「お母さん、お願〜い、一回フィールドトリップに来て!」
新年度が始まった時Sarahにそうお願いされていたので、9月のBack to School Nightの時に校外学習の運転手兼引率ボランティアを申し込んでおきました。
運転手だけならまだいいのですが、うっかりするとグループ一つを割り当てられて指導まで担当させられます。私の英語力でも何とか対応できそうな体験型で、知っている場所となれば....やっぱりここ。Woodside Storeかな。
過去記事はこちらです。 The Woodside Store:「 前編」、「中編」、「後編

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  Woodside Store
  http://www.historysmc.org/woodside.html
  3300 Tripp Road, Woodside, CA 94062, (650)851-7615
  Tue & Thu, 10 a.m. – 4 p.m. Sat & Sun, 12 p.m. - 4 p.m.
  Admission: Free

ここはゴールドラッシュ時代のよろず屋を保存、整備した博物館で、ストアと名前がついていますが店舗ではありません。校外学習では当時のWoodside Storeの役割、人々の暮らしなどについて学習をします。
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1800年代後半、大勢の人々が金を求めて移り住んできたため、住宅の建築ラッシュが起こりました。この時代、金を見つけた人よりも、金採掘の道具販売や林業で材を成した人々が多かったそう。カリフォルニアの”金脈”は土の中ではなく、人々の暮らしの中にあったということなのですね。目の付け所が大事なのは今も昔も変わらないようです。
Woodsideは林業で栄えた他に交通の要所でもあったため、歯科医のDr. Trippと2人のパートナー3人はこの地でビジネスを始めることを思いつきます。食料・雑貨・衣料品販売、鍛冶屋、郵便局、歯科の全部が一つになったWoodside Storeは1853年に創業、この近辺で唯一の店舗だったため非常に重宝がられて大繁盛したとのことです。
パートナーの一人が、熊に襲われたことでWoodsideで暮らすことを諦め、去ってしまうという出来事がありましたが、多くの人々に望まれてWoodside Storeは1906年まで営業を続けました。

建物の内部は100年前の暮らしを再現する展示物でいっぱいです。中には当時のパッケージの復刻版の箱や缶詰めのラベルなど、貴重なものも並べられていました。
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こちらはDr. Trippの歯科オフィス。以前撮った写真です。
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こんな椅子に患者を座らせて治療をした訳なのですが、この建物を修理する時に床下から多数の”あるもの”が出て来たそうです。
それは抜歯した歯。
虫歯を抜いた時に床板の隙間から床下に落ちてしまったものだろうとのことでした。多数の、というところがコワイですが、長年かけて貯まったのでしょうね。
当時、抜歯をする人は治療前にウィスキー1ショットを無料でもらえたそうです。痛み止め、消毒、抜歯に耐えるご褒美を兼ねた素晴らしいアイデア....かも。(アルコールで抜歯の出血が多くなったりして)


現地に到着してすぐに子ども達はおやつの時間になり、その間にボランティアの大人たちは引率のためのトレーニングを受けました。トレーニングといっても大袈裟なものではなく、ここのコーナーではこんな活動をさせます、こういう風にして下さい、ここは危険なのでこうして下さい、コーナーの担当は誰がしてくれますか?といった打ち合わせです。


15分でおやつタイムとトレーニングが終わり、本格的に校外学習開始!
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最初にスライドショーでWoodside Storeの歴史を勉強しました。
次は探し物ゲーム。2,3人のグループに分かれ、それぞれお題の紙を渡されます。紙に描かれた品物をWoodside Store内から探し出し、その用途を考えるのが子ども達の仕事です。

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Sarahのペアの課題はこの道具、絨毯叩きでした。
二人とも指定された道具を見つけたまではいいのですが、使い方がわからない。「虫を叩くの?」「テニス、じゃないし」「シャボン玉作る!」...。しばらく二人で???状態だったので、助け船を出しました。「ほら、お母さんがラグ持ってこうやって...」と身振りをしてみると「Oh, rug beater!」と二人、納得。

最初の通りに車座になって、それぞれのグループが探してきた道具の使い方を発表しました。

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こちらのグループは石版。
昔は紙が貴重品だったため、再利用できる小ぶりな石版は必需品でした。お店での買い物の際、買った品物のリストと値段を書き出すのにも使われていたそうです。

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woodside64上:ご存知、洗濯板。
左:昔のポップコーンメーカー。
下:アイスクリームメーカー。
塩と氷を使って氷点下まで冷やす方式のアイスクリームメーカーは、今でもアメリカで売られていますよね。さすがにモーターがついていますが。

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昭和の香り漂う足踏みミシン。(アメリカ製ですが)
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このタイプのミシン、私が中学の時に家庭科実習で使いました。学校の備品であった20台のミシン全部、こういうレトロなものだったんですよね。家の電動ミシンよりもスピードの調整がしやすくて、好きだったのを覚えています。恐る恐る「これ、私がミドルスクールの時に使った」と言ったら、他の国出身のママさんも「私もよ」「私もこれが家にあった」と懐かしそうに話し出し、結構盛り上がりました。

子ども達が探してくる品物はこのミシンではなく、ミシンの上に乗っているものでした。楽器のマラカスみたいに見えますが、木で出来ていて音はしません。これの使い方がわかりますか?
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これは靴下の穴をかがる時に使うものです。丸い部分を下にして穴の開いた靴下にストンと入れれば、手を中に突っ込まなくても穴の開いた部分を簡単に縫い縮めることが出来るという便利グッズです。今では穴の開いた靴下はすぐにボロ布コーナー行きになるので、出番は無くなってしまいましたね。

下は暖房兼調理用のストーブ。
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アイロンはストーブで熱して使います。ある程度経済力のある家庭ではアイロンを二つ持っていて、片方を使っている間にもう片方を熱しておき、交互に使うことで効率良くアイロンがけをしていたそうです。なるほど。

ストーブの上にあったこの道具は何でしょう?
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チーズのおろし金に似たこの道具、実はトースターです。ストーブの上に置き、斜めの所にパンを立てかけておけば4枚一度にトースト出来る優れ物。

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こちらは紙の襟つきシャツ。
昔の人々は毎日洗濯する余裕が無かったので、どうしてもシャツは汚れがちでした。特に襟の汚れは気分が悪いものです。そこで襟だけ取り外して洗えるタイプのシャツが普及し、襟として重宝されたのは真っ白な...紙。紙だけ取り換えればいつも真っ白で気持ちの良いシャツを着ることが出来たという訳です。
凄いアイデア...
感心したいような、したくないような。


洗濯がどのくらい大変かというと、まずは井戸(建物の陰の水道)から水を汲んでくるところから開始です。道具の発表が終わった後は、それぞれのコーナーに分かれてローテーションしながら様々な体験を行いました。
私の担当はお洗濯!
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水汲みだけでも結構大変な作業です。重いし、すぐに溢れて減ってしまうし、何往復してもなかなか溜まらないし。
それでも子ども達は嬉々として水を汲みに行き、思い思いに洗濯を始めました。

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こちらは手動の洗濯機。撹拌レバーを動かして洗濯物を洗います。
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ローラーを通して絞る機能がついた、当時最先端の洗濯機!
だったんじゃないかと思うんですが、ローラーを通しても子どもの手でまだまだ絞れるくらいびしょびしょ。役に立っていたのかな???
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洗濯板に比べて様々な可動部分のあるこの手動洗濯機は、子ども達の好奇心に強烈アピール。大人気でした。
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この日、子ども達が体験したのは4つのコーナーでの活動でした。一つ目は洗濯。
2つ目はStore内でのお買い物シミュレーション。
今は客が品物を持ってレジに行き、会計をするセルフスタイルですが、昔は客が店員に必要なものを告げて、店員が店の中から品物を集めてきて会計をするスタイルのお買い物でした。
子ども達が店員役になり、3人のボランティアが客役になってお買い物。客の買い物リストに従って子ども達は店内をあっちに行ったりこっちに行ったりしながら品物を集め、最後に合計金額を計算したそうです。

3つ目はノコギリで木を切る体験。
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二人がかりで木を切る大振りな鋸を使いました。この鋸は引く時に力を込め、押す時は力を入れてはいけないところにコツがあります。もし押す時に力を入れると、鋸の刃は曲がってしまいます。最悪、刃が折れて怪我をしてしまうかもしれません。
緊張した面持ちで挑戦する子ども達。
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4つ目の活動はshingle作り。
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Shingle(シングル)というのは屋根板、こけら板のことで、以前は屋根を葺く時に使われていました。現在は防火上、あなり使われなくなってしまったものです。
適当な厚さの部分に鉈を当て、槌で打って木の破片を作ります。この力加減がなかなか難しい。
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これは振りかぶり過ぎ。ここまで勢い良くやるとシングルが飛んで危ない。眉毛あたりの高さから槌をふり下ろすのがいいんだよ、とSarahが教えてくれました。


盛りだくさんだった校外学習は、最後に山でお弁当を食べておしまいとなりまし...
と、そこへいきなり馬さん登場。
そういえばWoodside市は人より馬が多いという街でした。
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「誰かボランティアしてくれない?」と飼い主のおばさん。トイレに行っている間、手綱を持っていて欲しいというのです。とても子ども扱いに慣れた人で、本当に手伝いが欲しいというよりは、せっかく出会った子ども達に馬に触れる体験をさせてあげたいといった風情でした。

一人の男の子が勇敢にも立候補。
馬は賢い動物ですが、この馬もなかなかのものでした。飼い主が見えている間は大人しく手綱を持たれていたのですが、ご主人様が見えなくなったと見るや、美味しそうなお弁当を探して鼻を伸ばし、好きな方へトコトコ。
ただし、すぐに自分で自分の手綱を踏んでしまって動けなくなってました。

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途中からは担任の先生も一緒に手綱を持って飼い主のおばさんの帰りを待ちました。それから馬の長い顔を撫でさせてもらって、大満足の子ども達。
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オマケの馬体験も加わって、とても楽しい1日を過ごした子ども達でした。




ー後日談ー
この校外学習の直後、学校中を震撼させる事態が発生。結局は学校区の勘違いだったのですが、勘違いとわかるまであちこちのクラスではパニック状態でした。それは校外学習で分乗する車にかけられた自動車保険に関する規定の問題です。
「お母さん、お願〜い、一回フィールドトリップに来て!」の1回だけだった筈が、成り行きで私が2週続けて校外学習の運転手&引率をするはめに。その話はまた次回に...