来る8月16日(日)、日本ブラジリアン柔術連盟の主催により第1回全日本ブラジリアン柔術大会が開催される運びとなりました。
 パレストラでは、6月半ばよりこの大会に照準を合わせて道場内ランキングを階級別に作成し、週替わりに移動させ、機運を高めると共にレベルアップを計ってきました。
 本番で良い結果が出るかどうかは自分の肉体だけが知っており、いかに当日までに「やるべきことはやった」という状態に近いところまで持っていけるか、が最も重要だと考えます。相手がどうのこうのというのは、二の次です。また選ばれた選手はもちろん、トレーニング・パートナーであるみんなの力が必要であることは言うまでもありません。頑張りましょう!
 今大会は初の正式なBJJの大会です。(パレストラが主催しているCOPAやJAMは公式戦というより、練習試合という位置づけになります。)ブラジル人系アカデミー(グレイシー・ジャパン、ホチャ、森エドアルド、古川、高尾)vs日本人系アカデミー(パレストラ、エンセン、正道会館)といった見方がある意味一番面白いのかもしれませんが、私はこのBJJルール(今回から採用される正式なもの)が果たしてみんなに受け入れられるものなのかどうか、といった点が勝敗を越えて最も興味深い点であると考えています。
 というのも、もともとバーリ・トゥードを想定してポジション取りを点数化したところが、非常に私たちがBJJに感銘を受けた点なのですが、もっと細かいポイント(アドバンテージなど)が増えたことによって、より難しい方向に向かうという懸念があるからです。みなさんはどうお考えでしょうか?
 もう一点お伝えしなければいけないことがあります。「今大会に僕たちは出られないのでしょうか」という問い合わせを、福島のクラブVTSより頂いたのですが、連盟によると紫帯以上の人間がいないといけないとのことで、今回のVTSの出場は不可能ということになりました。VTSは非常に悔しい思いをしたと思います。
 今後は有力者(ブラジルやアメリカなどの黒帯柔術家)の系列に入るのか、あるいは大会などで優勝を重ねて自力で帯を取っていくかの、二者択一をしなければならなくなるでしょう。
 実はこれは私自身の課題でもあるのです。私自身が日本の柔術、そして格闘技を盛り上げるためにも、もっとステップアップしなければならないなと。今、そんなことを考えているのです。

[出典]パレストラ・ニュース3号(1998年) 
    中井祐樹 記名原稿


■解説 / 若林太郎(2013.7.19.筆)

 1998年頃にパラエストラ内部向けに出したB5版のフリーペーパー『PARAESTRA NEWS』の第3号用に、中井さんが書いたコラムです。最近、Paraestra Weeklyに過去の文章をアップするため、改めてMOディスクドライブを購入。山のように保存してある過去のMOから発掘したものです。
 以前、札幌の俵谷支部長のコラムを掲載した時に、「2号まで出したB5版のフリーペーパー『PARAESTRA NEWS』の幻の第3号用に…」と書いたのですが、データを調べてみると、第3号までは完成していたようで、幻となったのは第4号だったようです。人の記憶というのは当てになりませんね。まあ、なにしろ15年前のことではありますが。
 後半に出てくる「福島のクラブVTS」は、後のパラエストラ福島。現在はネットワークから独立し、佐藤豪代表の下、ブレイブハートとして活動しています。
 なお今回のコラムが書かれたのは、パラエストラへの改称が行われる前。雰囲気を感じていただくために文中表記は「パレストラ」のままにしてあります。第1回全日本BJJ開催直前の空気感を感じて頂ければ幸いです。

 中井ミニ