学校が早く終わるG3以下の子ども達は、お迎えの保護者に引き取られた後にG4、G5の兄や姉を待つため、30分間キンダーのプレイグランドで遊んで良いことになっています。
Maxの下校時間までの30分はSarahにとっては大切な遊び時間、そして大切な人間関係の学習時間ともなっています。

afterschool1

Sarahが大好きなのはタイヤ・ブランコ。これでさえ遊んでいればSarahはご機嫌です。ところがこのタイヤ・ブランコは大人気で子どもが乗っていない時はないというくらい。たった一つしかないブランコを巡ってはキンダー時代からトラブルが絶えず、そのトラブルは未だに続いているという有り様です。

キンダー時代は先生の目が光っていたため、待っている子達が「One alligator, two alligator, three alligator, four alligator... TWENTY ALLIGATOR!!」と20まで数えて(40スイング)交代というルールがしっかりと守られていました。
それに対して放課後は、もうやりたい放題!
放課後、タイヤ・ブランコで遊びたい子は約15人。これが男の子グループ、女の子グループ、男女混成グループに分かれてタイヤ・ブランコを奪い合います。
タイヤ・ブランコは学校に一つだけ。
定員3名+押し役1名、計4名が一度に遊べる人数です。

最初は本人たちの自主性に任せていたところ、誰それが交代してくれない、さっき乗ったばっかりだもん、ウソつけずっと乗ってる、私は後から乗ったからまだ乗れる筈だよ、それじゃ○○が乗れないじゃん、どーするんだよ、どうでもいいから交代してよー...みたいなごたごたが毎日30分間。見ている方もうんざりです。
見かねた一部の親が時間を計る様にして、今は5分交代というルールになりました。...大人がいないとブランコの順番も守れないのか、君たちは!!(怒)

それでも毎日毎時間大人が見ている訳ではありませんから、やっぱりごたごたが起きます。そして子ども達は素晴らしい知恵を発揮し、何とか自分に都合の良いようにと主張します。
「まだ少ししか乗ってない」(私が見た時点で既に乗ってて5分以上経過済み)
「私キンダーだから乗ってていいよね」(特別待遇を要求する風格は既にベテラン)
「この子私の友達の△△の妹だから、私が見てなくちゃいけないの。私も乗ってるね」(自称ベビーシッター出現)
「こっちの二人はずっと乗ってるけど、私は後から乗ったんだから二人だけ交代したら」(今、友達を売ったよね?)

男の子グループは主張も激しい代わり、「時間だよ」と大人に言われるとすぐに諦めて交代してくれます。問題なのは女の子グループ。「時間だよ」と言っても「ちょっと待って、やりたいことがあるの」「え、そんなに時間経った?まだでしょ」「えー、この子小さいし、もっと乗せてあげたいんだけど」とか、色々な理由をつけてごねるので、交代させるのが大変!です。

Sarahと一学年下のL君(Maxの友達の弟)が中心になっている(?)男女混成グループは”鳴くまで待とうホトトギス”の精神で生真面目に順番を守っているため、いつも他のグループに待たされているのでした。
ま、そこでどう主張して自分の順番を確保するかも人生の勉強だと思うので、私もあまりに酷い時(15分以上譲ってくれない時)以外は、出来るだけ事の成り行きを見守るようにしています。



afterschool2

ある日のこと。
ずっと待っていた男女混成グループのために、時間を計っていたL君のママのSが「時間だよ」と女の子グループに言いに行った時でした。乗っていた3人の女の子の一人が待っていたSarahに向って言ったそうです。
「Sarah, do you want to push us?」
もしSarahが遊びたたいなら、私達を押してもいいわよ
  =あなた一人だけなら入れてあげるわ
  =私達と遊びたいなら、待っている他の子達のことは忘れなさい

言わばヘッドハント作戦。Sarahが押し役が大好きなのを知っていて、Sarahを一人だけ入れることで味方につけ、交代時間をリセットし、自分たちはタイヤ・ブランコに長く乗れて、Sarahも遊べてみんなハッピー!という作戦です。自分のことだけ考えるなら、確かに悪くない条件に聞こえます。
この得意技に、Sarahは一緒に待っていた女の子達に何度裏切られたことでしょう。誘いに結構あっさりのって行く子が多いんですよね...。Sは女の子グループの提案にSarahがどう答えるかな?と思い、わざと黙って様子を見守ったそうです。

Sarahの返事は両手を広げて肩をすくめる仕草でした。
これは困惑を表現するもので、言葉にすれば「何それ」みたいな感じです。そして一緒に待っていたL君ともう一人のG1の子の方を、呆れた顔で振り返ったそうです。

少し離れたベンチにいた私のところにSがニコニコしながら戻ってきました。
「Sarah is good! She didn't forget about the other friends.」
Sarahが誘いにのらなかったので女の子グループは諦めて降り、Sarahたちの番になりました。それを見ながらSは、Sarahが自分だけ誘われても他の子達も一緒に待っていたことを忘れなかった、自分の気持ちをすぐに変えないのは良いことだと言って褒めてくれました。


正直な所、目の前で何度も友達がヘッドハントされていく様子を見ていたSarahですから、自分が誘われた時にホイホイと行ってしまってもおかしくないと思っていました。でも行かなかった。
これじゃなかなか女の子の友達ができない訳だよなー、と妙に納得です。


かといって、Sarahが正義感あふれる友達思いの子だという訳ではありません。
先日は休み時間の終わりに、転入してきたばかりの女の子のランチボックスを、男の子たちが「ここに置いてあるの、誰のだー?」「知らなーい」「ほら、やるよ」「いらなーい」みたいな感じで手荒に扱っていたのを校長先生が目撃。笑って見過ごしたクラスの子も加担したと同じということで、クラス全員がこんこんとお説教されたそうです。もちろん、その後は担任の先生からもガンガンお説教。
その話を私がSarahに聞いたら、「でもねっ、私はやってないよ。あっちのテーブルの子達がやってたの見てただけだもん、私は関係ないからいいのっ」と慌てて弁解してました。私が口を開くよりも先に、横からMaxが「ダメだよ。見ててもダメなんだよ。止めないと。止めなかったらね、いじめてるのと同じなんだよ。あー、Sarahいじめたー、bully(いじめ)したー」と、傷口にぐりぐり塩をすり込んでいました。
Maxに責められ、「この次そういうことがあったらね、"stop it"って言ってね。友達を助けてあげるんだよ」と私からまで言われ、Sarah、泣いてましたね。

周りに流されなさそうで、やっぱり流される。
Sarahもいろいろ学んでいます。




丁度コーヒーを飲んでいて、以前義妹が送ってくれたカップに書いてありました。

 ー伊達政宗公 遺訓ー
  仁に過ぐれば 弱くなる
  義に過ぐれば 固くなる
  礼に過ぐれば 諂い(へつらい)となる
  智に過ぐれば 嘘をつく
  信に過ぐれば 損をする

人間、戒めの気持ちを持って、偏ることなく歩けるようになりたいものです。