読売信条とは?新テロ対策特別措置法に見る政府与党の暴走ぶり!

2008年01月07日

読売社説は、自民党の考えであるのか?

新たな秩序へ やはり日米同盟が基軸だ 自衛隊派遣の恒久法を(1月7日付・読売社説)

◆集団的自衛権を見直せ◆

 世界の平和と安全は、通商国家・日本の存立基盤だ。アジア地域も国際社会全体も、安全保障環境が不安定化している時、安定した新たな国際秩序作りに積極的に取り組むことは、日本にとって死活的な課題である。

 北朝鮮の核とミサイルの脅威をどう除去するか。政治、経済、軍事の各分野で大国化へ突き進む中国と、いかに向き合うか。世界各地で国際テロが続く中、道半ばのイラクとアフガニスタンの復興にどう取り組むべきか――。いずれも日本単独では対処できない。

 戦後の日本外交は一貫して日米関係を基軸としてきた。超大国・米国が保持する軍事抑止力をはじめとする強大な力を、日本の安全は無論、世界の平和と繁栄の支えとするために、今日、日米同盟の重要性は一層強まっている。

 日米同盟の強化とは、緊密に政策調整しつつ、日本の国益を確保する主体的外交である。米国の要求に唯々諾々と応じる対米追従外交ではない。

 日米両国は、北朝鮮に対し、核の完全廃棄を迫っている。だが、北朝鮮は、6か国協議で合意した「完全で正確な核計画の申告」を未(いま)だに実行していない。

 一方で、北朝鮮は現在も、核兵器の開発を続けている。日本を射程に入れるノドン・ミサイルに搭載可能な小型核弾頭を持つようになれば、日本はより深刻な脅威にさらされる。

 核問題の処理は、米朝協議が主舞台となっているが、米国には、北朝鮮に対し、厳しい姿勢で臨むよう求めねばならない。米国による北朝鮮のテロ支援国指定も、日本人拉致問題に進展がないまま、安易に解除すべきではない。

 同盟の深化には、在日米軍再編の着実な実行とともに、ミサイル防衛、周辺有事の相互協力計画策定など、防衛協力の進展が重要だ。

 集団的自衛権は「保有しているが、行使できない」という、矛盾した政府の憲法解釈の見直しも不可欠である。近くまとまる有識者会議の報告を受け、政府は、見直しへ動くべきだ。

 こうした努力を怠れば、日米同盟は揺らぐ。日本の外交・安全保障を支える力の基盤が脆弱(ぜいじゃく)化する。

 「日米同盟の強化」と並ぶ福田内閣の外交の柱は、「アジア外交の展開」だ。日中関係は、その中核である。

 ◆中国軍備増強への懸念◆

 昨年末の福田首相の訪中では、青少年交流の拡大などで合意したが、東シナ海のガス田開発問題は決着しなかった。

 日中が目指すのは、単なる「友好」ではなく、「戦略的互恵」の関係だ。国家戦略が違う両国が、経済、エネルギー、環境などの分野でどれだけ実質的な成果を上げられるのか。今春の胡錦濤国家主席の初来日が試金石となる。

 中国には、国際社会の一員として責任ある行動を促すことが肝心だ。

 艦艇の相互訪問など軍事交流は、地域の良好な安全保障環境の形成につながるものとすべきだ。19年連続で2けたの伸びを示す軍事費の透明性向上を求め続けつつ、海空軍の近代化と活動範囲の拡大の意図に目を向けねばなるまい。

 盧武鉉政権下で停滞した日韓関係の改善も重要だ。李明博次期大統領は、対北朝鮮融和政策の見直しに言及している。北朝鮮包囲網の強化へ、日韓の連携を強めていきたい。

 7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)では、議長国として、主要8か国(G8)と中韓両国との首脳間の対話の機会を作るなど、アジアの安定に寄与する視点も重要となろう。

 日本の安全保障法制上、急ぐべきは、自衛隊の海外派遣に関する恒久法の整備である。

 インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開するための新テロ対策特別措置法案が成立しても、法律の期限は1年だ。期限延長問題で再び膨大な政治的エネルギーを費やしかねない。

 給油も含め、自衛隊の海外任務に関する恒久法制定を目指す方が合理的だ。

 恒久法整備の際、大きな論点は、国連安全保障理事会決議の有無の問題だ。

 民主党の小沢代表は、安保理決議を根拠とする活動のみに自衛隊の派遣を限定するよう主張する。その場合、武力行使を含む活動でも、憲法9条には抵触しない、と言う。従来の憲法解釈の転換であり、検討に値する。

 問題は、“国連至上主義”がはらむ危険性だ。安保理は、中国やロシアが拒否権を行使すれば機能不全に陥る。

 どんな国際平和活動に参加するかは、日本が主体的に判断すべき問題だ。安保理に判断を委ねるのは国家主権の放棄にも等しい。安保理決議がなくても、国会の承認があれば、自衛隊を派遣できる枠組みを定めるべきである。

 ◆防衛省抜本改革が急務◆

 自衛隊の海外任務は、後方支援や人道支援に限定されているが、治安維持や警護、船舶検査の追加を検討する必要がある。そうすれば、インド洋での海上阻止活動への参加も視野に入る。

 その際は当然、自衛隊の武器使用基準を見直すべきだ。現在は、正当防衛と緊急避難に限られているが、任務遂行目的の使用を認める国際標準にしなければ、効果的で安全な活動ができない。

 防衛省の抜本改革も喫緊の課題だ。

 昨年は、守屋武昌前次官の汚職、イージス艦情報漏えいなどの事件が続いた。防衛調達改革、情報保全の具体案をまとめ、早急に実行する必要がある。

 新たな安全保障政策の策定と展開に、国民の信頼回復が不可欠である。

(2008年1月7日16時27分 読売新聞)


読売新聞の社説である。散文的な内容とシナリオであって、何がいいたいのか、が非常に分かりにくい文章である。箇条書きで書いたものを、数珠繋ぎで構成し、社説という名目で読者に訴えているようだが、論点が不明瞭であって、読み手には漠然感しか伝わらないであろう。

1.北朝鮮、中国は脅威であって、また中東は不安定な情勢にある中、日米同盟を機軸に、日本はイニシアティブをとって新たな国際秩序を構築すべきだ。

2.日米同盟を深化させる為には、即刻集団的自衛権の行使を認めるべきだ。

3.戦略的互恵関係が中国との間で目指すべきところであるが、軍備増強など中国の動きに注意していくべきだ。

4.自衛隊の海外派遣については、恒久法制定が最善であるが、民主党の小沢党首が言及している国連安保理決議の有無に依拠するべきではなく、あくまで日本の国会承認ベースで派遣を決めるべきだ。

5.自衛隊の海外任務は、「治安維持」や「警護」、「船舶検査」も包含するべきであり、武器使用基準についても国際標準に変更すべきだ。


上記5点が、概ね主張したい骨子であろう。

北朝鮮、中国脅威論を過剰に喧伝し、それに対抗しうる対極として「日米同盟」を挙げ、ことさらこの同盟関係を持ち上げ、礼賛している。日米同盟をさらに深化させる為には、手土産としてどうしても「集団的自衛権行使」を米国に献上しなければならない、という事を切々と主張しているが、あまりに拙速な意見と言えよう。

「日米同盟の強化とは、緊密に政策調整しつつ、日本の国益を確保する主体的外交である。米国の要求に唯々諾々と応じる対米追従外交ではない。」

外務省が国民に主張したい事を、代わりに読売新聞が代弁しているような文面である。あまりに世間に、対米追従外交が知れ渡ってしまったが為に、苦し紛れの言い訳を断行したのだろうが、明らかなる虚偽であって、実態から乖離している。従属国家あるいは植民地的国家である日本が、主体的外交が出来ているなどというのはおこがましく、もしそうしたいのならば、マスコミは「年次改革要望書」の存在を素直に国民にアナウンスするべきだ。政府の一広報機関に成り下がるのではなく、国家を案じる客観性豊かなジャーナリズムを発揮してみよ、と言いたい。


読売新聞は、右左で言えば、右なのだろうか?

集団的自衛権は行使可能にせよ、自衛隊派遣に関しては恒久法を制定せよ、自衛隊の武器使用基準は国際標準にせよ、という過激な発言のオンパレードであるが、軍事国家ニッポンを作ることで、何が読売新聞にとってメリットがあるのだろうか。ぜひ、聞いてみたい。

自衛隊の海外派遣問題において、もし国際標準の武器使用を認めるならば、それは、即憲法第9条に抵触することを意味し、つまり憲法第9条の形骸化が決定的になる、ということである。詭弁論理を駆使する霞ヶ関であるから、これくらいの暴論くらいは、ブルドーザーのように断行するに違いないが、しかし、もし本当に実行に移そうとするならば、霞ヶ関崩壊は火を見るより明らかである。

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


日本国憲法第9条において、「武力行使はしない」、と高らかに宣言している。それに反して、治安維持という大義を掲げることで、堂々と人殺しをする為に「国際標準の武器使用を可能にする」となれば、日本は、戦後60年以上、平和憲法を守ってきたという「信頼」を、世界に対して裏切ることで失墜することになり、最悪の場合、テロリストの標的にもなりうるであろう。そんな危険極まりない選択をさせようとしている読売新聞の真意は図りかねるし、もし楽観論的考えで一蹴するならば、メディアとしての価値はない。

この社説をまず一読した感想は、自民党的考えに満ち満ちている、ということだ。そして、民主党の小沢代表が主張している「国連安保理決議のもとでの武力行使は憲法第9条に抵触しない」や「恒久法」を丸飲みをすることで、大連立の可能性を模索している姿などは、まさに自民党そのものであり、自民党応援団の様相すら感じてしまう。読売新聞の社説=自民党の主張(考え)なのか、と疑りたくなる今回の社説であった。


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この記事へのコメント

1. Posted by ヨシ   2008年01月08日 09:21
>北朝鮮、中国脅威論を過剰に喧伝し、

朝鮮半島は南北共に徴兵制で、北は金正日の独裁で、南もキチガイ大統領です。半島には160万人の軍人がおり、核やミサイルが配備されています。
中国も200万人以上の軍人がおり、有史以来1回も選挙したことのない独裁国家です。
この3国は間違いなく軍国主義国家です。
日本にとっては大きな脅威です。

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