弁理士Tajの発明研究ブログ

『発明にこだわる弁理士』を目指したいと考えています。
※掲載内容についての完全性・正確性は保証しておりません。

2017年09月

#外国企業、AI

東芝メモリ(関連【115】)のニュースが連日報道される中、先日、久々に東芝メモリ以外の東芝関連ニュースを見た。スマートスピーカーとか。東芝にとって吉とでるのだろうか?
東芝、Alexa搭載のスマートスピーカーを北米に投入 日本は「来年発表」 2017/09/25


さて、スマートスピーカーのニュースを見て、「グーグルホーム」がそろそろ日本でも発売されそうだということを思い出した(※)。私の仕事にも影響しそうなので少しまとめてみた。

◆音声解析システムとデバイス
まず名前の整理。音声解析システムの名前と、それを利用するデバイスの名前との対応関係は以下の通り。この分野ではアマゾンが独走していてグーグルがそれを追っているという状況のようだ。他にも複数のメーカーがいろいろな製品を投入している(しようとしている)。

Company System Device
Amazon Alexa Echo
Google Google asistant Google Home
Apple Siri HomePod
Microsoft Cortana  


(その他1) 日本製品
Company System Device
LINE Clova WAVE
Panasonic Google Assistant SC-GA10
Sony Google Assistant LF-S50G
Toshiba Alexa(米国)
RECAIUS(日本)
TH-GW10
(※Onkyoと同一)
Onkyo Alexa
Google Assistant
VC-FLX1
「G3」(VC-GX30)
Sharp エモパー ホームアシスタント
NTTDoCoMo
フォーティーズ
corevo petoco
Softbank
プレンゴアロボティクス
? プレンキューブ
エーアイ
TIS株式会社
AICloud AISonar

(その他2) 外国製品
Company System Device
Nvidia Google Assistant SPOT
Harman Kardon Cortana Invoke
Essential  ? Essential Home
Lenovo Alexa Home Assistant Pack
Alibaba AliGenie Tmall Genie
(天猫精灵X1)
Xiaomi 同学 Mi AI Speaker
Samsung Bixby Vega
LG Electronics Google Assistant
Alexa
Deep ThinQ
?


(その他3) 変り種
Company System Device
Aevena  Alexa Aire

Aire - World's First Self-Flying Drone for The Home
 →こういう発想がイケテルなぁ、と思わされてしまう。

◆リンク
AIスピーカーは生活をどう変える?  2017/09/25

◆コメント
下図はプラットフォーム技術のイメージ。いつの間にか参入障壁が出現してきて、端に追いやれていく。これを回避するために、先回りの経営戦略を打って、参入障壁にぶち当たらないようにする必要がある。そのために少しでも役立つような特許権の取得が望まれるのかと思う。弁理士としては、そのような意識をもって発明を扱いところ。

barriers to entry _taj

冒頭の東芝の場合、多くの自社製品が音声認識プラットフォーム上に乗っかることになるので、スマートスピーカに関与せざるを得ない状況なのかと思う。ただ、Amazon EchoやGoogle Homeより高い価格帯の製品を北米市場に投入して勝負になるのだろうか。


◆特許調査(グーグル)
Google asistantで使用されているであろう公開特許情報(日本)をピックアップしてみた。
抽出観点は「ホットワード」。

文献番号 発明の名称 出願番号 出願日 メモ
特開2017-126317 複数のデバイスにおけるホットワードの検出 特願2016-174371 2016年9月7日 最も小さい遅延を有する(したがって、ユーザに最も近そうである)コンピューティングデバイスは、他のコンピューティングデバイスに信号を送信して、このコンピューティングデバイスがホットワードに続くさらなる音声を処理することを示す。
特開2017-076117 ホットワード認識 特願2016-179290 2016年9月14日 音声を介したモバイルデバイスへのアクセスをロック解除または有効にするためにホットワードを使用して、リプレイ攻撃を阻止する。リプレイ攻撃は、無許可のユーザが、デバイスの所有者または許可されたユーザによって話されたホットワードに関するオーディオをキャプチャし、デバイスへのあるレベルの無許可のアクセスを得るためにそれをリプレイする処理である。
特開2017-072857 複数のデバイス上でのホットワード検出 特願2016-250670 2016年12月26日 省電力モードにあるコンピューティングデバイスにより、特定の所定ホットワードの発話に対応するオーディオデータを受信するステップ」

遠くない未来、多数のデバイスがホットワードを常に聴取するようになるであろう。1人のユーザが自身の声に応答するように訓練された複数のデバイス(例えば、電話機、タブレットコンピュータ、TV等)を有する場合、ユーザは、自身が意図して話し掛けたものではないデバイスによるホットワードへの応答を抑制することを望むであろう。
特開2017-068243 発話者の検証のための動的な閾値 特願2016-151822 2016年8月2日 ユーザデバイスは、発話がホットワードを含むかどうかを判定し、発話の発話者がデバイスの認可されたユーザであるかまたは詐称者であるかを特定するための発話者の検証を実行する。

特開2017-027049 個別化されたホットワード検出モデル 特願2016-143155 2016年7月21日 ユーザによる1つまたは複数の登録発話を受け取った後に、システムは、他のユーザによるホットワードの他の発話を識別し、ユーザによる登録発話に類似する発話を選択し、選択された発話および登録発話を使用して個別化されたホットワード検出モデルを生成することができる。
特表2017-520008 複数のデバイス上でのホットワード検出 特願2016-551250   本明細書は、ホットワードに反応するために適切なデバイスを選択するとともに、その他のデバイスによるホットワードへの反応を抑制するという課題を扱う。
特表2017-513037 複数のデバイスにおけるホットワードの検出 特願2016-549271   「前記遅延時間の量が経過した後で、前記音声データの発話認識処理を前記コンピューティングデバイスが開始することを示す信号を送信するステップ」
特表2017-507352 発話者の検証のための動的な閾値 特願2016-549233   発話者の検証を実行する際、ユーザデバイスは、認可されたユーザに関連する音声テンプレートとの発話の類似性に基づいて発話に関する信頼性スコアを生成し、信頼性スコアを閾値と比較する。さらに、ユーザデバイスは、背景雑音の量などの発話に関連する周囲の状況(environmental context)も特定し、周囲の状況および信頼性スコアを示すデータセットをさらなる処理のためにサーバに送信する。

(追記)
いよいよグーグルホームが日本発売されるようだ。果たしてどうなるのだろう。
Google Home今週日本発売。49ドルの小型スマートスピーカー「Google Home Mini」も 20171005

・"Hotword recognition"
・優先日:2015/10/16
・出願日:2015/11/17

1. A computer-implemented method comprising:
receiving audio data corresponding to an utterance that is received while a computing device is operating in a lock mode, the computing device being configured to exit the lock mode based on determining that the audio data corresponds to a hotword;
determining that the audio data corresponds to the hotword;
generating a hotword audio fingerprint of the audio data that is determined to correspond to the hotword;
determining a similarity between the hotword audio fingerprint and one or more stored audio fingerprints of audio data that was previously determined to correspond to the hotword;
detecting whether the hotword audio fingerprint matches a stored audio fingerprint of audio data that was previously determined to correspond to the hotword based on whether the similarity between the hotword audio fingerprint and one of the one or more stored audio fingerprints satisfies a predetermined threshold; and
in response to detecting that the hotword audio fingerprint matches a stored audio fingerprint, preventing the computing device into which the utterance was spoken from exiting the lock mode despite determining that the audio data corresponds to the hotword.

 ↓ 対応JP出願

特開2017-076117
【発明の名称】ホットワード認識
【出願人】グーグル  インコーポレイテッド

【請求項1】
 コンピュータによって実施される方法であって、
 発声に対応するオーディオデータを受信するステップと、
 前記オーディオデータがホットワードに対応すると判定するステップと、
 前記ホットワードに対応すると判定された前記オーディオデータのホットワードオーディオフィンガプリントを生成するステップと、
 前記ホットワードオーディオフィンガプリントと、前記ホットワードに対応すると以前に判定されたオーディオデータの1つまたは複数の記憶されたオーディオフィンガプリントとの間の類似性を判定するステップと、
 前記ホットワードオーディオフィンガプリントと、前記1つまたは複数の記憶されたオーディオフィンガプリントのうちの1つとの間の前記類似性が、あらかじめ決定されたしきい値を満足するか否かに基づいて、前記ホットワードオーディオフィンガプリントが、前記ホットワードに対応すると以前に判定されたオーディオデータの記憶されたオーディオフィンガプリントと一致するか否かを検出するステップと、
 前記ホットワードオーディオフィンガプリントが、記憶されたオーディオフィンガプリントと一致することを検出するステップに応じて、前記発声が話されたコンピューティングデバイスへのアクセスを無効化するステップと
を備える方法。


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#大企業(東証一部)、注目度【高】
#関連ネタ:【091】【109】【122】


昨年から話題の事件(【091】)だが、先日、富士フイルムがプレスリリースを出したようだ。



また、プレスリリースと同時(金曜日?)に訴訟提起もしていたようだ。
Fujifilm ratchets up Sony patent fight with new complaint(2017/09/16)


米国特許 発明名称 他国の対応文献 優先日
6641891 Magnetic recording medium   JP2002358625 (A)  2001/3/28
6703106 Magnetic recording and reproducing method and magnetic recording medium for use in the method   DE10218072 (A1)   JP2002319118 (A) 2001/4/23
6703101 Magnetic recording medium   JP2003016631 (A) 2001/6/29
6767612 Magnetic recording medium   JP2003115104 (A)   JP3818581 (B2)  2001/7/30
8236434 MAGNETIC RECORDING MEDIUM, MAGNETIC SIGNAL REPRODUCTION SYSTEM AND MAGNETIC SIGNAL REPRODUCTION METHOD   WO2007114395 (A1)   2006/3/31
7355805 Magnetic tape and method of manufacturing magnetic tape, servo writer, and method of and apparatus for specifying servo band   JP2004318983 (A)   JP4157412 (B2)  2003/4/15

前回チェックした案件(US7355805,JP4157412)とは違う特許で侵害が認定されたようだ。
改めてチェック。

(追記)
下記リンクの情報を教えていただいた。
細かくは読めてないが、気になるところを摘記。


ALJ Shaw’s Recommended Determination on Remedy

ALJ Shaw ruled that Sony’s essentiality arguments would not preclude an exclusion order, because (1) he found that none of the claims were essential and (2) even if the claims were essential, Fujifilm had not breached its AP-75 Agreement obligations, stating:

LTO-7 Standard Background

Both Sony and Fujifilm were not TPCs, but were early manufacturers of LTO products that had agreed to cross-license their patents.

In July 2015, the TPCs released a first version of the LTO-7 licensing agreement, but withdrew it after Fujifilm said it would withdraw from the LTO7 market if Fujifilm’s June 2015 licensing provisions were not adopted.

そもそも富士フィルムは「富士フィルムのライセンス条件が採用されなければ、LTO7の市場から撤退する」というようなことを言っていたようだ。最初からブレてないし、自信もあるのかと思う。こんな意思決定をスパっとできるのが凄いと思う。

さて、今回は特許の有効性(新規性・進歩性)について見直しが入るようだ。
2/20までの動向が気になるところ。
 ↓
INITIAL DETERMINATION FINDING A VIOLATION OF SECTION 337;
REQUEST FOR WRITTEN SUBMISSIONS;
EXTENSION OF TARGET DATE FOR COMPLETION OF THE INVESTIGATION

2017/12/27までに何か書面を提出せよとか。2018/1/5までに回答を提出せよとか。
担当者は年末年始の休みを返上して作業するのだろうか。同情を禁じ得ない。

この状況で、特許調査会社が有効な無効資料を見つけることができたら、その特許調査会社は今後仕事に困ることはないだろうなと思ってしまった。ビジネスチャンスとはこういうところにあるのかもしれないなぁ。


(追記2)
 ソニー社などによる磁気テープ関連の米国特許侵害のITC調査に関して
(2018/3/9)
 富士フイルムが勝ったようだ。



US6767612
1.
A magnetic recording medium comprising
a nonmagnetic layer comprising
a nonmagnetic powder and
a binder and
a magnetic layer comprising
a hexagonal ferrite powder and
a binder in this order on a nonmagnetic support,
wherein
the number of pits having a depth of ⅓ or more of the minimum recording bit length present on a surface of said magnetic layer is equal to or less than 100/10,000 μm2,
the minimum recording bit length is about 50 to 500 nm, and
the center surface average roughness of said magnetic layer surface SRa is equal to or less than 6.0 nm.

 ↓ 対応JP

●特許3818581
【発明の名称】磁気記録再生システム及び磁気記録再生方
【出願日】平成13年11月26日(2001.11.26)
【優先日】平成13年7月30日(2001.7.30)
【特許権者】富士写真フイルム株式会社

【請求項1】
  磁気記録媒体に最小記録bit長50~500nmで磁気信号を記録し、該記録された信号をMRヘッドを用いて再生する磁気記録再生システムであって、
 前記磁気記録媒体は、
 非磁性支持体上に非磁性粉末と結合剤とを含む非磁性層と六方晶フェライト粉末及び結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、
 前記磁性層表面に存在する最小記録bit長の1/3以上の深さを有する凹みの数が100個/10000μm2以下であり、かつ
 前記磁性層表面の中心面平均粗さSRaが1.0~6.0nmの範囲である
ことを特徴とする磁気記録再生システム



【請求項3】
 磁気記録媒体に最小記録bit長50~500nmで磁気信号を記録し、該記録された信号をMRヘッドを用いて再生する磁気記録再生方法であって、
 前記磁気記録媒体は、
 非磁性支持体上に非磁性粉末と結合剤とを含む非磁性層と六方晶フェライト粉末及び結合剤を含む磁性層とをこの順に有し、
 前記磁性層表面に存在する最小記録bit長の1/3以上の深さを有する凹みの数が100個/10000μm2以下であり、かつ
 前記磁性層表面の中心面平均粗さSRaが1.0~6.0nmの範囲である
ことを特徴とする磁気記録再生方法。

【課題を解決するための手段】
本発明者らは、MRヘッドを採用した磁気記録再生システムにおいて、 ヘッドと磁気テープ間のスペーシングについて鋭意検討した結果、磁性層表面の特定の深さを有する凹みによる影響がノイズに対して顕著であることを見出し、本発明を完成するに至った。
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#中小企業、サービス業

空飛ぶペンギン社
社名につられてしまった。

「ペンギンは空飛ばねぇよ」と突っ込みながらホームページ等を見てしまった。
最初はふざけた人達の会社かと思ったが、ホームページ等をみると元気で好感が持てた。
元気な人達が工夫するから、発明も生まれるのだろう。

この会社は結婚式をプロデュースする事業を行っているようだ。
そこで、フォトシュシュというサービスを提供している。
スマートフォンで撮影した写真を「シュ!」と飛ばすとリアルタイムにスクリーンに飛んでいくゲスト参加型演出。

さて、この会社の特許であるが、平成28年5月9日に、異議申立てがされていた。
⇒異議2016-700399

真の異議申立人が誰かは不明だが、異議申立ての陳述書に「クロスライン株式会社」という名前がでてくる。
こちらの会社も同様のサービスを提供しているようで、この特許が邪魔なのかと思う。

本特許の技術は一見して簡単な技術だし、後追いも可能だろう。
だからこそ特許を取っておきたいし、特許を取られると邪魔でしょうがない。
サービス業で、上手く特許を使っている好例のような気がする。

今後、サービス業でも特許が使える事例は増えていくように思う。
私も柔軟な思考でサービス業における発明支援ができるようになりたいと思う。


(追伸)
リアルタイムで結婚式会場の写真を飛ばすようだが、間違え等で不適切写真を飛ばしたらどうなるのだろう?
そういうところもケアできる発明があれば、それはそれで特許になるような気がする。
サービス上、そんなところまでケアする必要はないのかもしれないが。


【発明の名称】リアルタイム写真表示システム
【出願日】平成26年7月18日(2014.7.18)
【早期審査対象出願】
【特許権者】株式会社空飛ぶペンギン社

【請求項1】
 撮影された写真をリアルタイムで表示するリアルタイム写真表示システムであって、
 
写真撮影ウエブアプリケーションと
 映像表示アプリケーションを有するサーバと、
 
表示装置と
を備え、
 
前記写真撮影ウエブアプリケーションは、
  写真を撮影する端末装置から、撮影された写真を記録した写真データを前記サーバに送信し、
 
前記映像表示アプリケーションは、
  前記写真データを受信するとともに受信した1以上の写真データを用いて該1以上の写真データのそれぞれに記録された写真の全てを含む映像を生成し、
  前記写真データとともに該写真データを前記映像に含めた時刻を記憶し、
  該時刻からの所定の時間が経過した後には前記写真データに記録された写真を該時間が経過する前よりも縮小して映像に含め、
 
前記表示装置は
  前記映像又はその一部を表示する
ことを特徴とする、リアルタイム写真表示システム。

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#実務ネタ(米国)、最高裁(米国)

ノンビリしてたら既に3か月以上経過してしまった。
本件は特許関係者にとっては今年一番の話題になりそうな話だ。


◆概要
インクカートリッジの再販売が特許侵害に該当するか否か。原則として、使用済みインクカートリッジは特許権が消尽(※)しているので、インクを補充して再販売するのは合法と認められる。ただ、それだと、すぐに互換品が作られて、インクカートリッジを開発した人の儲けが減ってしまう。そこで、インクカートリッジを開発した人は、再販売されないように契約等で工夫することがある。

本件では、原告のLexmark社は、インクカートリッジの販売に際して2つのオプションを提示していた。一つは、条件なしでそのまま販売するというもの。もう一つは、1回使用後にLexmark以外に譲渡しないなら20%引きで販売するというもの。

後者の条件でインクカートリッジを購入したのに、Lexmark以外に譲渡した場合に、特許権侵害が問えるか否かが問題になった(論点1)。加えて、海外での販売に対して特許権が消尽するか否かも問題になった(論点2)

※消尽
 特許権の消尽というのは、一度適法に流通に置かれた特許製品については、特許権が用い尽くされたとして特許権の効力が及ばない状態になることをいう。国内消尽と国際消尽というのがある。
Q3.特許権にかかる並行輸入(経済産業省)


◆判例
IMPRESSION PRODUCTS, INC. v. LEXMARK INTERNATIONAL, INC. (2017/5/30)

〇結論
論点1,2の何れについても特許権は消尽し、特許権を行使することはできない
ただし、契約法で相手方と争うことは可能(特許法では争えない)。

〇原告の製品
原告(Lexmark)は1回使用のみ認める条件の製品に対しては、再使用を禁止するためのマイクロチップを搭載していた。

〇被告の行為
被告(Impression)はこの再使用を禁止するマイクロチップの効果を無効化して、原告の製品を再販売していた。

〇修理と再生産
原告の製品のマイクロチップの効果を無効化して、再使用できるように改造する行為は、『修理』の範囲とみなされるようだ。これが『修理』ではなく『再生産』とみなされるのであれば、特許権は消尽しないのだろう。この点が、モンサントの事件(【093】)や、日本のインクタンク事件(【094】)とは異なるのかと思う。

(疑問点)マイクロチップの内容が特許クレーム上に明記されていれば、修理ではなく再生産とみなされる可能性があったのだろうか?


◆国際消尽
米国では、国際消尽が認められたことになる。
日本では黙示の実施許諾が採用されているので日米間の判断に相違がある。

国際消尽が認められると、次のような話になるのかと思う。
・A社が米国で特許権を取得する。
・A社が米国でその特許権に係る製品Xを1300円で売る。
・A社がインドで製品Xを1000円で売る(物価を考慮して安い価格設定)。
・B社がインドで製品Xを買い占める。
・B社が米国で製品Xを1200円で売る(B社製品がA社製品よりも安くなる)。
 ⇒このとき、A社はB社に米国特許権を行使できない(∵国際消尽)。


◆Lexmarkと船井電機
さて、このLexmarkの事業であるが、船井電機が引き継いでいたようだ。
ただ、どうも良くなかったようだ。



◆Lexmarkの特許

米国特許 出願日 特許ファミリー文献
US5337032 1993/2/26 DE69312675 (T2)   EP0613063 (A1)   EP0613063 (B1)   JPH06274032 (A)  
US5634169  1996/2/16 AR005618 (A1)   AT248389 (T)   AU1257097 (A)   AU693732 (B2)   CA2197620 (A1)   CA2197620 (C)   DE69724305 (T2)   DE69733700 (T2)   DE790536 (T1)   EP0790536 (A2)   EP0790536 (A3)   EP0790536 (B1)   EP1291732 (A1)   EP1291732 (B1)   EP1522904 (A2)   EP1522904 (A3)   ES2109910 (T1)   GR980300007 (T1)   JP3581894 (B2)   JPH1026872 (A)   SG45532 (A1)   TW315429 (B)   US5942067 (A)   
US5758231  1996/12/20   DE69720936 (T2)   EP0849641 (A1)   EP0849641 (B1)   JPH10198152 (A)   MX9710430 (A)   
US5758233  1996/12/20 AR011042 (A1)   AU4841997 (A)   AU722655 (B2)   BR9706419 (A)   BR9706419 (B1)   CA2225310 (A1)   CA2225310 (C)   DE69719705 (T2)   EP0849643 (A1)   EP0849643 (B1)   JPH10186821 (A)   MX9710426 (A)   TW385378 (B)   
US5768661  1996/12/20 AU4835497 (A)   AU722538 (B2)   BR9706402 (A)   BR9706402 (B1)   CA2225299 (A1)   CA2225299 (C)   DE69727900 (T2)   EP0849647 (A1)   EP0849647 (B1)   JPH10186819 (A)   MX9710329 (A)   
US5802432  1996/12/20 AU4841897 (A)   AU722848 (B2)   BR9706455 (A)   BR9706455 (B1)   CA2225710 (A1)   CA2225710 (C)   DE69724929 (T2)   EP0864945 (A1)   EP0864945 (B1)   JPH10221942 (A)   MX9710429 (A)   
US5875378  1996/12/20 AR011296 (A1)   AU4835397 (A)   AU723165 (B2)   BR9706427 (A)   BR9706427 (B1)   CA2225307 (A1)   CA2225307 (C)   DE69720156 (T2)   EP0849642 (A1)   EP0849642 (B1)   ES2196271 (T3)   JPH10198151 (A)   MX9710290 (A)   SG53132 (A1)   TW370635 (B)  
US5995772  1996/12/17 AR010782 (A1)   AU4829897 (A)   AU728152 (B2)   CA2225021 (A1)   EP0859290 (A1)   JPH10198150 (A)   MX9710288 (A)   SG68644 (A1)   TW390979 (B)   
US6009291  1998/02/18
(1997/01/27)
CN1154024 (C)   CN1204072 (A)   DE69821421 (T2)   EP0903644 (A2)   EP0903644 (A3)   EP0903644 (B1)   JPH11102097 (A)   TW378285 (B)   
US6078771  1999/09/22  AU5951600 (A)   AU771370 (B2)   BR0004380 (A)   BR0004380 (B1)   CA2320384 (A1)   CA2320384 (C)   CN1290872 (A)   DE60026242 (T2)   EP1087266 (A2)   EP1087266 (A3)   EP1087266 (B1)   JP2001100518 (A)   KR100831696 (B1)   KR20010050553 (A)   MXPA00009291 (A)   TW512260 (B)   
US6397015  2001/05/31 BR9700989 (A)   BR9700989 (C1)   US6009285 (A)   US6169860 (B1)   US6295422 (B1)   US6397015 (B2)   
US6459876  2001/07/18 WO03009067 (A1)  
US6487383  2001/04/12 AT528696 (T)   EP1430365 (A1)   EP1430365 (A4)   EP1430365 (B1)   US6487383 (B2)   WO02084409 (A1)   
US6496662  2002/06/19 AU2003238275 (A1)   EP1535117 (A1)   EP1535117 (A4)   WO2004001511 (A1)  
US6678489  2002/01/15 US2004126133 (A1)   US2005147430 (A1)   US2007019986 (A1)   US6678489 (B1)   US6879792 (B2)   US7139510 (B2)   US7305204 (B2)   
US6816692  2003/05/21 US6816692 (B1)  
US6871031  2003/03/20 US6871031 (B2)  
US6879792  2003/12/15 US2004009007 (A1)   US2005147430 (A1)   US2007019986 (A1)   US6678489 (B1)   US6879792 (B2)   US7139510 (B2)   US7305204 (B2)   
US7139510  2005/02/14 US2004009007 (A1)   US2004126133 (A1)   US2007019986 (A1)   US6678489 (B1)   US6879792 (B2)   US7139510 (B2)   US7305204 (B2)   
US7233760  2004/12/13 US7233760 (B2)  
US7305204  2006/09/26 US2004009007 (A1)   US2004126133 (A1)   US2005147430 (A1)   US6678489 (B1)   US6879792 (B2)   US7139510 (B2)   US7305204 (B2)   

◆コメント
上記(疑問点)に関連し、プログラムの特許がないかをチェック。以下の特許などは関連していそうな気がする。マイクロチップのプログラムを元に戻すことであれば『再生産』になると思うのだが、単にプログラムを無効化するのは『修理』になるということだろうか。それであれば侵害回避は容易だろう。




US5634169
・Multiple function encoder wheel for cartridges utilized in an electrophotographic output device 
・Filing date:Feb 16, 1996
・Priority date:Feb 16, 1996
・Original Assignee:Lexmark International, Inc.

1.
A cartridge for an electrophotographic machine, comprising:
a sump for carrying an initial quantity of toner;
a shaft mounted for rotation in said sump, and a paddle mounted thereon in such a manner that when said shaft rotates, said paddle rotates therewith, into, through and out of engagement with toner carried within said sump;
an encoder wheel mounted on said shaft, externally of said sump; said encoder wheel positioned for mating coaction with a code wheel reader when said cartridge is in a home position in an electrophotographic machine; and
a torque sensitive coupling connected to said shaft for connection to a drive means in said machine, when said cartridge is installed in said machine, to effect rotation of said shaft, paddle and encoder wheel;
said encoder wheel configured for indicating, in conjunction with said coded wheel reader, one or more cartridge characteristics to said machine.

 ↓ 対応JP特許

【発明の名称】電子写真機械用のカートリッジ
【出願日】平成9年2月17日(1997.2.17)
【優先日】平成8年2月16日(1996.2.16)
【特許権者】レックスマーク・インターナショナル・インコーポレーテツド

【請求項1】
 トナーを担持するサンプと、
 前記サンプ内で回転するように取り付けられたシャフト、および前記シャフトが回転した際に、パドルがそれとともに回転し、前記サンプ内に担持されたトナーに入り、トナーを通り、そしてトナーと係合しなくなるようにシャフト上に取り付けられたパドルと、
 前記シャフト上の前記サンプの外部に取り付けられ、カートリッジが電子写真機械内の基準位置にある場合に、コード・ホイール・リーダと対となって協働するように配置されたエンコーダ・ホイールと、
 前記カートリッジを前記機械内に設置した場合に、前記シャフト、パドルおよびエンコーダ・ホイールの回転をもたらすために、前記シャフトを前記機械内の駆動手段に間接的に接続するように前記シャフトに接続されて、前記サンプ中のパドルの動きに対するトナーによる抵抗を感知可能なトルク感知継手と、
 前記コード・ホイール・リーダを用いて、複数のカートリッジ特性を前記機械に示すように構成された前記エンコーダ・ホイールと
 を含む、電子写真機械用のカートリッジ。


【0021】
本発明の他の目的は、供給EPカートリッジと関連する単一のエンコーダ・ホイールに、これらに限定されないが、PCドラム・タイプ、無許可のカートリッジが機械内で使用されるのを防止する「ベンダー(売り手)  ID」、元のカートリッジ容量を示す情報、トナーがMICRトナー(銀行小切手用の磁性物質など)であるのかまたは非MICRトナーであるのか、およびカートリッジ・サンプ内のトナーのレベルの検出を含む情報を提供することである。


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#大企業(中堅)、実務(日本)

 前回(【138】)、「省エネ行動シート事件」についてチェックしたのだが、この出願人は同時期に「省電力シート」の特許を取得していた。本来であれば、こちらの特許も「省エネ行動シート事件」と同様の理屈で拒絶されると思われる。事実、経緯をみると、一度拒絶査定がなされている。そして、その後に拒絶査定不服審判(不服2011-022241)が請求され、審判段階で特許が認められている。

 往々にして、審判官の方が審査官よりも甘い判断をしてくれることがあるが、本特許の場合は、特許請求の範囲に「デマンド値」等の用語が記載されており、権利範囲が狭く第三者に迷惑をかけることもないので特許にしてもよい、という判断がなされたのではないかと推測する。しかし一方で、出願人としては、これで特許になるなら「省エネ行動シート」の発明も特許になるだろうと考えて、先の事件では訴訟まで粘ったのかと思う。



【発行日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【発明の名称】省電力シート及び省電力シート出力装置
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【特許権者】日本テクノ株式会社

【請求項1】
 電力基本料金算定期間中の最大のデマンド値及び同期間中の前記最大のデマンド値に近い値として検出された複数のデマンド値と、その各検出日時の全部又は一部とを対にして、デマンド値の大きさの昇順または降順に並べて表示する第一表と、
 前記第一表に表示された最大のデマンド値よりも小さな値のデマンド値である目標デマンド値の候補と、その候補となる目標デマンド値を超過する電力基本料金算定期間中のデマンド値の検出回数とを対にして、目標デマンド値の大きさの昇順または降順に並べて表示する第二表と、
を含む省電力シート。

【発明の効果】
【0008】
 以上のような構成をとる本発明によって、どのような日時の電力使用の結果により電力基本料金が増加したのかを把握することが可能になり、具体的な対策を立てやすくなる。また、電力基本料金を下げるために目標デマンド値を立てるに際して、過去の電力使用状況の情報に基づいて妥当な値を選択することが可能になる。

省電力シート図1

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