#中小企業(サービス業)、フィンテック
#関連【131】

フリー vs マネーフォワード。
クラウド会計ソフト事業者同士の争いで、前から気になっていた事件。
フィンテック事案の例として今後の展開に注目したい。

◆訴訟(平成28年(ワ)35763号)

時系列を簡単にまとめると、会社の設立から特許訴訟までの展開が早いことに驚く。

 
  会社関係のイベント 対象特許の経緯
2012/5/18 マネーフォワード株式会社の設立  
2012/7/9 フリー株式会社の設立  
2013/3/18   原特許出願
(特願2013-216457)
2013/10/17   分割出願
(特願2013-55252)
+審査請求
2014/1/14   分割出願が特許査定
(特許5503795)
2016/10/21 訴訟提起  


◆事業者
クラウド会計ソフトの業界では、1番手が弥生で、2番手をfreeeとマネーフォワードがしのぎを削っている状況のようだ。以下のリンクの【図表3】をみるとマネーフォワードの勢いが伺える。


freee側には焦りもあるのかも?
(略)
個人的にこの背景には「freee社の焦り」があるのではないかと踏んでいます。
(略)
freeeは2015年まで利用者数の増加を定期的に発表していましたが、2015年11月以降は会員数が伸びていないのか、まったく音沙汰なしです。
マネーフォワードの伸びが凄い:
反面、マネーフォワードについては家計簿ソフトの利用者が急増中で、それに応じてクラウド会計ソフトの利用者も更に伸びている可能性があります(MFクラウドは40万以上)。

◆特許件数
さて、両者の保有特許件数はそれほど多くない。出願履歴から察するにフリーは今後も戦略的に特許出願をしていくように推測する。経営者が特許を尊重しているように思う。一方、マネーフォワードは現時点で特許権を保有しておらず、少し意識を改める必要があるように思う。今後、訴訟(戦争)をしていく上で特許権(武器)は増やしておく必要があるだろう。例えば、DeNAとグリーのケース(DeNAの特許の傾向 +グリー)では、訴訟後に両者の特許出願件数が急増しているが、やはり訴訟が生じた以上、特許力(軍事力)の向上は必須であるように思う。

なお、現時点で弥生も特許権をあまり持っていないようだ。今回の訴訟では弥生は部外者だが、防衛力(特許権)を高めておく必要があるのではないかと思う。

○フリー株式会社
項番 文献番号 発行日 出願日 筆頭IPC
1 特開2017-016696 2017年1月19日 2016年9月23日 G06Q 40/00
2 特開2017-016695 2017年1月19日 2016年9月23日 G06Q 40/00
3 特開2016-173838 2016年9月29日 2016年5月9日 G06Q 40/00
4 特開2016-085750 2016年5月19日 2015年12月3日 G06Q 10/06
5 特開2016-085562 2016年5月19日 2014年10月24日 G06Q 10/06
6 特開2016-021147 2016年2月4日 2014年7月14日 G06Q 10/00
7 特開2014-182787 2014年9月29日 2013年10月17日 G06Q 10/00
8 再表2014/148045 2017年2月16日   G06Q 10/00


9 特許5936284 2016年6月22日 2014年7月14日 G06Q 10/00
10 特許5503795 2014年5月28日 2013年10月17日 G06Q 10/00


○マネーフォワード株式会社

項番 文献番号 発行日 出願日 筆頭IPC
1 特開2016-149103 2016年8月18日 2015年2月13日 G06F 21/33


○弥生株式会社

項番 文献番号 発行日 出願日 筆頭IPC
1 特開2014-235484 2014年12月15日 2013年5月31日 G06Q 10/00
2 特開2012-146158 2012年8月2日 2011年1月13日 G06Q 10/06
3 特開2011-170490 2011年9月1日 2010年2月17日 G06Q 10/00
4 特開2011-118697 2011年6月16日 2009年12月3日 G06F 9/445

5 特許5898126 2016年4月6日 2013年5月31日 G06Q 10/00
6 特許5357726 2013年12月4日 2009年12月3日 G06F 9/445
7 特許4257284 2009年4月22日 2004年10月25日 G06Q 10/00
8 特許4233537 2009年3月4日 2005年4月1日 G06Q 10/00
 
◆その他
この事件に関連して、特許法第105条の改正について言及している記事がある。
今後、日本でも特許訴訟の実効性が高くなっていくのだろうか。

特にハードルの高さが顕著なのが、ソフトウエア関連の訴訟だ。設計図や処理に使われたデータは営業秘密そのもので、訴える側がその詳細を知ることは至難の業だ。  

(追記)

フリーの請求が棄却されたようだ。
請求棄却というのはどういうことだろう。無効の蓋然性が高いのだろうか。

  ↓ というわけではなく、そもそも議論が噛み合ってなかったようだ。


通常、知財訴訟は14カ月程度の期間が必要となるが、今回の場合は9カ月でのスピード判決となった。マネーフォワードでは、freee側がマネーフォワードの持つ技術についての十分な検証を実施せず、特許を侵害していないとする実例に対して具体的な反論もないことから、早期終結につながったと分析している。なお、freeeは提訴の6カ月後に、別特許の侵害も主張したが、タイミングが遅すぎたとのことで裁判所から却下されている。
今回の裁判は、“機械学習 VS 対応テーブル”と主張されていますが、そこには語弊があります。freeeは機械学習も活用していますし、会計ソフトで機械学習を使った自動仕訳機能の特許を持っています。今回、それは争点にはなっておらず、もう一つ手前にある「自動仕訳をするかしないか」というコアの部分、自動仕訳そのものの考え方に関する特許です。機械学習をするかどうかで争っていないのです。
 別の特許で訴訟を提起するのだろうか。

(追記2)
自動仕訳で特許侵害なし、マネーフォワードがfreeeに勝訴
 既に判決文の内容がわかるような状態になっていた。

(追記3)
フリー、特許侵害訴訟控訴せず 請求棄却確定 (2017/8/11)
 本件に関しては終了したようだ。


・『会計処理装置、会計処理方法及び会計処理プログラム』
・原出願日:2013/3/18
・登録日:2014/3/20

【請求項1】
  クラウドコンピューティングによる会計処理を行うための会計処理装置であって、
  ユーザーにクラウドコンピューティングを提供するウェブサーバを備え、
 前記ウェブサーバは、
  ウェブ明細データを取引ごとに識別し、
 各取引を、前記各取引の取引内容の記載に基づいて、前記取引内容の記載に含まれうるキーワードと勘定科目との対応づけを保持する対応テーブルを参照して、特定の勘定科目に自動的に仕訳し、
 日付、取引内容、金額及び勘定科目を少なくとも含む仕訳データを作成し、
 作成された前記仕訳データは、ユーザーが前記ウェブサーバにアクセスするコンピュータに送信され、前記コンピュータのウェブブラウザに、仕訳処理画面として表示され、
 前記仕訳処理画面は、勘定科目を変更するためのメニューを有し、
 前記対応テーブルを参照した自動仕訳は、前記各取引の取引内容の記載に対して、複数のキーワードが含まれる場合にキーワードの優先ルールを適用し、
 優先順位の最も高いキーワードにより、前記対応テーブルの参照を行う
ことを特徴とする会計処理装置。


【0040】
  ウェブ明細データの取り込みは、・・・ウェブスクレイピングによって、金融機関151、クレジットカード会社152等から各種のウェブ明細データを取得することができる。

【0047】
 大企業は、企業間の取引が複雑で、入出金先としては同一の取引先に対して異なる勘定科目に分類すべき取引が多い。したがって、入出金明細の取引内容の記載から自動的に勘定科目を特定することは、不可能である。企業間取引の入り組んでいない中小企業及び個人事業主に着目して初めて、取引内容と勘定科目との関連づけを類型化して、対応テーブルの作成が可能となる。

【0055】-【0059】
 「モロゾフ  JR大阪三越伊勢丹店」という取引内容・・・「モロゾフ」が勘定科目を規定し、「接待費」が候補

#比較的わかりやすい技術だが、これだけで訴訟を戦い抜くことができるのだろうか。
 

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