジュールがありません。そこで事前に書き始めてもらい、休館中のコラム4本の集中アップとなった次第。出典元の「Nakai Column」リンクからでも読めますが、コラム系はこちらに集約すべく再掲載しました。なお「キング・オブ・スポーツ」は、アントニオ猪木率いる新日本プロレスが標榜していたキャッチコピー。この辺の引用センスが、プロレス黄金期に育った中井さんのルーツを思わせます。
 パラエストラ・ネットワークにおけるキング・オブ・スポーツ路線の先駆者は、パラエストラ東京の西岡仁さんと石井基善さん。舗装路以外の山野を走るランニングスポーツであるトレイルランニングに取り組み、先日も国内最長のレース「ウルトラ・トレイル・マウントフジ(ULTRA-TRAIL Mt.FUJI=略称UTMF)」で完走を果たしています。先日NHKでも「UTMF」のドキュメントを放送していましたから、ご覧になった方もいらっしゃるのでは。(同番組のエンディングに、石井さんらしき人が写っていたような気がしたのは私だけでしょうか。)
 西岡さん、石井さん以外では、パラエストラ大阪の足利紫津子選手が、昨年6月10日の「第11回オールジャパンアームレスリング選手権大会」で優勝を果たしています。私たちが情報を把握していないだけで、ネットワーク各支部には様々なスポーツにチャレンジしている方がまだまだいらっしゃると思います。そんな皆様の活躍振りも、どんどんPARAESTRA NETWORK NEWSに掲載させていただきたいと思っております。大会出場や入賞などの際にはぜひご一報いただければ幸いです。

中井ミニ