2008年03月17日
読売の社説に何を見るのか。
イラク戦争5年 米国の力の低下が心配だ(3月17日付・読売社説)
開戦から5年。混迷が続くイラク情勢は、米国の重荷となっている。
こうした状況が東アジアの安全保障に対する米国の役割、責任の低下につながってはいないか。日本にとっても重要な問題だ。
米英が開戦の理由とした大量破壊兵器は、結局存在しなかった。米軍の死者数は約4000人にのぼる。イラク人の死者は、推計で10万人とも15万人とも言われる。それでもまだ、イラクで平和定着の確かな光明は見えない。
◆フセインが招いた戦争◆
こうしたことから、イラク戦争を「大義なき戦争」とする批判がある。だが、開戦に至るまでの長い前段を忘れては、問題の本質を見誤る。
2001年9月11日の米同時テロ後、米国は、大量破壊兵器の開発と拡散の疑惑がある「ならず者国家」への警戒を強めた。
国連安全保障理事会の諸決議に違反し、湾岸戦争後10年以上も大量破壊兵器の廃棄検証義務を果たさないイラクのフセイン政権に疑いの目を向けたのは当然だ。
国連査察の拒否という義務違反をこれ以上続ければ「深刻な結果に直面する」とした安保理決議1441で、イラクはようやく受け入れに転じた。
だが、その後も、査察には限定的な協力しかしなかった。米英の兵力増強という圧力がなければ、それすら実行しなかったろう。
大量破壊兵器が存在しないのであれば、それを挙証して戦争を回避できたはずである。それをしなかったフセイン政権の側に、戦争を招いた非がある。
世界中が、イラクは大量破壊兵器を保有していると考えていた。現に、イランや国内クルド人に化学兵器を使用した前歴があった。日本では、開戦後、イラクは化学兵器を使うな、といった社説を掲げた有力紙もあった。
イラク戦争では、米英と仏露独との対立で、安保理が機能不全に陥った。当時の状況では、米英が武力行使に踏み切り、日本がそれを支持したのは、やむを得ない選択だったと言える。
ブッシュ米大統領はイラクを攻撃する米国の目的について、「イラクの脅威を取り除き、統治を国民の手に戻す」ことをあげた。
5年後の今、イラク民主化はもくろみ通りに進んでいない。戦後統治の準備が万全であれば、今日ほどの混迷はなかっただろう。
◆甘かった戦後の見通し◆
ブッシュ米政権は、異なる宗派、民族によるイラク国内の歴史的な確執を軽視し、すべてを軍事力で解決できると過信していた。
昨年の米軍増派によって、治安悪化にはひとまず歯止めがかかった形だ。だが、14万人の駐留米軍の存在が依然として治安の要である状況に変わりはない。米軍駐留は長期化する可能性が高い。
問題は、イラクの混迷が、国際社会における米国の指導力低下を招き、世界の安定に影を落としている点にある。
米国は、イラクの安定化へ、本格政権の自立支援だけでなく、中東全体の安定に向けた外交の成果をあげる必要がある。それが次期政権の最優先課題でもあろう。
イラクの安定は、原油の9割を中東からの輸入に頼る日本にとっても重要だ。人的貢献と復興支援は続けねばならない。
イラク特措法の延長で、航空自衛隊の輸送業務活動が続いている。その内容や意義への国民の理解を深めることも大切だ。
イラク戦争の影響は、東アジアの安全保障にも及んでいる。日本にとっては深刻な問題だ。
イラク戦争と並行して、北朝鮮は核兵器開発を公然と再開し、ミサイル発射や核実験を強行した。北朝鮮は、イラクは核兵器を持たなかったために攻撃された、と自らの核保有を正当化している。
日本の安全保障環境は北朝鮮の核実験で劇的に悪化した。
東アジアでは、台頭する中国の軍事的な膨張も目立つ。中国軍の幹部が、米軍幹部に太平洋を分割しようと提案したという。そんなことが現実になれば、日本は中国の軍事的圧力にさらされ、国家としての存立も危うくなる。
◆日米同盟強化が大事だ◆
米国がイラク情勢に足をとられ、東アジアでの影響力が減退していく状況は、日本として看過できない。米国の軍事力を背景にした圧力が、北朝鮮に核廃棄の決断を迫る重要なテコとなる。米国の力が弱まれば、北朝鮮は核廃棄に動くわけがない。
日本は、東アジアの安定と繁栄をどう確保していくのか。そのためには緊密な日米関係を維持すべきだ。この地域での米国の力の弱体化は、日本の国益を損なう。
東アジアの重要性について米国と認識を共有し、日米の連携が地域の発展に役立つことを確認していかなければならない。
(2008年3月17日01時30分 読売新聞)
いつもながら偏重極まりない社説を、畏怖堂々と書き立てている。政府与党応援団であり、米国礼賛教の社説には、ある意味、一貫性があって清々(すがすが)しい印象を与えるが、ここまで”悪を悪として断じない”記事には呆れるしかない、としか言いようがない。悪たる事象も、信念を持って喧伝すれば、いつかは善になりうるものだ、ということを実験的に検証しているかのような所行である。
「問題は、イラクの混迷が、国際社会における米国の指導力低下を招き、世界の安定に影を落としている点にある。」
今回の社説で筆者が述べたい事はずばりコレである。イラクが混迷状態にあって、その混迷が故に米国の軍事力という観点での権威が失墜しつつあり、米国の弱体化につけ込む「ならずもの国家」が不穏な動きを見せつつあることに大変なリスクを感じる、といったところであろう。
まず、イラクの混迷であるが、イラク国民からすれば、自分達の土地に土足でいきなり入り込まれ、我が物顔で軍隊を展開され、なおかつ治安すら保証されない日々に晒され続けていれば、普通の人間の感情からすれば、米国他の軍隊・軍人に対して良い感情を持つわけがない。その人間の負の感情が日々蓄積されていく中で、混迷が緩和していく方向に軟化するとは到底考えられないわけで、冷静かつ客観的にこのイラク戦争を眺めれば、混迷は必定であって、予測の範疇にある結果であると言えよう。そうであるならば、イラク戦争開戦当初から、この混迷状態は、米国にとっては想定内の結果であり、裏で暗躍しているであろう武器商人にすれば、願ったり叶ったりの最高の結果と揶揄することもできよう。
ここで注視したいところは、この記事の筆者は、米国の治安維持力、あるいは軍事力を「指導力」と評価している点である。軍事力によって国を統治することを「指導力」と解釈しているわけだが、これはまさに世界がパワーゲームによってのみ動かされていることを暗に示唆したものと言える。
しかも、そのパワーゲームが眼前で行われている事に対して、看過・容認を決め込み、なおかつ礼賛に近いスタンスをとっている。これは、さらっと読み流してしまえば、なんてことはない記事ではあるが、読売新聞という大新聞の社説が、肯定的に、しかも常識と言わんばかりに述べていることに驚愕せねばならない。
パワーゲーム、すなわち弱肉強食社会を、この近代社会において、大手を振って喧伝している事実を我々日本国民はしっかり認知し、その不埒な考えを徹底的に問題視せねば、パワーゲームという世界に飲み込まれかねない。
今の経済は、金融資本至上主義が強権を握っていて、グローバル社会とも言われているが、このグローバル社会とは、「強い者は生き残り、弱い者は死にゆく」という恐ろしい社会を指すものであって、決してユートピア社会を示すものではない。しかしながら、マスコミを通じて虚飾にまみれた喧伝によって洗脳された世界の人々は、デタラメなグローバル社会において、人間の取捨選択を単にされているに過ぎないのだ。明らかに騙されているのだが、しかし、大々的なマインドコントロール下にあっては、人間の力など無力に等しく、悲しいかな、このグローバル社会をチャンスと捉えている輩も存在する。
軍事力、経済力、政治力、どれをとっても「パワーゲーム」に他ならない。力勝負で相手をいかに跪かせるか、その一点に権力者達は知恵を絞っているのである。政治家が、小理屈を色々と永遠と並び立てる姿をたまに垣間見るが、それは表の顔であって、裏の顔では力が何物をも征服できる、としか考えていないものだ。所詮、力任せなのか、と落胆してしまう話であるが、こんな野蛮な論理を真顔で肯定し続ける人間には良識の鉄槌でも打ち込んで、そういう邪(よこしま)な論理が通用しない社会を構築せねばならない。
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しかし、[http://blogs.yahoo.co.jp/b_z_fun_seiji_3/16672743.html 大量破壊兵器の存...


