最近、学校関係で回ってくるメールにmath textbook関連のタイトルが増えました。次の7年間のために、Palo Alto学校区では現在、新しい算数の教科書の選定作業まっただ中です。現在使っているのはCalifornia Mathematics(写真中央、緑)という本です。変えたいということは、次の時代のために数学力の向上を目指して違う本にしたいということなのでしょう。

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ちなみにCalifornia Mathematicsで市販価格は70ドル。もちろん1冊の値段です。教科書はどれも高価です。勢い無駄な買い物はしてはいけないと、慎重に検討されている様です。
(3/7追記:教科書は学校か学校区の所有であって、政府からの支給ではなく、個人で購入することもありません。子ども達は教科書を借りて使います。基本的には学校の机の中に置きっぱなしで、宿題や自習のために必要な時だけ家に持ち帰ります。1冊の教科書を何年間も使うため、書き込みは厳禁。汚損すると最悪弁償となります。)

問題になっているのは最終選考に残った2冊の教科書のうち、1冊がどうも評判が分かれてしまう本だということ。特に算数が得意な子の家庭、コツコツ積み重ねを重視するアジア系家庭の好みとは全く違う教科書らしく、最終選考を前に議論は盛り上がっています。詳しくは...
昨年の9月から小学校の先生、校長先生、学校区職員、3名の保護者から成る選定委員は教科書の検討を始めました。9冊の候補から最終的に2冊まで絞り込んだところだそうです。最終選考に残った教科書はこの2冊。

・Everyday Math: http://everydaymath.uchicago.edu/about/

・enVision MATH: http://www.envisionmathca.com/


そして話題となっているのはEveryday Mathの方です。その議論ぶりはこちらで読めますので、興味のある方はどうぞ。
Palo Alto Online: Elementary math textbook adoption: Rigorous enough?

さすがに全部は読み切れないんですが、要はEveryday Mathは系統立っていない、数概念と計算が身に付く様に色々な方向からのアプローチが足りないという様なのが批判の主なポイントの様です。「前の学校で使っていたけど、良くなかった」「会社が先生に働き掛けているんだから、気持ちがそっちに傾いても仕方ない」「みんな使ってるよ」という意見もあります。

こちらが回ってきたメールで紹介されていた、Everyday Mathを考察するビデオです。かけ算や割り算の筆算に関して、日本ではやらない計算の考え方が出て来るのでとても面白かったです。15分と長いビデオですが是非ご覧になってみて下さい。(※音量注意)



私的には、小学校の1年生から計算機の使い方をしっかり教わるのは嫌かな...。算数の時間に地理の勉強も必要ないと思いました。


フォーラムの中で「アメリカではEveryday Mathが広く取り入れられているよ。先生も専門家もこの教科書が好きだよ。全員が算数のエキスパートになってなる必要が無いだろう?」という意見があり、これには凄く納得しました。そうだ、これがアメリカの算数教育の根底に根強くあるから、おつりを暗算できない大人が大量生産されたんだ、アメリカの算数教育の弱点がこの教科書の特徴に現れているのだと感じました。


Everyday MathはいやだけどenVision MATHだって大したことが無い、いや、シンガポール・マスがいい、みんな使ってるしEveryday Mathだっていいのでは、と様々な意見もある通り、全ての人が満足できる決定というのはあり得ないのかもしれません。
教科書が変わったぐらいで、算数の授業はそう変わらないのかもしれません。
この教科書選定をドキドキで見守っているのも、算数教育と子どもの将来を憂える一部の親だけかもしれません。


どのような結果となるのか、私も楽しみに決定を待ちたいと思います。



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