弁理士Tajの発明研究ブログ

『発明にこだわる弁理士』を目指したいと考えています。
※掲載内容についての完全性・正確性は保証しておりません。

2016年09月

一日一特許と題して、108日間連続で特許ネタをブログに公開した。当面の目標であった煩悩の数(108回)に達したので、一旦ここで公開を休止する。


テーマを決めずに特許を108件眺めることにしたら、以下のような結果になった。最後の方は実務ネタが増えて分量も多くなっていった。この後は、内容の訂正・追加を適宜行なっていく予定。


【108】 特許5124129 大成プラス株式会社 <中小企業知財コンサル>
オープン・クローズ戦略
新市場創造型標準化制度
※追記:20160920 
【107】特許2795634 株式会社ニッコー <中小企業知財コンサル>
ニッチトップ戦略
【106】 特許3442138  パイオニア株式会社 <損害賠償請求事件>
v. ガーミン+いいよねっと
均等論
※追記:20170524
※追記:20170629
【105】 EP0862402  PROCTER & GAMBLE  EPOにおける補正
※修正:20170612
【104】 特許5192598  個人発明家 高専学生発明家
Arduino、メイカー革命
【103】 特許3762882  インターネットナンバー株式会社 <有名判例:知裁>
インターネットナンバー事件
【102】 US6108703  MIT+Akamai <米国判例>
Akamai事件
【101】 特許4200492  筑波大学+CYBERDYNE株式会社  「ロボットスーツHAL」
【100】 特許2938338  株式会社デンソー 欧州発明家賞2014
「QRコード」 
【099】 特許5338268  マツダ株式会社 平成28年度恩賜発明賞
「ディーゼルエンジン」 
【098】 US6155840  Williamson <米国判例>
Williamson事件
MPFクレームについてのCAFC判決
【097】 CN10041617  珠海格力電器 中国のエアコン
※追記:20170501  
【096】 US8275803  IBM  「ワトソン」
※追記:20180124
【095】 US5970479  ALICE CORPORATION <米国判例>
Alice事件
※追記:20171002
【094】 特許3278410  キヤノン株式会社 <有名判例:最高裁>
インクタンク事件
特許権の消尽 
【093】 US5352605  MONSANTO <米国判例>
「ラウンドアップレディ大豆」
特許権の消尽 
※追記:20160915 
【092】 特許5946491  株式会社ペッパーフードサービス  「ステーキの提供システム」
外食産業の特許出願状況
※追記:20161221 
※追記:20170907 
※追記:20171218 
※追記:20180120 
【091】 特許4157412  富士フイルム株式会社 v. ソニー株式会社
「磁気テープ」
※追記:20170126
※修正:20170906  
【090】 特許3070597  凸版印刷株式会社  v.越後製菓
「鏡餅包装体」 
【089】 US7706348  Samsung  8 v. Apple
ITCの経緯 
【088】 US7479949  Apple 7 v. Samsung
ITCの経緯 
【087】 US6226449  Samsung  6 v. Apple
【086】 US8046721  Apple  5 v. Samsung
第2訴訟の経緯
※追記:20161031
※追記:20171108 
【085】 US7675941  Samsung  4 v. Apple
【084】 US7844915   Apple  3 v. Samsung
【083】 US7469381  Apple  2 v. Samsung
第1訴訟の経緯 
※追記:20161211  
【082】 US7864163  Apple  1 v. Samsung
【081】 特許5586052  有名人 ドクター中松
「選挙ビラ」
【080】 US8970182  TESLA MOTORS INC  「バッテリーセル充電システム」
【079】 US5800808  Teva Pharm. USA Inc  <米国判例>
Teva事件
v. SANDOZ, Inc
【078】 特許3737801  テバ ファーマスーティカル インダストリーズ リミティド <有名判決:最高裁>
プラバスタチンナトリウム事件
PBPクレームに関する判決 
※追記:20161015 
【077】 特許3231033  株式会社ナビット 主婦の発明
【076】 特許3691337  個人発明家 主婦の発明
「ペン先すーぴぃ」
【075】 特許3620045  佐藤食品工業株式会社  切り餅事件2
※追記:20161207  
【074】 特許4111382  越後製菓株式会社  <差止等請求事件>
切り餅事件
※追記:20161017
※追記:20161207
※追記:20170528
【073】 特許4209927  個人発明家 岡山県立高松農業高等学校の卒業生
テンペ入りチーズの製造方法
【072】 特許4671663  サンヨー食品株式会社 v,日清食品ホールディングス株式会社 無効審判
【071】 特許5956615  アルカテル-ルーセント 「分散電子振込みシステム」
【070】 特許4381470  日清食品ホールディングス株式会社 v.サンヨー食品株式会社
【069】 特許3350773  株式会社カプコン  v.コーエーテクノゲームス
※追記:20171222 
【068】 US7959296  RealD  v. MasterImage 3D
【067】 特許5849345  アルデバラン ロボティクス SoftBank関連企業
※追記:20180123 
【066】 特許5755785  ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社 SoftBank関連企業(旧)
【065】 特許5397947  アリババ・グループ・ホールディング・リミテッド  SoftBank関連企業
【064】 特許4789931  孫正義 SoftBank関連企業
「コンテンツ配信」
【063】 特許5666219  ソフトバンク株式会社 SoftBank関連企業
「眼鏡型表示装置」
【062】 特許5480058  ヤフー株式会社 SoftBank関連企業
【061】 US5742605  Sprint  SoftBank関連企業
v. Comcast
【060】 特許5946441  ペイパル SoftBank関連企業
「モバイル装置及びPOSシステム」
【059】 特許5328366  ARM Ltd SoftBank関連企業
【058】 特許5918806  株式会社外為オンライン 「iサイクル注文®」
※追記:20180105
【057】 特許5941237  株式会社マネースクェアHD  v. 株式会社外為オンライン
※追記:20170205
※追記:20180105     
【056】 特許5382754  サントリーホールディングス株式会社  <差止等請求事件:地裁>
v. アサヒビール株式会社
【055】  特許4704668  株式会社エフピコ <仮処分>
v. シーピー化成株式会社 2
【054】 特許3377764  株式会社シラヤマ  <差止等請求事件:高裁>
v. 株式会社ダイクレ
【053】 US7124847  BRP  v. Arctic Cat
【052】 特許4797120  有名人 大前研一
【051】 特許3027441  千住金属工業株式会社 第4回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞 
【050】 特許4557295  個人発明家 v. エフピコチューパ株式会社 無効審判
【049】 特許3875247  株式会社エンプラス  v. ソウル半導体 無効審判
※追記:20170327 
※追記:20171205  
【048】 US6473554  ソウル半導体  v. エンプラス 侵害訴訟
【047】 特許4170041  ナイトライド・セミコンダクター株式会社  ソウル半導体他との相関
※追記:20161206
※追記:20170531    
【046】 US5075742  ソウル半導体  v. 日亜化学工業
【045】 KR100827690  Seoul Viosys  韓国語特許文献調査
【044】 US7982207  Seoul Viosys v. Salon Supply Store
【043】 特許5943449  個人発明家 中学生発明家
第74回全日本学生児童発明くふう展
※追記:20170529
【042】 特許2763099  Qualcomm  10 The number of JP applications
【041】 US5452473  Qualcomm  9 v. Nokia
【040】 US5103459 Qualcomm  8 v. Ericsson
【039】 US5452104  Qualcomm  7 v. Broadcom
【038】 US6717908 Qualcomm  6 v. Broadcom
【037】 CN103797747  Qualcomm  5 QRD
【036】 CN103270797  Qualcomm 4 技術用語
【035】 CN103229448  Qualcomm 3 中国
【034】 CN103081532  Qualcomm  2 中国
【033】 CN105451308  Qualcomm  1 中国
【032】 特許4365885  大阪エヌ・イー・ディー・マシナリー株式会社 <差止等請求事件:高裁>
v. 大原鉄工所
【031】 特許4756286  ダイソン 羽根なし扇風機
【030】 GB2469049  Dyson  v. Samsung
【029】 特許4530094  日亜化学工業 v. 立花エレテック+エバーライト 2
【028】 特許3972943  日亜化学工業 v. 立花エレテック+エバーライト
※追記:20170127
【027】 特許3680121  シャープ株式会社 プラズマクラスター
【026】 特許5871347  株式会社Orb  仮想通貨管理プログラム
【025】 US8530250  日亜化学工業株式会社 米国訴訟201606
【024】 EP0936682  日亜化学工業株式会社  v. B&Q 英国
【023】 US6022329 Stryker  <米国判例>
Stryker事件
三倍賠償
【022】 US6793545  Arctic Cat  v. BRP
【021】 特許5305693  株式会社エフピコ <仮処分>
v. シーピー化成株式会社
※追記:20160929 
【020】 特許3803823  リスパック株式会社 v. 株式会社エフピコ  無効審判
【019】 US6193520 エイディシーテクノロジー株式会社 パテントトロール?
【018】 特許5524148 エイディシーテクノロジー株式会社 パテントトロール?
【017】 特許4644735 エイディシーテクノロジー株式会社 パテントトロール?
【016】 特許3408154 エイディシーテクノロジー株式会社 パテントトロール?
【015】 特許2590397 エイディシーテクノロジー株式会社 パテントトロール?
【014】 US6587759 AMERICAN CALCAR パテントトロール
米国ホンダ事件
【013】 US5845265 MercExchange  <米国判例>
eBay事件
差止の要件 
【012】 US5892697  Uniloc パテントトロール?  3
【011】 US5490216  Uniloc パテントトロール?  2
【010】 US6857067 Uniloc パテントトロール?
【009】 US6860785 Swimways v. Zulu
【008】 特許4166085  Swimways  ウォーターフロート
【007】 特許4727154 アテナ工業 容器
【006】 特許5734596  有名人 保阪尚希
※追記:20171012 
【005】 US8781292 Digital Ally  v. Watch Guard Video
【004】 US7116710 Caltech  v. Apple
【003】 特許5237617 原田工業株式会社  <差止等請求事件:地裁>
v. 株式会社ヨコオ
※追記:20161126
※追記:20170123
※追記:20170320  
【002】 EP1154969 3M  v. Zinkonzahn
【001】 US8369278  HUAWEI v.  Samsung
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#中小企業(資本金140,000,000円)、オープン・クローズ

前回(【107】)に引き続き、先日のセミナーで仕入れたネタ。
最近聞いた特許の話の中では一番興味深かった。

数年前から、「オープン・クローズ戦略」という言葉が流行っている。ここで、クローズというのは秘匿というより独占というイメージで捉える点に留意する必要がある。
オープン・クローズ戦略とは、これらの知的財産のうち、どの部分を秘匿または特許などによる独占的排他権を実施(クローズ化)し、どの部分を他社に公開またはライセンスするか(オープン化)を、自社利益拡大のために検討・選択することである
2013年版ものづくり白書第1部第1章第3節(その3)より引用
そして、オープン・クローズ戦略では、標準化という話が密接に関わってくる。標準化と特許の関係については、以下のリンク先の図3が理解しやすいと思う。


経済産業省では、標準化を利用した特許の活用パターンとして3つのパターンに整理して考えている。
「A.自社特許が必須特許となっている標準」
「B.自社特許等の周辺レイヤーが標準」
「C.自社特許等を内包した製品を評価する標準」

ここで、タイプCのケースに対して、国も支援に相当な力を入れているようだ。具体的には、「新市場創造型標準化制度」の活用により、日本発のISO規格の発行を進めて、新市場創出を実現しようとしているようだ。

なお、タイプAは日本がDVDを開発したのに、製品のモジュール化とパテントプールのRAND条件との影響で、製品開発費を回収できず(製品開発費>ライセンス料)、市場撤退を余儀なくされた形態かと思う。
タイプBは、巷で騒がれている、いわゆるオープン・クローズ戦略の形態。おそらく、中小企業にとってはハードルが高い。中小企業に、自社技術をレイヤーに分けるほどの余裕はないかと思われる。
タイプCは、中小企業に活用してもらいたいところ。ただし、技術分野が限定されるような気がする。この点は、国(経産省)も模索しているような印象を受ける。




上記「新市場創造型標準化制度」の第1号成功事案が、大成プラスにより提案された「樹脂-金属 異種材料複合体の評価方法のISO規格」とのこと。ちょっと調べると、こんな会社があったんだと驚かされる。今後、大成プラスの成功事例の波及効果が期待されるところだ。

○関連リンク
・東京商工会議所
同社では、『くっつけたもの』を特許出願し、『くっつけるための方法』を秘匿する方針を取ることとなる。接合技術を権利化することもできたが、仮に訴訟になった場合、中小企業の力では、「被告が当社の技術を使って製造している」ことを証明をすることが難しく、事業の核となる技術を守れない恐れがあることがネックとなった。大成プラスにおける「オープン&クローズ戦略」の萌芽である。


○特許傾向
・特許公報123件(公開特許公報234件)
大成プラス株式会社



今回は、大成プラス株式会社の特許の中で、「ISO」という用語が含まれるもののうち、一番古いものを抽出した。


(追記)
標準化活用支援の動きが加速しているようだ。
標準化アドバイザーが一体どこにいてどのように選抜されているのかがよくわからない。




●特許5124129
・優先日:2015/12/8
・大成プラス株式会社+東レ株式会社
・「アルミニウム合金と樹脂の複合体及びその製造方法」
First page clipping of JP2007182071 (A)

【請求項1】
 アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミン化合物から選択される1種以上の水溶液に浸漬する工程を経て電子顕微鏡観察で数平均内径10~80nmの凹部で表面が覆われたアルミニウム合金部品と、
 前記アルミニウム合金部品の前記凹部に射出成形で侵入して固着され、主成分がポリアミド樹脂で従成分が耐衝撃性改良材である樹脂分組成の熱可塑性合成樹脂組成物部品と
 からなる金属樹脂複合体。

【請求項11】
 数平均内径10~80nmの凹部で覆われたアルミニウム合金部品の表面とする為の、アンモニア、ヒドラジン、及び水溶性アミンから選択される1種以上の水溶液への浸漬処理工程と、
 該浸漬処理工程が為された前記アルミニウム合金部品を射出成形金型にインサートし、主成分がポリアミド樹脂で従成分が耐衝撃性改良材である樹脂分組成の熱可塑性合成樹脂組成物を射出して樹脂組成物部品として成形すると共にこれを前記アルミニウム合金部品の前記凹部に侵入して接合する工程と
 からなる金属樹脂複合体の製造方法。

 ↓ パテントファミリー
CN101341023 (B)
EP1958763 (B1)
EP2572876 (B1)
KR101062055 (B1)
KR101240756 (B1)
US8057890 (B2)
WO2007066742 (A1)

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#中小企業(資本金 30,000,000円)


先日、「中小企業、これからの戦略」というセミナーに参加した。
講師の一人に、有名な鮫島正洋先生がいた。以前、下町ロケット関連の特集記事を企画したことがあり、話を聞かせてもらうために事務所に訪問したことがある(懐かしい)。
【鮫島正洋弁護士】IPマネジメントレビュー3号 『下町ロケット』特集記事(コメント掲載)
 #リンク切れ

というわけで、中小企業の特許活動についてメモしておきたいと思う。鮫島先生曰く、セミナーの資料は積極的に活用してもらってよいということなので、ここでも利用させてもらおうと思う。 

◆フレームワーク
まず、企業分析のフレームワークとして、以下の4つの要件に着目するのが効果的のようだ。
技術の収益化要件
①自社技術でカバーできるマーケットが存在するか。
 →(自社技術で足りない場合)共同開発などで補完
②独自製品の立案・開発着手
③当該製品の製造が可能か。=下請けの場合通常は○
④当該製品の販売能力があるか。
 →販売委託
要するに、「マーケット(ニーズ)」「開発能力」「製造能力」「販売能力」の有無なのかと思う。

例えば、「ものづくりベンチャー企業」なら、
・マーケット→OK
・開発→OK
・製造→NG
・販売→NG
なので、製造、販売で補完するための対応が必要になる。

また、「ものづくり中小企業(下請け)」なら、
・マーケット→NG
・開発→NG
・製造→OK
・販売→NG
なので、マーケット、開発、販売で補完するための対応が必要になる。
この場合には、大学等との産学官連携の取り組みなども検討に値する。

◆ニッチトップ戦略
さて、中小企業がとり得る戦略の一つとして「ニッチトップ戦略」というのがある。
市場規模が小さくて大企業が入ってこないところで独占するという考え方のようだ。
この戦略では市場独占することで売上は低くても高い利益率が見込まれる。

この戦略をとる中小企業を上記フレームワークで考えると、
・マーケット→小規模
・開発→独占
・製造→自前
・販売→自前or大企業と連携
ということになるらしい。この際、開発・製造を独占するために特許を活用できる場合がある。ここで重要なのは、他者に「必須特許を1件も取らせない」ということだ。そのためには、他者が市場参入するのを敬遠するぐらい、自分が大量に特許出願しておくことも有効のようだ。

◆具体例
さて、ニッチトップ戦略を体現している代表的企業が「株式会社ニッコー」のようだ。
ニッコー様・知財戦略の経営的評価
・オートシェラーの国内市場はたかだか年間3億円程度。
・大企業が参入する規模ではない。
・同業中小他社にとっても特許リスクを冒しても参入する市場ではない。
・ニッコーのシェアは100%→3億円は確実にニッコーの懐に。
・価格決定力があるので利益率も高いはず。
・他の商品ラインもこのモデルを踏襲。
○関連情報
・ミラサポ 株式会社ニッコー
・ミラサポ Vol.39 我に続け、海外展開!
・札幌学院大学 経営学部 カテゴリ フィールド実践報告書2013
  ・「最近注目されている商品は「海氷」と呼ばれる装置である。この装置は、2013 年 10 月、北海道新技術・新製品開発賞を受賞した装置である。」
  ・「三ツ星製菓販売のロールケーキ「よいとまけ」の切断機も同社のヒット商品の1つである。」
  ・「横浜崎陽軒のシューマイのパック詰め自動化ラインも同社のヒット商品である。 」
 事業を強くする知財活動
・パテント2008 Vol.61 No.10 「 知財経営理論と知財経営コンサルティング
 特許2795634、特許3742725


○ニッコーの特許
・株式会社ニッコー(591205835)→特許公報11件(公開特許公報24件)
・株式会社ニッコー(999999999)→特許公報2件(公開特許公報0件)
・社長:佐藤厚(395014563)  →特許公報16件(公開特許公報34件)

出願傾向を見てみると、ここ数年は特許出願がゼロになっている。特許の役割が終了したのだろうか。

ニッコーの出願傾向

ニッコーの筆頭IPC

ニッコーの特許は筆頭IPCが「A22C25/08」「A22C29/04」のものが多い。そこで、筆頭IPCが「A22C25/08」「A22C29/04」の特許権を調べてみると、74件がヒットした。そのうち、出願日が1996年9月以降のものは51件。この分野では出願日が2012年以降の特許出願が抽出されない。2012年に何かあったのだろうか?

筆頭出願人 件数
サンデン商事株式会社 1
クリアウォーター シーフーズ リミテッド パートナーシップ 1
東洋水産機械株式会社 他 1
有限会社 アール 1
株式会社ヤナギヤ 2
佐藤 厚 4
有限会社カムサ商事 3
東洋水産機械株式会社 1
株式会社イトハラ水産 1
有限会社よしっくす 1
ノルデイシェル・マシーネンバウ・ルド・バアデル・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニ・カーゲー 3
藤田 智 1
有限会社おさかな企画 他 1
株式会社むつ家電特機 8
卜部産業株式会社 2
日清フーズ株式会社 1
株式会社前川製作所 4
青森県 他 2
ササカット ピーティーワイ リミテッド 1
杉山 弘昭 1
三水株式会社 他 1
藤田 芳雄 1
ヤンマー株式会社 他 1
本田 太 1
経澤 幸弘 4
株式会社マリンケミカル研究所 1
日本車輌製造株式会社 1
広島県 1

株式会社ニッコーがこの分野の特許で圧倒的なシェアを持っていたというわけでもなさそうだ。改めて、筆頭IPCが「A22C25/08」「A22C29/04」の特許で、「ホタテ」「貝」に関連するものを調べたら15件がヒット。

文献番号 発明の名称 筆頭出願人 出願日
特許5916406 剥き身貝柱の臓物取出し機 サンデン商事株式会社 2012年2月3日
特許5768054 軟体動物加工装置および関連する方法 クリアウォーター シーフーズ リミテッド パートナーシップ 2010年10月27日
特許4790788 二枚貝の異臭除去方法 株式会社イトハラ水産 2008年12月24日
特許4759549 カキ殻剥き具およびカキ殻剥き方法 有限会社よしっくす 2007年9月28日
特許4275181 殻付き生カキの殻開け用ナイフ 藤田 智 2007年7月4日
特許4213732 岩牡蠣用殻開け具および生食用の生岩牡蠣 卜部産業株式会社 2006年6月5日
特許4241570 貝清浄機 株式会社むつ家電特機 2004年10月15日
特許4241566 ホッパー及びホッパー付き貝表面清浄機 株式会社むつ家電特機 2004年10月1日
特許4164475 貝処理方法とそれに使用される貝処理装置 株式会社むつ家電特機 2004年7月26日
特許4093986 貝表面清浄機 株式会社むつ家電特機 2004年5月7日
特許4098257 ホタテ中腸腺除去機、およびそれを用いた自動中腸腺除去装置、ならびにそれらによるホタテ中腸腺除去方法 青森県 他 2004年2月17日
特許4093954 貝表面清浄機 株式会社むつ家電特機 2003年12月26日
特許4084178 貝処理方法及び貝処理装置 株式会社むつ家電特機 2002年12月13日
特許3962636 貝の中腸腺除去方法とそれに使用される中腸腺除去装置 杉山 弘昭 2002年6月12日
特許4436009 2枚貝分離方法および分離装置 佐藤 厚 2001年5月9日
特許3660596 貝処理方法とそれに使用される貝処理装置 株式会社むつ家電特機 2001年1月22日
特許4190718 二枚貝の内臓吸引装置 株式会社前川製作所 2000年10月30日
特許3726059 貝処理方法とそれに使用される貝処理装置 株式会社むつ家電特機 2000年7月21日
特許3352447 ホタテ貝のヒモ取り装置 経澤 幸弘 2000年3月13日
特許3352444 ホタテ貝のヒモ取り装置 経澤 幸弘 2000年2月7日
特許3686913 二枚貝の開殻方法及び装置 三水株式会社 他 1999年8月6日
特許3641971 貝類の中腸腺姿勢制御方法及び中腸腺除去吸引力制御方法、並びに貝類の中腸腺自動除去方法 青森県 他 1999年3月26日
特許4210380 貝類の異物除去方法 日清フーズ株式会社 1999年2月19日
特許3419700 帆立貝中腸腺の分離装置 株式会社マリンケミカル研究所 1999年1月28日
特許3630571 二枚貝の脱殻方法 ヤンマー株式会社 他 1998年11月30日
特許2995557 生食用殻付きかきの加工処理方法及び加工品 広島県 1998年8月11日
特許3980656 二枚貝の処理のための位置決め ササカット ピーティーワイ リミテッド 1998年6月9日
特許3577622 殻付き生カキの出荷方法 本田 太 1997年10月1日
特許3554637 2枚貝の内臓分離方法および装置 佐藤 厚 1996年7月31日
特許3690431 ホタテ貝の内臓分離吸引装置 株式会社前川製作所 1996年4月19日
特許3549668 ホタテ貝加工機のセンタリング装置 株式会社前川製作所 1996年4月19日
特許3549667 ホタテ貝加工機の加熱開口装置 株式会社前川製作所 1996年4月19日
特許2795634 2枚貝生剥方法および装置 佐藤 厚 1996年4月12日
特許3612128 2枚貝の内臓分離装置 佐藤 厚 1995年12月28日
特許2895781 二枚貝の身と殻の分離方法 池田 昭夫 1995年10月3日
特許3062063 貝柱取り方法、及び、ホタテ貝柱取り機 株式会社前川製作所 1995年9月19日
特許3625529 カキ・ホタテ剥き機 ▲えき▼田 道明 1995年6月9日
特許2630925 ホタテ中腸腺自動除去装置 萩野 次郎 1995年5月31日
特許2631359 廃棄されているほたて貝の外套膜を食品に有効に利用する中腸腺の除去方法と装置 西村産業有限会社 他 1995年4月12日
特許3374226 牡蠣集合体の分離装置 戎崎 進 1994年11月14日
特許2649777 生二枚貝の殻開き方法 北海道あけぼの食品株式会社 他 1994年7月4日
特許2709439 二枚貝の開口方法および装置 有限会社片岡環境エンジニア 1994年4月8日
特許2699141 殻むきの容易な殻付き生カキ 佐々木 良治 他 1993年8月26日
特公平07-002075 帆立貝の貝柱スライス装置 株式会社大惠食品 1992年10月26日
特公平07-036741 帆立貝の脱殻装置 株式会社大惠食品 1991年11月5日
特許2989034 加工貝の製造法 アヲハタ株式会社 1991年5月30日
特許2735644 ホタテ貝のウロ除去装置 株式会社ニッコー 1989年10月20日
特公平07-022486 貝類の殻実分離機 角長水産株式会社 1986年4月30日
特公平06-034677 貝類の選別機 株式会社海研 1985年7月20日

株式会社ニッコーが他社に先んじて特許権を有していたことは認識できる。ただ、他社に比して積極的に特許出願をしていたかはよくわからない。当然だが、上手な知財活動と特許出願することとにはギャップがある。この辺りは、時間のあるときに改めて考察しようと思う。


●特許2795634
・出願日:1996/4/12
・佐藤厚
・「2枚貝生剥方法および装置」
#本権利消滅日(平28.4.12) 

First page clipping of JPH0994053 (A)
【請求項1】
 2枚貝からなる原貝の一方の貝殻の表面を原貝の食する部位が生の状態を保持し、かつ、食する部位の貝殻との接合部位がゲル状となるまで加熱し、
 加熱停止後、まだ閉じた状態とされている原貝の各貝殻を強制的に拡開し、
 その後原貝の貝殻から食する部位を分離する
ことを特徴とする2枚貝生剥方法。

【請求項4】
 2枚貝からなる原貝の一方の貝殻の表面を原貝の食する部位が生の状態を保持し、原貝の口が自然開口しないように加熱する加熱手段と、
 2枚貝からなる原貝の貝殻を強制的に拡開する強制殻開手段と
を有することを特徴とする2枚貝生剥装置。

 ↓パテントファミリー

CA2181762 (C)
CN1163148 (C)
US6086468 (A)


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#大企業(東証一部)

最近の特許事件。

以前、御世話になった方が関与した案件ようだ。
均等論についても論じられていて、実務的にも勉強しておきたいところ。
今回は地裁判決なので、今後どうなるかチェックしていきたいと思う。

また、ガーミンの代理店である、株式会社いいよねっとも当然に訴えられている。
外国企業との訴訟では代理店を巻き込むというのは定石なんだろう。
cf 日亜vsエバーライト+立花エレテック【028】【029】


(追記)
○現時点の保有特許件数
・パイオニア  特許公報1138件(「ナビゲーション」で限定)
・ガーミン   特許公報8件(公開特許公報15件)
・いいよねっと 特許公報0件(公開特許公報0件)

ガーミンの日本での保有特許件数が随分少ないような印象を受ける。米国の特許件数もチェックしてみた。 米国での保有特許件数(消滅済みのものを含む)でも両社に随分差があるように思う。少し違和感を抱いたが、当該分野の市場規模を調べてみると特許件数とも整合性が取れているように思われる。

 ↓
・PIONEER CORPORATION  2440
・Garmin 580
  Garmin Switzerland GmbH 143
  Garmin Ltd. 252
  Pronav 1

cf The leading automotive infotainment vendors in 2015, based on estimated infotainment revenue (in million U.S. dollars)



◆背景
2009年頃から、パイオニアは特許権を使って他社を牽制していたようだ。

○パイオニアのニュースリリース
 (訴訟対象特許)
  米国特許第 5,365,448 号
  米国特許第 5,424,951 号
  米国特許第 6,122,592 号  
  欧州特許第 0775892 号
  欧州特許第 0508681 号 

今回のクロスライセンス契約の締結により、ハネウェル社に対する訴訟を終結させることとなりますが、ガーミン社に対する訴訟は今後も継続 いたします。 

欧州特許第508681 号及び欧州特許第 775892 を侵害している旨の判決を下しました。 

 (実施許諾対象特許)
  米国特許第 5,365,448 号
  米国特許第 5,424,951 号
  米国特許第 6,122,592 号
  ドイツ特許第 693 24 713 号(欧州特許第 0 775 892 号)
  ドイツ特許第 692 11 749 号(欧州特許第 0 508 681 号) 

○ガーミンのニュースリリース
The Court’s ruling is the second recent decision in Pioneer’s litigation campaign against Garmin. In the first ruling, issued by the U.S. International Trade Commission (ITC) on December 16, 2010, the ITC Administrative Law Judge’s Initial Determination found that Garmin’s products do not infringe any of the three U.S. patents that were asserted by Pioneer in the ITC proceedings.

 #欧州の2特許についてはドイツで侵害と判断されていたようだ。
 #米国の3特許についてはITCでは非侵害と判断されていたようだ。

○その他のリンク
 #ITCの決定(非侵害)の見直し


◆特許事件について
日本で争った特許権は、欧州・米国で争ったものとは別のもののようだ。
特許権については既に消滅しているので、損害賠償が議論の対象。
今回の判決では均等論が論じられているので、ここで均等論についても復習しておきたい。

●均等論(判決文(34頁))
特許請求の範囲に記載された構成中に,相手方が製造等をする製品又は用いる方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても,
①同部分が特許発明の本質的部分ではなく,
②同部分を対象製品等におけるものと置き換えても,特許発明の目的を達することができ,同一の作用効果を奏するものであって,
③上記のように置き換えることに,当該発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が,対象製品等の製造等の時点において容易に想到することができたものであり,
④対象製品等が,特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものではなく,かつ,
⑤対象製品等が特許発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情もないときは,
同対象製品等は,特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして,特許発明の技術的範囲に属するものと解するのが相当である(以下,上記①ないし⑤の要件を,順次「第1要件」ないし「第5要件」という。)
(最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁参照)。
 ↓
★結論:裁判所の判断
 本件発明の構成要件Gを被告装置の構成に置換することは少なくとも均等の第1及び第2要件を充足しないため,被告装置が本件発と均等であるとはいえない。

●争点
(1) 被告装置は本件発明の構成要件Gを充足するか(なお,被告装置が本件発明の構成要件AないしF,Hを充足することは当事者間に争いがない。) 
(2) 被告装置は本件発明と均等であるか 
(3) 本件特許には無効理由があるか(抗弁) 
(4) 本件訂正により本件特許の無効理由が解消したか(再抗弁) 
(5) 原告の損害額

○本件発明
#構成要件Gを訂正

A 移動体の現在位置を測定する現在位置測定手段と, 
B 前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令が入力される入力手段と, 
C 前記設定指令が入力され,経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶する記憶手段と, 
D 前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い,当該経路を経路データとして設定する経路データ設定手段と, 
E 前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力手段と, 
F 前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段と,を備え, 
Gˊ 前記制御手段は,前記記憶した探索開始地点と,当該経路データが設定され,前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点とが異なり,誘導開始地点が,設定された経路上の,経由予定地点を超えた地点となる場合に,前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する 
H ことを特徴とするナビゲーション装置。 

○被告製品
(原告の主張)
 被告装置においては,直近の転換点の先の転換点の誘導情報についても一覧として表示した上で,直近の転換点については着色し,又は最上部に表示するようになっている。このような表示がされる以上は,被告装置においては,かかる一覧表示に対応するデータベースが作成され,データとして蓄積された上で,これを誘導情報の出力にそのまま利用していると理解できる。そして,かかる一覧表示において,直近の転換点についての着色ないし最上部への表示という,自車位置と結びつけた誘導情報の表示が実現されることからすれば,被告装置の制御においては,かかるデータベース上の情報を参照し誘導情報を出力していると理解できる。

(被告らの主張)
 被告装置は,次の転換点を案内するに当たって,どこで経路探索が終了したとか,どの転換点を通過したとか,どのルートを通って現在地に至ったかという情報を全く参照することなく,単に,①「ルート探索開始地点」を始点とし,「目的地」を終点とする設定されたルート情報と,②車両の現在位置及び車両の進行方向に関する情報を参照し,車両の現在位置が設定されたルートを外れている場合は,「目的地」を終点とする新たなルート探索を行い,車両の現在位置が設定されたルート上にある場合には,設定されたルート情報と車両の進行方向を参照し,設定されたルート上の進行方向の先にある直近の経由点に所定距離近づいた場合に直近の経由点に関する誘導情報を出力する制御を行うものである。 


○被告装置は本件発明と均等であるか 
(原告の主張)
(ア) 第1要件 
 本質的部分は「移動体の現在位置を示す誘導開始地点が,設定された経路上の経由予定地点を超えた地点となった場合であっても,探索開始地点に関する情報との比較に基づいて誘導開始地点を正しく認識し,これに応じた誘導を行うこと」となる。他方で,制御が地点同士の直接の比較により行われること自体が,本件発明を特徴付けるほどの重要部分であるとはいえない。したがって,被告装置の構成が本件発明と異なる部分は,本件発明の本質的部分ではない。 

(イ) 第2要件 
 本件特許出願前の公知技術と対比して従来技術では解決できなかった課題であって,当該特許発明により解決されたものとは,「設定された経路上の経由予定地点を超えた地点となった場合であっても,これに応じた誘導を行うこと」である。 
 そして,誘導開始地点が設定された経路上の経由予定地点を超えた地点となった場合においては,誘導開始地点が含まれるリンクと探索開始地点が含まれるリンクとを対比する方法は,地点同士を直接対比する方法と同様に,これにより移動体の現在位置を示す誘導開始地点を正しく認識し,これに応じた誘導を行うことができる。 
 したがって,誘導開始地点と探索開始地点との対比を,誘導開始地点が含まれるリンクと,探索開始地点が含まれるリンクとの対比に置換しても,本件発明と同一の作用効果を奏することができる。 
 なお,経由地点を超えていないリンクにおいて,地点の判別ができないことは,本件発明の目的及び作用効果に何ら関係しない。 

(被告らの主張)
(ア) 第1要件 
 経路誘導開始前に車両が動いたか否かを,具体的に探索開始地点と誘導開始地点とを比較して,「探索開始地点と誘導開始地点とが異なる場合」に当たるか否かで判定するのが,構成要件G,すなわち本件発明の要旨である。したがって,具体的な「探索開始地点」と「誘導開始地点」とを比較し,これらが「異なる場合」を判定することこそが,本件発明を特徴付ける本質的な構成要件であるところ,被告装置はそのような構成を有しない。

(イ) 第2要件 
 「点と点の比較」と「リンクとリンクの比較」は同意義ではなく,誘導開始地点と探索開始地点が異なるものの,誘導開始地点が含まれるリンクと探索開始地点が含まれるリンクが一致する場合が存在するため,「点と点の対比」を「リンクとリンクの対比」に置換することにより本件発明と同一の作用効果を奏することができるとはいえない。 
また,被告装置で行っているリンクとリンクとの比較は,本件発明のような既知の地点同士を比較する場合に行われる処理ではなく,既知の現在位置が,経路リンクのどのリンク(処理前には未知)上に載っているかを特定するための処理であるところ,比較する点の両方が既知である場合には,わざわざリンクに置き換えて比較する必要はなく,単純に両地点同士を直接比較すればよいだけである。 
 また,被告装置におけるリンクとリンクの比較は,それだけで終わる処理ではなく,経路リンク中に一致するリンクを特定できたならば,改めて,現在位置の座標と特定されたリンクとの比較を行って現在位置が当該リンクのどの位置にあるかを演算する必要がある処理である。 
 したがって,構成要件G中の「点と点の対比」を「リンクとリンクの対比」に置換することに意味はなく,そのような置換をする可能性はない。

(当裁判所の判断) 
(1) 第1要件について
 本件発明が,車両が動くことにより探索開始地点と誘導開始地点の「ずれ」が生じ,車両等が経由予定地点を通過してしまうことを従来技術における問題とし,これを解決することを目的として,上記「ずれ」の有無を判断するために,探索開始地点と誘導開始地点とを比較して両地点の異同を判断することを定めており,この点は,従来技術にはみられない特有の技術的思想を有する本件特許の特徴的部分であるといえる。 

  ↓
 探索開始地点と誘導開始地点とを比較して両地点の異同を判断することが本件発明の本質的部分というべきであり,かつその比較方法としては,両地点を直接比較することが当然に予定されているものであって,これに反する原告の主張は採用できない。 

(2) 第2要件について
 被告装置では,本件発明のように探索開始地点と誘導開始地点とを比較して両地点が異なるか否かを判断するという作業は行われず,あくまで,車両の現在位置が所定の経路リンク上に載っているか否かが判定されているにすぎないと認められるから,本件発明における探索開始地点と誘導開始地点とをそれぞれリンクに置換したとしても,被告装置で行っているリンク同士の比較とは異なるものとなる。

  ↓
 本件発明における探索開始地点と誘導開始地点との比較をリンクとリンクとの比較に置換しても,それによって被告装置の構成にはならない上,本件発明と同じ目的を達することはできず,また同一の作用効果を奏するものともいえない。 


(追記2)
 本件、知財高裁で控訴が棄却されたようだ。

(追記3)
平成28年(行ケ)第10169号 審決取消請求事件
 無効審判に対する審決取消訴訟は請求棄却になったようだ。

(追記4)
欧州企業との特許ライセンス契約に関する特許訴訟関連損失引当金繰入額20億円、競争法関連損失13億円を特別損失に計上



●特許3442138
・出願日:1994/4/28
・ナビゲーション装置及び方法
・パイオニア株式会社
#本権利消滅日(平26.4.28)
First page clipping of JPH07294268 (A)

【請求項1】
 移動体の現在位置を測定する現在位置測定手段と、
 前記現在位置から経由地を含む前記移動体が到達すべき目的地までの経路設定を指示する設定指令が入力される入力手段と、
 前記設定指令が入力され、経路の探索を開始する時点の前記移動体の現在位置を探索開始地点として記憶する記憶手段と、
 前記記憶した探索開始地点を基に前記経路の探索を行い、当該経路を経路データとして設定する経路データ設定手段と、
 前記移動体の現在位置と前記設定された経路データとに基づいて前記移動体を目的地まで経路誘導するための誘導情報を出力する誘導情報出力手段と、
 前記移動体の移動に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する制御手段と、
を備え、
 前記制御手段は、前記記憶した探索開始地点と、当該経路データが設定され、前記移動体の経路誘導が開始される時点の当該移動体の現在位置を示す誘導開始地点と、が異なる場合に、前記誘導開始地点からの前記移動体の誘導開始に基づいて前記誘導情報出力手段を制御する
ことを特徴とするナビゲーション装置。

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#実務ネタ
※以下2017/6/12修正

以前、欧州特許出願のセミナーを実施したことがあるので、EPネタについても1つぐらいは書いておこうと思う。

なお、欧州特許出願とは、欧州特許条約(EPC)に基づいて欧州特許庁(EPO)に提出する特許出願のこと。EPOは欧州連合(EU)の下部組織ではないので、イギリスがEUを離脱しても欧州特許出願に直接的な影響がでるわけではない。(現実的には多大な影響がでると思われるが)

欧州の出願実務でよく出てくる用語が、「Intermediate Generalization(中間的一般化)」と「Inescapable Trap(トラップ)」。どちらも補正に関する事項。欧州特許出願では、複数の国に影響するので、補正要件が厳しく判断される傾向がある。

中間的一般化は、例えば、出願当初の明細書にA+Bの要素が開示されているときに、Bの要素に言及せずにAの要素だけを請求項で限定するような補正をいう。この際、AとBとの結びつきが強くて分離できないときに、請求項にAの要素だけを追加すると、新規事項の追加と判断されてしまう。

※追記:パテント2011 Vol.64No.13

「中間一般化」とは,請求項などの当初の非常に広い開示と,実施例などの非常に限定された開示の中間にある,開示されていない複数の構成の組合せに補正することである。例えば,当初の請求項がXであり,実施例にはX+c+dの組合せが記載されていた場合に,請求項をX+cに補正する場合である。


◆審査基準
EPOの審査基準(Guidelines for Examination Part H Chapter V 3.2.1)には以下の記述がある。
When a feature is taken from a particular embodiment and added to the claim, it has to be established that:

– the feature is not related or inextricably linked to the other features of that embodiment and 
– the overall disclosure justifies the generalising isolation of the feature and its introduction into the claim. 

(仮訳)
ある特徴が特定の実施態様から引き出され、クレームに追加される場合、次のことを立証しなければならない。
– その特徴が当該実施態様のその他の特徴に関連しないこと、又は密接に不可分でないこと
– 全体的な開示が、その特徴の一般化による分離及びそのクレームへの導入を正当化すること 

上記審査基準の中で「例3(技術審判部の審決「T 1164/04」)」の特許について調べてみた。


T 1164/04
○手続の経緯

1995/11/22 米国出願(3件) 
1996/10/4 PCT出願
1998/4/17 EP移行
2001/2/2 特許付与通知
2001/11/8 特許付与決定
2002/9/19 異議申立
2004/5/19 第1予備請求、第2予備請求の提出
2004/7/29 取消決定
2004/9/25 審判請求
2006/6/7 審決通知 (T 1164/04:2006/4/7決定)
2008/6/6 異議部の審理再開
2009/1/22 取消決定
2010/2/11 手続終了

○判断内容

2004/7/29
→取消決定
補正要件
(EPC123(2)(3))
新規性
(EPC54)
進歩性
(EPC56)
主請求 OK OK NG
第1予備的請求 OK OK NG
第2予備的請求 OK OK NG

2006/6/7
→差戻し審決
補正要件
(EPC123(2)(3))
新規性(EPC54) 進歩性(EPC56)
主請求 判断ナシ OK NG
第1予備的請求 NG 判断ナシ 判断ナシ
第2予備的請求 OK 判断ナシ 判断ナシ

2009/1/22
→取消決定
補正要件
(EPC123(2)(3))
新規性(EPC54) 進歩性(EPC56)
第2予備的請求 判断ナシ OK NG
第3予備的請求 OK OK NG


○第1予備的請求の請求項(=2004/5/19)
   A water dispersible and flushable absorbent article (20), the absorbent article comprising: a liquid pervious topsheet (24), a liquid impervious backsheet (26) disposed beneath said topsheet and an absorbent core (28) disposed between said topsheet and said backsheet characterized by 
   said topsheet comprising a first fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, wherein portions of a body surface of said topsheet have preferably been provided with a first resinous material,
    said backsheet comprising a second fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, said backsheet being coated on the topsheet facing surface with a second resinous material wherein said second resinous material is water resistant, and
    said topsheet and said backsheet being joined using a water soluble adhesive in at least an area of peripheral bonding to encapsulate said absorbent core there between.


○第2予備的請求の請求項(=2004/5/19)
   A water dispersible and flushable absorbent article (20), the absorbent article comprising: a liquid pervious topsheet (24), a liquid impervious backsheet (26) disposed beneath said topsheet and an absorbent core (28) disposed between said topsheet and said backsheet characterized by 
   said topsheet comprising a first fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, wherein portions of a body surface of said topsheet have preferably been provided with a first resinous material, wherein said first resinous material comprises fibrils of a water resistant resinous material,
   said backsheet comprising a second fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, said backsheet being coated on the topsheet facing surface with a second resinous material wherein said second resinous material is water resistant,
   and said topsheet and said backsheet being joined using a water soluble adhesive in at least an area of peripheral bonding to encapsulate said absorbent core there between.


○第1予備的請求の請求項(=2004/12/02)
  A water dispersible and flushable absorbent article (20), the absorbent article comprising: a liquid
pervious topsheet (24), a liquid impervious backsheet (26) disposed beneath said topsheet and an absorbent core (28) disposed between said topsheet and said backsheet characterized by 
  said topsheet comprising a first fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, said fibrous assembly being a wet laid tissue, wherein portions of a body surface of said top sheet have preferably been provided with a first resinous material,
  said backsheet comprising a second fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein said fibrous assembly being a wet laid tissue, said backsheet being coated on the topsheet facing surface with a second resinous material wherein said second resinous material is water resistant,
  and said topsheet and said backsheet being joined using a water soluble adhesive in at least an area of peripheral bonding to encapsulate said absorbent core there between.


○第2予備的請求の請求項(=2006/04/04)
  A water dispersible and flushable absorbent article (20), the absorbent article comprising: a liquid
pervious topsheet (24), a liquid impervious backsheet (26) disposed beneath said topsheet and an absorbent core (28) disposed between said topsheet and said backsheet characterized by
  said topsheet comprising a first fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, wherein portions of a body surface of said top sheet have preferably been provided with a first resinous material, said first fibrous assembly being a wet laid nonwoven,
  said backsheet comprising a second fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, said backsheet being coated on the topsheet facing surface with a second resinous material wherein said second resinous material is water resistant, said second fibrous assembly being a wet laid tissue,
  and said topsheet and said backsheet being joined using a water soluble adhesive in at least an area of peripheral bonding to encapsulate said absorbent core there between.


○中間的一般化の可否
本特許は、最終的には、補正要件の議論とは関係なく、進歩性違反で取り消されていた。ただ、途中の議論で補正要件についての判断が示されている。第1予備的請求(1st Auxiliary requests)の補正は認められず、第2予備請求(2nd Auxiliary requests)の補正は認められた。

EP0862402 EP補正


第1予備的請求の補正は、「第1の繊維性アセンブリ(topsheet 24)」を「他の特徴(apertured; provided with fibrils 54 or suffcient inherent porosity)」と組み合わせていない形態に限定。ここで、出願当初は「第1の繊維性アセンブリは他の特徴と組み合わさったときだけ湿式ティッシュ(wet laid tissue)である」ことを開示しているので、このような補正は出願当初の開示を超える内容となる。要するに、分離できない特徴を分離して中間的一般化したので、補正が認められなかった。

第2予備的請求の補正は、「第1の繊維性アセンブリ(topsheet 24)」+「湿式不織材料(wet laid nonwoven)」に限定した形態。この特徴は段落[0051]の記載に基づいて認められた。


・PROCTER & GAMBLE
・WATER DISPERSIBLE AND FLUSHABLE ABSORBENT ARTICLE

1.(主請求=2001/2/2時点)
   A water dispersible and flushable absorbent article (20), the absorbent article comprising:
   a liquid pervious topsheet (24),
   a liquid impervious backsheet (26) disposed beneath said topsheet and
   an absorbent core (28) disposed between said topsheet and said backsheet 
characterized by 
   said topsheet comprising a first fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, wherein portions of a body surface of said topsheet have preferably been provided with a first resinous material,
    said backsheet comprising a second fibrous assembly having a temporary wet strength resin incorporated therein, said backsheet being coated on the topsheet facing surface with a second resinous material wherein said second resinous material is water resistant, and
    said topsheet and said backsheet being joined using a water soluble adhesive in at least an area of peripheral bonding to encapsulate said absorbent core there between.


 ↓ ファミリー公報586件(JP公報52件)

・優先日:1995/11/22
・ザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニー
・「水分散性でフラッシュ可能な吸収製品」
#本権利消滅日(平24.8.15)

【請求項1】
 一時的湿潤強力樹脂を含む第1の繊維性アセンブリを包含する液体透過性トップシート;
 該トップシートの下側に配置された分散性の液体不透過性バックシートであって、一時的湿潤強化樹脂を含み、かつ少なくとも1つの表面上に耐水性の第2の樹脂性材料が塗布され、該第2の樹脂性材料が、該バックシートが少なくとも18cmの静水頭に耐えることを可能とし、かつセンチメートル当り34ダインを越える臨界表面張力を該バックシートの体側表面に提供するところの水不溶性の第2の繊維性アセンブリを包含するバックシート;および
 該トップシートと該バックシートの間に配置された吸収性コア
を備え、
 該トップシートおよびバックシートは、該コアを包むように周辺結合の少なくとも1つの領域において水溶性接着剤を用いて接合されている
 水分散性でフラッシュ可能な吸収製品。


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